日本ワインペアリング <2> 甲州

本シリーズの第一回で書いた通り、文化としてワインが根付いていない日本では、地の食である日本料理と、日本で造られたワインの間に、特別な関係性は極めて生じにくいと言えます。


ペアリングの真髄にとって重要なのは、冷静さであり、素直さです。本稿では、日本の土着品種とも言える「甲州」を題材にして、甲州ワインを使ったペアリングを冷静かつ素直に分析していきます。


甲州は、現時点でのDNA鑑定(この手の鑑定は、覆ることがしばしばあります)では、欧州種(ヴィティス・ヴィニフェラ種)が東洋系欧州種(ヴィティス・ダヴィディ種)と自然交雑した後、さらに欧州種と交雑したことによって誕生したと考えられています。この鑑定結果が正しければ、甲州の3/4は遺伝子的にヴィニフェラ種であるということになります。


ヴィニフェラ種と中国系野生種との交配がきっかけで誕生したため、起源は日本ではありませんが、7世紀(奈良時代最初期)に山梨県甲州市にある大善寺を建立した時に発見されたという説と、12世紀後半(鎌倉時代最初期)に同じく甲州市の上岩崎で雨宮勘解由(かげゆ)という人物が発見したという説があり、どちらが正しいにしても、非常に古くから日本に根付いてきたことは間違いないようです。しかし、長らくの間生食用として栽培されてきた甲州がワイン醸造にも使われるようになったのは、第二次世界大戦後のことですので、実質的なワイン用葡萄としての歴史は70年程度しかありません


そのあまりにも短い歴史と、山梨県に栽培が一極集中しているという事実、非常に小さな生産規模を考えると、「日本料理と良く合う」といった、あまりにも幅が広く大雑把な括りが、そもそも成立し得ないことが理解できるかと思います。


さて、ワインになった時の、一般的な甲州の特徴を分析していきましょう。

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