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ワインペアリング最強の難敵
アスパラガス、アーティチョーク、卵黄、魚卵など、ワインの難敵とも言われる食材はかなりあるが、攻略法が複数あるものも実際には多く、そういった食材を難敵と呼ぶのは少々大袈裟だと思う。 しかし、ただ一つしか攻略法がない食材もある。 まさに、最強の難敵だ。 さて、今回の「最強の難敵」となるお題は、アメリカンなメキシカン。 通称テックスメックスと呼ばれる、アメリカ・テキサス州発祥のメキシコ料理だ。 そして、テックスメックスの代表格と言えば、 ハラペーニョホッパー である。

梁 世柱
20 時間前


超クラシックパスタとペアリングの妙
パスタはイタリア料理という枠組みを大きく飛び出して、世界のスタンダード料理となっている。 このような料理に見受けられる傾向として、ある種の「フォーマット」であることが挙げられるだろう。 乾麺でも、生麺でも良く、具材やソースのバリエーションはまさに無限大。 もはや、パスタという料理の定義をどこに置くべきか分からなくすらなるレベルだが、パスタという「フォーマット」だと考えれば、理解しやすくなる。 身近な例えで言うと、天ぷらというフォーマットの元に、あらゆる具材が使える、という点にも似ているだろうか。 そんなパスタにも、スーパークラシックと呼べる料理がいくつもある。 中でも、料理人の腕が問われるパスタとしても知られるものの一つが、 アーリオオーリオペペロンチーノ 。

梁 世柱
6 日前


上海蟹ペアリングの決定打!?
秋から冬への移ろいを知らせてくれる食材は様々あるが、 上海蟹 はその中でも最も高貴なものの一つだろう。 種としての名はチュウゴクモクズガニ。 中国本土、香港、台湾などでは、その最も優れた産地として名高い陽澄湖からとった、 陽澄湖 大 閘 蟹 の名で知られる。 淡水性の小型蟹であり、海で生きる大型の蟹に比べると食べられる部分は随分と少ない(しかも、食べにくい)のだが、その芳醇極まる味わいは至極とされる。 内子(カニの卵)と蟹味噌が凄まじく美味い雌蟹の旬は9月から始まり11月の終わり頃まで、身と蟹味噌、そして白子が絡み合った極上の味わいが特徴の雄蟹は10月から12月までが旬となる。 そして、雌と雄の旬が重なるタイミングは、11月だ。

梁 世柱
11月30日


激レアジビエとの豪快ペアリング
ジビエ の季節がやってきた、と秋の深まりが告げてきた。 普段はあまり口にしない肉類に、舌鼓を打つ。 そんな時期がたまらなく好きなのだが、そもそもジビエの定義とはなんだろうか? ジビエとは、 狩猟によって捕獲された、野生の鳥獣肉 のことを指す。 そう、初めから食用として育てられた牛、豚、鶏などの 畜産肉 と決定的に異なる点は、 狩猟肉 であるという部分だ。 一般的な肉類以外をジビエ、と呼ぶことも多いように見受けられるが、本来の定義とは異なるため、一応頭には入れておいた方が良いだろう。 さて、そんなジビエ類の中で、日本で最も広く親しまれているのは鹿肉で間違いない。次いで、猪肉だ。 他にも、熊、うさぎ、鴨、キジバトなどの名が挙がるが、鴨は畜産肉であることも非常に多いので、ここも注意が必要だ。 そして、今回の主役であるジビエは、かなりのレア物。 食べる肉、としては、一般的にほぼ馴染みがない。 アナグマ肉 だ。

梁 世柱
11月23日


酢豚とのピーキーなペアリング
日本で親しまれている中華メニューの中でも代表格の一つである、 酢豚 。 その起源はかなり古い。 中国料理には、古くから酸を用いた調理法が広く存在していたと考えられており、 唐の時代(7~10世紀)頃 には、すでに酸っぱい味付けの肉料理が文献に記録されている。 インドから伝えられた 砂糖製造技術 が広く普及し始めた 明の時代(14世紀〜) には、砂糖と酢を混ぜた 「甘酢」 を用いた料理も一般化した。 そして、現代風酢豚の原型とも言える料理は、 清の時代末期(19世紀末頃) に 広州 で誕生した、 グーロウロウ だとされている。

梁 世柱
11月15日


椎茸と定番品種のベストペアリング
秋が深まり、冬の足音も目の前まで迫っている中、季節感たっぷりの食材として、きのこ類を食すことも増えてきた。 現代では、菌床栽培が普及したことによって、大体のきのこは通年味わうことができるのだが、やはり 「旬は旬」 だと思う。 今回は、旬を迎えている 椎茸 を題材にしていこう。 椎茸に旬?と思う人も多いとは思うが、椎茸にもちゃんと旬が存在している。

梁 世柱
11月2日


牛スユクと海の赤ワインでペアリング
韓国料理の中には、日本ではあまりお目にかかることがない絶品料理が少なからずある。 中でも、私が大好物の筆頭に挙げたくなるほど好きなのが、 スユク だ。 スユクは漢字では 水肉 と書き、文字通り「 ゆでた肉 」のことである。 豚の三枚肉、肩肉、もも肉などをゆでた 豚スユク は、実際にはサンチュ、エゴマで包んで「 ポッサム 」として楽しむ食べ方が、日本でもそれなりに浸透しているだろう。(そういう意味では、ポッサムはスユクの一種。) 日本ではあまり浸透していない、そしてより高級で高品位な料理とみなされているのは、 牛スユク の方だ。 スネ肉、肩肉も用いられるが、最上のものはコラーゲンを多く含む希少部位である ブリスケ (肩バラ肉の一部)で間違いないだろう。

梁 世柱
10月27日


ケジャンと至高のペアリング
韓国訪問を決めた時、必ず食べると意気込んでいたものの一つが、 ケジャン だ。 ケジャンには大きく2種類があり、生のワタリガニを醤油ベースのタレに漬け込んだ、カニの濃厚な味わいを楽しめる カンジャンケジャン と、コチュジャンベースのタレに漬け込んだ旨辛い味わいの ヤンニョムケジャン となる。 一切の「ごまかし」が効かないカンジャンケジャンは特に、料理店の腕がダイレクトに問われる。 今回訪問したのは、韓国の伝統的な家屋である「ハノク」が立ち並ぶ趣深い北村エリアにあり、ミシュランガイドで一つ星も獲得したことがある、カンジャンケジャンの専門店「クンキワチプ」。 精妙にブレンドされた醤油ダレは、奥深くも軽やか。 ワタリガニの身は濃密な甘味を、ミソは分厚い旨味とコクを表現しており、前日深夜まで及んだマッコリテイスティングの余韻が吹き飛ぶほど、強烈なインパクトを放っていた。

梁 世柱
10月19日


杏仁豆腐と色とりどりペアリング
中華スイーツの中で、 杏仁豆腐 ほど日本で広く愛されているものはないだろう。 杏仁豆腐は、元々は 薬膳料理 で、咳の治療薬として漢方で用いられていた 杏の核(杏仁) を粉末状にしたものを、薬として飲みやすくするために甘味を加えたのが発祥とされている。 牛乳、アーモンドエッセンスなどで香味付けをした簡易的造りの杏仁豆腐を、甘いシロップの中に、同じサイズにカットしたフルーツと浮かせた 「フルーツポンチ」風の香港式杏仁豆腐 が、日本ではよりポピュラーと言えるだろう。 さて、そんな杏仁豆腐だが、ペアリングの題材としても実に楽しい。 さらにこのペアリングには反則とも言える 裏技 があるので、先にそちらを紹介しておこう。

梁 世柱
10月5日


お気に入り中華メニューは、なかなかのペアリング難敵
近所に最高に美味しく、ほどほどにカジュアルな本格中華料理店が増えたこともあって、私のご近所外食の中華比率がかなり増えている。 そして、最近のお気に入り中華メニューといえば、 雲白肉(ウンパイロウ) だ。 四川料理 の一つなのだが、どちらかというと 本流はニンニクダレで仕上げたスアンニーパイロウ という料理の方で、タレを辛味ダレに変えるとウンパイロウになるとのこと。 余談だが、白肉という言葉は、茹でた豚バラ肉を意味する。

梁 世柱
9月30日


進化するAIとワインの学び Part.3
ChatGPTなどの生成AIが世界の在り方を変え始めてから、数年が経った。 初期の頃は、ハルシネーションと呼ばれる、事実に基づいていないが、もっともらしい誤情報を生成してしまう現象があまりにもひどく、本格的なリサーチにはまだ到底使えるような代物ではなかったのだが、進化著しい分野だけに、定点観測は行ってきた。 Part.3では、私の専門分野である ペアリング を題材にするという、禁じ手とも言える検証を行う。 指示1 「辛口のカレーライスに合うワインをおすすめしてください。」

梁 世柱
9月23日


わらび餅と魔法のペアリング
スイーツとワインの極上ペアリング を体験していない、もしくは「辛口マッチョ」にこだわる余り、無条件にあらゆる甘いものを拒絶しているのであれば、ワイン愛好家としてかけがえのない体験を見逃している。 甘味が入っていない、いわゆる普通の料理とワインのペアリングにも、もちろん強烈に素晴らしい組み合わせが無限と思えるほど存在しているが、「インパクト」という側面において、スイーツとワインの優れたペアリングは、「普通」を優に上回る。 今回は、そんなスイーツとワインのペアリングにおける、一つの鉄板パターンを紹介しよう。 題材とするのは、 わらび餅 。

梁 世柱
9月21日


秋の味覚「秋刀魚」をペアリング攻略
飲食店のメニューに 秋刀魚 が載り始めると、 秋が目の前に迫っている ことを強く感じる。 特定の食材によって、 季節の移ろい を知ることができるのは、日本らしい 食文化の美 と言える。 そんな秋刀魚を使った料理の定番ペアリングが、コクのある純米酒なのは間違いないが、ワインとのペアリングもポテンシャルが非常に高い。 ただし、 秋刀魚の調理法によって、細かな微調整が必要 になる。 今回は、秋刀魚を 生(あぶり) 、 焼き 、 煮付け の3種類に分けて、検証していこう。

梁 世柱
9月8日


レバニラ炒めとワインで、エネルギー補給
疲れが溜まってきた時の、エネルギー補給食。 人それぞれあるとは思うが、私の場合はレバニラ炒めが最有力候補だ。 日本では一般的な大衆食堂でも当たり前のようにおいてあるメニューとなっているため、イメージが薄くなってはいるが、元々は、 韭菜炒牛肝 という中華料理である。 鶏か豚のレバーを洗ってから血抜きし、生姜汁で臭みを取りつつ下味をつける。刻んだニンニクをたっぷりの油で炒め、さらにニラを加え、最後に事前に揚げ焼きしておいたレバーを投入して味を整える。 醤油と塩コショウに加え、オイスターソースや豆板醤が加えられることもある。 日本では、モヤシが入ることも多い。 レバー特有の風味があるため、ある程度好き嫌いは分かれるだろうが、豊富に鉄分やビタミンを含んでいる上に、ニンニクパワーも相まり、エネルギーが急速補給されていく。 さて、そんなレバニラ炒めにワインを合わせる時なのだが、大きく2通りの方法がある。

梁 世柱
8月31日


ポルチーニは最強のペアリング食材
世界三大キノコをご存知だろうか? トリュフ、マツタケ、そしてポルチーニだ。 量を誤れば、料理に対して完全に支配的となってしまうほどの芳醇な香りが特徴的なトリュフ。 繊細さと大胆さが共存する、日本的美の象徴であるマツタケ。 そして、 キノコの王様 と讃えられ、ヨーロッパ諸国で広く親しまれている ポルチーニ は、ナッツを思わせる奥深い香味と、絶妙な食感がたまらない。

梁 世柱
8月24日


いかめし&ワイン
ピザがイタリア中で食されているように、日本にも、すでに全国区の人気となり、どこの郷土料理かよく分からなくなっているようなものがある。 いかめし、もその一つだろう。 いかめしは、元々は本州から見た北海道の入り口である渡島地方の郷土料理なのだが、駅弁としての爆発的な認知度の上昇をきっかけに、日本全国の飲食店でも供されるようになった。 スルメイカの内臓を取り除き、ゲソを外し、空洞となった胴身に、うるち米ともち米を混ぜて詰め込み、醤油、みりん、酒、砂糖の合わせ調味料と出汁で煮込んだ料理が「いかめし」なのだが、歴史は意外と浅く、第二次世界大戦中の米不足を解消するために考案されたものだ。

梁 世柱
8月3日


カブト煮とのペアリングを制する
割烹的な日本料理の中でも、 カブト煮 は大好物の一つだ。 切り身としては使えない部分を、簡単にほぐれるまで柔らかく煮込んで、余すことなく食べ尽くす。 ゼラチン質が入り混じる小さな小さな身の美味さもさることながら、 食材への、命をいただくことへの深いリスペクト を感じる、素晴らしい料理だと心から思う。 さて、そんなカブト煮は、 醤油ベースの甘辛ダレと生姜 で煮込むのが定番レシピ。

梁 世柱
7月20日


フカヒレの姿煮と極上ペアリング
フカヒレ といえば、中国料理を代表する高級食材の一つ。 フカヒレの原料となるのは、大型サメ類のヒレ。特に超大型に属するジンベイザメ(最大18m超級)とウバザメ(最大12m級)の背びれが最上( 天九 翅 と呼ばれる)とされているが、捕獲及び取引に厳しい規制がかかっているため、非常に稀少となっている。 高級料理の食材となる姿煮用のものは、 排 翅と呼ばれ、 ヨシキリザメやネズミザメ(共に最大3M級)の背びれと尾びれが最も良く用いられている。イタチザメ(最大5M級)やなどのさらに大型なものだと、同じ 排 翅でも 価格が高くなる。 より大きく厚く、形が整ったものが高値で取引されるのだが、僅かな違いが大きな価格差を生み出す、なんとも非常に特殊な食材だ。

梁 世柱
7月13日


Not a Wine Pairing <6> 紹興酒漬けには、やっぱり中国酒
本記事は、先日の <紹興酒漬けとワイン> に対する、セルフ反論となる。 紹興酒漬けに対して、いかにワインを合わせていくか、にフォーカスしたのが先日の記事なのだが、 その目的は中国酒とのクラシックペアリングを否定する類のものではない 。 むしろ、あのような 変化球ペアリングは、クラシックへの多大なリスペクトがあってこそ、成功への道が見えてくる のだ。 さて、今回はNot a Wine Pairingシリーズとして、そのクラシックに迫ってみよう。 ペアリングの題材に選んだのは、 車海老の紹興酒漬け だ。

梁 世柱
7月8日
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