改善という静かな破壊
- 1 分前
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レトロな町中華は、完璧だから愛されているわけではない。
むしろ、完璧ではないことを、客の側もどこかで引き受けている。
少し色褪せた食品サンプル。
油の染みたカウンター。
貼り紙の端がめくれた壁。
炒飯は日によってわずかに揺れ、スープには最新の味覚設計ではなく、何十年も同じ寸胴の前に立ってきた時間が沈んでいる。
そこに点数をつけることはできる。
だが、それを前面に出した瞬間、ラーメンの湯気より先に、こちらの無粋さが立ちのぼるだろう。
評価が存在しないのではない。
ただ、評価を露出させすぎないという、ささやかで、どこか慎ましい作法があるのだ。
「もっと良くなってほしい」よりも、「どうかこのままでいてほしい」。
改善よりも保存。
最適化よりも郷愁。
そこでは、変わらないことが怠慢ではなく、個性の最後の防波堤になる。


