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Wine Memo <39>
Yamazaki Winery, Pinot Noir 2013. 先日の「再会」でドメーヌ・タカヒコのナナツモリ2015年を紹介したが、同じタイミングで飲んだもう一つのワインも、実に刺激的で興味深いものだった。 山崎ワイナリーは、北海道三笠市にある。 山崎ワイナリーのワインからは、かねてから非常に実直で職人気質な性質を感じてきたが、ヴィンテージから13年経過したワインを飲めたのは幸運だった。 北海道のワイン産地といえば、どうしても余市に人気が集中しているし、その後を追う仁木にも勢いがある。

梁 世柱
3月21日


再会 <101> 熟成したジャパン・ナチュラルの旗手
Domaine Takahiko, “Nana-Tsu-Mori” Pinot Noir 2015. 絶対に教えたくないお店。というのが数店舗ある。 大体決まって、最高のワインが熟成された状態でストックしてあるお店、もしくは希少なワインが普通にオンリストされてしまっているお店、だ。 そのようなお店の所在がワイン通にバレてしまうと、限りある在庫が一気に吸い尽くされてしまうし、何より私自身があえて頻繁には訪れないようにしている。 さて、今回の再会は、久々に行った「そういうお店」の一つで起こった。 店内の看板に目を向けた瞬間、固まってしまった。 なんと、ドメーヌ・タカヒコのナナツモリがグラスで出ている。しかも2015年ヴィンテージだ。

梁 世柱
3月18日


出会い <100> プロセッコのヴァリエーション
Malga Ribelle, Valdobbiadene Sui Lieviti “Vitale” 2023. 世界各国各地の様々なワインが、どのように世界市場の中で成長して行ったのかを見ると、イタリアを代表するスパークリングワインであるプロセッコが、まさに偉業とすら言える発展を成し遂げたことがわかる。 高級路線で着実に前進していったシャンパーニュが、このスパークリングワイン市場における最初の覇者であったが、価格が上がっていくにつれて、シャンパーニュをグラスワインとして提供できるレストランやバーの数も減って行った。 その空いた穴に、見事に入り込んだのが、プロセッコだった。 フランスの各種クレマン、イタリアのフランチャコルタ、スペインのカヴァなども、当然このポジション争いには参戦したのだが、プロセッコのカジュアルな飲み口と、圧倒的な物量作戦に、押し負けたと言って良い。

梁 世柱
3月10日


再会 <100> アンフォラとの親和性
Petrolo, Boggina A 2023. アンフォラという古代の貯蔵・輸送容器が、ワイン産業に再び姿を現したのは、90年代半ばに北イタリアのゴリツィアで、オレンジワインの復興が始まったことがきっかけである。 改革の旗手であったヨスコ・グラヴネルが、ジョージアのワイン造りから着想を得て、アンフォラを導入したのだ。 以降、オレンジワインの波及と共に、アンフォラを使用するワイナリーも劇的に増えた。 今では、クラシック、ナチュラルを問わず、セラー訪問をしてアンフォラを見かけても、全く驚かなくなったほどだ。 これだけ広く普及すると、アンフォラという容器の効果もまた、より客観視できるようになる。

梁 世柱
3月3日


Wine Memo <38>
Sassotondo, Ciliegiolo San Lorenzo 2023. 以前からトスカーナ州の地葡萄の中に、どうも気になるものがあった。 イタリア語で「小さなさくらんぼ」の意味をもつ、チリエジョーロだ。 淡く明るいルビーの色調、品種名通りのチェリーのアロマ、ほのかなスパイスのニュアンス、軽快でしなやかなボディ、快活な酸、心地よく輪郭を整えるタンニン、フローラルな余韻。 チャーミングという表現は、こういう品種のためにある、と思わされることも多い、実に魅力的な葡萄だ。

梁 世柱
3月2日


出会い <99> 復活中の古代品種
Fattoria Bellosguardo, Valdarno di Sopra Foglia Tonda “Pipillo” 2024. 凝り性であると同時に飽き性でもある私にとって、同じ品種のワインをひたすらテイスティングし続けることは、楽しさと退屈さが表裏一体となってしまう。 毎年恒例のトスカーナ州訪問の7日目。 すでに数えきれないほどのサンジョヴェーゼをテイスティングし続け、流石に集中力(と楽しさ)が限界に達してきたタイミングで、このワインと出会った。 目が覚めた、とはまさにこういうことを言うのだろう。 イタリア全土で僅か50haしか栽培されていないという絶滅危惧種フォリア・トンダに、強烈な衝撃を受けたのだ。

梁 世柱
2月25日


出会い <98> オレンジワインのお気に入り品種
Stefano Legnani, Bamboo Road 2024. ¥3,500 オレンジワインという存在を認識し始めてから、15年以上の月日が流れた。 白ワインとして造られた時とは、そもそも全くと言って良いほど表情を変えてしまうのと、マセレーションの期間、温度、酸素とどれだけ接しているか、など最終的な味わいに影響を与える変数も多いため、なかなかオレンジワインという製法と品種の組み合わせで、一貫した個性を見出すのは容易ではない。 だが、ようやく「掴めてきた」という感覚がある。 以前のクラシックなオレンジワインは、マセレーションが強く、まるで抽出しすぎた紅茶のように、個性が逆に分かりにくかったが、現代的なオレンジワインには、同品種間である程度一貫した個性が生じる程度には、調和がある。 つまり、今なら「オレンジワインにするならこの品種が好き」といった文脈で話をすることも、可能になってきたのだ。

梁 世柱
2月10日


再会 <98> 褪せない伝説
Miani, Chardonnay 2023. もう何年前だったか忘れてしまったが、少なくとも15年以上前のことだ。 当時愛読していたワイン専門誌の表紙を、イタリアのMianiというワインが飾った。 まだまだ時代的には、「超低収量合戦」が繰り広げられていた頃だ。 紙面に掲載されていた、ブルーベリーと見間違えるほど小粒に凝縮したMianiの葡萄は、強烈なインパクトとして目に焼きついた。 すでに入手困難なワインとなっていたため、探し出すのには苦労をしたが、アメリカ中のネットショップ在庫にアンテナを張って、ようやく入手したMianiを口にした時の感動は、忘れられない。

梁 世柱
1月26日


出会い <97> 今こそ見直したい、協同組合産ワイン
Cantine Diverse di Monserrato, Vermentino di Sardegna 2024. ¥3,100 協同組合(生産者組合)と聞くと、一般的なワイナリーとしてのイメージはどうだろうか? おそらく一般的には、「当たり障りのないカジュアルワインを大量生産している。」といったとこだろう。 そもそもそのような形式のワイナリーの実態とは、何なのだろうか? フランスではドメーヌ、英語圏ではエステートなどと呼ばれる、自社畑、自社醸造、自社瓶詰め出荷型のワイナリー(以降、ドメーヌ型と表記)は、その形態でビジネスを始めるための設備投資に、そもそも相当なお金がかかる。 そして、単独で売り上げを立てないと、投資分を回収できないため、リスクも高い。

梁 世柱
1月21日


Wine Memo <37>
Domaine Chaud, Very Bailey Good 2025. ¥2,600 ナチュラルワイン好きを公言している私だが、日本で造られるナチュラル系に関しては、非常に懐疑的だ。 特に亜硫酸無添加と表記してある場合、問答無用で不安定な可能性が高いと疑ってかかる。 色んな意見があるのは承知しているが、少なくとも私は、亜硫酸無添加で頻出するネズミ臭という欠陥を受け入れることができない。

梁 世柱
1月17日


再会 <97> 珍品との再会
Hiruzta, Txakoli Tinto Parcela No.1.7 2022. 珍品好きを自称する私にとって、たまらない再会があった。 また飲みたいと思っているのに、そしてそれほど高いワインでも無いのに、滅多にレストランやワインショップで見かけることがない。 そんなワインが世界中にちらほらとあるのだが、得てして再会の時は不意に訪れるものだ。 美食の都と呼ばれるサン・セバスチャンを擁するスペイン・バスク地方。 カジュアルな郷土料理としては、ピンチョスが非常に有名で、そのピンチョスに合わせる定番の同郷ワインと言えば、チャコリである。

梁 世柱
1月14日


出会い <96> 懐かしいワイナリーの衝撃的な新作
Bodegas Roda, Roda I Blanco 2021. ¥18,000 私がワインを学び始めた20数年前頃、スペインのとあるワインが、なかなかHIPな存在として注目されていた。 モダンリオハの雄と称されることも多い、ロダだ。 当時はロバート・パーカーJr.の影響力がまだまだ絶大だった頃というのもあり、「注目されている」ワインのほとんどが、まるで金太郎飴のように同じ顔をした、「違う国」のワインだった。 率直に言うと、ロダもまたその中の一つ、と言う印象だった。

梁 世柱
1月7日


SommeTimes’ Best Performance Award 2025
本年もまた、一年の締めくくりとなるBest Performance Awardの時がきた。 例年通り、選出基準は単純なコストパフォーマンスや、価格を度外視した品質といったものではなく、総合評価的に、最も強く印象に残ったワインを選出している。 本年は、クラシックとされるようなワイン(かなりの高額レンジも含む)と、日本ワインのテイスティング機会が例年よりも多い年となった。 同時に、クラシックワインとナチュラルワインも、その中間的なタイプも、満遍なくテイスティングを行ったという印象だ。 では、Awardの発表に移ろう。 Sparkling Wine部門 Ultramarine, Blanc de Noirs Heintz Vineyard “Late Disgorged” 2012.

梁 世柱
2025年12月28日


再会 <96> 歴史を創った中国ワイン
Ao Yun, Ao Yun 2019. ¥70,000前後 木を見て森を見ず。 ワインを探究していると、往々にして陥りがちな罠である。 「あの国のワインは、イマイチ。」 ワイン識者らしき人が、迷いなくそう語る姿を目にしたことがある人は多いだろう。 しかし、そのような見解は、ほとんど間違っている。 低レベルなワインというものは、どの国にも等しく存在している。 ワイン大国と呼ばれるような、フランス、イタリアといった国々も例外では無い。

梁 世柱
2025年12月23日


Not a wine review <6>
珍酒、奇酒の類は大好物だ。 日常的に、ワインという、ある意味では世界で最も「常識的」なアルコール飲料と関わっていると、その対極とすら言える存在に、どうも強く惹かれてしまう。 これもまた、ある種の「無いものねだり」なのだろう。 世界各国の珍しい酒と出会うたびに、心が躍る。 その酒が、どのような「変わった」味わいであったとしても、だ。 さて、今回出会った珍酒は、そのインパクトも強烈。 中国山東省青島で造られる、即墨(ジーモー)老酒である。

梁 世柱
2025年12月20日


Not a wine review <5>
日本人のキッチンに欠かせない調味料の一つである「みりん」。 甘味の調整にフォーカスが当たりがちだが、みりんはその豊かなアミノ酸によって旨みとコクも加える。 そして、その甘味そのものも、調味料として重要な他の役割を担っている。

梁 世柱
2025年12月16日


出会い <95> 熟度の境界線
Vino della Gatta SAKAKI, 猫なで声 2024. ¥4,200 日本ワインに良く見受けられる問題として、葡萄の熟度不足が挙げられる。 この熟度とは、単純な糖度だけではなく、ポリフェノールなどの総合的な熟度であるため、その品種とその土地の相性も非常に重要となるのだ。 さて、ここで疑問を抱く人もいるかも知れない。 十分な熟度、と熟度が足りない、の境界線はどこにあるのだろうか、と。

梁 世柱
2025年12月9日


再会 <95> 究極的ブレンド・シャルドネ
Penfolds, Yattarna Chardonnay Bin 144 2021. ¥28,000前後 ワインを順当に学んでいくと、とある一つの価値観に支配されていくことが多い。 我々ワイン人が、「テロワール」と呼んでいるものだ。 その土地とその葡萄が出会ったからこそ生まれた個性。 テロワールという概念は、確かに我々に決して尽きない探究を与えてくれる。 テロワールの究極が「単一畑」という価値観が強いブルゴーニュを基準にすれば、より狭い範囲にその価値が高く宿ると考えることになるが、実際には、クラシックワインの世界ではもっと広範囲でテロワールの価値が認められている。

梁 世柱
2025年12月1日


出会い <94> 日本ワインの新たな方程式
The Rias Wine, Albarino 凪 2024. ¥3,200 日本における現在進行形のワイナリー設立ブームには、不安を覚える側面も多くあるが、希望の光も同時に多く見えている。 その最たる光とは、フランス系国際品種偏重からの脱却だ。 そもそも、ヨーロッパの中には、日本のワイン産地と気候条件がある程度近しい産地が、フランス以外にそれなりにある(むしろ、フランスの中にはあまり無い。)のだが、1980年代以降の日本ワインの発展は、実質的にフランス系品種に支配されてきた。 醸造用ブドウは、ちゃんと熟してこそ、真に意味性をもつ。 適していないテロワールで無理やり育てられ、結果としてしっかりと熟していない葡萄から造られた、密度が極端に低く薄いワインに、「日本らしさ」という言い訳を覆い被せるのは、実にナンセンスだと私は常々主張してきた。

梁 世柱
2025年11月25日


再会 <94> 見つからない伝説
Valentini, Montepulciano d’Abruzzo 2012. この世界に「伝説」とされるようなワインは、意外とたくさんある。 そして、その多くは、伝説と呼ばれる割には、簡単に探し出すことができる。 ただし、プレミア価格がついて二次市場で高額取引されるケースが残念ながら非常に多いため、実際の問題は、見つかるかどうかではなく、その対価を払えるかどうか、になるのだ。 もし誰かが私に、ロマネ・コンティを探して欲しいと頼んできた場合、ヴィンテージと価格にさえ縛りがなければ、数分もあれば探し出すことができるし、そもそも空港の免税店でも売っていたりする。 では、本当に見つからない伝説のワインとはどういうものなのだろうか。 真っ先に思い浮かぶのは、ヴァレンティーニだ。

梁 世柱
2025年11月18日
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