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造り手の想い
私は造り手を訪問した際、できる限り 「造り手の想い」 を引き出そうと努めている。 その舞台は、もっぱら 葡萄畑の中 だ。 セラーやテイスティングルーム、ましてや大きな試飲会場などでは、(嘘も含めて) 適当な回答をされることは少なからずある が、不思議と(全てがさらけ出される)葡萄畑の中では、そのようなことはない。 ある程度融通の聞く単独取材の場合は特に、葡萄畑でできるだけ多くの時間を共に過ごしたい、とリクエストを入れるようにもしている。 しかし、私が造り手の想いを知りたい理由は、 それを他者に伝えたいからではあまりない 。 そう、私は 造り手の想いと、ワインという結果の「整合性」をはかる ために、聞いているのだ。

梁 世柱
2023年11月26日


Wine Memo <16>
Luis Seabra Vinhos, Alvarinho Granito Cru 2021. 全体論 で言うならば、ポルトガル・ワインの中でも私の興味レベルが最も低いのは、 ヴィーニョ=ヴェルデ だろうか。 アルコール濃度が低く、非常に軽く、薄く、極微発泡性で、低価格の超大量生産型ワインという典型的なヴィーニョ=ヴェルデは、どうにも私の心の琴線に触れない。 そういったワインの「役割」は十分に理解もリスペクトもしているが、最大公約数的味わいも、その造り方も、私にそのワインを堪能したいという欲をもたらしてはくれないのだ。 私はそのようなワインを、 「Soulless Wine(魂の抜けたワイン)」 と度々表現しているが、魂が(技術の過剰な駆使などによって)極限まで薄められたワインが私に響かないのは、私が魂を宿した存在である以上、仕方ないのではないだろうかと思う。 そして、私が抱くある種の苛立ちとも言えるその感情は、 「そうではないワイン」 との数々の邂逅から来ている側面も強い。

梁 世柱
2023年11月24日


大航海時代の秘薬
現在、 ポルトガル の D ã o (一般的な日本語表記ではダン、現地の発音では ダオン )に来ている。 例の如く、海外行脚時のルーティーンとして、現地ならではの食とワインの組み合わせを探っているが、実は 想像していたよりも難航 している。 ポルトガルは 多種多様な料理がテーブルに大皿で運ばれ、それらをシェアする という風習が強く、 一品一品に丁寧にワインを合わせる感じではあまり無い ようだ。 大皿及び多皿のシェアとなると、いわゆるクラシック・ペアリングとされる鉄板の組み合わせが生じにくいのは、世界のどこでも共通している。 もちろん ダオン でも、地元の有名なチーズである Queijo Serra da Estrela (ポルトガル本土の最高標高となるエストレーラ山脈の麓で造られる、羊乳のソフト〜セミハード系チーズ)と、同じく地元を代表する白葡萄である エンクルザード の見事な組み合わせなど、特筆すべきクラシックペアリングは存在しているが、フランスやイタリアに比べると、地元料理と地元ワインの関係性が、少々異なるように思える部分が大きい。 そう、ポ

梁 世柱
2023年11月15日


チリの至宝 Emiliana
チリの Emiliana をご存知だろうか? 日本では、Concha y Toro、Cono Sur、Montes、Lapostolleといった(低価格〜高価格レンジまで幅広く手がける)中〜大規模ワイナリーが特に良く知られており、AlmavivaやClos...

梁 世柱
2023年11月9日


ガストロノミック・ペアリング <3>
ペアリング研究室の新企画となる ガストロノミック・ペアリング では、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第三回のテーマは、 『北京ダック』 。 星の数、と言っても決して大袈裟ではないほど膨大なヴァリエーションを誇る 中国料理 の中でも、高級料理の象徴として知られているものの一つが北京ダック。 特殊な 乾燥工程 を経た アヒル を、 炉の中でパリパリに焼き上げ 、 皮 (と場合によっては極少量の肉)を削ぎ切って、 ネギ などの野菜類と合わせてから、薄餅(バオビン)もしくは荷葉餅(ホーイエビン)と呼ばれる小麦粉から造られる 薄い皮 で包み、 甜麺醤ベースの甘い味噌 と共に食べる料理だ。 皮を最大限美味しく食べるために、あらゆる工程が特化されているため、 一般的に北京ダックの「肉」は、少々臭みもあって食べづらい が、コース料理の場合は(消臭作用の強い)生姜やニンニクなどと共に炒めたり、骨は白濁した鴨湯(ヤータン)と呼ばれるスープになったり、肝は素揚げにしたりと、なるべく無駄を出さない

梁 世柱
2023年11月8日


自由と責任
ワイン造り、ワイン輸出入、ワイン販売、そしてワインを飲むこと。 自由意志の元に行われるそれらの行為には、どのような責任が付随しているのだろうか。 人類が科学と兵器を手にし、真に地球の支配者となって以降、ヒトが他のあらゆる動植物よりも優れた存在たるための「理性」は、自由と責任は表裏一体である、という普遍の真理によって守られてきた。 理性は動物的な感情や本能を制御し、尊重の精神を育む。 尊重の精神をもったヒトは、無意味に何かを壊したり、奪ったりはしない。 尊重の精神をもったヒトは、やむを得ず犠牲にしてしまったものごとに対して、責任を取ろうと行動する。 儒教文化で言うところの、「徳を積む」行動は、ヒトがヒトであるために、本来欠かせないはずのものだ。 しかし、高度経済成長期の真っ只中にいた人々は、本当に徳を積んでいたのだろうかと、疑問が湧く。 自らが謳歌した自由と成功と成長の裏にある、ヒトとしての責任を、どれだけの人々が意識しながら日々を過ごしていたのだろうか。 結果だけを見て判断するなら、少なくとも私が生きているワイン産業に限った話をするのなら、不十分

梁 世柱
2023年11月4日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.1 <概論と優先順位>
今回から、日本酒ペアリングの基礎理論について学んでいきます。 基本的には、ワインペアリング基礎理論に基づいて話を進めていくため、過去の <ペアリングの基本>シリーズ 、及び ペアリングの構築手順 を復習した上で臨んでいただくと、理解が容易になると思います。 概論 まずは、ワインと日本酒の、ペアリングに関連した構成要素と適用される技法をそれぞれ整理すると、以下の表のようになります。 表の 赤字部分 から分かるように、日本酒からは、大項目として 渋味とテロワールを除外対象 としました。

梁 世柱
2023年11月3日


ヴィニュロンの一年 <2023年10月> 特別無料公開
10月1~2日の2日間で今年の収穫を行った。 昨年が10月15~16日だったので、約2週間早い収穫となったが、周りにも、例年より1週間から2週間早い収穫の決断をした生産者が多くいたようだ。 異常な暑さが続いた2023年、長く雨量の多かった梅雨、猛暑、病害虫、9月の雨と、私に...

ソン ユガン
2023年11月1日


サントリーニの今 <ギリシャ・サントリーニ特集:後編>
サントリーニ特集後編は、各生産者を取り上げながら、今の サントリーニの多様な姿 に迫ってみたい。生産者の数も限られる小さな島ではあるが、それぞれが 独自のスタイルと哲学 をもったワインを作っているのが、この島の魅力である。 先ずはサントリーニという産地を語る上で、特に重要な造り手を挙げよと言われたらまず名前の上がる二人、 ハリディモス・ハツィダキスとパリス・シガラス から始めよう。 サントリーニのぶどう畑は 細かく細分化されて所有 されており、全体で概ね 1,200の栽培農家 がいる。全ての農家は1911年に設立された唯一の協同組合であるサント・ワインズに加盟しており、長らくこのワイナリーが島を代表する生産者でもあった。 他のギリシャの産地と同様に、少しずつ状況が変わってきたのは近年になってからである。彼らのようなスター生産者の登場がその大きなきっかけとなったのは論をまたない。 ハリディモス・ハツィダキス (コンスタンティーナ・ハツィダキス) 観光客で混雑するサントリーニ空港でUberを捕まえて約20分、一面クルーラ仕立ての畑を過ぎ、ワイナリーに

別府 岳則
2023年10月28日


Vouette et Sorbée 後編 ~シャンパーニュのその先へ~
後編となる本編では、 シャンパーニュ地方の未来が様々な角度から見え隠れする内容 となる。 決して良いことばかりではない が、それでもシャンパーニュ地方は 先へ先へと進んでいる のだ。 コトー・シャンプノワ かつては 珍品の類 であり、 価格もギリギリ相応と言える ものだった コトー・シャンプノワ (シャンパーニュ地方で造られる非発泡性ワインで、品種は主にピノ・ノワールとシャルドネ)が 大きな転換期 を迎えている。 ここにも 温暖化の影がちらつく が、コトー・シャンプノワをリリースするシャンパーニュ・ハウスが かなり増えた のは間違いない。 流石の技術力もあってか、 品質的にはなかなか優れたものが多い が、その高価格は(少なくとも個人的には)許容できる範囲を超えている。 理由は明確だ。 シャンパーニュはそもそも無敵の存在であるが、コトー・シャンプノワは違う。 スパークリング・ワインというカテゴリーにおいて、世界各国の技術水準が大幅に上昇したにもかかわらず、極上のシャンパーニュに並び立つワインは、このカテゴリー内には、いまだに存在していない。つまり、

梁 世柱
2023年10月26日


Vouette et Sorbée 前編 ~父から娘へ~
私が ベルトラン・ゴトロー と出会ったのは、遡ること11年前のこと。 飲料ディレクターを務めていたNYのレストランに、初渡米を果たしたベルトランがやってきた日のことは、今でも鮮明に覚えている。 歯に布を着せる、などという言葉とは無縁の、無慈悲なNYerたちの洗礼を浴びたのだろうか、6時間という微妙な時差がじわじわと効いていたのか、少し疲れた顔をしていたのも良く覚えている。 私もまた、日々の激務で疲れ果てていたタイミングだったが、ベルトランと話し、彼のワインを飲んだ瞬間、完全に目が覚めた。 ベルトランのワインを飲むと、不思議と元気が出る 。 細胞の隅々にまで染み渡る彼の魔法は、今も健在だ。 ベルトラン・ゴトローは、1993年に葡萄農家を継いだが、アンセロム・セロス(ジャック・セロス)の元で学びつつ、自身の畑から残留肥料と農薬が抜け、ビオディナミ農法の認証を得た2001年まで、シャンパーニュをリリースすることはなかった。 理想を実現するためなら、いかなる苦境にも真正面から立ち向かう。 ベルトランの高潔な精神、奥深い思慮、鋭い観察眼、豊かな感受性、そし

梁 世柱
2023年10月24日


アシルティコと小さな島 <ギリシャ・サントリーニ特集:前編>
首都のアテネからプロペラ機で約40分。エーゲ海と点在する島々をしばらく眺めていると、あっというまに飛行機は サントリーニ への着陸準備を始める。小さなプロペラ機は強い風に左右にふらふらと揺さぶられながらなんとか着陸し、タラップを降りると6月だというのに真夏のような強い日差しと、先ほど飛行機を揺さぶった強風が出迎えてくれた。 世界の白ワインの中でも、特にその 特異性と品質の高さ で知られているのが、このサントリーニの アシルティコ である。どのボトルを飲んでも共通するのは、その 強靭なミネラリティ 、そして 高い酸とアルコール 。この産地が ワールドクラスの白ワイン産地 であることに、今さら異論を挟む余地はほとんどないだろう。 クルーラ という世界でも例のない特殊な栽培方法や、ほとんどが 自根の樹齢100年を軽く越すようなブドウ樹 が、今でも多く残されていることなども相まって、サントリーニはギリシャを代表する高品質ワインの産地として世界で知られることとなった。また、アシルティコは今ではエーゲ海の島々を飛び出し、ギリシャの大陸側でも広く栽培されるよう

別府 岳則
2023年10月13日


道の交わる地 <カンパーニャ州:サンニオ地方特集>
omnes viae Romam ducunt. 全ての道はローマに通ず。 古代ローマ帝国時代に、ヨーロッパ中の主要都市からローマへと道が繋がっていたことから、17世紀の詩人ラ・フォンテーヌが、「起点や手段に関わらず、全ては一つの真理へと集約していく」ことを意味するものとし...

梁 世柱
2023年9月30日


ヴィニュロンの一年 <2023年9月>
9月に入っても30度を超える真夏日が続いた長野市。 雨が非常に少なく、晴れ間の多い日が続いていたが、9月中旬から徐々に気温が下がり、雨の日が増え始め、天気が崩れ始めている。 ベト病やさび病、黒とう病 などが発生してしまっていたが、晴天少雨の天候にどうにか救われた状態だ。しかし、果実への被害は変わらずに発生している。 ブドウトリバの幼虫による食害被害 は未だ収まらず(ピークは過ぎた模様)、 鳥による食害、収穫前の降雨による裂果、裂果からの灰色カビ病 、更に 晩腐病 と、収穫が近づくにつれて厳しい状況に追いやられている。 昨年は9月の降雨量が非常に多かった為に、裂果が多く発生し、それによる病気の多発や水分過多による品質低下(糖度やPhに影響)などがあり苦労した。 今年は9月中旬まで雨が少なかったが、ここ数日の降雨で昨年に近い状況になってきてしまっている。収穫まで天候は一体どうなるのだろうか? 10月の 「収穫日」 を決定しなければならないが、果実の成熟具合を確認し(食味および糖度測定)、地元収穫ボランティア方達の都合を考慮した日時、および委託醸造先の

ソン ユガン
2023年9月28日


決別の先へ <Alsace Grand Cru特集:Part.3>
気候変動と温暖化が猛威を振るう中、アルザスの輝かしいGrand Cruは、その栄名に見合った魅力を発揮し続けることができるのか。 私がAlsace Grand Cruの特集を組んだのは、極私的な疑問がきっかけだった。 改めてアルザスと真摯に向き合い、膨大な数のGrand Cruに関する記憶と記録を辿り、現在の酒質を確認し続ける中、私は確信に至っている。 このままではダメだ 、と。 いや、正確に言うと、 今この瞬間はまだ、問題ないどころか、品質は限りなくピークに近い領域へと到達している 。 端正な辛口、という古い価値観に縛られさえしなければ、現在のAlsace Grand Cruは総じて、 歴史上最高品質にある とすら言えるだろう。 しかし、おそらく、いやほぼ間違いなく、 ここがピーク だ。 これ以上温暖化が進めば、いかにGrand Cruといえど、決壊したダムのように、急速に崩れていくことは避けられないだろう。 Part.2の冒頭では、糖度を基準にした追加表記に関して深く言及したが、本稿では 認可品種の再選定 と、 アッサンブラージュの是非 につ

梁 世柱
2023年9月12日


テロワールの縦軸と横軸
ワインをより深く理解していく上で、 テロワール というコンセプトを無視することは、決してできない。 どれだけ技術が発展しても、その技術をいかに駆使しても、ワインの原料となる葡萄が 農作物 である以上、気候、土壌、地勢、ヴィンテージ、及びそれらの要素と葡萄品種の相性からの影響を、完全に避けることはできない。 『りんご』 を例にしよう。 りんごは名産地として知られている東北、中部地方はもちろんのこと、北海道でも沖縄でも栽培されている。 栽培に関する様々な知識、技術、そして必要であれば適切な農薬を用いれば、栽培そのものが絶対的に不可能となるケースは多くない。 ただし、 高品質なりんごが育つことと、単に育つことは異なる 。 この動かざる現実に対して発生するコンセプトこそが、 テロワール だ。

梁 世柱
2023年9月7日


太陽の丘 <Alsace Grand Cru特集:Part.2>
最大アルコール濃度規定 が大きな壁として立ちはだかっている。 Part.1で述べた アルザス最大の問題点 に対して、いくつかの解決策が実行、模索されているが、その中でも 残糖度に準じた追加表記の義務化 は、大きな議論を巻き起こしている。 個人的に、 追加表記の導入自体は正しいステップ だと心から思うのだが、問題はその中身だ。 現状を再確認するために、 相当数のアルザス産ワインで、過去5年間のヴィンテージを中心にアルコール濃度を調査した が、リースリングとミュスカは上限の13%(もしくは特例の13.5%)、ゲヴュルツトラミネールとピノ・グリも上限の15%(同様に15.5%)と表記されているケースが、大多数を占めた。 つまり、大前提として、アルザスにおいて、 規定範囲内での完全辛口発酵が極めて難しくなっている事実 が、改めて確認できたということだ。 この大前提をもとに、追加表記に関してより深く考えてみると、様々な問題点や疑問点が確かに浮かび上がってくる。 Sec(~4g/L) demi-sec(4~12g/L) moeulleux(12~45g/L)

梁 世柱
2023年9月1日


ヴィニュロンの一年 <2023年8月>
雨、雨、雨の 厳しい梅雨 が終わった途端、一転して 雨がほとんど降らない真夏日、猛暑日 が8月中旬まで続いた長野県。 7月末に発生した台風6号が発達しながら北上し、8月初旬に沖縄と九州に上陸し被害をもたらした。台風は進路を変えて北上した為に甲信越には影響がほとんどなかったが、被災された地および人たちの、一日も早い復旧復興を願うばかりである。 台風6号が通過した後も真夏日が続き、 日中気温が35度近くまで上がる日 も多く、地元の方達は 「昔の長野は30度になることもめったになかった。35度は異常だ。」 と話している。 気温35度の中で行う農作業は、想像以上にきつい。照りつける強烈な日差しと、猛烈な暑さの中で農作業を行っていると、徐々に息苦さを感じ呼吸が乱れ、体が悲鳴をあげる。無理をして作業を行えば「熱中症」になってしまう可能性がある為、なるべく直射日光を避ける服装や、こまめな水分補給などを心がけ対処している。 8月中旬以降も真夏日/猛暑日が続いているが、 雷雨やゲリラ豪雨も定期的に発生 しており、今後天候不順にならぬことを祈るばかりである。 【熱中

ソン ユガン
2023年8月29日


Wine Memo <11>
Dom. Muller-Koeberle, Mobylette 2021. 俗に 「ピンクワイン」 と呼ばれる 「ごちゃ混ぜ系ワイン」 (それほど浸透している呼び名ではないが)に関しては、以前の 出会い <35> でも紹介したが、今回は少し違う目線から、この特殊な新カテゴリー候補に関して考えてみようと思う。 再度、ピンクワインの定義(法的な定義はもちろん存在していない)だけは明記しておいた方が良いだろうか。 ピンクワインとは、白ワイン、ロゼワイン、オレンジワイン、赤ワインという主要4カテゴリーのワインを、それぞれ 別に醸造した後にブレンド したワイン(一応、 ロゼか赤は必ずブレンドされている 、としておこう)のことを意味している。

梁 世柱
2023年8月24日


ガストロノミック・ペアリング <2>
ペアリング研究室の新企画となるガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。 第二回のテーマは、 『生牡蠣と生ウニ』 をふんだんに使った一皿。 第一回でも述べたように、複雑なペアリングを成立させるための第一歩は、ロジカル・ペアリングの中でもより優先度が高い、 「酸、甘味、渋味、アルコール濃度」の4項目 を強固に固めることとなる。 参考までに、4項目におけるペアリングの技法をまとめた表を添付しておこう。 まずは、ワインの 酸 。 カットの対象となる、塩分、油分、脂肪分の全てが低めの料理であり、調和(ハーモナイズ)の対象となる料理側の酸も無いが、食材と調理法が極めてシンプルなので、 「ハイライト」 の技法を狙いたいところだ。

梁 世柱
2023年8月17日
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