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出会い <50> Dirk’s Children
Carlos Raposo / World Wild Wines, Touriga Nacional “Impecável” 2021. ○○’s Children (○○の子供達)、というワイン業界で時折目にする表現は、意外と古くからある。 最も有名なところだと、シャンパーニュ地方のスーパースター集団となった、 Selosse’s Children あたりが思い浮かぶ。 Selosseとはつまり、レコルタン・マニピュラン(もはや死語か?)の頂点として崇められた、Domaine Jacques Selosseの当主 アンセルム・セロス のことを指し、Selosse’s Childrenは彼の弟子達ということになる。 ジェローム・プレヴォ、ユリス・コラン、ベルトラン・ゴートロ、アレクサンドル・シャルトーニュ、ミシェル・ファロンなど、オープンな性格のアンセルムが受け入れた弟子達の名は挙げればキリがないが、その錚々たるメンバーを見る限り、もはや粒揃いどころの話ではない。 他にも、同じくフランスでは、 Marcel’s Children (ボジョレー地

梁 世柱
2023年12月2日


再会 <50> 世界が求める日本人のワイン
Kusuda Wines, Pinot Noir “Martinborough” 2017. 大阪のお好み焼きと、広島のお好み焼き。 どちらが優れた料理か。どちらが本物か。 私の答えは、迷うことなく「大阪」となる。 その理由は、ただ一つ、私が大阪で生まれ育ったからだ。 「同郷バイアス」 とは、我々が意識している以上に強力で、冷静な品質判断などは、いとも簡単に「不必要なもの」となってしまう。 そう、そこに必要なのは、感情からくる全面的な肯定だけなのだ。 私自身はその同郷バイアスを強く認識しているため、日本が関連したあらゆるワインに対して、徹底して感情移入を排してきた。 しかし、それは同時に 「逆張りバイアス」 がかかってしまう可能性を生んでいるのも事実だ。 つまり、感情移入を拒絶するが故に、重々気をつけていなければ、無意識に批判的な視点から見てしまいかねない、ということ。 だからこそ、私は同郷バイアスがかからない、 海外プロフェッショナルの意見 を求めることが多い。

梁 世柱
2023年11月25日


ポルトガル屈指の極上ローカルペアリング
ポルトガルへの旅で体験した数々のペアリングの中で、まず第一弾としてはより広範囲に楽しむための「ピリ・ピリ」との合わせをご紹介したが、多皿シェア文化のポルトガルでも、非常にクオリティの高い ローカル・ペアリング は確かに存在している。 そのペアリングを体験できたのは、 バイラーダ地方 。 この地には、 Leitão da Bairrada (レイタオン・ダ・バイラーダ)という名物料理がある。 分かりやすく日本語表記すると、 「乳飲み仔豚の丸焼き」 となるこの料理は、母乳のみで飼育された肉質の柔らかい仔豚に、 ラード、コショウ、ニンニクなどのスパイスを混ぜ合わせたペースト を、内側にも外側にもしっかりと塗り込み、じっくりと時間をかけて薪ストーブで焼き上げたものだ。 外側の皮はパリパリに焼き上がり、内側の肉はとろとろのジューシー感がたまらない。 特に、肋骨を剥がしながら食べる中央部は、「頬が落ちる」極上ぶりだ。 レイタオン・ダ・バイラーダ(以降、省略してレイタオンと表記)が、ポルトガルにおける傑作料理の一つとされる理由は、一口食べれば誰でもすぐに分かる

梁 世柱
2023年11月21日


出会い <49> 時代の先を歩みすぎた偉大なワイン
Quinta da Pellada, Tounot 2011. 日本には数多くのワイン・インポーターが存在しているが、中には世界でもトップ・レベルの 先進性と審美眼 を兼ね備えた才能の持ち主を抱える会社がある。 そういったインポーターは、 世界の最先端と時差のないワイン を輸入し、日本のワイン市場が停滞しないための、重要な役割を果たしてきたとも言える。 しかし、彼らの先進性に、 市場やワインプロフェッショナルの理解が追いつかない ということもまた、 残念ながら幾度となく繰り返されてきた 。 その 最たる例 と言えるのは、 ドイツの辛口リースリング だろうか。 ドイツでは今から20年前にはすでに、世界のリースリング・マップを完全に更新してしまうレベルの、圧倒的な辛口リースリングが生産されていたが、長年の甘口路線が強烈に染み込んでしまった日本市場は、その先進性を頑なに拒絶し続けてきてしまった。 もちろん、そのムーヴメントの初期段階から、ドイツ産辛口リースリングのトップ・ワインを輸入していた国内インポーターはあったのだが、それらのワインが決して少なくな

梁 世柱
2023年11月19日


Wine Memo <15>
Opta, Dão Grande Reserva 2017. ポルトガル滞在中の訪問及び取材先は、 ダオンとバイラーダ 。 両産地とそのワインに関しての大部分は、特集記事にてまとめてレポートしていくが、今回の旅で出会ったワイン(他産地も含む)の中には、どうしてもメインテーマからは外れてしまうものもあったため、しばらくこのWine Memoにて紹介していこう。 一本目は、 ダオン から。 ダオン西部にワイナリーと葡萄畑を構える Boas Quintas が手がけるブランドの一つ Opta からリリースされる Grande Reserva は、ヴァリエーション豊かなダオンにあっても、間違いなく 「珍品」 に属しているワインだ。

梁 世柱
2023年11月18日


再会 <49> 地味だった格付けシャトー
Ch. Cantemerle 2020. ¥6,000 今でこそ超広範囲に渡って、世界中のあらゆるワインを探求しているが、キャリアの初期は決してそうではなかった。 21歳になってすぐ、生活上の理由で必要に駆られて始めたワイン修行は、当時のおおよそ一般的な例に漏れず、 フランスの銘醸地からスタート した。 私の場合は、なぜか強く興味をそそられた アルザスも含まれていた が、ここでいう銘醸地とは、 ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ のこと。 とはいえ、お金がとにかくなかった当時の私は、まずは座学から始めた。 NYの紀伊國屋で購入した 「ソムリエ・マニュアル(著:右田圭司)」 は、手垢にまみれ、ボロボロになるまで、何度も何度も読み込んだ。 しばらくは本から見えた「見知らぬ華やかな世界」を存分に楽しんでいたが、知識と同時に、様々なワインへの憧れも蓄えられてしまい、ほどなくして私は、それらのワインを飲みたくて仕方なくなってしまった。

梁 世柱
2023年11月12日


Wine Memo <14>
Holism, Garnacha 2021. ¥4,800 昨年南アフリカを訪問した時に得た知見は、3ヶ月に渡って大ヴォリュームでお届けした 南アフリカ特集記事 でレポートしたが、実は 大きな心残り が一つあった。 巨大なテイスティング会場では、毎日特定の品種にターゲットを定めて、(午前中はシャルドネ、午後はピノ・ノワールといった感じで)同品種のみをひたすらテイスティングして回る、というサイクルを繰り返していたのだが、どうしても時間の関係上深掘りしきれなかった葡萄品種と産地の組み合わせがあった。 Piekenierskloof(ピーケニアズクルーフ)のグルナッシュ(ガルナッチャ) だ。

梁 世柱
2023年11月10日


出会い <48> 原始的ワインの超現代型アップデート
Les Tetes, Gamuto 2021. ¥3,900 世界最古のワイン とは、どのようなスタイルだったのだろうか。 赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、あるいはオレンジワインだったのか。 結論から言うと、 不明 である。 しかし少なくとも、現代的なスタイルに近い 白ワインやロゼワインが、大昔には存在していなかった可能性は非常に高い 。 その理由は、 保存性 にある。 極々僅かなタンニンしか抽出していない白やロゼは、 原始的な環境下においては、あまりにも脆弱だった ことは想像に難くない。

梁 世柱
2023年11月5日


再会 <48> 6年越しの衝撃
Sam Vinciullo, Red “Cowaramup” 2020. ¥6,800 それは 2017年 のこと。私は、世界各国から メルボルン に集結した総勢50名(私も含む)のソムリエに加え、オーストラリア在住のMaster of Wineや高名なジャーナリスト、数えきれないワインメーカーたちと、一週間強に渡って、ワインの海をひたすら泳いでいた。 日本に帰国してから数年間は、海外産地を巡る機会がなかなか無かったこともあったが、何よりも同世代のとびきり優秀なソムリエたちと出会え、文字通り朝から晩までワインを片手に語り尽くしたのは、生涯の思い出だ。 開放的なNYから、想像よりも遥かに閉鎖的だった東京へ移り、随分と長い間「逆カルチャーショック」に苦しんでいた当時の私にとって、メルボルンはまさに「人生を変えてくれた」場所となった。 一週間のプログラムも実に素晴らしかった。 朝から大量のシラーズをブラインドテイスティングする、などという実にサディスティックな時間もあったが、イベントを通じて供されたワインは、超大手からマイクロガレージワイナリーまでカヴ

梁 世柱
2023年10月29日


出会い <47> クラシックオレンジの聖地
JNK, Jakot.e 2016. ¥8,000 1990年代中頃に復活の狼煙がひっそりと上がって以降、10数年の時をかけて数多の追従者を生み出した オレンジワイン 。 2010年代に入る頃にはいよいよメジャー化し始め、2020年代の今では、完全な1カテゴリーとして確立するまでに至った。 もはや、オレンジワインが造られていないワイン産出国など、存在しないと考えても良いだろう。 生産地が世界規模で広がる中、その ヴァリエーション もまた、白、赤、ロゼと肩を並べるほどにまで拡張された。 現在、グリ系葡萄まで含めると、非常に多くの品種からオレンジワインが造られているが、果たして どの品種がオレンジワインに向いているのか 、と言う議論がどれだけされてきたのかに関しては、疑問が残る。 オレンジワインにとって過渡期と言える現代は、世界各地でありとあらゆる実験的醸造が行われているため、「オレンジワイン向きの品種」を検証するにはうってつけのタイミングなのではなかろうか。 とはいえ、よりクラシックなタイプと(ナチュラルも含めた)現代的なオレンジワインとを、並列で

梁 世柱
2023年10月22日


白レバーの魔法
世界三大珍味といえば、トリュフ、キャビア、フォアグラだが、日本にはフォアグラを凌駕するのでは思えるほど素晴らしい食材がある。 白レバー だ。 白レバーは 鶏の脂肪肝 であり、卵を産むために栄養を多く摂る必要がある 雌鶏 の中でも、一際食欲と力(いわば、群れの中のボス的存在)が強い個体に、偶発的に発生していたものだ。 そもそも 雌鶏は食肉用となることが少ない こともあり、かつては 超希少部位 として、知る人ぞ知る存在だった。しかし、近年は認知度が高まってきてしまったため、白レバーを生産することを目的とした、やや過剰な餌やりでも行われているのだろうか、比較的良く見かけるようになった。 生粋の焼き鳥好きであり、白レバーに目がない私としては、色々と思うところはあるのだが、これだけはお伝えしておこうと思う。 白レバーの魔法を存分に味わいたいのであれば、大衆焼き鳥ではなく、ある程度ちゃんとした本格的な専門店の方が良い。

梁 世柱
2023年10月21日


高級ビールを嗜む <2> 湯河原の極上クラフト
不定期連載とはしていたものの、初回から随分と時間が経ってしまった高級ビールのレヴュー企画。 ビールは相変わらず飲んでいたのだが、なぜかそこまで心を揺さぶられるものに巡り合わなかったり、最高に美味しいと思ったものが生ビールで写真が撮れなかったりと、どうにも歯車が噛み合わなかった。 今回久々にご紹介するビールとは、その出会いも含めて、思い出が色々と詰まっている。 小田原で諸用済ませ、帰路に着こうとした時、自らの疲弊ぶりを痛感した私は、 「どれ、湯治でもして帰ろうか。」 と思い立った。 箱根の方が近かったが、観光客の渦に飲み込まれる気にもなれなかったので、少し寂れた(申し訳ない!) 湯河原 へ行くことにした。 見知らぬ地に行くと、食事処と地ビールを真っ先に探すのが私のルーティーン。 湯河原の酒屋に立ち寄り、地ビールの棚を眺めていると、鮮烈にポップなラベルのビールが目についた。

梁 世柱
2023年10月19日


SommeTimes’ Académie <54>(フランス・ボルドー地方:ボルドー左岸まとめ)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回も ボルドー地方 について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第七回は、第一〜六回までで学んできた内容に、個別ではカヴァーしなかったエリアを加えた 「ボルドー左岸まとめ」 と致します。 メドック地区その他 個別に解説をしてこなかったボルドー左岸のアペラシオンは、 Listrac-Médoc 、 M é doc、Moulis、Graves の4つ。 その中で、最終的な新格付けへの編入に相応しいシャトーが存在しているのは、現状では Moulis と M é doc のみとなります。 Moulis 第四級相当 Ch. Chasse-Spleen Ch. Poujeaux

梁 世柱
2023年10月17日


再会 <47> 魂に染みるワイン
Beau Paysage “Kurahara le bois” 2014. 正直に言おう。 私がSommeTimesで「再会」のシリーズを書き始めてから、このワインをテーマとする機会は幾度となくあった。 それでも第47回目の投稿まで時間がかかったのは、単純に 気乗りがしなかったから だ。 その理由もいくつかある。 このワインに対する 私と世間の評価には、大きな隔たりがある と感じてきたこと。 このワインに対する 私の正直な意見に、不快感を覚える人が少なからずいる であろうこと。 このワインを神聖視する人たち対して、 私の真意が正しく届くことは決してないのではないか 、と心のどこかで思ってきたこと。 気乗りがしない、と言う状況は今もさして変わらないが、海外のワインメーカーたちと、このワインを一緒に飲む機会が最近あったので、勢いに任せて、意を決した形だ。 さて、まずは誤解を恐れず、単刀直入に書こう。 私はこのワイン、つまり日本ワインの中でも最も希少価値が高いものの一つとされる Beau Paysage に対して、ある種の 畏敬の念 を抱き続けてきたが

梁 世柱
2023年10月15日


SommeTimes’ Académie <53>(フランス・ボルドー地方:Pessac-Léognan)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回も ボルドー地方 について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第六回のテーマは、 「Pessac-Léognan」 と致します。 Pessac-L é ognan Pessac-Léognan は、グラーヴ地区の北部に位置するアペラシオンです。より大きなGrave AOCの一部ですが、その歴史的な名声と高い品質から、1987年にようやく、独立したアペラシオンとして認定されました。葡萄畑の総面積は約1435haで、メドック地区のマルゴーとほぼ同等の規模になります。 ジロンド河の左岸に位置するメドック地区、そしてガロンヌ河の左岸に位置するグラーヴ地区を総称して、ボルドー左岸とするのが一般的となっています。 土壌はガロンヌ河がもたらした 砂礫...

梁 世柱
2023年10月10日


出会い <46> 島ワインの最高到達点
Azores Wine Company, Arinto dos A ç ores Solera NV. ¥12,000 2023年10月の時点で、私が 本年度最大の衝撃 と断言できる「出会い」のワインは、大西洋にひっそりと浮かぶ 未知の島 で造られていた。 イタリア・シチリア島の躍進 を皮切りに、ギリシャ・サントリーニ島など大小様々な島が名乗りを上げ、今や 島ワインは群雄割拠の様相を呈している 。 私が考える島ワイン最大の面白さは、 古典的価値観に基づいた縦軸評価と、個性を重んじる横軸評価の間で、至高とすべきワインが決定的に異なる 点にある。 縦軸評価 の場合、ネッビオーロやサンジョヴェーゼにすら比肩し得るポテンシャルを発揮している、 シチリア島・エトナ火山の土着品種ネレッロ・マスカレーゼ が、「至高」に該当することに、異論を唱える人は少ないだろう。 横軸評価 はより 「主観」が強くなる ため、個人差が生じるのは当然のことなのだが、私は スペイン・カナリア諸島 のワインを、これまでは横軸評価の「至高」としてきた。 他にも、ギリシャのクレタ島、トス

梁 世柱
2023年10月8日


ヤンニョムチキンに挑戦
韓国では、なぜか フライドチキンがソウルフード となっている。 ソウルフードには(日本で言うところのラーメンのように)、無数のヴァリエーションが生じるため、韓国におけるフライドチキンの膨大なヴァリエーションもまた非常に興味深いのだが、日本でもお馴染みとなりつつ ヤンニョムチキン を、今回はペアリングの題材として取り上げようかと思う。 ヤンニョム とは、合わせ調味料の総称のようなもので、一般的にはコチュジャン、テンジャン(韓国味噌)、韓国醤油、唐辛子粉、胡麻油、ニンニク、すり胡麻などをベースに、砂糖や果物で 甘辛のバランスを調整 して造る。 漢字では 「薬念」 と表記され、 薬食同源 という古来からの食文化を感じさせる、なんとも素敵な名称だ。

梁 世柱
2023年10月7日


Wine Memo <13>
José Piteira, Vinho de Talha Tinto 2018. ロシアによるウクライナ侵攻を発端とした物価と輸送費の高騰、歴史的な円安によって、日本国内でもあらゆる物価とエネルギー費が上昇し、輸入ワインの価格もどんどん釣り上がっている。 大幅な賃上げという幸運を享受できている人なら問題ないのかも知れないが、5%程度の賃上げでカヴァーしきれるほど、昨今の物価高は緩くない。 限られた資金源は、生活必需項目に優先して回され、娯楽や嗜好品にかけられるDisposable incomeは縮小していく一方だ。 私がワインに携わってから20年余りの間で、今ほどワインの 「コストパフォーマンス」 を強く意識したことは無いだろう。 長年買い続けてきた銘柄を、価格高騰を理由に見限ることは、もはや日常茶飯事となった。 なかなか心が痛むのだが、仕方のないことだ。 ワインの世界において、コストパフォーマンスの王者は、昔も今も チリ であることは間違いない。

梁 世柱
2023年10月6日


Limoncelloの魅力
イタリアといえば、ワインファンにとっては、もちろんワイン大国だが、食通にとっては、パスタやピッツァの国、そして、 カクテル好きにとっては、リキュール王国 となる。 イタリアンリキュールの中でも人気が高いのは、ハーブ類を中心に独自のレシピで配合した ビター系リキュール(Amaro と呼ばれる)で、その王者は間違いなく Campari だが、アルコール濃度がCampariの半分程度で、苦味も穏やかな Aperol も非常に良く知られている。 他にもカンパーニャ州の Strega やロンバルディア州の Fernet-Branca をはじめ、バジリカータ州の Amaro Lucano 、エミリア=ロマーニャ州の Amaro Montenegro 、シチリア島の Amaro Averna など、「ご当地Amaro」の枠を超えて、世界的に愛される名品は数多い。 もしイタリア産のAmaroが無くなってしまったら、世界中でどれだけ膨大な数のカクテルレシピが消失してしまうかは、もはや想像すらつかない。 そして、そんなイタリアンリキュールの中でも、孤高の存在と言える

梁 世柱
2023年10月4日


再会 <46> 好適品種と不良少年
Delinquente, Weird faces series. ¥2400~2700 青森のりんご、鳥取の梨、愛媛のみかん、岡山の桃、熊本のスイカ、山形のさくらんぼ。 我々は日常的に、様々な果物で、 名産地たる優れた味わい を当たり前のように楽しんでいる。 そして、当たり前だからこそ、 すぐに忘れてしまう。見えなくなってしまう。理解することを止めてしまう 。 なぜその場所が、名産地と呼ばれるようになったのかを。 要因は多々あれど、 真理は実にシンプル だ。 その果物が、その地に適応することができたから。 それだけのことなのだ。

梁 世柱
2023年10月1日
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