出会い <89> 無添加甲州の可能性
- 梁 世柱

- 9月10日
- 読了時間: 3分
Kitani Wine, 甲州 キュヴェ・タカシ 2023. ¥2,800
日本が誇る地品種(厳密に言うと中国からの渡来品種ではあるが)である甲州は、まだまだ完成系と言える姿を示していないと、私は考えている。
中央葡萄酒(Grace)の三澤甲州(旧キュヴェ三澤 明野甲州)のように、逸脱した領域に踏み込み始めたワインも登場してきてはいるが、それでもまだ、甲州という葡萄はあらゆる進化の可能性を残しているのではないだろうか。
映画「ウスケボーイズ」のモデルとなった人物としても知られるシャトー・メルシャン元工場長の浅井昭吾(ペンネーム:麻井宇介)氏が、フランス・ロワール地方のミュスカデから着想を得た、甲州にシュール・リー製法を用いるという手法を、1985年に他の日本ワイナリーへ公開して以降、そのスタイルは確かに現代に至るまで甲州ワインの地盤を固めているが、まだまだ見えていない「その先」があるはずなのだ。


