一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回からボルドー地方について学んでいきます。
ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。
ボルドー地方シリーズ第一回のテーマは、「Pauillac」と致します。

Pauillac
葡萄畑の総面積は1,213haで、メドック地区全体の約7.5%に相当。
平均的な総生産量は720万本となります。
5つの第一級シャトーのうち3つを有し、第二級シャトー以下にも優れたワイナリーが多いPauillacは、総合力で見れば、名実共にボルドー左岸最上のアペラシオンと考えて差し支えないでしょう。
33の独立したシャトーのうち、18が1855年の公式格付けに名を連ねています。
総体的な特徴としては、水捌けの良い砂礫質土壌が優勢であることに起因する、カベルネ・ソーヴィニヨン比率の高さ、西洋杉とも呼ばれる一種のメントール香、力強い骨格と、カシスを強く思わせる豊かな果実味などが挙げられます。
格付けシャトーは、ほぼ例外なくジロンド河により近い、アペラシオンの東半分に位置し、Ch. Lafite RothschildとCh. Mouton Rothschildは北東側に、Ch.LatourはSt-Julienに隣接した南東側にあります。
Pauillacの格付けシャトー
Pauillacの格付けシャトーを整理すると、第一級が3、第二級が2、第三級は無く、第四級が1、第五級が12と、偏りが見られることが分かります。
また、格付けそのものも1855年に制定された古いものであるため、現代における実力を正確に反映しているとは言い切れません。
解説も交えながら、格付けシャトーを列挙していきます。
第一級
Ch. Lafite Rothschild
Ch. Latour
Ch. Mouton Rothschild (1973年に昇格)
解説:
第一級シャトー筆頭とされてきたCh. Lafite Rothschildは、その地位を強固に保っているように思えますが、究極的にバランス重視の味わい故か、気候が極端な年(暑くても、寒くても)ではやや苦戦する傾向も見られます。Pauillacの中では極めて珍しく、葡萄畑の母岩が石灰質であることから、驚くほど緻密な味わいと複雑なアロマが感じられます。スタイルの特殊性は際立っていますが、昔ほど他シャトーとの品質的開きは無いと考えるのが妥当でしょう。