再会 <104> 約束の言葉
- 3 日前
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Savage, Chenin Blanc “not tonight josephine” 2022.
*本稿は、一年半以上前に一度抜栓し、再栓して冷蔵庫に置いていたワインとの、印象深い再会をもとに書いています。Savageは南アフリカの醸造家ダンカン・サヴェージが率いるワイナリーで、この希少なキュヴェは南アフリカ最古のマスカット・アレハンドリアから造られた、至極のデザートワインです。
時間は、まっすぐ進むものだと私たちは思っている。
朝が来て、夜が降りる。
その繰り返しの先で、季節は移ろい、約束は古び、熱を持っていたものは少しずつ冷めていく。
最初の驚きも、その夜にしかなかった空気も、手の中にあった確かな感触も、進むほどに遠ざかる。
前へ進むことは、失うことでもある。
振り返れば、過去は小さくなっている。
あのときの光はもうなく、誰かの声も、部屋の明るさも、窓の外の暗さも、記憶の奥で静かに形を変えている。
人はそれを、懐かしさと呼ぶ。
美しい言葉だ。
けれどその美しさの中には、もう戻れないものを、せめて柔らかく包もうとする諦めが混じっている。


