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奥深く粋な、スイスワインの世界
SommeTimesでは、私が粋(Iki=生=活)と感じるワインを色々と紹介させていただきたいと思っております。 以前のSommeTimesのコラム(オンラインサロンにアーカイヴがありますが、Web版でも特別掲載中)でも、スイスワインの話題をとりあげたことがありました。その...

SommeTimes特別寄稿
2022年7月5日


藤巻 暁の粋なワイン <3>【再掲】
本コラムは、7/5日掲載予定の藤巻暁ソムリエによるスペシャルレポートと関連した内容のため、オンラインサロン版SommeTimesのアーカイヴから、特別に再掲しております。 生産者:Jean Rene Germanier / ジャン・ルネ・ジェルマニエ ワイン名:Petite...

SommeTimes特別寄稿
2022年7月4日


銘醸地のカジュアル赤ワイン、世界NO.1決定戦
日常の私は、カジュアルなワインばかりを飲んでいる。 カジュアルな価格帯で良いワインを探し出してこそプロフェッショナルだ!なんてのは建前で、仕事で散々ワインの事は考えるので、オフの時間くらいはあまり頭を使わずに済むワインを飲みたい、というのが本音だ。 マイナー産地のカジュアルワインも好きなのだが、実は銘醸地のカジュアルワインはもっと好き。さすがのテロワールの底力を感じさせられることが多いからだ。 さて、そんな銘醸地カジュアルワインに癒される日々の中、ふと思い立った。 世界各地に、カジュアルの枠を超えた素晴らしいワインがあるが、果たしてどのワインが最も優れているのか?と そういえば、このテーマに関して、冷静に客観視したことが一度も無かった。 ということで、ここに開催を宣言する。 第一回「 銘醸地のカジュアル赤ワイン、世界NO.1決定戦 」を!! 審査員は私、選考も私。 完全に独断だが、 偏見も忖度も一切無し で争って頂こうかと思う。 エントリー条件 は以下の通り。 1. その産地の顔となるワインが、世界的な銘醸ワインであること 2. .

梁 世柱
2022年7月1日


自然農法の真理 <後編>
私は、昨年の春からこの冬の間中ずっと思い悩んでいたことがあった。 「なぜ人間は、野に舞う蝶や、空飛ぶ鳥のように自由に生きることができないのか…。」 その悩みに答えを示してくれたのが、 福岡正信氏 だ。 自然農法の大家、福岡氏の遺した数々の言葉。 それらは、表面的には 非常に宗教色が強く思えるかも知れないが、その本質は大きく異なる 。 氏の鋭く、時に断定的な言葉使いを、断片として切り取ってしまうと、真意を読み誤ることもあるだろう。 よって、以降の内容を、 宗教的という目線から考えないことを、強く推奨する 。 福岡氏の言葉も、 本意としては様々な宗教を否定するものでは決してなく、氏の言葉をもとに書かれたこの記事もまた、宗教を否定する類のものでは一切ない 。 真理 福岡氏の 「無の哲学」 では、仏教における 「空」の思想 をもとにした、氏の思想が語られている。 福岡氏は著書で何度も 「真理は一つだ」(絶対的真理) と言っているのだ。 その真理とは。 「 絶対的真理 は、無力どころか、架空の概念を一時的に満足せしめるに役立つのみの科学的真理よりも、より強

ソン ユガン
2022年6月28日


クラシックの行方
筆者にとって過去2年半は、新型コロナ禍による混乱だけではなく、別のショッキングな出来事が続いていた。 そう、それは クラシック・ワインの消失危機 だ。 なるべく話をコンパクトにするために、フランスに限った話にとどめておくが、 2018、2019 、そして 2020年 というヴィンテージがリリースされてきたこの2年半、なんとも煮え切らない思いを抱えることになった。 2018年はフランスのほぼ全土で酷暑の年となり、ワインにも異常な性質が立ち現れた。 多くのブルゴーニュ・ルージュは、まるでニューワールド・ピノのような味わいになった。 多くのブルゴーニュ・ブランから、酸が消え去った。

梁 世柱
2022年6月25日


日本ワインペアリング <3> ブラック・クイーン
本シリーズの第一回 で書いた通り、文化としてワインが根付いていない日本では、地の食である日本料理と、日本で造られたワインの間に、特別な関係性は極めて生じにくいと言えます。 ペアリングの真髄にとって重要なのは、冷静さであり、素直さです。 本シリーズの第三回となる今回は、日本発祥のハイブリッド品種である「 ブラック・クイーン 」を題材にして、ペアリングの可能性を検証していきます。 ブラック・クイーンは、より有名な マスカット・ベイリーA と同様に、 川上善兵衛氏 によって、 アメリカ系葡萄品種のベイリー 、そして、 イギリスの食用ハイブリッド品種であるゴールデン・クイーン の交配品種として、1927年に開発されました。 親であるゴールデン・クイーン自体も、ヨーロッパ系ヴィニフェラ種とハイブリッド系品種の交配葡萄であることから、ブラック・クイーンに残った(一般的にワイン醸造に向いているとされる) ヴィニフェラ種の遺伝子割合は、かなり少ない ことがわかります。 そして、この遺伝的特徴は、ワインにも確かに現れてきます。 さて、ワインになった時の、一般的なブ

梁 世柱
2022年6月20日


自然農法の真理 <前編>
福岡正信氏とは?と聞かれて一言で答えることができる人がどれ程いるだろうか。 自然農法の人、粘土団子の人、わら一本の革命の人。 世界のワインに通じる方なら、氏について知っているかもしれない。 海外に通じるワインプロフェッショナルなら、氏について聞かれたことがあるかもしれない。 実は、新型コロナ禍で世界の価値観に変化の兆しが見えている。 今、世界的に、東洋的思想が再評価されてきているのだ。 本特集では、福岡正信氏とは一体だれなのかを、丁寧に紐解いていく。 自然農法の本質、その実践に至った経緯、そして氏の哲学。 その思想は農業にとどまらず、人間性、神性、生き方へと繋がり、この現代社会を導く灯火ともなる。 そしてそれは、日本の農業、ブドウ栽培とも関わりがある。 福岡正信氏とは? 私はこう答える。 「キリストやガンジーのように真理を振りかざし、仏のように慈悲をもって無に還ろうと絶叫した百姓であり、哲学者であり、ある種の神性を得た存在。」 と。 本特集は、なるべく福岡正信氏自身が著書内で語っている内容をそのまま使用するよう努めているが、私の個人的な見解も多分

ソン ユガン
2022年6月15日


孤高のアルザス <Rolly-Gassmann>
北東フランスの銘醸地、アルザス。 歴史的に数多くの侵略を受けてきた「東の玄関」は、今もまだ、いびつな多様性という形でその影響を強く残している。 ワイン産地として見れば、フランスとドイツの文化が融合した場所であり、同じくドイツ領となっていた時代があったロワール地方のモゼールと...

梁 世柱
2022年6月11日


日本ワインペアリング <2> 甲州
本シリーズの第一回 で書いた通り、 文化としてワインが根付いていない 日本では、地の食である日本料理と、日本で造られたワインの間に、 特別な関係性は極めて生じにくい と言えます。 ペアリングの真髄にとって重要なのは、 冷静さであり、素直さ です。本稿では、日本の土着品種とも言える 「甲州」 を題材にして、甲州ワインを使ったペアリングを冷静かつ素直に分析していきます。 甲州は、現時点でのDNA鑑定(この手の鑑定は、覆ることがしばしばあります)では、 欧州種 (ヴィティス・ヴィニフェラ種)が 東洋系欧州種 (ヴィティス・ダヴィディ種)と自然交雑した後、 さらに欧州種と交雑 したことによって誕生したと考えられています。この鑑定結果が正しければ、 甲州の3/4は遺伝子的にヴィニフェラ種 であるということになります。 ヴィニフェラ種と中国系野生種との交配がきっかけで誕生したため、 起源は日本ではありません が、 7世紀 (奈良時代最初期)に山梨県甲州市にある大善寺を建立した時に発見されたという説と、 12世紀後半 (鎌倉時代最初期)に同じく甲州市の上岩崎で

梁 世柱
2022年6月4日


片岩偏愛 ロワール・アンジュの官能
片岩、その名前を聞いて、ワインの味わいをイメージできる人がどれほどいるでしょうか。 そもそも土壌とワインを結びつけて飲むことに、どれほどの意味があるでしょうか。 ワインの世界ではその文化が始まって以来、土壌と味わいの関係性についてずっと考えられてきましたし、現在も研究は続い...

SommeTimes特別寄稿
2022年6月3日


高みへと <ロワール渓谷特集:最終章>
ロワール渓谷のソーヴィニヨン・ブランには、どうも複雑な思いが拭いきれずにいた。 セントラル地区 は、この品種の 世界的聖地 とされてきたが、特に日本においてはあまり話題に上がることもないし、レストランやショップでも、それほど見かけるわけでもない。同じくフランス国内にある、その他品種の「聖地」と比べれば、その歴然とした格差に正直驚きも隠せない。一般的なワインショップなら、ブルゴーニュの品揃えはサンセールの10倍を遥かに凌駕するだろう。 価格だけを見れば、もう一つのソーヴィニヨン・ブラン伝統産地であるボルドーの後塵を拝したままどころか、その差はますます広がる一方だ。 ふと、頭によぎる。サンセールやプイィ=フュメは、名前だけの聖地なのかと。フランスの産地である、という理由だけで、聖地に押し上げられた存在なのかと。 オリジンとパーソナリティ ロワール渓谷のセントラル地区( 以降、ロワール・セントラルと表記 )がソーヴィニヨン・ブランの聖地と見なされてきた確実な理由の一つとして、その 歴史 を挙げることができる。現時点で判明している限り、...

梁 世柱
2022年5月31日


日本ワインペアリング <1> 巨峰
かねてより非常にリクエストの多かった、 日本ワイン を題材としたペアリング記事の新シリーズをスタートいたします。 まずは、このシリーズをお読みいただくにあたって、ご理解いただきたいことがございますので、最初に述べさせていただきます。少々厳しい意見かも知れませんが、ご容赦くださいませ。 特定の地方や国の料理と、同じ地で生まれるワインの間 には、 切っても切り離せない関係性 が生まれることがあります。これらのペアリングは「 クラシックペアリング 」と呼ばれることも多く、現代に至ってもペアリング理論の基礎を、部分的ではありますが(全てのクラシックペアリングが優れているわけではありません)、確かに担っています。 しかし、これらのクラシックペアリングは、 必ず同じ条件の元に生じます 。それは、 その地のワインが、その地の食文化の中に、何百年もの間、深く根差し続けてきた、という条件 です。 その何百年もの間で、地方の料理と地方のワインが同じテーブルに並び続けた結果として、相互が自然と寄り添うように変化し合い、クラシックペアリングが生まれます。 さて、ここで一

梁 世柱
2022年5月24日


アイデンティティの行方 <ロワール渓谷特集:第三章 >
悲壮感漂うワイン。 カベルネ・フランから生み出される、ロワール渓谷を代表する数々の素晴らしい赤ワインを一言で表すとそうなる。 華やいだスミレの香りと、力強い大地のトーンが交差し、ワイルドとエレガンスを行き来しながら、メンソールのような心地よい余韻へと誘われる。最高のテロワールと、最適な品種と、奥深い伝統が織り成していた確かな 様式美 は、その多くが すでに過去 のものだ。 かつて、葡萄品種とテロワールの統合的特性である「青い」風味を、絶対的な悪と見なした評論家がいた。彼はそういったワインに平然と60~70点代という低スコアを叩きつけて、ボルドーだけでなく、ロワールのカベルネ・フランという伝統をも、根底から否定した。そこまでなら、ただの一意見に過ぎなかったはずだが、真の問題は別のところにあった。自らの感性を信じず、他者の、しかもたった一人の他者の評価を絶対として信じた主体性なき群衆が、意気揚々と非難の声をあげて同調してしまったのだ。まるで、突然手のひらを返すかのように。 世紀の変わり目を迎える頃には、ロワール渓谷の偉大な赤ワインは、すっかり様変わり

梁 世柱
2022年5月21日


南アフリカのパイオニアたち <後編>
前編ではクライン・コンスタンシアを中心にレポートしたが、ワイン産地としての豊かな歴史を誇る南アフリカには、まだまだパイオニアたちがいる。 確かにクライン・コンスタンシアは象徴的な存在ではあるが、それだけでは決して全容は見えない。多様なアイデンティティとスタイルが混在する在り...

梁 世柱
2022年5月18日


歴史を楽しむ
長い新型コロナ禍で外食の機会が減る中で、読書をする時間が増えている方もとても多いと思います。 ワインはやはり気のおけない仲間たちと飲むのが一番美味しいですが、自分も一人飲みがだいぶ増えました。元々読書をしながらお酒を飲むことが多かったので、あまり苦にはなってませんが、早く日...

SommeTimes特別寄稿
2022年5月12日


伝統と変化 <ロワール渓谷特集:第二章 後編>
少し古いワイン教本を読むと、ロワール渓谷のシュナン・ブランの特徴として、「 濡れた犬 」、「濡れた藁」、「 濡れた羊毛 」といった表現が頻出する。確かにかつて、この地のシュナン・ブランには「濡れた」何かの印象が強く残るものが多かった。その主たる要因として、 葡萄の熟度の低さ が挙げられることは多いが、 温暖化や収穫時期の見直し (より遅摘みへと変化)が進んだ現在は、 その特徴はほぼ完全に消失 したと言える。 素材の状態が変わると、当然のようにレシピにも変化が起こる 。まず、 熟度の高まり と、それに並行して広まった オーガニック栽培への転換 は、 野生酵母での発酵と亜硫酸添加量の大幅な低下 と言う一つの大きな流れを生み出した。野生酵母がよりテロワールを正確に表現するかどうかという議論はここではしないが、亜硫酸添加量の低下は、強烈な酸とミネラルで、とにかく「固い」印象の強かったシュナン・ブランに、 確かな柔らかさ をもたらした。 もう一つの大きな変化は、 意外なところ から生まれた。 空調の導入 だ。通年で低温を保てる地下カーヴがほとんどないロワー

梁 世柱
2022年5月10日


もう一つの究極
今回取り上げさせていただくのは、デザートワインの中でも「とてつもなく贅沢な」と言った意味をもつ、「レクストラヴァガン」・ド・ドワジ・デーヌ。 生産者: Château Doisy Daëne / シャトー ドワジ・デーヌ ワイン名: L'Extravagant de...

SommeTimes特別寄稿
2022年5月6日


マイナー品種の女王 <ロワール渓谷特集:第二章 前編>
私自身は決して好きではない表現だが、 世界三大 〇〇という紹介の仕方は、あらゆるジャンルにおいて、非常に一般的だ。もちろん、ワインの世界でも様々な使われ方がされてきた表現だ。一種の思考実験として、この表現を深堀してみると、今まで見えてこなかったものが、突然見え始めることがある。 まずは 三大 〇〇を 黒葡萄 に当てはめてみよう。一般論で言うなら ピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨン は確定。三つ目は シラー あたりが妥当だろう。しかし、ピノ・ノワールが含まれることには全く異論は無いが、他の2品種には疑問が浮かんでくる。メルロでもカベルネ・フランでもなく、カベルネ・ソーヴィニヨンだけを三大黒葡萄として含めるのは、 アンフェア では無いだろうか?実際に、最高地点の品質の話をすれば、ボルドー左岸の主体となるカベルネ・ソーヴィニヨン、ボルドー右岸サン=テミリオンで重要な役割を担うカベルネ・フラン、ボルドー右岸ポムロールの主体となるメルロの三者間に、優劣は無い。シラーに関してもそうだ。シラーを主体とした最高のコート・ロティやエルミタージュと、グルナッシ

梁 世柱
2022年4月30日


抑えられない欲求
京都から東京に戻り、はや一年。 思えば東京に戻って早速足を運んだのが、ラヴニールというインポーターのG.パクネスの試飲会でした。 ウイエ(*1)してるシャルドネに、していないサヴァニャン、プールサールもいい!そしてヴァンジョーヌ(*2)!!...

SommeTimes特別寄稿
2022年4月28日


南アフリカのパイオニアたち <前編>
4月25日、南アフリカワイン協会(Wines of South Africa : WOSA)が、オンラインワインスクール大手Vinoterasとの共催で、【キャシー・ヴァン・ジルMWと巡る壮大な南アフリカワインの世界 Episode.1~先駆者たち~】と題したオンラインセミ...

梁 世柱
2022年4月26日
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