Luis Pérez, La Barahuela Palma Cortada 2017 ¥10,800
「シェリーはお好きですか?」
私のソムリエ経験の中でも、かなりの回数繰り返した言葉だ。
醸造のどこかの段階で、アルコール(基本的にブランデー)を足してアルコール濃度を上げる「酒精強化ワイン」の一種であるシェリーは、とにかく「好き嫌い」がはっきりと別れる。
甘口が主体のポートなどに比べると、辛口主体のシェリーには、より一層「分かりにくさ」がつきまとうのだ。
ペアリングにおいては、驚くほどのポテンシャルを秘めているにも関わらず、大多数のシェリーペアリングは、「シェリーが好きである」ことが成立の前提条件になってしまう。
本記事は、そんなシェリーに焦点を当てた記事になるため、そもそもシェリーがお好きでない方には、何の興味もそそられない情報になるであろうことを、ご承知いただきたい。
美しいアンダルシア地方の特産品であるシェリーが、時代の流れに乗って、何度かその姿を変えてきたことを知る人は、そう多くないかも知れない。
シェリーの主産地であるヘレス地方では、少なくとも紀元前1100年頃からワイン造りが始まっていたと考えられている。その後、紀元後711年にムーア人によって支配され、蒸留酒の技術がもちこまれるまでは、ヘレスのワインは、酒精強化されていなかった。