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ペアリングのタイミング<口内調味 or 余韻合わせ>
料理とワインでペアリングを行う際、 口内調味 を基本とするか、 余韻で合わせる のが正解か、という質問を非常に良く受ける。 まず結論から言うと、 「どちらでも良い」 が答えとなる。 ペアリングは 非常に主観性と嗜好性が高い ものであるため、 「完璧な正解」が存在し得ない のだ。 ただし、ペアリング基礎理論を活用して組み合わせとアプローチを考えていく際には、口内調味と余韻合わせでは、 効果が及ぶ範囲が大きく異なる 点には留意しておきたいところ。 端的にまとめると、口内調味ではより 複雑 に、余韻合わせではより シンプル なアプローチのペアリングとなる。

梁 世柱
2024年9月14日


カプレーゼのヴァリエーション対応
近年すっかり日本でも市民権を得たイタリア料理の一つに、 カプレーゼ が挙げられるだろう。 正式名称は インサラータ・カプレーゼ 。 「カプリ島のサラダ」 という意味で、カンパーニャ州カプリ島のGrand Hotel Quisisanaが発祥の地とされている。 スライスした トマト 、水牛乳から造られるカンパーニャ州のフレッシュチーズ 「モッツァレッラ・ディ・ブーファラ・カンパーニャ」 、 バジリコ をメインの食材とし、 塩、黒コショウ、オリーブオイル (カンパーニャ州産)で仕上げるのが、オリジナルのレシピだ。 トマト (赤) 、チーズ (白) 、バジリコ (緑) の組み合わせは、 イタリア国旗の配色と同じ であるため、ピッツァ・マルゲリータなど、イタリアではこの食材を組み合わせた料理が、とても大切にされている。 これは、日本で言うところの 「白米に梅干し」 と似たような感覚であり、日常的に食べるかは別として、国民の心象風景に深く刻まれているのだ。 さて、そんなカプレーゼも、 アレンジ・レシピ が盛んになっている。

梁 世柱
2024年9月13日


冷やし中華は夏ワインの友
夏の風物詩、というほど大袈裟なものでも無いかも知れないが、下町育ちの私にとって、 「冷やし中華はじめました」 と大きく書かれたのぼり旗は、暑さと虫が苦手で、夏には出不精が大加速する私を、昼間から屋外に引きずり出すのに十分な程度には、魅力的だ。 氷水でタイトな食感を得た中華麺の上で、ふわふわの錦糸卵、薄切りにしたハム、爽やかなトマトと胡瓜が踊り、酢の効いたタレが完璧な五重奏を指揮する。 絶妙にさっぱりとした食後感と、「野菜も摂れる」という言い訳で、ついつい炭水化物を大量摂取する罪悪感が消し飛んでしまうのが難点だが。 そんな 冷やし中華 が、 夏に飲みたくなるようなワインと抜群の相性を誇る ことは、あまり知られていないかも知れない。 夏といえば、 泡、白、ロゼでシャープな酸の効いたワインを、しっかりと冷やして楽しむのが定番 。

梁 世柱
2024年8月22日


煮物とワイン
日本料理とワイン の間に、およそ「伝統」と呼べるような関係性は まだ構築されていない し、日本料理と日本ワインの組み合わせが、他国のワインを使った時よりも優れているとも到底思えない。 クラシック・ペアリング とは、同じ地域の料理とワインが、非常に長い年月 「同じ食卓」 にあり続けた結果である。そして、その成り立ちも完全に恣意的なものではなく、潜在的集合意識が長期間にわたって働き続けたことによる偶発性が高いものだ。 つまり、極限まで噛み砕いて表現するのであれば、 「なんとなく」が積み重なり続けた結果 とも言える。 しかし、日本料理とワインのペアリング自体は 基礎理論をしっかりと駆使すれば十分に対応可能 だ。

梁 世柱
2024年8月11日


Corn & Wine
夏の旬食材 には、なぜか心が躍る。 個人的には、季節としては冬の方が好きなのだが(暑さと虫が苦手という理由で)、食材に関しては完全に夏派だ。 土用の丑の日に養殖 うなぎ (天然物の旬は10~12月だが、個体によっては猛烈に泥臭いことも)を楽しむ人、6~7月にかけて鱧や 若鮎 を楽しむ人、夏の太陽をたっぷりと浴びたエネルギッシュな 野菜 を楽しむ人。 人それぞれ夏食材の楽しみ方があると思うが、私が最も夏を感じる食材は、 とうもろこし だ。 蒸したりゆでたりして、とうもろこしの自然な甘味を味わっても良し、香ばしく焼き上げてかぶりついても良し、天ぷらにして食感の妙を堪能しても良し。 様々な調理法で楽しむことができる旬のとうもろこしだが、筆者が一番好きな食べ方は、 すり流し だ。

梁 世柱
2024年7月12日


ハプスブルグ風カジュアルペアリング
前回のペアリング研究室 では、西〜中央ヨーロッパ料理の粋と言える オーストリア料理 と、その象徴的な料理の一つである ヴィーナー・シュニッツェル の話をした。 今回もその流れのまま、もう一つの代表的なオーストリア料理である ヴィーナー・サフトグーラーシュ(ウィーン風ビーフグラーシュ) の話をしよう。

梁 世柱
2024年6月29日


オーストリアの大定番
ヨーロッパのワイン産出国は数多く訪れたが、カジュアルな食(ガストロノミーの話になると、国や地域ではなく、レストラン単位の話になる)の美味しさが際立っていると個人的に感じる国の2トップは、 オーストリアとポルトガル だ。 オーストリア料理 、と聞いてもイメージできる人は少ないかも知れないが、多民族国家であった ハプスブルグ王朝時代に、多種多様な食文化が融合し、磨き上げられた 結果、非常にバランス感に長けた料理体系として発展したという経緯がある。 言うなれば、 西〜中央ヨーロッパ料理の粋 、とも言えるのがオーストリア料理なのだ。 さらに、オーストリア料理は温かい料理が、 ちゃんと「温かく」提供される 、という日本人(アジア人)には特に嬉しい特徴もある。 さて、オーストリア料理の中でも、最も象徴的なものとされる料理の一つが、 ヴィーナー・シュニッツェル 。

梁 世柱
2024年6月23日


Not a Wine Pairing <5> ウィーン・クラシック
クラシック・ペアリングというものは、何もワインの専売特許という訳ではない。 特定の食と飲が同一文化の中で共存し続けた結果、一部の組み合わせが完璧なクラシックへと昇華する例は、世界各地に少なからず存在する。 ペアリングの新シリーズ「 Not a Wine Pairing 」では、 『ワイン以外のクラシック・ペアリングから、ワイン専門家や愛好家が何を学べるのか』 をテーマとして、様々な検証を行なっていく。 第5回のテーマは、 オーストリア・ウィーン の名スイーツであり、チョコレートケーキの王様と讃えられる 「ザッハトルテ」 と、フレイバード・ティー 「ザッハブレンド」 の組み合わせ。 共に 「ザッハ」 の名を冠することからも分かるように、これらはウィーンのフィルハーモニカー通りにある5ツ星ホテル 「ホテル・ザッハー」 にオリジンがある。 「四季」で知られる作曲家アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディの邸宅跡に建てられたホテル・ザッハーは、 ザッハトルテを開発した菓子職人フランツ・ザッハー の息子、エドゥアルト・ザッハーが1876年に開業

梁 世柱
2024年6月15日


アップルパイと貴腐ワイン
オーストリアには様々な果物が豊かに実っているが、中でも リンゴ は在来種がとても多く、ここでしか味わえない独特の奥深さがある。 当然、リンゴを使ったデザートは伝統の一つで、 アプフェルシュトゥルーデル と呼ばれるパイは極上。 クローブとシナモンで味付けされたリンゴ、ラム漬けのレーズン、そしてヘーゼルナッツを練り込んだ薄いパイ生地で構成されるアプフェルシュトゥルーデルは、見た目よりも随分と軽やかに楽しめる。

梁 世柱
2024年6月4日


串10本に、10種のワインでペアリング <後編>
東京・根津にある比内地鶏焼き鳥の名店 「照隅」 にて開催した、 「10種の串それぞれに全く異なるワインを合わせる」 、というコンセプトの ペアリングワイン会 。 ストーリーを形作っていった前半の5串に続いて、後編では最後のクライマックスと収束に向けての流れを解説していく。 6串目 マッシュルーム Wine:Trinchero, Tajo‘ 2019. Piedmont, Italy. Grape: Nebbiolo 50%, Freisa 50%. 5串目の鴨ムネ肉に対して、あえてピノ・ノワールのロゼを使うことによって、テンションを落として「じらしていた」ため、次の6串目ではしっかりとギアを上げていくべきだと判断した。 大きく肉厚なマッシュルームに鳥脂を塗って焼いた一本には、焼いたキノコ類に対する鉄板中の鉄板であるネッビオーロを選択したが、ここでも少し捻りを利かせている。

梁 世柱
2024年5月18日


串10本に、10種のワインでペアリング <前編> 特別無料公開
先日、東京・根津にある比内地鶏を使った焼き鳥の名店 「照隅」 にて、 ペアリングワイン会 を開催した。 「10種の串それぞれに全く異なるワインを合わせる」 、というコンセプトの元、SommeTimesでも公開してきた ペアリング理論...

梁 世柱
2024年5月8日


難敵ウフマヨ
私は高級なコース仕立て料理としてのフレンチよりも、 古典的なビストロ料理 の方がどちらかと言うと好きだ。 NYでソムリエ修行をしていた時代、仕事場から自宅へと向かう帰り道にあった、深夜3時頃まで開いているビストロ/ワインバーに足繁く通っていた影響もかなりあるだろう。 疲れた体には、山盛りになったムール貝の白ワイン蒸しや、オニオングラタンスープが最高に染み渡ったものだ。 フレンチビストロの定番とされる名料理は数多くあるが、今回のペアリング研究室で題材とする Oeuf mayonnaise 「通称、ウフマヨ」は、殿堂入りの大クラシック。 ゆで卵 (固ゆでから半熟まで様々なヴァリエーションがあるが、クラシックは完熟の一歩手前くらいの塩梅)に、 マヨネーズとディジョンマスタード を合わせて水やレモン汁で軽く伸ばしたソースをかけるだけ、と言うシンプル極まりない料理だが、何度食べても飽きない、強力な魔力がこの料理には宿っている。 しかし、ペアリングとなると、この愛おしいウフマヨは、途端に 最強クラスの難敵 へと変貌する。

梁 世柱
2024年4月27日


オッソ・ブーコでオルタナティヴ・ペアリング
イタリア料理といえば、パスタとピッツァが代名詞となるが、その他多種多様な 郷土料理 の世界は実に奥深く、驚くほど美味な料理に彩られている。 日本人にとっては、全体的に少々塩分強めなのが難点とは言えるものの、塩味を酸味でしっかりカットできるワインがセットになった料理体系なのだから、こればかりは仕方ない。 今回ペアリング研究の題材にしたいのは、 イタリア北部ロンバルディア州(ミラノ) の郷土料理である、 オッソ・ブーコ 。 オッソ(骨)、ブーコ(穴)という奇妙な名前の料理だが、主食材となる 仔牛のスネ肉 を調理した際に、中央の骨髄部分が縮小して「穴の空いた骨」になることから由来している。 イタリアにトマトが到来する前から存在して料理であるため、大元のオリジナルレシピではアンチョヴィが味付けのベースとなっていたようだが、現代ではトマト、白ワイン、香味野菜類、ブイヨンを合わせて蒸し煮にして、グレモラータ(パセリ、レモンの皮、ニンニクで作る緑色のペースト)を添えるのが定番となる。 イタリア郷土料理の中でも比較的良く知られたものの一つであ

梁 世柱
2024年4月6日


あん肝チャレンジ
親族に痛風もちを二人抱えてる私も、いつ襲ってくるやも知れぬ恐怖に怯える日々を過ごしている。というのは完全な嘘で、全く気にしてなどいない。 ウニ、白子、あん肝。 特に冬から春にかけての日本の旬食材には、痛風の大敵と言われるものが多いが、どれもが大好物なのだから、どうしようもない。 ちょっとでも痛みが出たら、その時に考えよう、とは一応思いながらも、とりあえず今のところは健康だ。 さて、今回のペアリング研究室は、 「あん肝」 をテーマに考えていこう。 食材の鮮度と質、調理の巧みさによって増減はするが、特有の 臭み (個人的にはそこが好きなのだが)を完全に無くすのは難しいタイプのものとなる。

梁 世柱
2024年3月21日


Not a Wine Pairing <4> マッコリとカキ刺し
クラシック・ペアリングというものは、何もワインの専売特許という訳ではない。 特定の食と飲が同一文化の中で共存し続けた結果、一部の組み合わせが完璧なクラシックへと昇華する例は、世界各地に少なからず存在する。 ペアリングの新シリーズ 「 Not a Wine Pairing」 では、 『ワイン以外のクラシック・ペアリングから、ワイン専門家や愛好家が何を学べるのか』 をテーマとして、様々な検証を行なっていく。 第四回のテーマは、 韓国料理における冬の定番 「カキ刺し」 と、韓国酒を代表する マッコリ との組み合わせ。 飲食の現場から退いた後、ようやく「解禁」されたと言える食材が、ニンニクとカキだ。 ニンニクは言うまでもないが、カキは現場によっては食中毒予防のために「暗黙の了解」的な NGとなっていることが多い。 カキは元々大好物なのだが、ヴァケーション期間中にしか食べれなかったのは、なんとも辛かった。 必然的に、今回の題材となる「カキ刺し」も、ニンニクたっぷりの味わいも相まって、当然 NGど真ん中の料理だったのだ。

梁 世柱
2024年3月9日


聖地のオレンジワインとローカルフードのペアリング
1990年代半ばに、北イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州とスロヴェニアの国境地帯で始まったオレンジワインの再興から約30年。 現代では、オレンジワインという文化がそもそもあったかどうか疑わしい地域も含め、世界中のあらゆる場所で造られるようになり、赤、白、ロゼと並ぶ一つのカテゴリーとして完全に確立したと言える。 そして、オレンジワインを使ったワインペアリングもまた、非常に奥深く、面白い。 今回はせっかくオレンジワインの 「聖地」 である ゴリツィア周辺 まで来たので、 地元の伝統的な料理と、オレンジワインの組み合わせ を試してみることにした。

梁 世柱
2024年2月24日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.5 <酸味&アルコール濃度>
Part.1 で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の優先順位がワインとは大きく異なります。 4番目 に優先順位が高い要素となるのは、 「酸味」 。 5番目 に優先順位が高い要素となるのは、 「アルコール濃度」 となります。 まずは、ペアリングにおける 「酸味の基礎理論」 が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。 ワインペアリングにおいては最も優先度の高い要素である「酸味」の活用は、日本酒では大きく優先順位が下がりますが、完全に無視できるわけではありません。

梁 世柱
2024年2月9日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.4 <旨味>
Part.1 で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の優先順位がワインとは大きく異なります。 3番目に優先順位が高い要素となるのは、 「旨味」 。 ワインペアリングにおいては限定された手法に留まる「旨味」の活用が、日本酒では非常に重要な要素となります。 ではまず、ペアリングにおける「旨味の基礎理論」が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。 ブリッジ(接続) 料理か飲料のどちらかに強い旨味が存在している場合、双方の繋がりを強める 「ブリッジ(接続)」 の効果が働きます。

梁 世柱
2024年1月26日


チゲとオレンジワイン
長年レストランの現場にいた私にとって、ペアリングと 「料理へのリスペクト」 は切っても切り離せないものだ。 寄り添う、引き立てる、混ざり合い高め合うなど、様々な方法論があるが、どの場合も「料理あってこそ」のペアリングであり、ペアリングによって 「ワインだけが美味しく(良く)なってしまう」という結果は、少なくともガストロノミーという局面においては、NG である。 しかし、プライヴェートにおいてはその限りではない。 むしろ、その結果がこれ以上なく楽しいことは多々ある。 今回ご紹介する特殊なペアリング例は、レストランではなかなかできないタイプのものだ。

梁 世柱
2024年1月14日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.3 <風味>
Part.1 で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の優先順位がワインとは大きく異なります。 「甘味」に次いで優先順位が高い要素となるのは、 「風味」 。 ワインペアリングにおいては、上から5番目の要素が、日本酒ペアリングでは2番目となるため、注意が必要です。 ただし、 「風味」に対する考え方は、ワインと日本酒では少々異なります 。 ワイン の場合、「レモンのような酸味」といったように、 具体性を伴った味わい として捉えた方が有効ですが、 日本酒 の場合は、 具体性よりも「総合的な強さ」が重要 となります。 では、ペアリングにおける「風味の基礎理論」が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。

梁 世柱
2024年1月11日
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