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再会 <85> ニューワールド的カジュアル古典美
Little Giant, Coonawarra Cabernet 2022. ¥2,600 ワインを学び始めた20年と少し前のこと。 世界の銘酒とされているワインを、なけなしの稼ぎを注ぎ込んで片っ端から飲み漁っていた中で、どうにもその良さが理解できなかったワインがいくつかあった。 その中の一つが、 オーストラリア で カベルネ・ソーヴィニヨンの銘醸地 として、当時からすでに名高かった Coonawarra だ。

梁 世柱
7月1日


出会い <84> ナチュラルワインのクリエイティヴマインド
Les Chant Des Ailes, Chouchou 2022. ナチュラルワイン の多くは、 テーブルワイン格 でリリースされる。 その国が定める国産葡萄の比率さえクリアすれば、 大体のことは許容されてしまう 格付けだ。 フランスならVdF、イタリアならVdTがこのテーブルワイン格に相当する。 原産地呼称制度の規定がそもそも非常に緩いニューワールドでは関係のない話だが、ヨーロッパにおいては、 テーブルワイン格=自由 を意味する。

梁 世柱
6月24日


再会 <84> 巨大ワイナリーの超良品
Penfolds, Koonunga Hill Autmn Riesling 2023. ¥3,000 ワインを深く学んでいくにつれ、巨大ワイナリーが造るワインに対して、無意識に偏見が溜まっていってしまう人は多い。 私自身もその例外ではないのだが、どうしてもより「手作り感」のあるものに魅力を感じるようになるのは、根っからのマニア気質な私にとって、それほど違和感のあることではない。 実際、私がプライヴェートな時間に、巨大ワイナリーのワインを口にすることは、1年間でも片手で数えられる程度しかない。

梁 世柱
6月18日


Not a wine review <4>
美丈夫, 蔵ハイ 高知ゆず&山椒. 海外へと赴いた時、ワインも含め、私は徹底的に「 ご当地もの 」を飲むようにしている。 ところかまわず有名国のファインワインを飲む人も、私の同業者には多くいるが、個人的にはどうにも食指が動かない。(お疲れシャンパーニュだけは話が別。) 自分自身がそういう思考であるからか、私は海外からゲストが来た時に、可能な限り日本のご当地ものでおもてなしをしたいと考える。

梁 世柱
6月15日


出会い <83> 超熟成シャンパーニュ
Taittinger, Comtes de Champagne 1961. 超長期熟成シャンパーニュは酸化の塩梅が読みきれないため、その流通価格に対しかなり ハイリスク なワインだ。 もちろん、メゾンの蔵出しや、定温環境で長期間不動保存されていたケースであれば、相当程度信頼できるが、人の手を渡り歩いてきたボトルに関しては、まさにギャンブルである。 私もレストラン用の仕入れでは、超長期熟成シャンパーニュにかなり慎重な姿勢を保つように心がけていた。 正直なところ、 ハズレを引いたことの方が多い からだ。

梁 世柱
6月10日


再会 <83> 国際品種のダークホース
Christophe Lindenlaub, Muscat “Je Suis au Jardin” 2023. 国際品種 と聞いて、真っ先に思い浮かぶ葡萄はなんだろうか? 白葡萄ならシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング。 黒葡萄ならピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー。 おそらくその辺りだろう。 他にも、シュナン・ブランやグルナッシュの名を挙げる人もいるかも知れないが、おそらくこの葡萄品種を思い浮かべる人は、ほとんといないだろう。

梁 世柱
5月27日


出会い <82> テロワールが薫る至高のナパ・カベルネ
Hewitt Vineyard, Cabernet Sauvignon Double Plus 2017. 現地価格$500 アメリカ合衆国・カリフォルニア州の ナパ・ヴァレー は、まだまだ 誤解 されているように思えてならない。 特に 高級品 になればなるほど、その傾向が強い。 それもそうだろう。ナパ・ヴァレーのトップエンドは、 葡萄畑のテロワールが如何に優れているか、と言うワインに取っての普遍の真理ではなく、高給取りのコンサルタントを栽培でも醸造でも雇って、如何に「高品質なイメージ」を実現させるかに躍起になってきた 。

梁 世柱
5月20日


再会 <82> 外れの高地の極上クラシコ
Tenuta la Novella, Musignana 2022. 温暖化は伝統産地に新たなトレンドを呼び込んだ。 より 高地の冷涼ゾーンへの進出 だ。 このトレンドは、 ブルゴーニュ を例にすると最も分かりやすい。 長い歴史の中で、最上とされてきた村や葡萄畑の多くは、現在でもその優位性を保ってはいるものの、一部の低地にある畑が、温暖化に苦しんでいる。

梁 世柱
5月14日


出会い <81> 新世代のブラウフレンキッシュ
Gober&Freinbichler, Blaufränkisch Horitshon 2020. 私がオーストリアワインを学び始めた約20年前、彼の国を代表する偉大な黒葡萄である ブラウフレンキッシュ は、どのテキストをみても 「エレガント」 な味わいであると表現されていた。 違和感 があった。 興味をもって、色々とテイスティングしてみていたのだが、どのワインもどちらかというとカベルネ・ソーヴィニヨン的な性質で、エレガントという表現に結びつけられるピノ・ノワール感を、ほとんど感じることができなかった。

梁 世柱
5月5日


再会 <81> サスティナブルなピンクワイン
La grange de l’oncle, mille lieux les bas fonds. ¥3,300 ワインほど、 サスティナブル への意識が急速に浸透した産業もそうは無い。 産業構造自体が、そもそも 農業と密接に関わっている 上に、食料品のような生 活必需品ではなく、あくまでも嗜好品 であるということも、その動きを力強く後押ししているだろう。 元々サスティナブルに関して先進的であり続けてきた ヨーロッパが、産業の中心を担ってもいる し、アメリカ、オーストラリア、南アフリカ、チリ、アルゼンチン、カナダなどでは、 主要産地が大都市に近い ことが、サスティナブルへの意識を間違いなく強めている。 サスティナブルと言っても、多種多様な形があり、農業の部分に特化したものもあれば、SDGsと連動した包括的かつ多角的なものもある。 中には、特に大メーカーが推進する戦略を、 「ビジネス・サスティナブル 」と揶揄する声も聞かれるが、 「何もしないよりかは、何かをする方が遥かにマシ」 だ。

梁 世柱
4月29日


出会い <80> 田舎ワインの素朴さ
Gismondi, Cerreto 2023. ¥3,800 ワインには、あらゆるタイプの魅力が本来宿っているのだが、 高級ワイン になればなるほど、その味わいは 「都会的」 になっていく傾向がある。 シャンパーニュとボルドーはその最も顕著な例であるし、今ではブルゴーニュにもバローロにもブルネッロ・ディ・モンタルチーノにもリオハにも、都会の空気がたっぷりと流れ込んでいる。 ニューワールド諸国の高級ワインは、例外を探す方が異常に大変な程度には、都会的だ。

梁 世柱
4月22日


再会 <80> 線香花火のようなペットナット
Max Dexheimer, Petillant Naturel 2022. ¥3,500 ナチュラルワイン好きを公言している筆者だが、ほぼ無条件で 警戒心 をもって臨むタイプのワインがある。 ペティヤン・ナチュレル。通称ペット・ナット だ。 元々、 アンセストラル方式 と呼ばれていた原始的なスパークリングワインの製法だが、 低亜硫酸醸造 が多いナチュラルワインの中でも、ペット・ナットは特に、 完全無添加の割合が高い 。

梁 世柱
4月14日


出会い <79> デラウェアに見る、根付くことの意味
Agri-Coeur, Dela Logique 2023. ¥5,500 ハイブリッドという言葉を聞いた時、一般的にはどういう印象を抱くだろうか? 現代的、先進的、最新技術。 おそらく、そのようなフレーズが並ぶだろう。 しかし、ワインの世界においては、真逆とも言えるイメージがついて回る。 そう、ワイン用葡萄におけるハイブリッドは、ヨーロッパの伝統的なワイン用葡萄であるヴィティス・ヴィニフェラ種よりも遥かに劣る、という定評が完全に固まっているのだ。

梁 世柱
4月7日


再会 <79> スペインの至宝
Vega-Sicilia, Unico 2014. 私がワインを学び始めた頃、正式なタイトルは忘れてしまったが、 「世界の名ワイン100選」 的な本を愛読していた。 ボルドー左岸メドック地区の第一級シャトー、右岸サン=テミリオンやポムロールの極上ワイン、ブルゴーニュのグラン・クリュ、シャンパーニュのプレスティージ・キュヴェ、イタリア・ピエモンテ州のバローロ、バルバレスコ、トスカーナ州のブルネッロ・ディ・モンタルチーノとスーパータスカン、カリフォルニアやオーストラリアの超高級ワイン。 20年以上前の本 だが、よくよく考えてみれば、 現代とそれほどラインナップは変わらない のかもしれないが、驚くことでもない。 偉大なワインは、よほどの失策を繰り返さない限り、いつでも偉大 なのだ。

梁 世柱
3月31日


出会い <78> アンフォラとサンジョヴェーゼ
Il Borro, “Petruna” Sangiovese is Anfora 2020. 1990年代半ばに、北イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリアの東端で始まった オレンジワインの再興が、ワイン界にもたらしたものは、オレンジワインが第四のカテゴリーとして定着したことだけではない。 その過程で、 アンフォラ(地中に埋める円錐形のものはクヴェヴリ) という古代の容器もまた、世界各地へと再伝達されて行ったのだ。 アンフォラとオレンジワインを直接的に結びつける人は多いとは思うが、現在では、赤、白、ロゼ、オレンジワインの全てで、アンフォラの採用が広がっている。

梁 世柱
3月24日


再会 <78> 魅惑のオーストラリア・リースリング
Ravensworth, Regional Riesling 2022. ¥4,500 リースリング は鏡のような葡萄品種だ。 葡萄が育ったテロワールを、どこまでも素直に表現することができる。 新樽を効かせたりといった手法が全く一般的では無い のも、また良い。 余計な味付けはせず、ただただ素材の味わいを活かす 。 リースリングという葡萄が、私の心に深く響く理由は、そこにあるのかも知れない。

梁 世柱
3月16日


出会い <77> Vin Santoの専門家
Giacomo Grassi, Vin Santo del Chianti Classico “Opre” 2011. ワインに芸術性を求めた時、行き着く先は2通りと個人的には思っている。 1つは、 シャンパーニュ方式で造られるスパークリングワイン 。 特殊な収穫方法から始まり、その製法のあらゆる段階における細部に至るまで、人類がワインと共に育んできたあらゆる叡智が込められている。 葡萄とテロワールに、ヒトの粋が詰め込まれたワイン。 芸術と呼ぶに相応しいと心から思う。

梁 世柱
3月10日


再会 <77> やはり素晴らしかったTerra Electae
Marchesi Gondi, Chianti Ruffina Riserva Terra Electae “Vigneto Poggio Diamante” 2021. 昨年トスカーナ州を訪れた際、私の中では決して評価の高い産地ではなかった Chianti Ruffina という地に、一筋の光を見た。 Ruffinaを評価してこなかった理由は、全てと言って良いほど、 過剰な国際品種のブレンド にあった。 そもそも、Ruffinaは、Chiantiの名を関するDOCGの中でも、 最も冷涼な産地の一つ 。 そのようなRuffinaにとっては、 繊細で優美な酒質こそが本質 のはずあり、それを覆い隠すようなカベルネ・ソーヴィニヨンのパワーには、違和感しか感じてこなかった。

梁 世柱
3月3日


出会い <76> 補助品種の野心
Podere della Bruciata, Tizzo 2019. 葡萄栽培学と病害対策が現代に近い水準に進化するまで、ワイン造りは、 多品種栽培と多品種ブレンドが基本 であった。 それは、昔の人々が積み重ねた経験と観察眼に基づいた、 リスクヘッジ であった。 一つの葡萄が病害などによって不作に陥っても、他の品種が上手く育てば、ワインをつくることができる。 細かなブレンド比率や、テロワールなどといった概念よりも、 毎年ちゃんと葡萄を実らせることの方が遥かに大切だった ことは、想像に難くない。

梁 世柱
2月24日


Wine Memo <33>
Stefano Amerighi, Syrah Cortona DOC 2021. 私が毎年2月に参加しているAnteprime di Toscanaというイベントでは、1日、もしくは2日毎にテーマの異なる試飲会が開催されるのだが、 L’Altra Toscana というトスカーナ州の「その他」を集めた試飲会が、実は密かな楽しみになっている。 Chianti Rufina、Carmignano、Montecucco、Maremmaといった、L’Altra Toscanaでは「お馴染み」のDOCやDOCGに加え、毎年もっとマイナーな産地から、交代でブースが出てくるのだ。 時に興味深い発見もあれば、肩透かしな年もあるが、2025年は「当たり」だった。

梁 世柱
2月22日
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