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再会 <28> ビオディナミとワインの因果関係

Hochkirch, Pinot Noir “Maximus” 2019. ¥6,800


Cause and Effect。小難しい日本語に訳すと、「因果関係」とでもなるだろうか。


ワインという「結果」と、そこに至るまでのプロセスである「要因」の間には、確かに因果関係が認められるケースが多い。ブルゴーニュに、バローロに、リオハに、ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンに宿る「あの味」の後ろ側には、Cause and Effectが、まるで黄金の方程式が如く存在しているのだ。


しかし、この因果関係は、往々にして巨大な誤解の温床となっている。


その理由はただ一つ。本来、要因と結果の関係性は極めて複雑であるにも関わらず、我々の多くが、自らに都合の良い(理解しやすい)情報だけを切り取って、パズルのピースが全然足りていなくても、必死にその限定された因果関係を正当化しようとしてしまうからだ。


有名産地のワインだから美味しい。

有名生産者のワインだから美味しい。

高価なワインだから美味しい。


などというのは、その最たる例で、要因がそもそも時代遅れの権威主義的なのも問題だが、美味しいという結果も、主観的過ぎる。


曖昧な要因と、主観的な結果の間に生じた因果関係らしきものが、「個」には当てはまったとしても、「全」に近いものとして語るには、著しく根拠に欠けることは明白だ。


このような誤解は、ワインに関連した別の部分にも生じることがある。


例えば、ビオディナミ農法だ。


DRC、ドメーヌ・ルロワ。世界の頂点とされる様な生産者がビオディナミ農法を採用していることから、この農法が高品質に直結すると考える人は非常に多い。


しかし、決して忘れてはならない。


ワインに宿る因果関係は、実に複雑であるということを。

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