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アシルティコと小さな島 <ギリシャ・サントリーニ特集:前編>



首都のアテネからプロペラ機で約40分。エーゲ海と点在する島々をしばらく眺めていると、あっというまに飛行機はサントリーニへの着陸準備を始める。小さなプロペラ機は強い風に左右にふらふらと揺さぶられながらなんとか着陸し、タラップを降りると6月だというのに真夏のような強い日差しと、先ほど飛行機を揺さぶった強風が出迎えてくれた。


世界の白ワインの中でも、特にその特異性と品質の高さで知られているのが、このサントリーニのアシルティコである。どのボトルを飲んでも共通するのは、その強靭なミネラリティ、そして高い酸とアルコール。この産地がワールドクラスの白ワイン産地であることに、今さら異論を挟む余地はほとんどないだろう。


クルーラという世界でも例のない特殊な栽培方法や、ほとんどが自根の樹齢100年を軽く越すようなブドウ樹が、今でも多く残されていることなども相まって、サントリーニはギリシャを代表する高品質ワインの産地として世界で知られることとなった。また、アシルティコは今ではエーゲ海の島々を飛び出し、ギリシャの大陸側でも広く栽培されるようになり、こちらもまた品種としてギリシャを代表するようになった。


しかし、島にはほんの900ヘクタールほどのブドウ畑しかなく、ワインの生産量も限られる。ワイナリーの数は20軒ちょっとだ。日本でもサントリーニのワインを目にする機会はそれほど多くないし、そもそも情報も少ない。意外と飲んだことがないという人も多いのではないだろうか。


サントリーニとは実際どのような産地なのだろうか。


今回は、世界の注目が集まる、わずか10キロ四方の、小さな島のレポートである。


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