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田楽味噌とのペアリングを極める
田楽味噌の「田楽」は、田植えや豊作祈願に関わる歌舞から生まれ、平安時代に芸能として広まった「田楽舞」に由来するといわれている。 白い袴を身につけ、竹馬のような一本足の「高足」に乗って踊る田楽法師。 その姿が、串に刺して焼いた白い豆腐に似ていたことから、豆腐の串焼きを「田楽」と呼ぶようになったそうだ。 室町時代には、串に刺した豆腐に味噌を塗って焼く「豆腐田楽」が広まり、江戸時代になると、砂糖やみりんなどを加えた甘い練り味噌も用いられるようになった。 やがて、豆腐だけでなく、こんにゃく、なす、里芋なども使われるようになる。 甘い味噌を塗って焼く料理として、田楽は庶民の食卓に深く根を下ろしていった。 それとともに、「田楽」という言葉が指す料理の範囲も、少しずつ広がっていった。 現代における田楽味噌とは、味噌に砂糖やみりん、酒などを加え、火にかけながら練り上げた甘い味噌のことを指す。
梁 世柱
5 時間前


権威があなたを裏切った日-ミシュラン・グレープ- (期間限定無料公開)
Michelin Guideが、ブルゴーニュの生産者に対する新たな格付けを発表した。 案の定、発表直後から議論が噴出した。 反応を、少し乱暴にまとめてしまえば、こんなところだ。 「あのドメーヌが、この位置なのはおかしい。」 「昔から偉大とされてきた生産者が、なぜ名前も知らないドメーヌより下なのか。」 「こんな格付けは信用できない。ミシュランも地に落ちた。」 一方で、Domaine Arnoux-Lachauxは、少し違う角度から異議を唱えた。 近年、ミシュランを受け入れず、プレスにもワインを提示していないにもかかわらず、現在のドメーヌを何に基づいて評価したのか。 順位ではなく、評価へ至るプロセスを問い、掲載の削除を求めた。 この二つは、同じ反論ではない。 一方は、プロセスへの問いである。 もう一方は、自分の記憶と違う、という不満だ。 私は、今回のミシュランの格付けが正しいと言いたいわけではない。 逆に、間違っていると断じるつもりもない。 そもそもワインの評価とは、それほど簡単に正誤へ振り分けられるものではない。 ワインは嗜好品である。 そして、評
梁 世柱
2 日前


SommeTimes’ Académie <148>(イタリア・トレンティーノ=アルト・アディジェ州1: Alto Adige白)
イタリア北東部、オーストリアと国境を接する山岳地帯に、トレンティーノ=アルト・アディジェ州 があります。 この州のワインを理解するうえで、最初に大切なのは、州名を一つの塊として見すぎないことです。 行政上は一つの州ですが、ワインの流れは大きく二つに分けて考えると分かりやすくなります。 南側の Trentino。 そして北側の Alto Adige。ドイツ語圏の文脈では、Südtirol とも呼ばれる地域です。 Trentinoは、地場品種と山岳ワイン文化が色濃く残る地域。 一方のAlto Adige は、ドイツ語圏文化の影響を帯びながら、多品種の白と赤を細かく展開するアルプスの産地です。 この二重性を理解することこそが、トレンティーノ=アルト・アディジェを学ぶ最初の入口になります。 第一回では、Alto Adigeの白から学んでいきます。 Alto Adige / Südtirol D.O.C. 多品種で見る、アルプスの白 主な白品種:Pinot Bianco、Pinot Grigio、Chardonnay、Sauvignon...
梁 世柱
3 日前


再会 <108> 超現代的リースリング
Weingut Hermann Dönnhoff, Niederhäuser Klamm Riesling Kabinett 2022. トレンドは、一直線には進まない。 ある方向へ勢いよく進み、やがて飽和する。 すると、人々は突然その価値に疑問を抱き始める。 あまりにも使い回された「絶対」は、やがて退屈に変わる。 だから流行は揺り戻す。 しかし、その揺り戻しは、単なる逆走ではない。 過去へ戻るように見えて、実際には少し違う場所へ着地している。 一度獲得した知識や技術、美意識を身体のどこかに残したまま、かつての価値をもう一度見直す。 だから、二度目に現れる「昔」は、最初の昔とは別物だ。
梁 世柱
6 日前


ガスパチョの夏感を活かすペアリング
夏の定番料理として知られる、ガスパチョ。 よく冷えたガスパチョを口に含んだ瞬間に感じるのは、火を通さない野菜だけが持つ、少し荒い生命感だ。 トマトの酸味、きゅうりの青さ、ピーマンの青苦さ、玉ねぎの辛み、にんにくの強さ。 そこにオリーブオイルのなめらかさと、ヴィネガーの鋭い酸が重なる。 ガスパチョは、単なる冷たいトマトスープではない。 むしろ、サラダが液体になった料理だ。 夏野菜を噛む代わりに、飲む。 冷たさはすっと身体に入り、酸は乾いた喉を刺激し、青い香りが鼻の奥に抜けていく。 ここには、夏の食欲を無理に奮い立たせるような強さはない。 むしろ逆だ。 暑さで気だるくなった身体を、少しずつ軽い方向へ戻してくれる。 火を使った料理のように香ばしさで引っ張るのではなく、生の野菜が持つ水分と酸で、食卓に涼風を運んでくる。 ガスパチョは軽やかだが、決して単純ではない。 爽快感の中に潜む、少しだけ攻撃的な尖り。 そこをしっかりと捉えないと、ペアリングは成功しない。
梁 世柱
7 日前


難しい言葉の甘い香り
ワイン業界は、なぜこんなにも難しい言葉を愛してしまうのか。 ミネラル。テンション。エネルギー。 透明感。躍動感。垂直性。 そしてテロワール。 もちろん、それらの言葉がすべて無意味だと言いたいわけではない。 むしろ、私はその多くを日常的に使っている。 ミネラルという言葉に助けられたことは何度もあるし、テンションという一語でしか掴めない質感もある。 エネルギーという表現でなければ伝えきれない、液体の中の妙な動きも確かに存在する。 そして、テロワールは幻想ではなく、現実に作用しているものだと信じている。 だからこれは、外側から石を投げるための文章ではなく、かなり内側にいる人間としての、自戒である。 問題は、難しい言葉そのものではない。 本当の問題は、その言葉が誰に届くのかを、こちらが考えなくなった瞬間から始まる。
梁 世柱
7月9日


SommeTimes’ Académie <147>(イタリア・アブルッツォ州5: Tullum)
アブルッツォ白の支流 Terre Tollesi / Tullum D.O.C.G.で知る、PecorinoとPasserina アブルッツォ州の白ワインを学ぶとき、まず押さえるべき呼称は Trebbiano d’Abruzzo D.O.C. です。 ただし、この州の白はTrebbianoだけではありません。 より小さな範囲の中で、PecorinoとPasserinaという別の白葡萄に光を当てるD.O.C.G.があります。 それが、Terre Tollesi / Tullum D.O.C.G. です。 Tullumは、キエーティ県Tolloに限られた小さなD.O.C.G.。 決して目立つ存在ではありませんが、アブルッツォの土着白品種を理解するうえでは、見落としたくない存在です。
梁 世柱
7月7日


出会い <107> 地場ワインの特設ステージ
Garofoli, Verdicchio dei Castelli di Jesi Classico Superiore “Serra Fiorese” 2021 長い年月、食卓を共にしてきた、同郷のワインと食を組み合わせる。 クラシックペアリングの大原則がもつ魅力は、美食的完成度だけではない。 郷土ペアリングという強固な文脈は、時に、ややマイナーなワインにさえ、強い光を当てる。 何かのきっかけがなければ、強い興味も関心も持たなかったかも知れないようなワインが、当たり前のように目の前にある。 そういう状況を、簡単に生み出すことができてしまうのだ。
梁 世柱
7月5日


水茄子を美味しく味わうペアリング
初夏を彩る食材の一つ、水茄子。 その魅力は、名前の通り、水にある。 もちろん、ただ水分が多いというだけではない。 水茄子を口に入れた瞬間に感じるのは、夏そのものが弾けるような瑞々しさだ。 皮は薄いが、張力がある。 パリッとしたファーストアタックのあと、食感はすぐにやわらかくなる。 もう一段深く噛むと、細胞の奥に抱え込んでいた水分がジュッとあふれ、青い香りとほのかな甘みが舌の上に広がる。 どこか火を待っている気配がある普通の茄子とは、あまりにも異なる野菜だ。
梁 世柱
7月3日
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