Quinta da Pellada, Tounot 2011.
日本には数多くのワイン・インポーターが存在しているが、中には世界でもトップ・レベルの先進性と審美眼を兼ね備えた才能の持ち主を抱える会社がある。
そういったインポーターは、世界の最先端と時差のないワインを輸入し、日本のワイン市場が停滞しないための、重要な役割を果たしてきたとも言える。
しかし、彼らの先進性に、市場やワインプロフェッショナルの理解が追いつかないということもまた、残念ながら幾度となく繰り返されてきた。
その最たる例と言えるのは、ドイツの辛口リースリングだろうか。
ドイツでは今から20年前にはすでに、世界のリースリング・マップを完全に更新してしまうレベルの、圧倒的な辛口リースリングが生産されていたが、長年の甘口路線が強烈に染み込んでしまった日本市場は、その先進性を頑なに拒絶し続けてきてしまった。
もちろん、そのムーヴメントの初期段階から、ドイツ産辛口リースリングのトップ・ワインを輸入していた国内インポーターはあったのだが、それらのワインが決して少なくない割合で、最終的に一度は輸入が途絶えてしまった事実から判断するなら、結局は失敗に終わったと考えて良いだろう。
日本がその最先端にようやく追いついたのは、ここ数年の話。
ワイン市場というのは、ある種の集合意識のようなものでもあるので、どうしても「大は小に勝る」という原理から離れることが難しいのだ。