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SommeTimes’ Académie <142>(イタリア・マルケ州4:et cetra)
VerdicchioとConeroの外側で覚える、五つのD.O.C.G./D.O.C. マルケ州を学ぶとき、まず中心になるのは白の Verdicchio、そしてMontepulciano主体の Conero です。
ただし、マルケ州には、他にも魅力的なワインたちがあります。
ここでは、Verdicchio系、Conero系の外側で覚えておきたい五つの産地を見ていきます。 Offida D.O.C.G. 南部マルケの土着白と赤をまとめる場所 主な品種:Pecorino、Passerina、Montepulciano
ワインタイプ:白、赤
地域:マルケ州南部、アスコリ・ピチェーノ周辺
D.O.C.G.昇格年:2011年 Offida D.O.C.G.は、南部マルケを理解するうえで重要な呼称です。 ここで覚えたいのは、ひとつのD.O.C.G.の中に、白と赤の両方の柱があること。
白では Pecorino と Passerina。
赤では Montepulciano が中心になります。 Pecorinoは、酸と厚みをもちやすい白

梁 世柱
2 日前


再会 <105> 回収された未完了
Edi Keber, Collio 2023. 以前、イタリア北東部、フリウリ・ヴェネツィア=ジュリア州とスロヴェニアの国境にある町、ゴリツィアを訪れた時、どうしても果たせなかったアポイントメントが一つあった。 クリスティアン・ケベル。 オレンジワイン復興の地を、単なる過去の聖域としてではなく、現在進行形の土地としてもう一段押し上げている次世代の中でも、彼は間違いなくリーダー格の一人である。 しかし、旅には、ときどき非常に現実的な難題が現れる。 葡萄畑の話でもなく、醸造哲学の話でもなく、ただの移動時間だ。

梁 世柱
5月23日


SommeTimes’ Académie <141>(イタリア・マルケ州3: Conero)
アドリア海に迫る山が育てる、Montepulcianoのもう一つの表情 Rosso ConeroとCònero D.O.C.G.で知る、マルケの赤 マルケ州のワインを学ぶとき、まず名前が挙がるのは白のVerdicchioです。 しかし、マルケを白ワインの州としてだけ見ると、この土地のもう一つの重要な側面を見落とします。 それが、Conero です。 Coneroは、アドリア海に面したアンコーナ周辺で造られる、Montepulciano主体の赤ワイン。 同じMontepulcianoでも、アブルッツォだけでなく、マルケにも重要な表現があります。 アドリア海を望む丘陵。 Monte Conero周辺の地形。 そして、赤ワインとしての熟成力。 ここでは、Montepulcianoの果実味に加え、厚み、スパイス感、タンニン、引き締まった余韻が重要になります。

梁 世柱
5月21日


SommeTimes’ Académie <140>(イタリア・マルケ州2: Verdicchio後編)
山に抱かれた小谷のVerdicchio 後編:Matelicaで知る、内陸の白ワインの緊張感 前編では、アドリア海側へ開いた丘陵地帯のVerdicchioとして、Verdicchio dei Castelli di Jesi D.O.C. と、その上位カテゴリーである Castelli di Jesi Verdicchio Riserva D.O.C.G. を見てきました。 Verdicchioは、柑橘、白い花、青リンゴ、ハーブ、アーモンドのようなほろ苦さを持つ白葡萄。 しかし、その味わいは産地によって変わります。 海側へ開いた丘陵では、果実味と親しみやすさが前に出やすく、内陸の谷では、酸、密度、余韻の緊張感が見えやすくなります。 後編では、その内陸側の表情を担う Verdicchio di Matelica を見ていきます。 Verdicchio di Matelica D.O.C. 内陸の谷が生む、引き締まったVerdicchio 葡萄品種:Verdicchio 85%以上 ワインタイプ:白、スプマンテ、Passito 地域:マルケ州マチ

梁 世柱
5月12日


再会 <104> 約束の言葉
Savage, Chenin Blanc “not tonight josephine” 2022. *本稿は、一年半以上前に一度抜栓し、再栓して冷蔵庫に置いていたワインとの、印象深い再会をもとに書いています。Savageは南アフリカの醸造家ダンカン・サヴェージが率いるワイナリーで、この希少なキュヴェは南アフリカ最古のマスカット・アレハンドリアから造られた、至極のデザートワインです。 時間は、まっすぐ進むものだと私たちは思っている。 朝が来て、夜が降りる。 その繰り返しの先で、季節は移ろい、約束は古び、熱を持っていたものは少しずつ冷めていく。 最初の驚きも、その夜にしかなかった空気も、手の中にあった確かな感触も、進むほどに遠ざかる。 前へ進むことは、失うことでもある。 振り返れば、過去は小さくなっている。 あのときの光はもうなく、誰かの声も、部屋の明るさも、窓の外の暗さも、記憶の奥で静かに形を変えている。 人はそれを、懐かしさと呼ぶ。 美しい言葉だ。 けれどその美しさの中には、もう戻れないものを、せめて柔らかく包もうとする諦めが混じっている。

梁 世柱
5月10日


「飲みやすい」は褒め言葉か
ワインを前にして、私たちはしばしば「飲みやすい」と言う。 悪い言葉ではない。 むしろ、実によくできた言葉である。 角がなく、誰も傷つけず、場を乱さない。 ソムリエはうなずき、同席者は安心し、ワインはとりあえず無事に食卓を通過する。 だが、便利すぎる言葉は、たいてい多くのディテールを削り落としたあとに残る。

梁 世柱
5月6日


SommeTimes’ Académie <139>(イタリア・マルケ州1: Verdicchio前編)
海へ開く丘から始めるVerdicchio 前編:Castelli di Jesiで知る、マルケ白ワインの基本 マ ルケ州を代表する白ワインといえば、真っ先に名前が挙がるのが Verdicchioです。 Verdicchioは、柑橘、白い花、青リンゴ、ハーブ、アーモンドのようなほろ苦さを持つ白葡萄。 爽やかに飲める一方で、酸と苦味に支えられた芯があり、造り方や産地によっては熟成にも耐える力を持ちます。 この品種を理解するうえで中心になるのが、二つの産地です。 Verdicchio dei Castelli di Jesi D.O.C. Verdicchio di Matelica D.O.C. さらに、それぞれのRiservaはD.O.C.G.として独立しています。 Castelli di Jesi Verdicchio Riserva D.O.C.G. Verdicchio di Matelica Riserva D.O.C.G. つまりVerdicchio系は、まず 無印版はD.O.C.、熟成型のRiservaはD.O.C.G. と整理すると分

梁 世柱
5月5日


出会い <103> 陸の孤島と秘宝
Botanica Wines, The Mary Delany Chenin Blanc 2024. 本稿で登場する「出会い」ワインは、去る4月に都内で開催された、南アフリカ在住のMWであり、世界的な南アフリカワインの権威として知られる、Cathy Van Zyl MWによるマスタークラス内で紹介された。 南アフリカワインの推進力を担うような、クールでトレンディーなラインナップは、まさに最先端。 南アフリカのワイン地図には、中心から眺める者には見えにくい場所がある。 見えないのは、遠いからではない。 名声の光が、そこまで届くようには設計されていなかったからだ。 Skurfberg(スカーフバーグ)は、その典型である。 ケープタウンから北へ、湿った緑が少しずつ後退し、風景が乾き、砂と岩と低い灌木の言葉へ変わっていく。 Olifants River流域、Citrusdal Mountainの山あい。 大西洋からそれほど遠くないにもかかわらず、感覚としては陸の孤島に近い。 海はある。山もある。風もある。むしろ葡萄にとっては理想的とも言える条件で。

梁 世柱
5月2日


SommeTimes’ Académie <138>(イタリア・ラツィオ州3: et cetera)
ラツィオの周縁に灯る、小さなD.O.C. FrascatiとCesanese以外で知る、土地ごとのワイン ラツィオ州のワインを学ぶとき、まず名前が挙がるのはFrascatiとCesaneseです。 しかし、それだけでラツィオを理解したことにはなりません。 北にはBolsena湖を抱くヴィテルボ周辺の火山性の土地があり、南にはCoriの丘があり、さらに海沿いにはTerracinaの香り高い白があります。 今回紹介するのは、いずれも高い知名度を持つ産地ではありませんが、それぞれに覚えておくべき理由があります。 奇妙な名前を持つ白。 火山湖のそばに残る甘口赤。 土着品種を支える丘のワイン。 海沿いで香るMoscato。 こうした小さなエリアを拾っていくと、ラツィオは「首都ローマのある州」から、湖、丘、海岸がそれぞれにワインを生む、多層的な産地として見えてきます。 最初に整理しておきたいのは、ラツィオ州のD.O.C.G.が Cannellino di Frascati、Cesanese del Piglio、Frascati Superiore の3つで

梁 世柱
4月29日


SommeTimes’ Académie <137>(イタリア・ラツィオ州2: Frascati)
名声より食卓を選んだ白 フラスカーティという、ローマの普段着 フラスカーティは、ラツィオ州ローマ県、ローマ近郊の丘陵地帯で造られる白ワインです。 主役となる葡萄はマルヴァジア系品種で、軽快な香りと爽やかな飲み口を持ち、食事とともに楽しまれてきました。 華やかな名声で語られるワインというより、よく冷やされ、料理の横に置かれ、自然にグラスが進むワインです。 その親しみやすさこそが、フラスカーティを理解するうえで大切な入口になります。 フラスカーティには、主に以下の3つのカテゴリーがあります。 Frascati D.O.C.:基本となる白ワイン。発泡タイプも認められる。 Frascati Superiore D.O.C.G.:より高いアルコール度数や品質基準を持つ上位カテゴリー。 Cannellino di Frascati D.O.C.G.:甘口タイプのフラスカーティ。

梁 世柱
4月23日


高級ビールを嗜む <4> Teenage Brewing
酒はカルチャーである。 そして、ホンモノのカルチャーは境界線を越えて、人の心に響く。 埼玉県ときがわ町にあるクラフトビール醸造所、Teenage Brewing。 クラフトビールにはめっぽううるさい私の心を、強烈に捉えた。 日本国内産ビールでは、Humans Beer以来の衝撃だったと言っても良いだろう。 「自由で現代的なアプローチで新しい驚きと記憶を創る一杯。」 Teenage Brewingは、ただ美味しいビールを造ろうとしているのではなく、「心が動く体験」という、「その先」を最初から思想に組み込んでいる。

梁 世柱
4月19日


SommeTimes’ Académie <136>(イタリア・ラツィオ州1: Cesanese)
ラツィオの赤を読む Cesanese系3産地に見る、構造・品種・多様性 Cesaneseは、ラツィオ州を代表する土着黒葡萄です。 赤い果実、花、スパイスを思わせる香りを持ち、タンニンは過度に強くなりすぎず、料理と合わせやすい赤ワインになりやすい品種です。 力で押す赤というより、果実味と香り、穏やかな渋みの調和に魅力があります。 Cesaneseを理解するうえで中心になるのは、主に次の3つの産地です。 Cesanese del Piglio D.O.C.G. Cesanese di Affile D.O.C. Cesanese di Olevano Romano D.O.C. この3つは同じCesanese系ワインでありながら、標高レンジ、使用できる品種、認められるスタイルが異なります。その違いが、味わいの方向性にも反映されます。

梁 世柱
4月16日


浜焼きとの世界最強ペアリング
私は昔から、生粋の肉好きだ。 だが、最近は正直、少々重く感じるようにもなってきた。 昔はあまりよく分かっていなかった「脂の甘み」とやらの素晴らしさに、せっかく目覚めたというのに、その脂の処理に胃と新陳代謝が追いついてくれないのは、なんとも悲しいものだ。 そんな肉の代替として、私の食生活で主役級となりつつあるのは、魚介類。 アメリカに住んでいた約10年間は、どうしても鮮度の高い魚介類を買うことが難しかったというのも、私が肉食へと強く傾いた理由の一つだが、やはり日本の魚介は抜群に美味い。 そして、マイブームとなりつつある魚介類の食べ方が、魚介版BBQとも言える「浜焼き」である。 浜焼きでも魚は焼くが、主に貝類、甲殻類、そしてイカが浜焼きの主力。 生けすから出したばかりの貝が、網の上で「踊る」姿は、これでもかと食欲を掻き立てるものだ。

梁 世柱
4月12日


なぜ学ぶのか
ワインのことを「教える立場」になってから、随分と時間が経ったが、この間に人々の学びを観察してきた結果は、なんとも残酷なものだったのかもしれない。 ワインを学ぼうとしている人々の「学びたいワイン」が、ブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュ、カリフォルニアなどの有名人気産地に、極端なほど集中してしまっているのである。 それはそうだろう、と多くの人は思うだろう。 きっとそうだろう、と私も思ってはいた。 だが、実態として目の当たりにすると、それなりにショックは受けるものだ。 私が情熱を注いでいる数多くのワイン産地に対して、大多数の人々は一欠片の興味すら抱いてないのだから。

梁 世柱
4月10日


SommeTimes’ Académie <135>(イタリア・ロンバルディア州: Part.4)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はイタリア・ロンバルディア州について学んでいきます。 北イタリアのロンバルディア州は、極めて多様性に富んだワイン産地となります。スパークリングワインで知られる産地、赤、白それぞれの主要産地、そして、まさに「何でもあり」となるD.O.C.の存在など、しっかりと整理して捉えなければ、非常に複雑だと感じることも多い州です。 ロンバルディア州編第4回は、イタリア屈指の複雑怪奇なD.O.C.として知られる、Oltrepo Paveseについて学んでいく後編となります。 Oltrepò Pavese D.O.C. Oltrepo Paveseは単一の品種やスタイルにフォーカスしたD.O.C.ではなく、数多くの品種、広範囲の製法を規定した巨大な包括型となります。 その多面性故に、「何でもあり」系D.O.C.の代表格とみなされることも多いOltrepo Paveseですが、丁寧に紐解いていくと、その全体像も

梁 世柱
4月9日


出会い <102> 銘醸地の共通チャレンジ
Tiberini, Maturato 2024. 現在、世界各国の銘醸地、特に赤ワインで名高い産地において、白ワインへの挑戦という共通する変化が起きている。 背景にあるのは、気候変動によるアルコール濃度の高止まりと、食のライト化に伴う「重たいワインの人気低迷」だ。 伝統が深く根ざしている産地であればあるほど、変化を受け入れることは容易ではないはずだが、それでも多くの産地が前を向いているのは、素晴らしいことだと思う。 ただし、その挑戦はまだまだ日の目を見ていないのが現実だ。

梁 世柱
4月7日


天津飯とペアリングチャレンジ
何となくまた、私の町中華熱が再燃している。 そしてなぜかこのマイブームが戻ってくるたびに、好きな料理が変わるのだが、今はもっぱら天津飯だ。 さて、この天津飯、実に謎めいた料理でもある。 中国の直轄市(省と同等の行政区画で、都市の最高位)である天津市を思わせる名前がついていることから、さぞかし伝統的な中国料理と思うかも知れないが、天津飯は「和製中華料理」だ。 一応の起源は、正統な中国料理である「芙蓉蟹」(所謂かに玉)。

梁 世柱
4月6日


SommeTimes’ Académie <134>(イタリア・ロンバルディア州: Part.3)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はイタリア・ロンバルディア州について学んでいきます。 北イタリアのロンバルディア州は、極めて多様性に富んだワイン産地となります。スパークリングワインで知られる産地、赤、白それぞれの主要産地、そして、まさに「何でもあり」となるD.O.C.の存在など、しっかりと整理して捉えなければ、非常に複雑だと感じることも多い州です。 ロンバルディア州編第3回は、イタリア屈指の複雑怪奇なD.O.C.として知られる、Oltrepo Paveseについて学んでいく前編となります。

梁 世柱
4月2日


再会 <102> 熟成プレスティージュシャンパーニュ
Louis Roederer, Cristal 2002. シャンパーニュはワインだ。 当たり前のことなのだが、シャンパーニュがワインであるという前提を忘れると、扱い方を間違ってしまうことがある。 特に、慎重になるべきなのは、熟成に関して。 シャンパーニュには様々なタイプ/カテゴリーがあるが、ポテンシャルに基づいて、ブルゴーニュ方式で大枠の整理をすると以下のようになる。

梁 世柱
3月31日


ハラミとワインのベストペアリング
近年、牛肉の様々な部位の中でも急速に人気が高まり、もはや主役級とすら言える存在になったのが、ハラミだ。 明治以降、牛肉が普及した日本だが、実はこの時代はまだハラミは食べられていなかった。 転機は第二次世界大戦後。 深刻な食糧難によって、牛の内臓、いわゆるホルモンが流通するようになり、ハラミもその中に含まれるようになった。

梁 世柱
3月29日
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