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SommeTimes’ Académie <42>(ワイン概論38:マデイラ2)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、マデイラについてさらに深く学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – マデイラ2 前回に続き、マデイラワインについて見ていきます。前回は製造編ともいえる内容でしたが、

別府 岳則
2023年2月3日


出会い <29> 後悔先に立たず
Txomin Etxaniz, Getariako Txakolina 2021. ¥3,500 ワインと共に生きる中で、様々な後悔に駆られることは少なからずある。 テイスティング会場で疲れ果ててしまい、途中で脱落した時などは、決まって後で後悔するし、同伴者が喜んでくれるだろう、と心から思ってワインリストをまじまじと眺めてやっと決めた選んだワインが、全然好みから外れてしまった時などは、後悔を超えて、一応プロとしては穴にでも入りたい気分になる。 当然、飲み過ぎたことによる後悔は数知れず。 素晴らしいワインを飲んでいたはずなのに、飲み過ぎてディテールを曖昧にしか覚えてない、というときは、「楽しかったから良し!」と自己弁護はするものの、後悔がずりずりと後ろ髪を引っ張り続けてくるものだ。 そんなさまざまなワインにまつわる後悔の中で、多くの人にとって筆頭に挙がるのは、「 もっと飲んでおけば、もっと買っておけば良かった。 」だろう。 10年前に一念発起してドメーヌ・ルロワをたくさん買っていれば、今頃小金持ちになれていたかも知れないし、それ以上にもっと飲んでお

梁 世柱
2023年1月29日


英語でワイン <2>
英語でのワインコミュニケーションに関する新たな「Study」シリーズの第二回となる本編は、ワイン文化とリスペクトについて考えていく。 なお、本内容はよりワイン業界関係者に向けた内容となるが、海外旅行の際などプライヴェートでも役に立つ部分も大きいため、あらかじめご了承いただきたい。 4.ワイン文化の違い 人口一人当たりのワイン消費量の考察 人口一人当たりの国別の 平均的ワイン消費量 から世界のワイン消費国と日本の現状を比較していく。フランス、イタリアを中心としたヨーロッパの伝統国に於いては、減少傾向にあるとは言え、低い数値でもスペインの約25Lであり、多くの伝統国は40~50L以上の消費量を維持している。この水準にある国々では、ワインの日常化が非常に進んでいると言える。ヨーロッパ以外のワイン産出国の中でも、アルゼンチン(約32L)やオーストラリア(約27L)は際立ってワイン文化が浸透していると言える。

梁 世柱
2023年1月25日


再会 <29> ボルドーの不思議
Ch. Cos d’Estournel 1990. 駆け出しの頃は随分とボルドーを飲んだ。 左岸の五大シャトー、左岸のスーパー・セカンズ、右岸サン=テミリオンの二大シャトー、右岸ポムロールのカルトシャトー群などなども含め、ありとあらゆるボルドーを飲み漁っていた。 当時はインポーターの試飲会でこれらのワインが出ることも珍しくはなかったので、 それなりに無料で体験することもできた のだ。 ただ、私はボルドーが好きだった訳では決してない。 いや、 心から美味しいと思えるボルドーに巡り合った回数が、飲んだ本数を考えるとあまりにも少なかった 、と書いた方が良いかも知れない。 2000年代以降のボルドーは、徐々に「 早飲みもできる 」ワインへとアップデートされていったが、それまではとにかく「 抜栓タイミングが難しすぎる 」ワインが多かった。

梁 世柱
2023年1月22日


SommeTimes’ Académie <41>(ワイン概論37:マデイラ1)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、マデイラについて学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – マデイラ1 世界3大酒精強化ワインの一つとして数えられるマデイラですが、実はポートやシェリーなどと比べると

別府 岳則
2023年1月19日


出会い <28> その命は、永遠なのか
Julien Courtois, Ancestral 2002. ナチュラルワインは熟成するのか。 実に興味深いテーマだ。 答えを先に言うと、「 ワイン次第 」とはなってしまうのだが、これは 慣行的に造られたクラシックなワインでも同じ なので、ナチュラルワインだからどうと言う話でもない。 だが、 極一部のナチュラルワイン が、 完全に常軌を逸したレベルの長期熟成能力 をもつに至ることがあるのは、紛れもない事実である。 「常軌を逸した」とは、明らかに 一般的な範疇から大いにはみ出している と言うことである。 大袈裟ではない。私は、何度も何度も体験してきたのだから。 偉大なブルゴーニュ、ボルドー、バローロ、リオハがもつ超長期熟成能力が比較にすらならないほどの、この世のものとは思えないような神秘に、私は確かに巡り合ってきた。

梁 世柱
2023年1月14日


捨てる神あれば拾う神あり
物価高が世界を襲っている。 生産、物流、消費という流れは一方通行の大流であり、何かしらの理由で一度堰き止められてしまうと、なかなか元通りにはならない。 長引く新型コロナ禍による生産体制の滞り、ロシアのウクライナ侵攻による世界的なエネルギー不足とエネルギー価の爆発的な高騰、輸入産業を直撃する極端な円安。先行きの見えない不安が高まる中、消費も冷え込みがちだ。 こうなると、物価が維持されるために重要なスケールメリットも機能不全に陥る。 まるで、血栓ができた動脈のように。 そして、海外での生産、超長距離の輸送、輸入産業という、自力ではどうしようもできない要素が揃いに揃った ワイン市場は、物価高の影響を甚大に受けている 。

梁 世柱
2023年1月11日


再会 <28> ビオディナミとワインの因果関係
Hochkirch, Pinot Noir “Maximus” 2019. ¥6,800 Cause and Effect 。小難しい日本語に訳すと、「 因果関係 」とでもなるだろうか。 ワインという「 結果 」と、そこに至るまでのプロセスである「 要因 」の間には、確かに因果関係が認められるケースが多い。ブルゴーニュに、バローロに、リオハに、ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンに宿る「あの味」の後ろ側には、Cause and Effectが、まるで黄金の方程式が如く存在しているのだ。 しかし、この因果関係は、往々にして 巨大な誤解の温床 となっている。 その理由はただ一つ。 本来、要因と結果の関係性は極めて複雑であるにも関わらず、我々の多くが、自らに都合の良い(理解しやすい)情報だけを切り取って、パズルのピースが全然足りていなくても、必死にその限定された因果関係を正当化しようとしてしまうから だ。 有名産地のワインだから美味しい。 有名生産者のワインだから美味しい。 高価なワインだから美味しい。 などというのは、その最たる例で、要因がそもそ

梁 世柱
2023年1月8日


SommeTimes’ Académie <40>(ワイン概論36:ポート3)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、ポートについてさらに深く学んでいきます。

別府 岳則
2023年1月6日


SommeTimes 2022年ベスト・パフォーマンス賞
2022年は、筆者の考え方が大きく変化した一年でもあった。 それは、ワインの教科書には必ず名前が載っているような、超有名ワインとの向き合い方だ。 私がワインを学び始めた頃、それらの「偉大」とされるワインの価格は、まだギリギリ手の届くものだった。当時学生の身分だった私にとって...

梁 世柱
2022年12月27日


出会い <27> 70’s Remake
Le P’tit Paysan, Old Vine Cabernet Sauvignon San Benito. ¥3,900 温故知新 。 筆者が最も好きな熟語だ。 故きを温め、新しきを知る。 それは 単純な過去回帰ではなく、過去のイデオロギーや成果を反芻し、深くリスペクトした上で、その先へと進みながら新たな道理を探求していくこと だ。 つまり過去回帰はただの「 レプリカ 」だが、温故知新は「 リメイク 」であるということ。 人が現代人として自らの生きた証をたてるなら、当然リメイクの方が手っ取り早い。レプリカにどれだけ精魂込めても、膨大な過去作の大海に、いとも簡単に深く沈みこんでしまうからだ。 もちろん、レプリカそのものを批判している訳ではない。 ただ、レプリカがオリジナルよりも高く評価されることなど、ほとんど無いというだけのことだ。 この真理は、ワインの世界にも当てはまる。 そして、ワインの歴史を振り返ってみると、その時々の「最先端」は、ほぼ例外なく、何かしらの「リメイク」である、という事実が浮かび上がってくる。

梁 世柱
2022年12月25日


SommeTimes’ Académie <39>(ワイン概論35:ポート2)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、ポートについてさらに深く学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – ポート ② 今回からは、ポートワインの スタイル を確認していきます。 ポートは画一的なキャラクタ

別府 岳則
2022年12月24日


再会 <27> 王の帰還
Weingut Keller, Riesling “von der Fels” 2021. ¥9,000 嬉しさのあまり、筆者が30回は観たであろう映画のタイトルをそのままつけてしまったが、 ドイツの真の王者 である ヴァイングート・ケラー と、このワインにまつわるストーリーを表現するのに、これ以上のキャッチコピーは思い浮かばない。 もう長い間、 日本市場から実質的に姿を消していた ケラーは、我々に 極めて重要な教訓 を与えてくれた。 アップデートを怠ると、気づいた時には手遅れになっている 、と。 今でこそ、ワイン業界関係者もワイン消費者も世代交代が進み、『ドイツワイン=甘い』、あるいは『やっぱりワインは辛口じゃないと!』(筆者は「辛口マッチョ信仰」と呼んでいる)といった古い考えは消滅寸前まで追いやられているが、この固定概念こそが、日本のワイン市場がドイツの トップワイン争奪戦に完全敗北 した、最大の原因でもある。 それは、今から10年以上も前のこと。 当時すでに、明確に辛口路線へと力強く踏み切っていたドイツのリースリングは、ニューヨーク、ロンド

梁 世柱
2022年12月18日


出会い <26> 脱フレンチコンプレックス
Cantina Riezo, Ciao Ciao Rosso “Aglianico” 2020. ¥2,600 長い間、不思議に思ってきたことがある。 19世紀後半、ヨーロッパ全土がフィロキセラ禍に襲われた際に、失職したフランス人ワインメーカーの多くがニューワールドへと進出した、という歴史があるとはいえ、それから100年以上経った今でも、なぜ フランス系品種ばかりが「国際品種」となっている のか。 確かにフランス系国際品種は、 栽培学上も、醸造学上も研究が進んでいる ため、導入はしやすいだろう。 しかし、 世界中に数多あるテロワールに、フランス系国際品種しか適合しない、と考えるのは流石にどうにも無理がある 。 そして、このことが長年疑問視されてこなかった、と言う不思議もまたある。いや、正確に言うと、その他品種にチャレンジはしていたが、売上が悪かったので撤退した、と言うケースもかなりあるのだが、それにしても 世界のワイン産業は、異常なほどフランス色の強い文化を受け入れ続けてきた のだ。

梁 世柱
2022年12月11日


SommeTimes’ Académie <38>(ワイン概論34:ポート1)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、ポートについて学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – ポート ① 日本ではどちらかというとシェリーの方が酒精強化ワインとしては知られていると思いますが、実は...

別府 岳則
2022年12月9日


再会 <26> Terroir in California
The Ojai Vineyard, Riesling “Kick on Ranch” 2017. ¥4,200 カリフォルニア・ワインと聞くと、どうも派手で煌びやかな印象をもっている人が多いだろう。 多くのワインが「ブランド化」され、ヨーロッパの銘醸ワインを凌ぐ超価格で取引されるワインも少なくない。筆者個人としては、そのような「技術の粋」にはすっかり興味を失って久しいが、より大きなカリフォルニアとして括れば、長大なFavorite Listが出来上がる程度には、強く心惹かれ続けている産地だ。 ちなみに、 カリフォルニア州 の面積は 約424,000 ㎢。 フランス(約643,800 ㎢)よりは小さいが、 ドイツ(約357,600 ㎢)や 日本(約377,900 ㎢)よりも大きい。 こんなに広ければ、 多種多様なテロワールがあって至極当然 。そして、 テロワールが違えば好適品種もまた異なるというのは、ワイン界の不文律 だ。

梁 世柱
2022年12月4日


出会い <25> 世界一のサンソー
Leeu Passant, Old Vines L ö tter Cinsault 2018. (国内輸入無し) 南アフリカで様々なエリア、様々な葡萄品種のワインをテイスティングする中で、度々唸らされたのは、やはり Leeu Passant だった。 世界最高峰の醸造家である アンドレア・マリヌー の抜きん出た才能が、夫である クリス・マリヌー の卓越した栽培技術によって最大限に発揮される。 二人の名を冠した Mullineux ブランドで、その圧倒的な実力は散々証明してきたが、スワートランドに特化したMullineuxとは別プロジェクトとなるLeeu Passantは、 南アフリカ各地に極僅かながら残る非常に古い畑とマリヌー夫妻のコラボレーション という、反則的なワインだ。 南アフリカ特集記事の第一章 でもLeeu Passantのシャルドネについて軽く触れたが、現地で私の心を強烈に掴んだのは、このワインだった。

梁 世柱
2022年11月27日


英語でワイン <1>
本稿より数回に渡って、英語でのワインコミュニケーションに関して新たな「Study」を開始する。 第一回となる本編は、何よりも重要な「 心構え 」から。 なお、本内容はよりワイン業界関係者に向けた内容となるが、海外旅行の際などプライヴェートでも役に立つ部分も大きいため、あらかじめご了承いただきたい。 0. 筆者の経験 筆者は19歳で単身渡米し、それから10年間をアメリカの東海岸(そのほとんどはニューヨーク)で過ごした。帰国子女の多い特殊な高校に通っていたとはいえ、私の英語力が最初から高かったわけでは全くない。当然、最初の数年は思い出したくもないような苦労をたくさんしたものだ。 今当時を振り返ってみると、若かりし頃の筆者に何よりも足りていなかったのは、英語力そのものではなかったのだと、確信している。 ニューヨークのレストランには、(今は厳しくなったので、そうでも無くなったようだが)必ずと言って良いほど、バックヤードで不法移民が働いていた。 その多くはメキシコ系移民で、英語力なんてものは皆無に等しい。日本で生まれ育った我々には想像もつかないほど

梁 世柱
2022年11月22日


再会 <25> 二人の天才
Figli Luigi Oddero, Barolo “Vignarionda” 2015. ¥34,000

梁 世柱
2022年11月20日


SommeTimes’ Académie <37>(ワイン概論33:シェリー3)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、シェリーをより深堀りしていきます。

別府 岳則
2022年11月19日
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