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再会 <34> NZで花開く、日本の先進性
Folium Vineyard, Sauvignon Blanc 2020. ¥4,200 正確に数えたわけでは無いが、日本人ワインメーカーが最も多く活躍している国の一つは、間違いなくニュージーランドだろう。 私が飲んだことのあるワインだけでも、以下のようななかなか長いリストが出来上がる。 Kusuda Wines Sato Wines Folium Vineyard Kumura Cellars Koyama Wines Osawa Wines Kunoh Wines Green Songs 他にもまだまだあるそうなので、少しずつテイスティングしていきたいものだ。 NZで活躍するワインメーカーの中で、Sato Winesの佐藤ご夫妻と、Folium Vineyardの岡田さんとは、何かとご一緒させていただく機会に恵まれてきた。 佐藤ご夫妻とはセミナーやワイン業界の若者達を集めた懇親会などでご一緒させていただいたし、岡田さんともセミナーをご一緒させていただいたり、岡田さんが参加されている「ワイン解体新書」でもゲストとして呼んでいただいたりしてきた

梁 世柱
2023年4月2日


出会い <33> 新たな火山のワイン
La Stesa, Tasto Bianco, 2021. 教育者として仕事をしていると、「ワインを理解するために、現地(葡萄畑)に行く必要はあるのか?」という質問を受けることが良くある。 おそらく多くのワイン関係者がYesと答えるであろう質問だが、私の答えはNoだ。 私自身、世界各地のワインを、それなりの規模で網羅する形で学んできたが、実際に訪れたことのある産地は、(大きな範囲で括れば)両手で足りるくらいしかない。 むしろ、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュなどに至っては、少々意識的に避けてきたのもあり、一度も訪れていない。 だが、それらの産地を訪れていないことが、(現実に必要なレベルでの)理解の深まりを本質的に妨げているとは、全く思わない。 理解をするために必要なのは、知識と実体験のコネクトのみであり、理解を深めるために必要なのは、そのコネクトの精度と深度となる。 つまり、正確かつアップデートされた「活きた情報」を収集し(この辺りは少々の英語力が無いと難しいかも知れないが、実際には高校一年生レベルの英語で十分。)、その情報を一方向からだけ

梁 世柱
2023年3月26日


再会 <33> 安心感
Marc Tempé, Riesling Burgreben 2014. ワインを開ける時は、大なり小なり不安を覚える。 そのワインが予想していた味わいなのか。 そのワインが期待していた状態なのか。 ちゃんと開いているのか。 どうしようもなく閉じてしまっているのか。 この不安を覚えるという感覚は、いわゆるクラシック・ワインと呼ばれるものを飲みあさっていた時に染みついてしまったものだ。 ブルゴーニュ、ボルドー、バローロ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。 なけなしの貯金を崩して購入したのに、不安が的中したことは数知れず。 喜び勇んで、そのタイミングで開けてしまったことを、何度となく後悔してきた。 しかし、望んだ結果では無かったとはいえ、飲めなかったわけでも、楽しめなかったわけでもない。 そのタイミングでしか知り得なかった味わい、と割り切れば、ボトルを空にすることは何の苦でも無かった。 では、ナチュラル・ワインの場合はどうだろうか。 不安を覚える、という意味では一緒だが、その内容が少し異なる。

梁 世柱
2023年3月19日


出会い <32> 広域キアンティに潜む宝
È Jamu, Zimbatò Chianti, 2021. 玉石混交のワイン産地、と聞いて私が真っ先に思い浮かべる産地はキアンティだ。 正確に言うと、平均点がずば抜けて高いキアンティ・クラシコ、エレガントなキアンティとして個性が確立しつつあるキアンティ・ルフィーナを除いた、その他のキアンティが対象となる。 それもそのはず、そもそもキアンティの名がつく原産地呼称が色々ある上に、範囲も異常に広いものから、極小エリアまでと、とにかくややこしい。 一応参考までに整理しておこう。 最も広域に渡っているのが、単純なChianti。 歴史的、品質的にも最も重要なのはChianti Classicoで、基本的には広域キアンティとは別物扱いになっている。 広域Chiantiの中には、さらに7つのサブゾーンがある。 中でも(唯一と言って良いレベルで)重要と言えるのは、Chianti Rufina。 そして、Chianti Montalbano、Chianti Colli Fiorentini、Chianti Colli Aretini、Chianti Colli.

梁 世柱
2023年3月12日


再会 <32> 歴史的名作との再会
Ridge Vineyards, Geyserville 2019. ¥6,050 過去に散々堪能したワインと、しばらく疎遠になってしまうことは良くある。 元来の新しい物好きな性格と、最先端を追いかけるジャーナリストという仕事柄も相まって、特に私はその傾向が強い。 どれだけ素晴らしいワインであっても、同じワインを1ケース飲むよりも、12本の異なるワインを飲みたい。 それが今も変わらない、私の本音だ。 だから、「素晴らしい」と分かりきっているワインには、あまり手を伸ばさなくなってしまう。 そして、そのようなワインと感動的な再会を果たすたびに、そのことを少し後悔する。 今回の「再会」は、カリフォルニアのレジェンド・ワイナリーの一つ、Ridge Vineyardsのワインと。

梁 世柱
2023年3月4日


出会い <31> 若者たちのシンプリシティ
Etyssa, Trentodoc Spumante Extra Brut Cuvee No.6, 2017. それはトスカーナ州、モンタルチーノでの一夜。 先日の新シリーズでご紹介させていただいた、Banfiに務めるYoshiさんのご自宅にお招きいただき、胃に優しく染み渡るような奥様の手料理と共に、ワイン談義に花を咲かせていたのだが、私が現地調達したいくつかのワインを持ち込みつつ、Yoshiさんも様々なワインを提案してくださった。 流石に現地在住とあって、知らないワインが多く提示され、実に悩ましかったのだが、何かピンとくるものがあったのが今回紹介する「出会い」のワイン。 Trentodocと聞いてピンとくるのは、よほどのイタリアンワイン通か、その筋の専門家くらいのものだろうか。一応、Ferrariという大メーカーが手がける看板スパークリングワインのラベル下部にも小さく記載されているが、そこに目を向けたことのある人の方が遥かに少数派だろう。

梁 世柱
2023年2月26日


再会 <31> 後継者
Le Casot des Mailloles, Blanc de Casot 2020.

梁 世柱
2023年2月18日


出会い <30> 宝の山
Torrazzetta, Pavarolo Metodo Classico Bianco Brut 2014. 海外のワイン産地を訪れると、隙あらば現地のワインバーに足を運ぶ。 日本でも馴染みのあるワインが、現地で安く、しかも古いヴィンテージが出ていたりしたら飛びついたりもするが、基本的には「知らないワイン」を飲むことの方が圧倒的に多い。 「日本では何でも手に入る」というのは、実際のところは少々大袈裟な表現で、ことワインに限っては、未輸入ワインは山のようにある。 もちろん、日本のインポーターは飛び抜けて優秀で、新しい情報にも敏感なのだから、注目を集めているようなワイナリーは、かなり高い可能性で輸入されている。しかし、それでも「拾いきれない」と言えるほど、この世界は広いのだ。 フランスと並ぶ世界的なワイン大国であるイタリアも、その例に漏れない。 バローロ、バルバレスコ、キャンティ・クラシコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ソアーヴェ、プロセッコ、フランチャコルタ、エトナ。 日本でも知名度が確実に上位に入るそれらのワインであっても、まだまだ未輸入ワ

梁 世柱
2023年2月12日


再会 <30> 先見の明
Moreau-Naudet, Chablis 1er Cru Montmains 2013. 地方に行く機会があれば、できる限りスケジュールに組み込んでいることが一つある。 それは、ワインバーに行くこと。 東京で散々飲んでいるのに、なぜわざわざ地方で?と思う方もいるかも知れないが、これにはれっきとした理由がある。 東京都内にある飲食店の総数は、一つの都市内に存在する数としては、実はぶっちぎりの世界一。 World Cities Culture Forumの2019年度の統計から主要都市を抜粋すると以下のようになる。 No.1 東京、日本(148,582店舗) No.2 ソウル、韓国(83,239店舗) No.4 パリ、フランス(44,896店舗) No.7 ニューヨーク、アメリカ(26,697店舗) No.9 ロンドン、イギリス(18,110店舗) となっている。 そう、東京の飲食店数は世界2位のソウルを約65,000店鋪上回り、4位パリの約3倍、7位ニューヨークの約5.5倍、9位ロンドンの約8倍となっているのだ。 この数字が何を意味しているのか

梁 世柱
2023年2月4日


出会い <29> 後悔先に立たず
Txomin Etxaniz, Getariako Txakolina 2021. ¥3,500 ワインと共に生きる中で、様々な後悔に駆られることは少なからずある。 テイスティング会場で疲れ果ててしまい、途中で脱落した時などは、決まって後で後悔するし、同伴者が喜んでくれるだろう、と心から思ってワインリストをまじまじと眺めてやっと決めた選んだワインが、全然好みから外れてしまった時などは、後悔を超えて、一応プロとしては穴にでも入りたい気分になる。 当然、飲み過ぎたことによる後悔は数知れず。 素晴らしいワインを飲んでいたはずなのに、飲み過ぎてディテールを曖昧にしか覚えてない、というときは、「楽しかったから良し!」と自己弁護はするものの、後悔がずりずりと後ろ髪を引っ張り続けてくるものだ。 そんなさまざまなワインにまつわる後悔の中で、多くの人にとって筆頭に挙がるのは、「もっと飲んでおけば、もっと買っておけば良かった。」だろう。 10年前に一念発起してドメーヌ・ルロワをたくさん買っていれば、今頃小金持ちになれていたかも知れないし、それ以上にもっと飲んでおけば

梁 世柱
2023年1月29日


再会 <29> ボルドーの不思議
Ch. Cos d’Estournel 1990. 駆け出しの頃は随分とボルドーを飲んだ。 左岸の五大シャトー、左岸のスーパー・セカンズ、右岸サン=テミリオンの二大シャトー、右岸ポムロールのカルトシャトー群などなども含め、ありとあらゆるボルドーを飲み漁っていた。 当時はインポーターの試飲会でこれらのワインが出ることも珍しくはなかったので、それなりに無料で体験することもできたのだ。 ただ、私はボルドーが好きだった訳では決してない。 いや、心から美味しいと思えるボルドーに巡り合った回数が、飲んだ本数を考えるとあまりにも少なかった、と書いた方が良いかも知れない。 2000年代以降のボルドーは、徐々に「早飲みもできる」ワインへとアップデートされていったが、それまではとにかく「抜栓タイミングが難しすぎる」ワインが多かった。

梁 世柱
2023年1月22日


出会い <28> その命は、永遠なのか
Julien Courtois, Ancestral 2002. ナチュラルワインは熟成するのか。 実に興味深いテーマだ。 答えを先に言うと、「ワイン次第」とはなってしまうのだが、これは慣行的に造られたクラシックなワインでも同じなので、ナチュラルワインだからどうと言う話でもない。 だが、極一部のナチュラルワインが、完全に常軌を逸したレベルの長期熟成能力をもつに至ることがあるのは、紛れもない事実である。 「常軌を逸した」とは、明らかに一般的な範疇から大いにはみ出していると言うことである。 大袈裟ではない。私は、何度も何度も体験してきたのだから。 偉大なブルゴーニュ、ボルドー、バローロ、リオハがもつ超長期熟成能力が比較にすらならないほどの、この世のものとは思えないような神秘に、私は確かに巡り合ってきた。

梁 世柱
2023年1月14日


再会 <28> ビオディナミとワインの因果関係
Hochkirch, Pinot Noir “Maximus” 2019. ¥6,800 Cause and Effect。小難しい日本語に訳すと、「因果関係」とでもなるだろうか。 ワインという「結果」と、そこに至るまでのプロセスである「要因」の間には、確かに因果関係が認められるケースが多い。ブルゴーニュに、バローロに、リオハに、ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンに宿る「あの味」の後ろ側には、Cause and Effectが、まるで黄金の方程式が如く存在しているのだ。 しかし、この因果関係は、往々にして巨大な誤解の温床となっている。 その理由はただ一つ。本来、要因と結果の関係性は極めて複雑であるにも関わらず、我々の多くが、自らに都合の良い(理解しやすい)情報だけを切り取って、パズルのピースが全然足りていなくても、必死にその限定された因果関係を正当化しようとしてしまうからだ。 有名産地のワインだから美味しい。 有名生産者のワインだから美味しい。 高価なワインだから美味しい。 などというのは、その最たる例で、要因がそもそも時代遅れの権威主義的

梁 世柱
2023年1月8日


SommeTimes 2022年ベスト・パフォーマンス賞
2022年は、筆者の考え方が大きく変化した一年でもあった。 それは、ワインの教科書には必ず名前が載っているような、超有名ワインとの向き合い方だ。 私がワインを学び始めた頃、それらの「偉大」とされるワインの価格は、まだギリギリ手の届くものだった。当時学生の身分だった私にとって...

梁 世柱
2022年12月27日


出会い <27> 70’s Remake
Le P’tit Paysan, Old Vine Cabernet Sauvignon San Benito. ¥3,900 温故知新。 筆者が最も好きな熟語だ。 故きを温め、新しきを知る。 それは単純な過去回帰ではなく、過去のイデオロギーや成果を反芻し、深くリスペクトした上で、その先へと進みながら新たな道理を探求していくことだ。 つまり過去回帰はただの「レプリカ」だが、温故知新は「リメイク」であるということ。 人が現代人として自らの生きた証をたてるなら、当然リメイクの方が手っ取り早い。レプリカにどれだけ精魂込めても、膨大な過去作の大海に、いとも簡単に深く沈みこんでしまうからだ。 もちろん、レプリカそのものを批判している訳ではない。 ただ、レプリカがオリジナルよりも高く評価されることなど、ほとんど無いというだけのことだ。 この真理は、ワインの世界にも当てはまる。 そして、ワインの歴史を振り返ってみると、その時々の「最先端」は、ほぼ例外なく、何かしらの「リメイク」である、という事実が浮かび上がってくる。

梁 世柱
2022年12月25日


再会 <27> 王の帰還
Weingut Keller, Riesling “von der Fels” 2021. ¥9,000 嬉しさのあまり、筆者が30回は観たであろう映画のタイトルをそのままつけてしまったが、ドイツの真の王者であるヴァイングート・ケラーと、このワインにまつわるストーリーを表現するのに、これ以上のキャッチコピーは思い浮かばない。 もう長い間、日本市場から実質的に姿を消していたケラーは、我々に極めて重要な教訓を与えてくれた。 アップデートを怠ると、気づいた時には手遅れになっている、と。 今でこそ、ワイン業界関係者もワイン消費者も世代交代が進み、『ドイツワイン=甘い』、あるいは『やっぱりワインは辛口じゃないと!』(筆者は「辛口マッチョ信仰」と呼んでいる)といった古い考えは消滅寸前まで追いやられているが、この固定概念こそが、日本のワイン市場がドイツのトップワイン争奪戦に完全敗北した、最大の原因でもある。 それは、今から10年以上も前のこと。 当時すでに、明確に辛口路線へと力強く踏み切っていたドイツのリースリングは、ニューヨーク、ロンドンなどの最先端市場で、

梁 世柱
2022年12月18日


出会い <26> 脱フレンチコンプレックス
Cantina Riezo, Ciao Ciao Rosso “Aglianico” 2020. ¥2,600 長い間、不思議に思ってきたことがある。 19世紀後半、ヨーロッパ全土がフィロキセラ禍に襲われた際に、失職したフランス人ワインメーカーの多くがニューワールドへと進出した、という歴史があるとはいえ、それから100年以上経った今でも、なぜフランス系品種ばかりが「国際品種」となっているのか。 確かにフランス系国際品種は、栽培学上も、醸造学上も研究が進んでいるため、導入はしやすいだろう。 しかし、世界中に数多あるテロワールに、フランス系国際品種しか適合しない、と考えるのは流石にどうにも無理がある。 そして、このことが長年疑問視されてこなかった、と言う不思議もまたある。いや、正確に言うと、その他品種にチャレンジはしていたが、売上が悪かったので撤退した、と言うケースもかなりあるのだが、それにしても世界のワイン産業は、異常なほどフランス色の強い文化を受け入れ続けてきたのだ。

梁 世柱
2022年12月11日


再会 <26> Terroir in California
The Ojai Vineyard, Riesling “Kick on Ranch” 2017. ¥4,200 カリフォルニア・ワインと聞くと、どうも派手で煌びやかな印象をもっている人が多いだろう。 多くのワインが「ブランド化」され、ヨーロッパの銘醸ワインを凌ぐ超価格で取引されるワインも少なくない。筆者個人としては、そのような「技術の粋」にはすっかり興味を失って久しいが、より大きなカリフォルニアとして括れば、長大なFavorite Listが出来上がる程度には、強く心惹かれ続けている産地だ。 ちなみに、カリフォルニア州の面積は約424,000㎢。フランス(約643,800㎢)よりは小さいが、ドイツ(約357,600㎢)や日本(約377,900㎢)よりも大きい。 こんなに広ければ、多種多様なテロワールがあって至極当然。そして、テロワールが違えば好適品種もまた異なるというのは、ワイン界の不文律だ。

梁 世柱
2022年12月4日


出会い <25> 世界一のサンソー
Leeu Passant, Old Vines Lötter Cinsault 2018. (国内輸入無し) 南アフリカで様々なエリア、様々な葡萄品種のワインをテイスティングする中で、度々唸らされたのは、やはりLeeu Passantだった。 世界最高峰の醸造家であるアンドレア・マリヌーの抜きん出た才能が、夫であるクリス・マリヌーの卓越した栽培技術によって最大限に発揮される。 二人の名を冠したMullineuxブランドで、その圧倒的な実力は散々証明してきたが、スワートランドに特化したMullineuxとは別プロジェクトとなるLeeu Passantは、南アフリカ各地に極僅かながら残る非常に古い畑とマリヌー夫妻のコラボレーションという、反則的なワインだ。 南アフリカ特集記事の第一章でもLeeu Passantのシャルドネについて軽く触れたが、現地で私の心を強烈に掴んだのは、このワインだった。

梁 世柱
2022年11月27日
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