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Wine Memo <6>
Grain-mur, Brise d’été 風薫る 2022. 日本ワイン、特に長野県や北海道のワインを飲む時に、単純な銘柄や味わいとは別のちょっとした楽しみがある。 その楽しみとは、裏ラベルに小さく書かれた「製造者」の欄にある。 極小生産規模のワイナリー(ワインレーベル)にとって、大変お金のかかる醸造設備を整えるのは簡単ではない。 また、醸造設備をもてたとしても、経済的なことを考えれば、少量生産ではなかなか難しい。

梁 世柱
2023年5月26日


出会い <37> 日本らしさ、長野らしさ
Vino della Gatta SAKAKI, 赤獅子 2022. ¥4,200 日本でのワイン造りが、猛スピードで広がっていることをご存知の方も多いだろう。 特に、長野県と北海道では、毎年のように新しい造り手が数多くデビューしているため、追いかけ続けるのも大変だ。 だからこそ、発見に満ちた地方(?)巡業は楽しいし、長野県東御市にある「東御ワインチャペル」のような、地元産ワインに密着した専門ショップは、私にとっての「駆け込み寺」であり、ここを訪れるのは、ある意味での「聖地巡礼」のようなものだ。 そして、今回の訪問でも、素晴らしい出会いに恵まれた。 ワイナリーの名は、Vino della Gatta SAKAKI。 日本の中では年間の降水量が少なく、晴天率も国内随一となる「中央高原型内陸盆地性気候」、平均10度を超える昼夜の寒暖差、長野では一般的な火山灰由来の粘土質土壌である「黒ボク土」ではなく、「砂礫土壌」が主体、といったテロワールの特徴が見られる長野県坂城町に、葡萄畑が拓かれている。

梁 世柱
2023年5月21日


Wine Memo <5>
Living Roots, Session Sparkling White. ハイブリッド品種のサスティナブル適正に関しては、SommeTimesでも度々触れてきたが、具体例はあまり出していなかったように思う。 私自身、ハイブリッド100%の場合、結構好き嫌いが出てしまうし、単純に料理と合わせることが難しくなると考えているが、ヴィニフェラとのブレンドに関しては、非常に高いポテンシャルを感じている。 それは、味わいにおいても、サスティナビリティにおいてもだ。 少しヴィニフェラを足すだけで、ハイブリッド特有の弱さ、物足りなさが相当カヴァーされるため、むしろ日常用のワインとしては、価格も含めてプラス要素が非常に大きい。

梁 世柱
2023年5月15日


再会 <37> 不人気な超銘醸ワイン
Ch. la Nerthe, Châteauneuf-du-Pape Blanc “Clos de Beauvenir” 2001. 日本のワイン市場は世界屈指の多様性を誇っているが、意外と偏っていたりする部分もある。 そしてその偏りが、「世界的には極めて高く評価されているのに、日本ではなぜか不人気」というカテゴリーを生み出してしまうことがあるのだ。 大きな括りでは、ロゼワインやリースリングなどがその筆頭候補に挙がるだろうか。 そして、ワイン王国フランスにも、日本では不人気な世界的超銘醸ワインが存在している。 ローヌ地方のワインだ。 北ローヌの赤ワインでは、Côte-Rotie、Ermitage、Cornasが、白ワインではCondrieuが名高いが、日本では少数のトップ生産者を除いて、語られることがあまりにも少ない。 南ローヌといえば、なんといってもChâteauneuf-du-Pape(以降、CDPと表記)の赤ワインだが、それなりの頻度でこのワインを飲む人が、日本に一体どれほどいるだろうか。 北ローヌ、南ローヌの銘醸ワインは確かに高価なものも

梁 世柱
2023年5月13日


出会い <36> 食用葡萄の地酒
Rita Farm & Winery, 花火 田舎式スパークリング ニューマスカット. ¥2,500 日本酒を学び始めて間もない頃、どうしても好きになれなかった酒があった。 コシヒカリで造った純米酒だ。 ご存じの方も多いとは思うが、一般的に日本酒は酒造好適米という特殊な米から造られる。ワインで言うところの、ヴィティス・ヴィニフェラ種(ヴィニフェラの全てが醸造用というわけではないが)と同じような「専用原料」だ。 山田錦、雄町、五百万石など様々な酒造好適米が存在しているのだが、コシヒカリはその仲間では無く、普通の食用米となる。 そして、専用原料では無いコシヒカリで造られた日本酒には、ミッドパレットが無い。どうにも構造が緩く、ふわふわしていて、余韻も短い。 昔ながらの価値観では、到底高く評価できるタイプの味わいとはならなかったのだ。 今なぜ、この昔話を持ち出したかというと、「過去を恥じているから」に他ならない。 そういう時代だった、と言ってしまえばそれまでだが、私自身、固定された価値観に縛られていたのは間違いない。しかも、強烈に、だ。

梁 世柱
2023年5月7日


Wine Memo <4>
Cerminara, Ciro DOC Rosato 2020. モンテプルチャーノでワイナリー訪問をした際に、アメリカ・カリフォルニア州のナチュラルワイン系インポーターの人も同席していた。 そのワイナリーとの付き合いはずいぶん古いそうで、彼が扱っているナチュラルワインを色々と持ち込んで、ワインメーカーに飲ませていたのだ。 一通りワイナリーのワインをテイスティングした後で、私も漏れなくご好意に預かったのだが、強いインパクトが残ったワインが一つあった。 それがこのCiro Rosatoだ。

梁 世柱
2023年5月3日


再会 <36> ポツンと系ワイン
Filippi, Turbiana 2018. ¥4,500 テレビ朝日系の「ポツンと一軒家」という番組をご存知だろうか。 日本各地の人がほとんど住んでいないような場所に、なぜか「ポツンと」ある一軒家を紹介する番組だ。 なんとも地味でのほほんとした内容だが、私は妙にこの雰囲気が好きだ。 実は、ワインの探求でも、私はこのような「ポツンと系」ワインに不思議なほど執心していた時期がある。 その地の伝統とは、ちょっとずれた存在のワイン。 もちろん、ヨーロッパ中にあるフランス系国際品種という意味ではない。 伝統の一部でありながら、ちょっと珍しい。そんな塩梅のワインだ。 ただ、当時の私はワインの品質的側面からそのようなワインを探していたのではなかったし、そういうベクトルで評価をしていた訳でもなかった。

梁 世柱
2023年4月30日


出会い <35> ピンクな混ぜこぜワイン
Olivier Cohen, Déferlante Blanc VdF 2022. ¥4,100 ワインは自由だ。 我々はすでに、大手を振ってそう言えるようになったのだろうか。 最近、ワインエキスパートの人からこんな相談を受けた。 「個人的な好き嫌いの主観性が、全然認めて貰えないワイン会が結構あるんです。だいたい、有名な高級ワインが出てくるタイプの会なんですけど、保管状態が悪かったり、単純に美味しくなかったり、場合によってはブショネしてても、美味しいと言わないと怒られそうな、凄い圧力をかけられるんですよ。高いのに、有名なのに、入手困難なのに、あなたにはこの素晴らしさが分からないの?みたいな感じのプレッシャーですね。なんだか、残念な気持ちになります。」 正直、そのタイプのマウンターは絶滅危惧種かと思っていたが、どうやらまだまだ沢山いるようだ。

梁 世柱
2023年4月23日


Wine Memo <3>
Kondo Vineyard, Nakai Mülleワ 2022. ¥2,500 北海道。 山梨県、長野県と並んで、ワイン産地として広く認識されている、数少ない場所の一つだろう。 最近では、特にピノ・ノワール(余市産など)が注目を浴びていて、その品質もかなりのものだが、それ以上に面白いと個人的に感じるのは、ドイツ系品種だ。 適地適品種、という考え方に基づくのであれば、(北海道といっても、ご存じの通り非常に広いので、ものすごく単純化した考え方となるが)共に寒い北海道とドイツの間には、確かに共通点が見えやすい。 (それほどシンプルなものでは決してないが)ドイツで上手くいく品種なら北海道でも、と考えるのは、少なくとも決定的に間違っているということはなさそうだ。

梁 世柱
2023年4月20日


再会 <35> ワインは見た目によらず
Liszt, Traditionaliszt 2020. ¥4,000 ナチュラル・ワイン造りに挑む若者たちは、ラベルを「飾る」ことが多い。 デザイン性が高いラベルはインパクトも抜群で、それだけでも存在感は数倍増しになる。 それ自体は、実に素晴らしいことで、現代のカルチャーにも良くあっていると思う。 しかし、その高いポップ性は、なんとも悩ましい問題を引き起こしているように思えてならない。 いわゆる、「ジャケ買い」だ。 私自身、CD全盛期にはタワーレコードに入り浸ってジャケ買いを繰り返したものだ。 視覚だけで選んだCDの中には、ハズレもあれば、大当たりもあった。 これこそが、ジャケ買いの醍醐味である。

梁 世柱
2023年4月16日


Wine Memo <2>
Ladora Winery, Vang Dalat Classic White 2021. ¥1,400 (Importer : Ladofoods) 私は無類のエスニック料理好きだ。 一応、エスニック=民族という意味なので、本来はあまり好ましくない表現なのだが、日本では主に東南アジア料理を指す言葉として使われている。 中でもタイ料理は特に好きで、バンコクを訪れた際には、「ここなら暮らしていける。」と本気で思ってしまうほど、私の口にはあの辛く刺激的な味が馴染む。 そして、タイ料理とは似ても似つかないベトナム料理もまた、素晴らしい。 ものすごく簡単にタイ料理とベトナム料理の違いを説明すると、スパイスのタイ料理に対して、ハーブのベトナム料理となるだろうか。辛党の私は基本的にタイ派だが、胃に優しいベトナム料理もまた、私のグルメ脳を心地よく刺激する。 今回のWine Memoに登場するのは、そんなベトナムのワイン。

梁 世柱
2023年4月12日


出会い <34> 大銘醸のお隣
Mozzoni Ofelio, Rosso di Montalcino “Greppino,” 2019. ワイン産地を訪れ、地元のワインショップへと足を運ぶ楽しさの中に、「宝探し」がある。 そう、様々な事情(生産量が少な過ぎる、生産者にその気が無い、など)で、産地の外へ出ることが滅多に無いワインをハンティングするのだ。 訪れたのは、トスカーナ州モンタルチーノの街中、モンタルチーノの象徴的建造物でもあるフォルテッツァ(要塞)のすぐ近くにあった、小さなワインショップ。 宝探しが目的だったので、一通り品揃え(素晴らしい地元ワインのコレクション!!!)を眺めた後で、「日本から来たワインジャーナリストです。珍しいワインを探しているので、何か紹介してくれませんか?」と、少々頑固そうな店主に声をかけた。 次々と色んなブルネッロやロッソ・ディ・モンタルチーノを紹介してくれたが、私も(複雑で膨大なイタリアワインはやや苦手な分野とはいえ)ジャーナリストの端くれ。イタリアを代表する超銘醸地のワインなのだから、それなりには知っている。 店主からすると、ひたすら空振りが

梁 世柱
2023年4月9日


Wine Memo <1>
Julien Courtois, Libation. ¥4,800

梁 世柱
2023年4月6日


再会 <34> NZで花開く、日本の先進性
Folium Vineyard, Sauvignon Blanc 2020. ¥4,200 正確に数えたわけでは無いが、日本人ワインメーカーが最も多く活躍している国の一つは、間違いなくニュージーランドだろう。 私が飲んだことのあるワインだけでも、以下のようななかなか長いリストが出来上がる。 Kusuda Wines Sato Wines Folium Vineyard Kumura Cellars Koyama Wines Osawa Wines Kunoh Wines Green Songs 他にもまだまだあるそうなので、少しずつテイスティングしていきたいものだ。 NZで活躍するワインメーカーの中で、Sato Winesの佐藤ご夫妻と、Folium Vineyardの岡田さんとは、何かとご一緒させていただく機会に恵まれてきた。 佐藤ご夫妻とはセミナーやワイン業界の若者達を集めた懇親会などでご一緒させていただいたし、岡田さんともセミナーをご一緒させていただいたり、岡田さんが参加されている「ワイン解体新書」でもゲストとして呼んでいただいたりしてきた

梁 世柱
2023年4月2日


出会い <33> 新たな火山のワイン
La Stesa, Tasto Bianco, 2021. 教育者として仕事をしていると、「ワインを理解するために、現地(葡萄畑)に行く必要はあるのか?」という質問を受けることが良くある。 おそらく多くのワイン関係者がYesと答えるであろう質問だが、私の答えはNoだ。 私自身、世界各地のワインを、それなりの規模で網羅する形で学んできたが、実際に訪れたことのある産地は、(大きな範囲で括れば)両手で足りるくらいしかない。 むしろ、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュなどに至っては、少々意識的に避けてきたのもあり、一度も訪れていない。 だが、それらの産地を訪れていないことが、(現実に必要なレベルでの)理解の深まりを本質的に妨げているとは、全く思わない。 理解をするために必要なのは、知識と実体験のコネクトのみであり、理解を深めるために必要なのは、そのコネクトの精度と深度となる。 つまり、正確かつアップデートされた「活きた情報」を収集し(この辺りは少々の英語力が無いと難しいかも知れないが、実際には高校一年生レベルの英語で十分。)、その情報を一方向からだけ

梁 世柱
2023年3月26日


再会 <33> 安心感
Marc Tempé, Riesling Burgreben 2014. ワインを開ける時は、大なり小なり不安を覚える。 そのワインが予想していた味わいなのか。 そのワインが期待していた状態なのか。 ちゃんと開いているのか。 どうしようもなく閉じてしまっているのか。 この不安を覚えるという感覚は、いわゆるクラシック・ワインと呼ばれるものを飲みあさっていた時に染みついてしまったものだ。 ブルゴーニュ、ボルドー、バローロ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。 なけなしの貯金を崩して購入したのに、不安が的中したことは数知れず。 喜び勇んで、そのタイミングで開けてしまったことを、何度となく後悔してきた。 しかし、望んだ結果では無かったとはいえ、飲めなかったわけでも、楽しめなかったわけでもない。 そのタイミングでしか知り得なかった味わい、と割り切れば、ボトルを空にすることは何の苦でも無かった。 では、ナチュラル・ワインの場合はどうだろうか。 不安を覚える、という意味では一緒だが、その内容が少し異なる。

梁 世柱
2023年3月19日


出会い <32> 広域キアンティに潜む宝
È Jamu, Zimbatò Chianti, 2021. 玉石混交のワイン産地、と聞いて私が真っ先に思い浮かべる産地はキアンティだ。 正確に言うと、平均点がずば抜けて高いキアンティ・クラシコ、エレガントなキアンティとして個性が確立しつつあるキアンティ・ルフィーナを除いた、その他のキアンティが対象となる。 それもそのはず、そもそもキアンティの名がつく原産地呼称が色々ある上に、範囲も異常に広いものから、極小エリアまでと、とにかくややこしい。 一応参考までに整理しておこう。 最も広域に渡っているのが、単純なChianti。 歴史的、品質的にも最も重要なのはChianti Classicoで、基本的には広域キアンティとは別物扱いになっている。 広域Chiantiの中には、さらに7つのサブゾーンがある。 中でも(唯一と言って良いレベルで)重要と言えるのは、Chianti Rufina。 そして、Chianti Montalbano、Chianti Colli Fiorentini、Chianti Colli Aretini、Chianti Colli.

梁 世柱
2023年3月12日


再会 <32> 歴史的名作との再会
Ridge Vineyards, Geyserville 2019. ¥6,050 過去に散々堪能したワインと、しばらく疎遠になってしまうことは良くある。 元来の新しい物好きな性格と、最先端を追いかけるジャーナリストという仕事柄も相まって、特に私はその傾向が強い。 どれだけ素晴らしいワインであっても、同じワインを1ケース飲むよりも、12本の異なるワインを飲みたい。 それが今も変わらない、私の本音だ。 だから、「素晴らしい」と分かりきっているワインには、あまり手を伸ばさなくなってしまう。 そして、そのようなワインと感動的な再会を果たすたびに、そのことを少し後悔する。 今回の「再会」は、カリフォルニアのレジェンド・ワイナリーの一つ、Ridge Vineyardsのワインと。

梁 世柱
2023年3月4日


出会い <31> 若者たちのシンプリシティ
Etyssa, Trentodoc Spumante Extra Brut Cuvee No.6, 2017. それはトスカーナ州、モンタルチーノでの一夜。 先日の新シリーズでご紹介させていただいた、Banfiに務めるYoshiさんのご自宅にお招きいただき、胃に優しく染み渡るような奥様の手料理と共に、ワイン談義に花を咲かせていたのだが、私が現地調達したいくつかのワインを持ち込みつつ、Yoshiさんも様々なワインを提案してくださった。 流石に現地在住とあって、知らないワインが多く提示され、実に悩ましかったのだが、何かピンとくるものがあったのが今回紹介する「出会い」のワイン。 Trentodocと聞いてピンとくるのは、よほどのイタリアンワイン通か、その筋の専門家くらいのものだろうか。一応、Ferrariという大メーカーが手がける看板スパークリングワインのラベル下部にも小さく記載されているが、そこに目を向けたことのある人の方が遥かに少数派だろう。

梁 世柱
2023年2月26日
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