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再会 <12> 良薬、口に甘し

L.Garnier, Yellow Chartreuse V.E.P.


シャルトリューズというリキュールをご存じだろうか?


リキュールの女王とも称されるこの魔法の液体は、酒の世界における都市伝説的な存在でもある。


伝承によれば、1605年にフランソワ・アンニバル・デストレなる人物(当時のフランス王、アンリ4世の妾の実兄だったそう)が、カルトジオ会という修道会に、現在のシャルトリューズの元となった手書きのレシピを、「なぜか」渡したことから始まったそうだが、その話が真にシャルトリューズの起源であるという説を確実に裏付けるような証拠は発見(もしくは公開)されていない。


錬金術的な構成となっていたそのレシピには、「長寿のためのエリクサー」と書かれていたそうである。


それから130年後の1735年、忘れさられていた謎のレシピがカルトジオ会の本山であるグラン・シャルトリューズに届けられ、1737年には修道士のジェローム・マウベックによってより洗練されたレシピへと改変された後に、本格的な生産が始まった。当初は販売用ではなかったが、やがて修道士たちが少しずつ売り歩くようになった。


しかし、1793年のフランス革命によって、修道会があらゆる資産を没収されると、しばらくの紆余曲折を経て、1835年にシャルトリューズの生産はヴォワロンの地へと移ることとなった。(2017年にエグノワールに移った)


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