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インバウンドゲストへのアプローチ

皆さんこんにちわ。ソムリエの矢田部です。

今回はホテルソムリエとして、海外ゲストのワインオーダーの、最近の傾向と対策をお話しさせていただきます。



インバウンドゲストの現状

まずはインバウンドゲストの現状として。


私が勤務している東京エディション虎ノ門では、レストラン、バー利用者の80%近く、宿泊滞在者の90%近くが、海外ゲストとなっています。


昨年12月半ばから渡航のボーダーが開けたことにより、ホテルの稼働と宿泊料金が爆あがりしている状況です。最も安い宿泊料金は10万円を超えていて、素泊まりでも1泊1室15万円から20万円のハイレートになっています。これはエディションが特別という状況ではなく、都内の外資系ホテルではどこでも同じことが起きています。恐らく、もっと高い宿泊料金設定になっているホテルも、少なからずあると思います。


この状況になると当然、今までご利用していた国内ゲスト、リピーターは宿泊出来なくなり、宿泊も兼ねた新規インバウンドゲストのレストラン利用がメインになって行きます。


国籍の割合は中国系が40%、USAが30%、EU圏が20%、あとはその他といったところです。


2020年の10月にオープンした私たちのホテルにとって、これが本来のベースでもあるとは思いますが、明らかにそれまで販売していたアイテムのゾーン<産地、価格、本数、飲み方>が、異なる傾向に大きく変化しています。


わかりやすく言いますと、ボルドー、ローヌ、バローロ、ブルネロ、リオハなどの世界的に有名なハイレンジワインがどんどん頼まれます。そして、ほとんど赤ワインです。


実は、東京エディションにはフレンチレストランもイタリアン、スペイン料理、日本料理、寿司の店舗すらありませんので、いわゆるクラシックワインは頼まれる傾向がほぼありませんでした。


これまで開業から少し前までは、国内ゲストのオーダー傾向はシャンパーニュ、ブルゴーニュ白赤(ニュイの分かり易い銘柄)、カリフォルニアのシャルドネ、ナパカベルネ、キャンティ、ニューワールド、ナチュラルワインと幅広く、産地も15ヶ国ほどをリストアップして、多様に頼まれていました。


フランスワインの価格が高騰している中で、円安の東京で飲む方がインバウンドゲストにとってはメリットであり、品質も保証されていることは認知しています。


グランクリュのブルゴーニュなどは、レストラン価格の販売にも関わらず、飲まないで持ち帰るケースも珍しくありません。


この状況では、本来ならフランスワインに焦点を充ててビジネスを考えて行くのが良いのですが、皆様ご存じの通り、有名フランスワインは価格、数量共に厳しい現状が続き、買い足すのも維持するのも困難な状況となっています。ですので、これからのホテルソムリエは、販売するワインのリストアップを行う際に、これまでとは違う視点で考えていくべきと思っています。

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