ペアリング研究室の新企画となるガストロノミック・ペアリングでは、中級者以上を対象に、より高度かつ複雑な技法を駆使した、美食的完成度の高いペアリングを紹介、検証していく。
第三回のテーマは、『北京ダック』。

星の数、と言っても決して大袈裟ではないほど膨大なヴァリエーションを誇る中国料理の中でも、高級料理の象徴として知られているものの一つが北京ダック。
特殊な乾燥工程を経たアヒルを、炉の中でパリパリに焼き上げ、皮(と場合によっては極少量の肉)を削ぎ切って、ネギなどの野菜類と合わせてから、薄餅(バオビン)もしくは荷葉餅(ホーイエビン)と呼ばれる小麦粉から造られる薄い皮で包み、甜麺醤ベースの甘い味噌と共に食べる料理だ。
皮を最大限美味しく食べるために、あらゆる工程が特化されているため、一般的に北京ダックの「肉」は、少々臭みもあって食べづらいが、コース料理の場合は(消臭作用の強い)生姜やニンニクなどと共に炒めたり、骨は白濁した鴨湯(ヤータン)と呼ばれるスープになったり、肝は素揚げにしたりと、なるべく無駄を出さない工夫を凝らした料理も楽しめる。

