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驚天動地の酒「新政」
本質を知ることを怠ると、自分にとって都合の良い形で理解してしまいがちだ。こういった 曲解 は、作品という結果を純然に楽しむだけの消費者であれば問題にはならないが、その価値を伝える役割と責任を担う「 伝え手 」にとっては、重大な過失に繋がり得る 深刻な怠慢 だ。 知らないなら語らない 。しかし、伝え手が本来守るべき約束事は、破られることが常。 私は新政を、いや、新生した新政を良く知らなかったから、語ることは避けてきた。しかし、他の有識者らしき人たちによって切り取られ、植え付けられてきた筆者の新生新政に対する断片的な認識は、その本質にいよいよ触れたとき、 何もかもが間違っていた と断じざるを得ないものだった。 筆者が21歳の時、ニューヨーク・マンハッタンで職を得た「酒蔵」という巨大な日本酒バーには、旧新政が常備されていた。刈穂、飛良泉、紅まんさく、雪の茅舎といった銘酒どころ秋田の佳酒が並ぶ中、旧新政は際立って地味な酒だった。売れ行きも芳しくなく、スタッフの誰かが抜栓しては他のスタッフに迷惑がられ、抜栓後の日数が経過し過ぎないギリギリのタイミングで急い

梁 世柱
2022年2月9日


葡萄品種から探るペアリング術 <8> メルロー
葡萄品種から探るペアリング術シリーズは、特定の葡萄品種をテーマとして、その品種自体の特性、スタイル、様々なペアリング活用法や、NG例などを学んでいきます。 今回は、 メルロー をテーマと致します。 同じボルドー品種である カベルネ・ソーヴィニヨン との共通点や違いも合わせて、読み進めてください。 また、このシリーズに共通する 重要事項 として、葡萄品種から探った場合、 理論的なバックアップが不完全 となることが多くあります。カジュアルなペアリングの場合は十分な効果を発揮しますが、よりプロフェショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 メルローのスタイル 品種自体の主張が非常に強いカベルネ・ソーヴィニヨン(以降、 CS と表記)に比べると、メルローは 主役としても脇役としても、落ち着いた輝きを放つ品種 です。CSと同様に、国際品種としては最も成功したものの一つですので、文字通り、世界中で栽培されています。 CSに比べると、 香りや風味の共通点は多い のですが、...

梁 世柱
2022年2月5日


人間万事塞翁が馬
人生の幸不幸は予測できないもの、というたとえが表題でございますが、本当に、人生何が起こるかわかりません。 昨年の私の身に起こったことも、全くの想定外。 人生で初めて心身不調になり、休養してしまいました。 改めまして、ご迷惑ご心配をおかけした方にお詫び申し上げます。...

SommeTimes特別寄稿
2022年2月3日


暗記の時代は終わったのか
ソムリエやワインエキスパート、WSET等のワイン関連資格試験にチャレンジしたことのある人なら、 理不尽なほどの膨大な暗記 に苦しんだ記憶があることだろう。 終わりの見えない暗記によって、ワインが嫌いになってしまった人も少なくないはずだ。 中には、「重箱の隅をつつくような知識」が本当に役に立つのかと激しい疑問を覚えながら、苦行を乗り切った人もいるだろう。 それに、 せっかく暗記した知識が、霞のように消えていく虚しさ も、多くの人が味わったに違いない。 暗記に意味がないとは決して言わない。それだけの奥深い世界が広がっていることを実感すること自体には、確かな意味があるからだ。 検索エンジンや電子書籍が高度に発達する前は、一流のワインプロフェッショナルとはつまり、「 歩く百科事典 」的な人のことを意味している側面があった。 驚異的に詳細な情報を、大量に記憶したワインプロフェッショナルこそが、尊敬の対象だったのだ。 しかし、時代が変わった。

梁 世柱
2022年2月2日


祝福の鐘は、葡萄畑から鳴り響く <オーストラリア・クラフト・ワイン特集:後編>
過ちを正すのは難しいことではない。だが、正したことを理解してもらえるかは、全く別の問題だ。「 他人の不幸は蜜の味 」という底知れぬ悪意は、カソリック教会における「 七つの罪源 」や、ダンテの叙事詩「 神曲 」などにおいて、人を罪へと導くものとして常に描かれてきたように、残念ながら、人という種にとって、極めて自然発生的なものだ。だからこそ、 消し去りたい過去ほど、他者によって消えない烙印のように刻まれてしまう 。だからこそ、「農」のワインであれば許されたはずの失敗は、「人」のワインであったが故に、許しを得る可能性が著しく制限されてしまった。 だが、それで良いのだろうか。失敗した人間の成長を認められないほど、人の心に善と許しは無いのだろうか。 決して違う、と私は信じていたい。 悪意ではなく、善意でもって、受け止めて欲しい 。 オーストラリアの、 自然を愛する造り手たちの想いと、結果に対する責任を 。 矛盾からのそれぞれの脱出 極端な醸造的欠陥が生じたワインは、テロワールを表現する能力を失う 。葡萄畑のありのままの自然な姿を表現しようという想いが暴走し

梁 世柱
2022年1月31日


開拓し、牽引し続ける、カタルーニャの地元愛
スペインワインにおいて、カタルーニャは特に重要である。 その歴史は古く、港町としても栄えたバルセロナ、タラゴナでカタルーニャワインの交易が記録された古い文献が残っている。 フィロキセラ禍の際には、フランスへのワイン輸出で大きな利益を生み、自国の被害の際にはちょうどシャンパー...

SommeTimes特別寄稿
2022年1月27日


真・日本酒評論 <4> ヴィジョンと結果
<花の香:純米大吟醸 桜花> 先日公開した 「而今」に関する記事 にて、「 地元の米を使った酒は全ての要素がより一体感を増す 」という仮説について述べたが、この仮説の検証対象となる日本酒を試す機会があったため、「真・日本酒評論」にてレヴューすることとする。 1902年、神田角次・茂作の親子によって創業された神田酒造は、熊本県和水町地方にて、地域に密着した酒蔵として成長し、1952年には、蔵の周辺に自生する梅の木から、春になると蔵に梅の香りが満ちることから、現在の「 花の香酒造 」へと名を改めた。 2011年、6代目蔵元の神田清隆さん の代になり、世界へ羽ばたく「Sake」を目指し、継続的な改革に取り組んできた。 2015年頃からは、 地元米への全面的な転換 がスタート。 産まれた土地、土地の神々を意味する古語「 産土(うぶさな) 」をヴィジョンとして掲げ、 和水町のテロワール (ミクロ気候、知識、水質)と、この地特有の 微生物群ネットワーク が酒にもたらす個性を、醸し手として「 導く 」ことに重きを置く。 筆者の唱える仮説と同じ想いがあるのだろう

梁 世柱
2022年1月23日


銘酒・而今が示す、日本酒の新たな価値
三重県名張市にある 木屋正酒造 が醸す銘柄「 而今 」は、当代随一の人気銘柄として、極めて高い評価を得ている日本酒。 酒蔵の創業は1818年。造り酒屋であった「ほてい屋」を、木材屋を営んでいた初代大西庄八が譲り受け、「木屋正」と改めた。木屋正酒造は長らくの間「高砂」と「鷹一正宗」の二銘柄を醸造し、地元を中心に販売してきたが、徐々に業績が悪化し、廃業の危機も間近に迫っていた。 転機となったのは 2003年 。理系エリートとして大手メーカーで技術職についていた6代目蔵元の 大西唯克 氏が、家業を引き継ぐ決意を固め、蔵に戻ってきたのだ。そして大西唯克氏は、2年間先代の杜氏と仕事をした後の2005年、自らが 杜氏 となり、「而今」銘柄を立ち上げた。 今でこそ1200石(1石 = 一升瓶 x 100本)の規模にまで成長した而今だが、発足当時の生産量は僅か30石。搾りたての而今が入った酒瓶を片手に、酒屋に営業周りをする日々が続いた。 惰性で造っていた酒から、名張の地を表現したアルティザナルな酒へ 。 徹底的に妥協を許さない完璧主義者 。そのような印象を周囲に

梁 世柱
2022年1月21日


ソムリエの皆さま、マイナー産地フォローできてますか?
ここ数年で頭角を表してきたマイナー産地の勢いには、目を見張るものがある。 え!そんな国でもワイン作ってるの?という声もお客様からよく聞く言葉だ。 ここでは敢えて「マイナー産地」という言葉を用いるが、過去100年間で新たにワイン作りを始めた国は数えるほどしかなく、多くの国々...

SommeTimes特別寄稿
2022年1月20日


ペアリングの元常識 <4>
料理とワインのペアリングにおいて、長年「 常識 」とされてきた組み合わせの中には、様々な研究と検証が進んだ現代においては、 既に否定されているものも少なくありません 。 このコーナーでは、そんな「 元常識 」なペアリングの例をご紹介致します。 今回は鉄則とすらされる、「 魚には白ワイン 」の組み合わせを検証して行きます。 魚には白ワイン? 長い間、魚料理に赤ワインが合わない(らしい)理由は、赤ワインに多く含まれるタンニンが原因とされてきましたが、この点に関しては既に 科学的に否定 されました。 他の要因に目を向けると、科学的根拠がそれなりに示されているものが2つあります。 より詳しくは、 ペアリングの元常識 <2> でも紹介していますので、そちらもご確認ください。 まずは、ワインに含まれる 鉄分 (正確には 鉄イオン )と、魚に含まれる 不飽和脂肪酸 の反応です。この2つが反応すると「 生臭み 」が生じる、ということは 科学的に解明されています 。一般的に赤ワインとロゼワインにはより多く鉄分が含まれる傾向がありますので、確かに理にかなっているよ

梁 世柱
2022年1月18日


栄光の落日 <オーストラリア・クラフト・ワイン特集:前編>
2015年頃から約3年間、熱狂していたと言っても決して大袈裟ではないワインが、私にはあった。一人のプロフェッショナルとして、常に公正公平であれるようにと、 ワインと造り手に対して感情移入することを徹底して避けてきた 筆者にとって、それは 極めて例外的な出来事 だった。どこか 停滞感 が漂っているように感じていた オーストラリア という国に、突然変異的に発生した、底抜けに明るく、親しみやすく、どこまでも人懐っこいワインたち。ヨーロッパ伝統国ではすでに一大勢力となりつつあったナチュラル・ワインとはどこか違う雰囲気を纏った、未知の魅力に溢れたワインに、私はまさに虜になった。新しいワインを試すたびに、驚きと発見がある。ワインそのものも、それらのワインを使ったペアリングも、私の知的好奇心を、これでもかと刺激した。だが、私と オーストラリア・クラフト・ワイン の蜜月の日々は、長続きしなかった。 本特集では、筆者がなぜオーストラリア・クラフト・ワインに熱狂し、激しく失望し、数年を経て、また愛するようになったのかを、パーソナルな視点と客観的な視点を織り交ぜながら

梁 世柱
2022年1月15日


【実験】ワインの温度と実際の味わいの関連性
こんにちは、Restaurant Re:苅田です。 前回の【糖分・酸度】に関する実験スタイルの記事は非常にやりがいがあったので、今回は違った実験を行っていきたいと思います。 前回の記事参照 今回は【温度】について考えたいと思います。ワインをはじめとした、飲料の世界では常に新...

SommeTimes
2022年1月13日


Advanced Académie <19> ヴィンテージ
ワインの世界において、「 ヴィンテージ 」という言葉は、主に3通りの使われ方がある。 1. ヴィンテージワイン、というように 熟成 を意味する使い方。 例:今日は記念日だし、ヴィンテージワインでお祝いしようか? 2. 2013年、のように特定の 収穫年 を意味する使い方。 例:2015年のボルドーは、○○○なヴィンテージだった。 3. (生産者が)その年の収穫作業や、 収穫の開始 を意味する言葉として使う場合。 例:もうそろそろ今年のヴィンテージだな。 今回は、2の使用法、つまり特定の年を意味する記号としての使われ方と、我々消費者側がどのように接していくのが良いかを考察していく。 グレート・ヴィンテージ まず、グレート・ヴィンテージ、バッド・ヴィンテージという言葉が何を意味してきたのかを整理しておく。 1980年代後半頃から、アメリカのワイン評論家 ロバート・パーカーJr. が影響力を増し始めたことによって、 ヴィンテージの優劣という価値観に、変化が生じた 。 それまでは、 グレート・ヴィンテージとはつまり長熟型のヴィンテ

梁 世柱
2022年1月11日


Advanced Académie <18> 葡萄畑の方角
太陽は、赤道上を東から昇り西へと沈む 。赤道よりも北では、太陽は常に南側にあり、赤道よりも南では、常に北側にある。 この当たり前の自然現象が、ワインの世界ではとても大きな意味をもつ 。そう、 葡萄畑の斜面の方角 だ。 北半球のワイン伝統国 では長年に渡って、 真南を中心とした90度の範囲 、つまり 南西から南東向きの斜面が良い (南半球では南北が逆 になる)とされてきた。 南東向きの斜面 は、昼夜の寒暖差が大きい地域では特に効力を発揮する。日が昇るとすぐに 朝露や霜を払い 、葡萄が太陽光を吸収する体制を整えてくれるからだ。 では、 南西側の斜面 はどうだろうか。日当たりのことだけを考えれば、東でも西でも一緒のように思えるかも知れないが、実は 大きな違い がある。 その違いが生まれる理由は、 植物が光合成を活発に行う時間帯 にあるのだ。 植物には、 朝から午前中にたっぷりと光合成をして、午後はのんびりする 、という性質がある。つまり、植物が西日を受ける午後の時間帯には、既に光合成は随分とスローペースになっているため、太陽エネルギーを処理しきれずに、

梁 世柱
2022年1月7日


Why not drink Greek wine?
2021年は気候変動の波をグッと受けた厳しい年です。ギリシャでも、過去30年で最も深刻な熱波に見舞われ、各地で山火事が発生。被害を受けたワイナリーも多数でました。そして、何より引き続くコロナ化でワイナリーの状況は一層厳しさを増しています。...

SommeTimes特別寄稿
2022年1月6日


葡萄品種から探るペアリング術 <7> ヴィオニエ
葡萄品種から探るペアリング術シリーズは、特定の葡萄品種をテーマとして、その品種自体の特性、スタイル、様々なペアリング活用法や、NG例などを学んでいきます。 今回は、 ヴィオニエ をテーマと致します。 また、このシリーズに共通する 重要事項 として、葡萄品種から探った場合、 理論的なバックアップが不完全 となることが多くあります。カジュアルなペアリングの場合は十分な効果を発揮しますが、よりプロフェショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 ヴィオニエのスタイル ヴィオニエは 品種自体の個性が非常に強く出ます 。晩熟で気難しい性質があり、この品種が輝けるエリアは限られていますが、テロワールの特徴もしっかり反映し、「テロワールxワインメイキング」の組み合わせで、 様々なヴァリエーション が楽しめます。品種そのもののポテンシャルも非常に高く、その真価が最も発揮される場所では、三大白葡萄品種(シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング)を脅かすほどの品質に達します。 どのエリ

梁 世柱
2022年1月4日


偉大さだけが、価値では無い <ピエモンテ・ネッビオーロ特集:最終章>
より優れていること。漠然としたその言葉だけが絶対的な価値になってしまうことほど、悲しく、虚しく、恐ろしいことはない。ヒトに当てはめてみると、その怖さが良くわかる。極々一部の「より優れた人間」だけに価値が宿る社会になってしまったとしたら、ヒトの大多数は逃れようの無い絶望感の中で生きていくことになるだろう。そう、「優れている」という言葉は、 使い方を間違えれば脱出不可能な混沌への呼び水となってしまう のだ。ワインについて語る時、特に、偉大とされるワインと必ずしもそうでは無いワインの両方を語る時は、何をもって「優れている」と表現するかが、極めて重要になる。つまり、 広義としての「優れている」ではなく、常に狭義としての「優れている」という価値判断を貫くべき なのだ。イタリア・ピエモンテ州のネッビオーロにおいては、バローロ・バルバレスコという圧倒的な知名度を誇る二大巨塔と、それ以外のネッビオーロとでは、優れているポイントが全く異なる。確かに、古典的価値観に基づく偉大さという点では、二大巨塔の優位は揺るぎないものだ。しかし、現代は多様性と個性の時代である。

梁 世柱
2021年12月26日


有為転変のシードル
恵比寿H(アッカ)にて、イノヴェーティヴなワインサーヴィスを牽引する新進ソムリエ菅野氏。幅広いジャンル、産出国にまたがるセレクションに加え、ノンアルコール・ペアリングの評価も高い菅野ソムリエからは、鋭い変化球的なコラムが届きました。...

SommeTimes特別寄稿
2021年12月23日


葡萄品種から探るペアリング術 <6> シラー
葡萄品種から探るペアリング術シリーズは、特定の葡萄品種をテーマとして、その品種自体の特性、スタイル、様々なペアリング活用法や、NG例などを学んでいきます。 今回は、 シラー をテーマと致します。 また、このシリーズに共通する 重要事項 として、葡萄品種から探った場合、 理論的なバックアップが不完全 となることが多くあります。カジュアルなペアリングの場合は十分な効果を発揮しますが、よりプロフェショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 シラーのスタイル シラーの醸造法にはある程度の一貫性が見られますが、 やや冷涼なエリアと、温暖なエリアでは性質が大きく異なります ので、基本的には 産地によって大きくスタイルが変動する と捉えた方が分かりやすいと思います。 シラーは大別すると以下のように分かれますが、共通して 樽熟成が基本 になっています(新樽比率はワインごとに大きく異なります)。また、 全房発酵も一般的 に行われるため、僅かなピラジン(ピーマンや青唐辛子のような風味)のタッ

梁 世柱
2021年12月22日


イタリアで最も偉大な産地 <ピエモンテ・ネッビオーロ特集:第三章>
バレバレスコに想いを馳せると、いつもやるせない気持ちになる。偉大なるバローロの栄ある光は、バルバレスコに深い影を落とし続けてきたからだ。そう、バルバレスコに与えられた地位は、 永遠のNO.2 。ワインファンに「イタリアで最も偉大な赤ワインは」と尋ねると、おそらく90%程度はバローロと回答するだろう。残りの9%はトスカーナ州のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、そして 1%がバルバレスコ といったとこだろうか。実は、 筆者はこの1%に属している 。私はこのことを隠すことも、ましてや恥じることも一切ない。90%の超多数派が私をなんと罵ろうとも、私にとってイタリア最高の赤ワインは、バルバレスコなのだ。 バローロとバルバレスコの違いは、ブルゴーニュに当てはめるならシャンベルタンとミュジニーの違い 、と表現しても差し支えないだろう。不思議に思わないだろうか。ブルゴーニュ・ファンなら、意見が真っ二つに割れるような「違い」であるにも関わらず、なぜかバローロが圧倒的な優勢を保ち続けてきたことを。その本質は結局のところ、「 無知 」にある。 我々の多くは、ブルゴーニ

梁 世柱
2021年12月10日
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