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Advanced Académie <18> 葡萄畑の方角

太陽は、赤道上を東から昇り西へと沈む。赤道よりも北では、太陽は常に南側にあり、赤道よりも南では、常に北側にある。この当たり前の自然現象が、ワインの世界ではとても大きな意味をもつ。そう、葡萄畑の斜面の方角だ。


北半球のワイン伝統国では長年に渡って、真南を中心とした90度の範囲、つまり南西から南東向きの斜面が良い(南半球では南北が逆になる)とされてきた。南東向きの斜面は、昼夜の寒暖差が大きい地域では特に効力を発揮する。日が昇るとすぐに朝露や霜を払い、葡萄が太陽光を吸収する体制を整えてくれるからだ。


では、南西側の斜面はどうだろうか。日当たりのことだけを考えれば、東でも西でも一緒のように思えるかも知れないが、実は大きな違いがある。


その違いが生まれる理由は、植物が光合成を活発に行う時間帯にあるのだ。


植物には、朝から午前中にたっぷりと光合成をして、午後はのんびりする、という性質がある。つまり、植物が西日を受ける午後の時間帯には、既に光合成は随分とスローペースになっているため、太陽エネルギーを処理しきれずに、水分だけがどんどん失われていってしまう。


これらの要素から、伝統的に(北半球では)南東向きの斜面が最上、北西向きの斜面が最低とされてきた。



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