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真・日本酒評論 <7> 低アルコール原酒という新技術

<加茂金秀:特別純米酒 13 火入>


アルコール飲料の低アルコール濃度化、というのは、酒類業界が全体として向き合っている極めて重要な課題として、声高々に叫ばれることが多い。確かに、現代の若者、特にミレニアル世代、Z世代と呼ばれる年齢層の人々は、データ上でみても、酒量が大幅に減っていることは間違いない。実はこの流れは世界規模で起こっており、日本だけの現象では全くないのだ。


新たな世代の嗜好に対応するために、低アルコール濃度化に取り組む。そこだけを見てしまうと、酒というものが、ただ一つの方向へと変化しているように思えるかも知れないが、筆者の意見は大きく異なる


私の考え方の根拠となる最たる例は、コンビニエンスストアにおける、酒類のラインナップだ。


ビール、酎ハイ、リキュール類に絞って陳列棚を眺めるだけでも、そこに驚くほどのヴァリエーションが既にあることに、すぐに気付くはずだ。


完全ノンアルコールのライン、1%を下回る超低アルコールのライン、1~3%の低アルコールライン、5%前後のスタンダードライン、そして、7~9%のストロングライン。


ミレニアル世代以降に絞るなら、低アルコールラインに流れる傾向は強まっているとは思うが、世代の垣根を外して、全体を見ると、「選択肢」が与えられている、という方が正確に思える。


つまり、ライトに飲む時代に突入した、というよりは、幅広いアルコール濃度の選択によって、「酔い方を自分で選べる」時代になったと考える方が、何かとが合うのだ。

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