ワイナリー訪問記 <1> Martin & Melanie Muthenthaler in Wachau, Austria.
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これまで、ワイナリーを訪問した際のレポートは、各産地の特集記事に組み込む形で公開してきましたが、今回から、(特にすでに特集記事を組んだことがある産地に関しては)レビューカテゴリーの中で「ワイナリー訪問記」として分離します。
産地を知ることは、地図を広げて俯瞰する仕事である。
一方で、ワイナリー訪問は、地図に足を置く仕事だ。
同じWachauと書かれていても、Loibenの光とSpitzer Grabenの冷気は違う。
同じRieslingと書かれていても、ドナウ川のほとりで育つものと、森へ向かって谷が細くなっていく場所で育つものでは、背筋の伸び方が違う。
その真理を五感で知るために、私は時に不便なところでも、迷いなく足を運ぶ。
車を運転しない私は、海外でワイナリーを訪問する際も、可能な限り公共交通機関で移動する。
ワイン産地において、車を持たない人間は、ときどき文明の外側に置かれる。
タクシーは走っていない。バスは来ない。電車は、こちらの都合など当然知らない。
それでも私は、この不便さをそこまで嫌っていない。
便利すぎる移動は、土地を素早く通過させる。
遅い移動は、土地に捕まる時間をくれる。


