Quinta da Muradella, Muradella Blanco 2012
2000~2010年前後頃のスペインワインは、実に楽しかった。
現在はカタルーニャ州の各地やマドリード近郊を中心に新たな盛り上がりを見せ、また違った楽しさが生まれているが、ほんの10年ほど前まで、スペインワインのホットゾーンは、間違いなく北西のガリシア地方だった。
そのシーンを引っ張っていた象徴的存在は、ラウル・ペレス。
天才の名をほしいままにした希代の醸造家は、ガリシアの各地に点在していた気概溢れる造り手たちとタッグを組み、時に自らの名を冠し、時に彼らの名を冠して、数えきれないほどの傑作群を世に送り出していた。
ラウルとタッグを組んだことによって、結果的にその名声や評価が大きく高まった造り手も多く、フォルハス・デル・サルネスのロドリゴ・メンデス(リアス・バイシャス)、アデガス・ギマロのペドロ・ロドリゲス(リベラ・サクラ)などは、すでにスーパースター級の存在となっている。
そんなラウルに連なる造り手たちの中でも、最も地味で、最も奥深く、最も難解かつ異質なのが、今回久々の「再会」を果たした、キンタ・ダ・ムラデッラだ。