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決別の先へ <Alsace Grand Cru特集:Part.3>

気候変動と温暖化が猛威を振るう中、アルザスの輝かしいGrand Cruは、その栄名に見合った魅力を発揮し続けることができるのか。


私がAlsace Grand Cruの特集を組んだのは、極私的な疑問がきっかけだった。


改めてアルザスと真摯に向き合い、膨大な数のGrand Cruに関する記憶と記録を辿り、現在の酒質を確認し続ける中、私は確信に至っている。


このままではダメだ、と。


いや、正確に言うと、今この瞬間はまだ、問題ないどころか、品質は限りなくピークに近い領域へと到達している


端正な辛口、という古い価値観に縛られさえしなければ、現在のAlsace Grand Cruは総じて、歴史上最高品質にあるとすら言えるだろう。


しかし、おそらく、いやほぼ間違いなく、ここがピークだ。


これ以上温暖化が進めば、いかにGrand Cruといえど、決壊したダムのように、急速に崩れていくことは避けられないだろう。


Part.2の冒頭では、糖度を基準にした追加表記に関して深く言及したが、本稿では認可品種の再選定と、アッサンブラージュの是非について、追求していく。


筆者が考えるアルザス救済の決定的な手段こそが、品種の見直しとアッサンブラージュだからだ。




認可品種の改訂

Alsace Grand Cruの数と広さに対して、厳しい調整が入る可能性は、限りなくゼロに等しい。


つまり、(現在ではGrand Cruの一部となっているが)歴史的に周知されてきたオリジナルGrand Cruのすぐ外側のエリアで成功している葡萄が、Grand Cru評価の中に混在してしまっている状況は、数と広さという問題点からは変えられない。


であれば、AOC規定を変更することによってしか、Grand Cruがその価値を維持できる道筋は、見えてこないのでは無いだろうか。



そのヒントとなるのは、フランスにある他の銘醸地かも知れない。


例えば、ブルゴーニュ


ブルゴーニュにあるGrand Cruのうち、ピノ・ノワールとシャルドネの両方が認められているのは、MusignyとCortonのみだ。しかし、両者共に、白ワインがそのステータスに相応しいかについては、大きな疑問が残る。


アルザスとブルゴーニュを完全に同列で語るのは難しい側面もある(主に、アルザスのクリュが広いことと、傾斜が強いために土壌組成がモザイク化しやすいため。)が、基本的に一つのテロワールで、複数の品種が「単一品種」ワインとしてその真価を最大限に発揮できるケースは稀となる。

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