クラシック・ペアリングというものは、何もワインの専売特許という訳ではない。
特定の食と飲が同一文化の中で共存し続けた結果、一部の組み合わせが完璧なクラシックへと昇華する例は、世界各地に少なからず存在する。
ペアリングの新シリーズ「Not a Wine Pairing」では、『ワイン以外のクラシック・ペアリングから、ワイン専門家や愛好家が何を学べるのか』をテーマとして、様々な検証を行なっていく。
第5回のテーマは、オーストリア・ウィーンの名スイーツであり、チョコレートケーキの王様と讃えられる「ザッハトルテ」と、フレイバード・ティー「ザッハブレンド」の組み合わせ。
共に「ザッハ」の名を冠することからも分かるように、これらはウィーンのフィルハーモニカー通りにある5ツ星ホテル「ホテル・ザッハー」にオリジンがある。
「四季」で知られる作曲家アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディの邸宅跡に建てられたホテル・ザッハーは、ザッハトルテを開発した菓子職人フランツ・ザッハーの息子、エドゥアルト・ザッハーが1876年に開業し、現在もなおウィーンの象徴として君臨している。