ワインをより深く理解していく上で、テロワールというコンセプトを無視することは、決してできない。
どれだけ技術が発展しても、その技術をいかに駆使しても、ワインの原料となる葡萄が農作物である以上、気候、土壌、地勢、ヴィンテージ、及びそれらの要素と葡萄品種の相性からの影響を、完全に避けることはできない。
『りんご』を例にしよう。
りんごは名産地として知られている東北、中部地方はもちろんのこと、北海道でも沖縄でも栽培されている。
栽培に関する様々な知識、技術、そして必要であれば適切な農薬を用いれば、栽培そのものが絶対的に不可能となるケースは多くない。
ただし、高品質なりんごが育つことと、単に育つことは異なる。
この動かざる現実に対して発生するコンセプトこそが、テロワールだ。