Why not drink Greek wine?

2021年は気候変動の波をグッと受けた厳しい年です。ギリシャでも、過去30年で最も深刻な熱波に見舞われ、各地で山火事が発生。被害を受けたワイナリーも多数でました。そして、何より引き続くコロナ化でワイナリーの状況は一層厳しさを増しています。


応援として最も手軽なおうち飲みを、私も奮って実践中ですが、つくづく、ギリシャワインって「おうち飲み最強!」と思うのです。ワインショップで販売する際にもストーリー性の高さを強みとすることができるのではないでしょうか。


Great value for money

なんといっても素晴らしいコストパフィーマンスです。世界に美味しいワインはたくさんがありますが、千、二千円台で単にフレッシュフルーティなだけでなく、味わいの満足感と品質の高さを持ち合わせたワインがゴロゴロあります。



A good story

真っ青なエーゲ海、眩しく輝く白い岸壁の家々。世界トップクラスのリゾート地であるサントリーニ島をはじめとする美しい島々。アテネの街を神のごとく見下ろすように聳え立つ人類文明最大ともいえる古代遺跡、パルテノン神殿。そして、めくるめく神秘的なギリシャ神話。誰しもが一度は訪れたいと憧れるこの国のストーリー性の高さは、誰の目に明らかでしょう。



Food-friendly

長い歴史と共に発展してきただけあって、食事と共に楽しむ、食に寄り添うワインであることもギリシャワインの特徴の一つです。ギリシャは暑い国だから、アルコール度数も高そう!と思われるかもしれませんが、ギリシャワインは、往々にしてアルコール度数が高くないのも特徴の一つ。12%代の穏健なアルコール度数のワインが多いのです。これは、伝統的にワインを水と薄めて飲んでいたこと、そして、お酒を飲みすぎて泥酔してしまうことをよしとしない文化的背景があるのかもしれません。


また、ギリシャの生産者と話していると「そんなにアルコールが高いと食事に合わないよ」と口を揃えていいます。ギリシャ人にとって、食事とワインは切っても切り離せない関係なのです。



Versatile

ギリシャワインの最大の魅力の一つともいえるその多様性!使用される品種がとにかく多いというだけでなく、フレッシュな白、パワフルな白、チャーミングなロゼ、味わい深いオレンジ、カジュアルな赤、フルボディで長熟の赤、そして、ごくごく飲むスパークリング、瓶内2次発酵の本格的スパークリング、伝統の白や赤の甘口ワインと多彩。また、近年は気鋭の生産者がぞくぞくと誕生し、スタイルの多様性は枚挙にいとまがないのです。



でも、ギリシャワインってよくわからない。


ギリシャワインは土着品種がとにかく多くて(wine grapes*1では世界4位の多さ)、しかもなんて読んでいいのかわからない覚えづらい品種がたくさんあります。この類稀な土着品種はギリシャ最大の強みと世界のプロフェッショナルには高く評価されていますが、一般消費者にとっては難解で購入を阻む壁となっているのかもしれません。


*1:ジャンシス・ロビンソンMWとジュリア・ハーディングが共著。1368種類ものワイン用葡萄に関する詳細なデータを集めた、ワインプロフェッショナルのバイブル的一冊。



今回は、上記条件を満たした!日本でも一定数入荷されているネメアのアギオルギティコをご紹介します。フレッシュフルーティーな赤、ロゼワインからシリアスな赤ワインまで造る万能選手です。ロゼ・スパークリングワインのチャーミングさはこの上ないのですが、残念ながら日本には入荷していません。


ネメアは、手の形をしたギリシャ本土の最南端部を形成するペロポネソス半島北東部に位置する、アメリン&ウィンクラー教授の積算温度による産地区分ではRegion VIの暑い産地です。夏には40度を超える時もあります。ギリシャで最も有名なワイン産地であるだけでなく、4大祭典競技の一つ「ネメアン・ゲームズ」の地としても知られています(この4大祭典競技の一つがオリンピアのオリンピア祭典競技、つまりオリンピックの前身)。この競技場の側には全能の神ゼウスの神殿があります。


ギリシャ北部のナウサと並ぶギリシャで最も重要で最大のPDOであり、その面積は2,220haに及びます。この広大さはネメアPDOの位置付けを不明瞭にし、高品質ワインを生み出す大きなポテンシャルを持ちながらも、高級志向を目指す造り手の大きな壁にもなっているのも事実です。多くのバルクワインをも産出しています。畑は標高230mから900mの高地まで広がり、畑の標高がワインのスタイルに大きな影響を与えます。750-900mの高地エリアの中でも最も冷涼なアスポロカンボスには熱い視線が注がれ、その注目度は年々増しています。


ネメアPDOの唯一の使用品種であるアギオルギティコは、かつてネメアがアギオス・ゲオルギオスAgios Georgios(St. George)と呼ばれていたことに由来しています。晩熟のアギオルギティコは、この暑い産地で長い生育期間を享受し、9月中旬に収穫期を迎えます。


レッドチェリー、ストロベリーの甘やかなアロマとソフトなテクスチャーを備えたアギオルギティコは、例えるならメルローのように、カジュアルなデイリーワインからとびきりの一級品まで生み出す多彩な品種。フルーティなロゼや赤ワインはいつ飲んでも美味しく消費者の心をしっかり掴んでいます。樽とも相性抜群ですので、新樽で熟成された長熟型の赤ワインには目を見張るものがありますよ。万能選手ぶりをぜひお試しください!




・ザシャリアス・ワイナリー

オミクロン・レッド 2018 希望小売価格1,280円 12.5% abv アヨルギティコ100%

希望小売価格1,280円 アズマコーポレーション

アヨルギティコのフレッシュフルーティな赤ワインはイチゴの甘やかなアロマとバランスの取れた酸味、ソフトなタンニンがとても心地よい一本。軽く冷やすのもおすすめ!



・イエア・ワインズ 

アヨルギティコ 14-18H 2019 税込2,519円 12.5% abv アヨルギティコ100%

税込2,519円 ヴァンドリーヴ

アヨルギティコのチャーミングな魅力を最大限に発揮!いつんでも美味しく、気がついたら一本飲んでしまう軽快なロゼワイン。


イエア・エステート 2014  14.5% abv アヨルギティコ100%

税込5,858円(2016年現行価格)  ヴァンドリーヴ

イエア・ワインズのフラッグシップ。長期熟成型の逸品。このヴィンテージを初めてテイスティングした2017年時には強く主張していた新樽由来のフレイヴァーが2020年末にテイスティングした際には美しい調和をみせていました。



<プロフィール>

青山 敦子 / Atsuko Aoyama DipWSET

WSET® Level4 Diploma

WSET® Certified Educator

アカデミー・デュ・ヴァンWSET資格取得コース主任講師

ギリシャワイン・オフィシャル・アンバサダー

2018年 Wines of Greece World of Greek Wine Program 最優秀賞

IWCインターナショナル・ワイン・チャレンジ・ロンドンAssociate Judge


WSET ディプロマコースをロンドン本校で学び最速最短の1年半で取得。ロンドン本校にて認定講師と認められた唯一の日本人。


英国スパークリング専門誌 “Glass of Bubbly”のライター、WSET Level 3筆記・テイスティング試験採点官を務め、約8年過ごしたロンドンから2016年に帰国。


スティーヴン・スパリュア氏の紹介でアカデミー・デュ・ヴァン講師となり、2016年12月WSET日本語コースをゼロから立ち上げる。現在アカデミー・デュ・ヴァンWSET講座は常時14クラス程度開講。