6月25日クラシックの行方筆者にとって過去2年半は、新型コロナ禍による混乱だけではなく、別のショッキングな出来事が続いていた。 そう、それはクラシック・ワインの消失危機だ。 なるべく話をコンパクトにするために、フランスに限った話にとどめておくが、2018、2019、そして2020年というヴィンテージ...
3月5日比喩表現の罠まるでブルゴーニュのようだ。 ブルゴーニュの一級畑を思わせる。 シャンベルタンにも比肩する。 ワインの世界において、最も頻繁に目にする比喩表現の一つが、「ブルゴーニュやボルドーに例える」ことだ。 かくいう筆者も、時折この表現を用いることがある。...
2月2日暗記の時代は終わったのかソムリエやワインエキスパート、WSET等のワイン関連資格試験にチャレンジしたことのある人なら、理不尽なほどの膨大な暗記に苦しんだ記憶があることだろう。 終わりの見えない暗記によって、ワインが嫌いになってしまった人も少なくないはずだ。...
2021年11月30日「甘い」言葉に潜む罠ワインにとって、「甘い」という表現は何を意味しているのだろうか。 これは非常に奥深いテーマであり、長年に渡って、ワイン販売者と消費者の間や、愛好家同士の間にそびえたってきた、分厚い壁でもある。 もちろん、「甘い」という表現は、「美味しい」と同様に、最終的には完全に主観となっ...
2021年11月2日生体アミンとSO2:示された一つの可能性個で全を語ることは危険であり、一つのソリューションが全てを救うという希望もまた、ただの夢想に過ぎないのではないだろうか。 「ワイン不耐性にようやく光が」(ジャンシス・ロビンソンMW著、小原陽子訳)と題され、オンラインワインメディア「Vinicuest」上で公開された記事(訳...
2021年10月12日ラベルに罪はあるのかワインのラベルは重要だ。 ブラインドテイスティングでも無い限り、一連のワイン体験の中で最初の「楽しむ」プロセスはラベルを観ることだ。 ラベルには、そのワインに関する様々な情報が詰めこまれている場合もあれば、文字による情報をほとんど含まないデザインの場合もある。...
2021年10月3日ワインと味わいの不思議な関係多くのワイン愛好家の方々が、特定の状況や場所で「ワインをより美味しく感じた」経験をおもちなのではないでしょうか。今回は、その謎めいた現象に迫ってみたいと思います。なお、本稿の内容は、科学的見地に基づいた内容では基本的にありません。あくまでも、実体験に基づく「推測」になります...
2021年9月7日ワインは農産物なのか葡萄は、その生育年に起こる様々な苦難を乗り越えて実り、造り手たちによって多種多様なアプローチで醸造され、熟成され、ワインとして出荷される。 「ワインは農産物」 使い古された枕詞であるが、今でも本当にそうなのだろうか? 実は、世界中で生産されているワインの大部分(生産量ベース...
2021年9月3日テイスティングコメントの不完全さワインをよく知っている人が、あまり知らない人に対してワインについて語る際、専門用語を連呼してしまうと、それらの言葉を知らない人にとっては、まるで理解のできない呪文のような謎の言葉を延々と繰り返される状態になり、多くの人は(せっかくの素晴らしいかもしれない情報が!)全く頭に入...
2021年7月21日西ドイツを襲った大洪水7月15日、世界に名だたる銘醸地が連なる西ドイツ(ベルギー、オランダの一部も)を、記録的豪雨とそれによって引き起こされた未曾有の洪水が襲った。13日頃から降り注いだ雨は、複数のエリアで例年同時期の約2ヶ月分に相当する降雨量を24時間で記録し、多くの河川を氾濫させた。...
2021年7月13日サン=テミリオンの衝撃2021年7月上旬、世界中の熱心なワインファンに衝撃を与えるニュースが、フランス・ボルドー右岸の銘醸地であるサン=テミリオンから舞い込んできた。 1955年にサン=テミリオンで公式格付けが広布されて以降、最高位格付けであるプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAの称号を護り続け...