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Advanced Académie <28> 醸造による軽やかさの演出
近年の世界的な ワインスタイルの変化 において、特に影響が大きいのは、 気候変動と嗜好の変化 だろう。 気候変動はもちろん、具体的には 温暖化 のことを基本的に意味している。(場所によっては、温暖化よりも気候の激化の方が問題となっているが。) 温かくなると、糖度の上がるスピードが上昇し、一定のポイントを超えてしまうと、酸やフェノール類とのバランスが壊れてしまう。 さらに、2010年代以降、明らかに 世界的な食のライト が進んだため、ワインにもより軽快さが求められるようになった。この傾向は、 温暖化が葡萄に及ぼす影響とは真逆の方向 であったため、まず最初に多く採用された対策は、 大幅な早摘み だった。 しかし、温暖化によって糖度上昇が早まる中で無理な早摘みを行うと、(酸は十分に確保できるが) フェノール類が熟していない ため、 著しくミッドパレットに欠けた味わい になりがちであっただけでなく、多くのワイン(主に赤ワイン)から 長期熟成能力も奪う 結果となってしまった。

梁 世柱
2023年4月5日


SommeTimes’ Académie <45>(ワイン概論41:酒精強化ワイン ニューワールド)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、ニューワールド産酒精強化ワインについて学んでいきます。 酒精強化ワイン概論 – ニューワールド 伝統的に酒精強化ワインが造られてきたのは、 ヨーロッパだけではありません 。ニューワールドでも、素晴らしいクオリティの酒精強化ワインが造られています。多くはヨーロッパのものを模倣したものですが、それぞれの国や産地によってその姿形は大きく異なります。 酒精強化ワインは特に20世紀以前は高い人気を誇ったため、ニューワールドでも数多く生産されてきました。現代においては原産地呼称制度によって守られているため、ポートやシェリーなどは本来の産地以外でその名前を名乗ることができませんが、過去においては世界の各地でそのような名前がついたワインが生産されていたことも事実です。例えば、日本の「 赤玉ポートワイン 」は日本における最も有名な例でしょう。日本のワインシーンの黎明期を支えた甘口ワインですが、もちろんポートのような製

別府 岳則
2023年3月21日


SommeTimes’ Académie <44>(ワイン概論40:酒精強化ワイン その他ヨーロッパ)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、ポルト、マデイラ、シェリー、マルサラ以外のヨーロッパ産酒精強化ワインについて学んでいきます。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – その他のヨーロッパ 前回も触れましたが、ヨーロッパにおいて、多くの酒精強化ワインは地中海沿岸で造られています。ポルトガルとスペイン、イタリアについては既に代表的なものに触れてきました

別府 岳則
2023年3月8日


SommeTimes’ Académie <43>(ワイン概論39:マルサラ)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、マルサラについて学んでいきます。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – マルサラ シェリー、ポート、マデイラ といわゆる「 世界3大酒精強化ワイン 」について見てきましたが、ここからはそれ以外の酒精強化ワインについて触れていきたいと思います。 ヨーロッパにおいて、多くの酒精強化ワインは地中海沿岸で造られています。

別府 岳則
2023年2月23日


SommeTimes’ Académie <42>(ワイン概論38:マデイラ2)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、マデイラについてさらに深く学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – マデイラ2 前回に続き、マデイラワインについて見ていきます。前回は製造編ともいえる内容でしたが、

別府 岳則
2023年2月3日


英語でワイン <2>
英語でのワインコミュニケーションに関する新たな「Study」シリーズの第二回となる本編は、ワイン文化とリスペクトについて考えていく。 なお、本内容はよりワイン業界関係者に向けた内容となるが、海外旅行の際などプライヴェートでも役に立つ部分も大きいため、あらかじめご了承いただきたい。 4.ワイン文化の違い 人口一人当たりのワイン消費量の考察 人口一人当たりの国別の 平均的ワイン消費量 から世界のワイン消費国と日本の現状を比較していく。フランス、イタリアを中心としたヨーロッパの伝統国に於いては、減少傾向にあるとは言え、低い数値でもスペインの約25Lであり、多くの伝統国は40~50L以上の消費量を維持している。この水準にある国々では、ワインの日常化が非常に進んでいると言える。ヨーロッパ以外のワイン産出国の中でも、アルゼンチン(約32L)やオーストラリア(約27L)は際立ってワイン文化が浸透していると言える。

梁 世柱
2023年1月25日


SommeTimes’ Académie <41>(ワイン概論37:マデイラ1)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、マデイラについて学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – マデイラ1 世界3大酒精強化ワインの一つとして数えられるマデイラですが、実はポートやシェリーなどと比べると

別府 岳則
2023年1月19日


SommeTimes’ Académie <40>(ワイン概論36:ポート3)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、ポートについてさらに深く学んでいきます。

別府 岳則
2023年1月6日


SommeTimes’ Académie <39>(ワイン概論35:ポート2)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、ポートについてさらに深く学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – ポート ② 今回からは、ポートワインの スタイル を確認していきます。 ポートは画一的なキャラクタ

別府 岳則
2022年12月24日


SommeTimes’ Académie <38>(ワイン概論34:ポート1)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、ポートについて学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – ポート ① 日本ではどちらかというとシェリーの方が酒精強化ワインとしては知られていると思いますが、実は...

別府 岳則
2022年12月9日


Advanced Académie <27> テロワールとワイン vol.3 アルコール濃度
「テロワール」が実際にワインに対してどのような影響を及ぼすのかを検証していくシリーズの第三弾となる。 このような検証を行う際に最も気をつけるべきなのは、ワインという飲み物は様々な要因が極めて複雑に関係性を築きながら最終的な形へと繋がっていくという、紛れもない事実である。 つまり、ただ一つの要因だけを抜き出して、「結果」と結びつけてしまった場合、往々にして不正解となるということだ。 第三回となる本稿では、ワインの アルコール濃度とテロワールの関係性 を探っていく。 ワインに含まれるアルコールは、 葡萄果汁中の糖分が分解 されることによって生じる。 そしてその原料となる糖分を生み出しているのは、植物の 「光合成」 という働きである。 光合成は 非常に複雑なメカニズム でもあるため、本稿ではなるべく簡略化して話を進めていくが、どうしても例外となるケースが生じることはご理解いただきたい。

梁 世柱
2022年11月26日


英語でワイン <1>
本稿より数回に渡って、英語でのワインコミュニケーションに関して新たな「Study」を開始する。 第一回となる本編は、何よりも重要な「 心構え 」から。 なお、本内容はよりワイン業界関係者に向けた内容となるが、海外旅行の際などプライヴェートでも役に立つ部分も大きいため、あらかじめご了承いただきたい。 0. 筆者の経験 筆者は19歳で単身渡米し、それから10年間をアメリカの東海岸(そのほとんどはニューヨーク)で過ごした。帰国子女の多い特殊な高校に通っていたとはいえ、私の英語力が最初から高かったわけでは全くない。当然、最初の数年は思い出したくもないような苦労をたくさんしたものだ。 今当時を振り返ってみると、若かりし頃の筆者に何よりも足りていなかったのは、英語力そのものではなかったのだと、確信している。 ニューヨークのレストランには、(今は厳しくなったので、そうでも無くなったようだが)必ずと言って良いほど、バックヤードで不法移民が働いていた。 その多くはメキシコ系移民で、英語力なんてものは皆無に等しい。日本で生まれ育った我々には想像もつかないほど

梁 世柱
2022年11月22日


SommeTimes’ Académie <37>(ワイン概論33:シェリー3)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、シェリーをより深堀りしていきます。

別府 岳則
2022年11月19日


SommeTimes’ Académie <36>(ワイン概論32:シェリー2)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、シェリーのカテゴリーを学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – シェリー② ここでは多様なシェリーのカテゴリーについてまとめます。さまざまな使い方のできるシェリーで

別府 岳則
2022年11月5日


SommeTimes’ Académie <35>(ワイン概論31:シェリー1)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、シェリーについて学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 酒精強化ワイン概論 – シェリー 今回からは世界を代表する酒精強化ワインのひとつ、 シェリー を詳しく見ていきます。スペイン南部・

別府 岳則
2022年10月22日


Advanced Académie <26> テロワールとワイン vol.2 酸
「テロワール」が実際にワインに対してどのような影響を及ぼすのかを検証していくシリーズの第二弾となる。 このような検証を行う際に最も気をつけるべきなのは、ワインという飲み物は様々な要因が極めて複雑に関係性を築きながら最終的な形へと繋がっていくという、紛れもない事実である。 つまり、 ただ一つの要因だけを抜き出して、「結果」と結びつけてしまった場合、往々にして不正解となる ということだ。 第二回となる本稿では、 ワインの酸とテロワールの関係性 を探っていく。 酸とテロワールの関連性に関しては、あらゆる種類のワインに当てはまるため、対象は文字通り「全て」となる。 葡萄に含まれる酸は主に2種類 あるが、それぞれ役割が大きく異なっている。 酒石酸 は、最終的には味わいにも影響を及ぼすが、その主な役割は 発酵時の化学的安定性を高める ことと、 色調を安定させる ことにある。葡萄を原料としたワインが、膨大な淘汰をくぐり抜けて果実醸造酒の王者となった理由は、まさに酒石酸にある。 ほとんどの植物や果実には極微量しか含まれないこの有機酸が、葡萄には多く含まれている.

梁 世柱
2022年10月19日


SommeTimes’ Académie <34>(ワイン概論30:酒精強化ワイン概論)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回は、酒精強化ワインの基礎を学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまで...

別府 岳則
2022年10月12日


Advanced Académie <25> テロワールとワイン vol.1 外観
本稿から数回に渡って、「テロワール」が実際にワインに対してどのような影響を及ぼすのかを検証していく。 このような検証を行う際に 最も気をつけるべき なのは、 ワインという飲み物は様々な要因が極めて複雑に関係性を築きながら最終的な形へと繋がっていくという、紛れもない事実 である。 つまり、 ただ一つの要因だけを抜き出して、「結果」と直接的に結びつけてしまった場合、往々にして不正解となる ということだ。 第一回となる本稿では、 ワインの外観とテロワールの関係性 を探っていく。 なお、白ワイン、ロゼワイン、オレンジワインに関しては、テロワールよりも醸造手段が与える影響の方が遥かに強いため、今回の検証は 赤ワインに限定 して行っていく。 黒葡萄は(品種にもよるが)基本的には、 日照量が多く、紫外線が強いほど、果皮が濃い色調になる 。 つまり、標高が高く、開けた場所になるほど、同じ葡萄でもより濃い色調になる傾向があるということだ。

梁 世柱
2022年10月9日


SommeTimes’ Académie <33>(ワイン概論29:シャンパーニュ醸造 5)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。今回は 、スパークリングワインの世界的スタンダードであるシャンパーニュの醸造フローを学んでいきます。 醸造の様々な工程に関しては、醸造家ごとに異なる意見が散見されます。本シリーズに関しては、あくまでも「一般論の範疇」とご理解ください。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。 SommeTimes Académie では、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 なお、煩雑なシャンパーニュ醸造のシリーズにおいては、なるべく理解を容易にする

梁 世柱
2022年10月4日


日本ワインペアリング <7> 山幸
本シリーズの第一回 で書いた通り、文化としてワインが根付いていない日本では、地の食である日本料理と、日本で造られたワインの間に、特別な関係性は極めて生じにくいと言えます。 ペアリングの真髄にとって重要なのは、冷静さであり、素直さです。 本シリーズの第七回となる今回は、北海道で開発された 「山幸」(やまさち) を題材にして、ペアリングの可能性を検証していきます。 山幸は、北海道の池田町にある十勝ワイナリー(日本では初の自治体が運営しているワイナリー)が「寒冷地に適した葡萄」として開発に携わった葡萄です。 親にあたる葡萄は、片方がフランスで開発されたハイブリッド品種のセイベル13053を基にして1970年に誕生した 「清美」 、そしてもう片方は日本の在来品種である 「山ぶどう」 です。 山幸が完成したのは、清美の誕生から36年後。山幸の6年前に誕生した「清舞」を含めれば、なんと 20,000回を遥かに超える試験栽培 が繰り返されたそうです。 十勝の期待を一身に背負った山幸は、2020年、 OIV(国際ブドウ・ワイン機構) に、甲州、MBAに次ぐ3番目

梁 世柱
2022年10月1日
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