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再会 <45> 新時代の価値観
Lamoreaux Landing, T23 Cabernet Franc “Unoaked” 2021. ¥4800 かつてはマイナスだったものが、時代の変化によって魅力的な要素へと昇華するというのは、ワインの世界においては良くあることだ。 そのようなトレンドのサイクルは、最短だと2~3年、最長でも10年あれば回ってしまうため、つくづく、ワイン業界に身を置く人々が日常的に晒されているアップデートの重要性を痛感する。 ワイン産業全体としての情報量も昔より遥かに多いため、全世界のワイン産地を対象にして研鑽してきた私も、いよいよアップデートを行い続ける対象を取捨選択するタイミングに来ているのではと、思い悩んでもいる。 気候変動が深刻化している近年は特に、私やその上の世代のプロフェッショナルたちが、膨大な時間をかけて理解してきた、世界各地のワインとそのティピシテに関する情報が、急速に「期限切れ」となってきているため、それこそ「世界規模」の学び直しを迫られている。 なかなか厳しい状況だが、また学べるのは幸せなこと、とも言えるので、楽しみながらアップデート

梁 世柱
2023年9月10日


出会い <44> 超マイナー産地に芽吹く、若き才能
Henri Chauvet, Au Chant de la Huppe 2022. ¥7,900 「最近の若いもんは」という言葉が、私は昔も今も大嫌いだ。 若者たちのことを本気で考え、案じた上でそう言っているのなら良いのだが、実際は先達による「自己肯定」の手段以外の何ものでも無いことがほとんど。 わざわざ未来ある若者を卑下してまで美化する必要があるプライドに、何の価値があるのだろうか。 特に現代の若者(ワインの話なので、一応20~30代、としておこう)は、いわゆる「ゆとり世代」になるため、先述のような批判に極めて晒されやすいと感じている。 奇妙なことだ。 大谷翔平、羽生結弦、藤井聡太、高梨沙羅といった、各分野においてすでに歴史を書き換えるような活躍をしてきた偉大な才能たちは、皆20代で、皆ゆとり世代だ。 先人の誰もが成し遂げられなかった偉業を、あっさりと達成する若者を数多く輩出する世代こそがゆとり世代なのだから、それができなかった大人たちが、なぜ彼らを批判できるのだろうか。 先日行われた全日本最優勝ソムリエコンクールに出場していた、中村僚我、山本

梁 世柱
2023年9月3日


再会 <44> 地球の裏側で再会 Part.2
Olifantsberg, Grenache Blanc 2021. ¥4300 日本に輸入されているワインの種類(量ではない)は、世界でも間違いなくトップクラス。銘柄数に関する統計が見当たらないので正確なことはわからないが、もしかしたら世界一の可能性すらある。 しかし、そんな日本にもまだ届いていない未輸入ワインは、世界各地に星の数程存在している。 ジャーナリストとして海外産地を訪問した際に、素晴らしい品質の未輸入ワインに出会うことは良くあるのだが、私はインポーターでは無いので、情報を発信する以外にできることは、ほとんどない。 ツアーにインポーターの方々が同行している時などは、私の発見と出会いが彼らのお眼鏡に叶わないものかと、密かに期待したりしてもいるのだが、なかなかそうもならないものだ。

梁 世柱
2023年8月27日


Wine Memo <11>
Dom. Muller-Koeberle, Mobylette 2021. 俗に「ピンクワイン」と呼ばれる「ごちゃ混ぜ系ワイン」(それほど浸透している呼び名ではないが)に関しては、以前の出会い <35>でも紹介したが、今回は少し違う目線から、この特殊な新カテゴリー候補に関して考えてみようと思う。 再度、ピンクワインの定義(法的な定義はもちろん存在していない)だけは明記しておいた方が良いだろうか。 ピンクワインとは、白ワイン、ロゼワイン、オレンジワイン、赤ワインという主要4カテゴリーのワインを、それぞれ別に醸造した後にブレンドしたワイン(一応、ロゼか赤は必ずブレンドされている、としておこう)のことを意味している。

梁 世柱
2023年8月24日


出会い <43> 二人のマウレ
Il Cavallino (Sauro Maule), Oran-G 2020. ¥4,400 今から12年ほど前のこと。 NYの伝説的なトップシェフとして名高いDavid Bouleyの新店で、ヘッド・ソムリエをしていた頃の話だ。 Davidは、当時まだ完全に無名の若いアジア人ソムリエだった私を見出して、責任ある職を任せてくれた大恩人だ。 そんなDavidは正真正銘の天才(異次元の天才、という表現は彼にこそ相応しい)だったが、とてつもない「無茶振り」や「奇行」が多いことでも知られていた。 まだまだレストランのキャッシュフローが危うい段階だったのに、突然「在庫を3倍に増やせ。」と言ってきたり、セレブ層のために用意しておいた高級ワインを「このレストランの料理には合わない。」と言い出して片っ端から飲み尽くしたりと、今となっては良い思い出だが、当時はなかなか神経をすり減らす日々だった。 猛烈に忙しかったクリスマスシーズンを抜け、少し余裕が出始めた年末のある日、Davidの唐突な無茶振りが飛んできた。 「年明けに子持ち昆布を使った料理を出すから、それまで

梁 世柱
2023年8月20日


再会 <43> ブルゴーニュである理由
Dom. Georges Mugneret-Gibourg, Vosne-Romanée 2014. (市場価格:6~7万円) 少し気が重いが、今日はブルゴーニュの話をしようと思う。 修行時代、どっぷりとクラシックワインに浸かっていた私は、王道のブルゴーニュにも真正面から挑んできた。 「ブルゴーニュは好きか?」(師) 「もちろん。」(私) 「そうか。君がもし、好きじゃない、なんて言ったら、もう君をリスペクトできないところだったよ。」(師) などという、恩師とのなんとも危なっかしい会話は、今となっては一生の記憶に残る思い出だが、このエピソードは、いかにブルゴーニュがワインの世界にとって重要であるかを、物語っているとも言える。 世界各地のワインをテイスティングするようになり、プライヴェートでは、ほぼナチュラルワインしか飲まなくなった今でも変わらず、私はブルゴーニュが好きだ。 ブルゴーニュという神秘的な液体を、一人のワイン人として、最大限にリスペクトしている。 その前提の上で、あえてこう書こう。 単純な品質面で見るのであれば、ピノ・ノワールやシャルドネ

梁 世柱
2023年8月13日


Wine Memo <10>
Ito Farm, Hanamusubi Petillant 2022. 私は物持ちがかなり良い方だ。 特に、家具や家電を壊れてもいないのに買い替えることには、かなり抵抗がある。 日本に戻ってきてから10年が過ぎたが、今ある家具や家電のほとんどが、一度も買い替えられることなく(壊れた洗濯機を除く)、元気に役割を果たしている。 趣味のギター関連機材に至っては、20年以上使い続けているものも数多くある。 大豪邸に住んでいるわけでも、倉庫があるわけでも無いので、何か大きな物を買う時は、以前にあったものを捨てねばならない。 もちろん、過去には捨てたこともあるのだが、その捨てられたものがどこへ行ってどのように処理されるのか、と考えると、どうにも自分の行いが正しいと思えなくなってしまうのだ。 現代風に良く言えばSDGs、昔風に悪く言えば貧乏くさい考え方だが、私は「捨てない」方が心地良い。 同じ目線で、ワインのことを見るのもまた面白かったりする。

梁 世柱
2023年8月10日


出会い <42> 幻の極甘口
L’Arco, Recioto della Valpolicella 2017. ¥11,500 世界三大貴腐ワインといえば、フランス・ボルドーのソーテルヌ、ドイツ(主にモーゼル)のリースリングTBA、そしてハンガリー・トカイのエッセンシア。 バランスに優れた優等生的ソーテルヌ、強烈な甘味と強烈な酸のコントラストがダイナミックなTBA、グラスで普通に飲むとその高過ぎる糖分(と粘性)で、血糖値が一瞬で上がり過ぎるので、専用の小さなスプーンで「舐める」という、何とも尖りまくったエッセンシア。 三大貴腐ワインはどれもなかなか個性があって面白いのだが、ある程度生産量があるソーテルヌ以外(ディケムなどのトップシャトーを除いて)は、どれも非常に高価なワインとなる。 そもそも貴腐菌で萎んだ葡萄から、なけなしの果汁を搾り出して造るのだから、コストが上がるのは当然だが、その最も極端な例であるエッセンシアに至っては、1haの葡萄畑から最大でも1ℓ程度のワインしか造れないという、もはやビジネスとして成立しないレベルのものだ。 三大貴腐ワインの全てを体験すべき、とは流石

梁 世柱
2023年8月6日


再会 <42> The Greatest Riesling on the planet
Weingut Keller, Riesling G.G. “Oberer Hubacker Monopol” 2021. 講演でも、SommeTimesでも、プライヴェートでも、私は底なしの「リースリング愛」を包み隠さず話してきた。 もちろん、シャルドネも、ソーヴィニヨン・ブランも好きだし、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーも好きだ。 ヨーロッパ各地の土着品種にも、ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、テンプラニーリョといった代表的なものに限らず、好きな葡萄品種はたくさんある。 葡萄品種という括りからは外れるが、シャンパーニュだって大好きだ。 それでも、私に至上の感動を与えてくれる、魂を奥底から揺り動かしてくれる唯一無二の葡萄が、リースリングであることには変わりない。

梁 世柱
2023年7月29日


出会い <41> 知ってる人の、知らないワイン
Hervé Villemade, Cour-Cheverny Blanc “Les Acasias” 2020. ¥6,000 ワインとの出会い、といっても、様々。 筆者のように、それなりに長い期間、世界各国のワインに幅広く触れていると、さすがに、「知らない国の、知らない産地の、知らない造り手の、知らない葡萄品種のワイン」、なんてものにはなかなか出会えなくなってしまうが(そろそろ、東欧、北欧、東南アジア、中米辺りにカヴァー範囲を広げるべきか。)、私が学び始めた頃は、知らないことだらけで、記憶に残る出会いがそこら中に転がっていたものだ。 その時に出会った数々のワインとのエピソードは、今も私にとって、モチベーションの源泉であり続けている。 では、そんな私が今、どんな出会いを楽しんでいるのか。 それは、大きく分けると4つのパターンになる。 良く知った国の、知らない産地。 良く知った産地の、知らない地域。 良く知った地域の、知らない造り手。 良く知った造り手の、知らないワイン。 そう、知っているものと知らないものの組み合わせに、私は出会いと刺激を求めてい

梁 世柱
2023年7月23日


再会 <41> Remember Ahr
Meyer-Näkel, Spätburgunder G.G. “Silberberg” 2017. ヒトは忘れてしまう生き物だ。 たとえ相当ショッキングな出来事だとその瞬間には感じていても、情報がハイパースピード化した現代では、忘れるスピードもまた、加速度的に上がっている。 それこそ、9.11や3.11級の、かつ自身に馴染みのある地域で起こった出来事でも無い限り、多くの人々の記憶に焼きついて離れない、ということにはならない。 この悲しい現実は、大震災というカテゴリーについて考えると良く分かる。 6400人強の人々が犠牲になった1995年の阪神・淡路大震災のことを、まだ覚えている人はそれなりにいると思うが、28万人以上が亡くなった2004年のスマトラ島沖地震、31万人以上が亡くなった2010年のハイチ地震のことを覚えている人は、一体どれだけ日本にいるのだろうか。 それだけ多くの人が命を落とした出来事ですら、現代社会においては、芸能人のくだらないお騒がせ程度のことに、簡単に上塗りされてしまう。 世界では、もっともっと深刻な出来事が日々起こっているの

梁 世柱
2023年7月16日


Wine Memo <9>
domaine tetta, Bonbons Colorés 2021. その個性は、消すべきか、活かすべきか。 個性を研ぎ澄ました先にあるオリジナリティか、平均化の成れの果てとしての999/1000か。 人間社会に当てはめると、実にリアルな問題として浮かび上がってくるこのテーマは、ワインの世界でも、ようやくまともに議論がされるようになったのではないだろうか。 そして、その議論の構造もまた、人間社会と酷似している。 個性を尊重する社会に!(品種やテロワールの個性を大切に!)と声高に叫びながらも、現実での個性派は生きづらさ(売りやすさ、分かりやすさ)という呪縛から逃げきれていない。

梁 世柱
2023年7月11日


出会い <40> 極上のローカルワイン
Nomads Garden, Pinot Meunier 2022. ¥3,200 日本は、世界で最も成熟したワイン市場の一つだ。 文字通り、ありとあらゆるワインが入手できるとすら思えるほど、その規模と多様性は、世界でも群を抜いていると言えるだろう。 しかし、そんな日本にもまだ届いていない未知のワインが、実際には驚くほどたくさん存在している。 世界的銘醸地であり、日本でも人気が高いシャンパーニュ地方の例を挙げよう。 シャンパーニュ地方で、ワインを生産(自社栽培、買い葡萄に関わらず)して販売しているワイナリーの数は、2,100社を僅かに上回っている(栽培農家から生産者になるケースが、継続的に増えている)が、上位260社が全体の生産量の約70%を、全輸出量の約90%を担っている。 そして、2,100社強の全てが日本に輸入されているということは全く無い。 シャンパーニュ地方ほどのネームヴァリューがあっても、実態としての輸入は「全てをカヴァーする」規模には決して至らないのだ。

梁 世柱
2023年7月2日


再会 <40> のんびりヌーヴォーの価値
Remi Dufaitre, Beaujolais Villages Nouveau 2022. ¥3000 11月の第3木曜日午前0時。 1985年の制定以降、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁を祝う瞬間として長年親しまれてきた、日本ワイン市場最大規模のイベントである。 近年はその盛り上がりも右肩下がりの傾向にはあったが、決定的な転機が2022年に訪れたことを、記憶している人も多いだろう。 ロシアによるウクライナ侵攻が直接的な要因となって発生した燃料危機に伴い、現地での物価と空路での輸送費が高騰した結果、2022年度のボジョレー・ヌーヴォー輸入量は、前年比45%減ともされる量にまで落ち込んだ。 この数値は、サントリー社の統計によると、ピークを記録した2004年と比べると、なんと85%減にもなるとのことだ。 さらに、価格の高騰を押し切って輸入されたボジョレー・ヌーヴォーは、解禁日から半年以上経った現在でも叩き売りされている光景を頻繁に目にする。 生産者は輸出量減に苦しみ、インポーターは利益の圧縮に苦しみ、酒販店は在庫過多に苦しみ、消費者の多くはそっぽを

梁 世柱
2023年6月25日


Wine Memo <8>
Fermier, Kerner 2022. 私がNYでソムリエ修行を始めて間もない頃は、とにかく手探りで勉強をしていた。 元々は必要に駆られてのことだったが、幼少からの「ハマり症」が功を奏したのか、分厚いワイン教本を読み漁る日々は苦痛ではなく、むしろこの上なく私の知識欲を満たしてくれた。 もちろん、当時まだ学生だった私には、ワインスクールに通うような余裕は全くなく、ひたすら独学で学んでいた。 今は私自身が教育者となり、「あの頃にスクールで体系的に学べていれば」と思うことも少なからずあるが、(随分と遠回りにはなったものの)教えて貰わなかったこと自体は、結果的に良かったと思っている。 自分で考え、感じ取り、理解する力を、ゆっくりと養うことができたからだ。 今回は、私がNYの日本酒バーで働いていた頃のエピソードを、一つ紹介しようと思う。 当時はまだ、ワインの勉強を始めたばかりのタイミングで、フランスやイタリアの超有名産地くらいしか、知識が蓄えられていなかった。 ある日のディナーで、そんな私のセクションに訪れたのは、ワイン関係の仕事をしているらしきアメリ

梁 世柱
2023年6月21日


出会い <39> 偉大なワインの最高の飲み頃
Van Volxem, Riesling Wiltinger Schlangengraben 2002. ワインはいつ開けても良い。 私が常にそう考えている理由は、数多くの先人たちによる、「偉大なワインは、若くても、熟成していても、美味しいものだ。」という類の意見に同調しているからでは無い。 むしろ、「いつ飲んでも美味しい」には全くもって同意しかねる。 「美味しい」という感想は、究極的に主観的なものであるため、当然、個々人の「好き嫌い」とは密接に関わっている。 フレッシュな果実味が全開になった味わいが好きな人も、ほどほどの熟成を経て複雑性を増した味わいが好きな人も、長期熟成によって枯れた味わいが好きな人もいる。 少数派だとは思うが、ワインが若すぎて全然開いてない状態の方が好きな人もいるだろうし、果実味が跡形もなく抜け落ちるほどの熟成状態が好きな人もそれなりにいる。 その嗜好のヴァリエーションは無限大に限りなく等しいため、「美味しい」という主観を、「いつ飲んでも」というフルオープンなコンディションと連動させるのは、流石に無理があり過ぎる。...

梁 世柱
2023年6月18日


再会 <39> ドイツで芽吹く、圧倒的な才能
Moritz Kissinger, Null Ohm Weiss 2021. ¥3900 オーストリア・ウィーン出身の映画俳優で、近年では007シリーズの犯罪組織「スペクター」の首領、フランツ・オーベルハウザー役の怪演でも知られるクリストフ・ヴァルツは、ドイツとオーストリアの違いを、「戦艦とワルツ」と表現した。 もちろん、戦艦はドイツの事を意味し、オーストリアがワルツだ。 確かに、保守的なだけでなく、腰深く構えてゆっくりと着実に直進していく「ドイツらしさ」を戦艦に喩えるのは、(オーストリア人らしいウィットに富んだ表現も含めて)何とも言い得て妙だ。 私自身は、そんなドイツの直進性と保守性が好きなのだが、分かりやすい変化や改革を望む声があるのも重々理解している。 オーストリアは、持ち前のアーティスティックな性質でもって、随分と前から南シュタイヤーマルクとノイジードラーセを中心に新たなスタイルを生み出してきたが、ドイツはどうなのだろうか。 どうか、ご安心いただきたい。 近年、Baden、Pfalz、Rheinhessenを結ぶトライアングルは、世界各国

梁 世柱
2023年6月10日


Wine Memo <7>
Cantina Riezo, Nerello Mascalese Bianco 2022. 出会い <26> 脱フレンチコンプレックスでも紹介した、長野県高山村にあるCantina Riezo。 湯本ご夫妻のイタリア好きが高じて、以前紹介したアリアニコなど、絶妙にマニア心をくすぐるワインを手がけているが、主力商品はシャルドネ。 高山村のテロワールは、日本屈指のシャルドネ(味わいの路線としては、上質なシャブリに近い)を生み出すことができると筆者自身も確信している。 派手さは無いものの、ミッドパレットの充実度が高く、テロワールとの確かな適合を感じられる素晴らしいワインなので、もし見かけたら入手してみていただきたい。 今回ワイナリーを訪問した際には、Cantina Riezoの葡萄畑を湯本さんたちと歩きながら、そんなシャルドネを横目に、私はイタリア品種に関する質問を繰り返したのだが、何よりも印象に残ったのは、ご夫妻の「冷静な判断力」だ。

梁 世柱
2023年6月9日


出会い <38> 第四のサンジョヴェーゼ
Le Rogaie, Morellino di Scansano “Forteto” 2022. Chianti Classico、Brunello di Montalcino、Vino Nobile di Montepulciano。 気高き三大サンジョヴェーゼに続く産地は、いったいどこなのだろうか。 再会 <38>で紹介したValdarno di Sopra D.O.Cは(品質、総合力、平均点の高さ、秀逸な造り手の数から見れば)一押しではあるものの、他にも優れた選択肢は存在するのだろうか。 例えばCarmignano D.O.C.Gは、歴史的にも「第四のサンジョヴェーゼ」の地位に在り続けてきたと言えるが、個人的には少々同意しかねる部分がある。 Carmignanoは、数あるトスカーナ州のサンジョヴェーゼ主体産地の中でも、異質な存在だからだ。

梁 世柱
2023年6月4日


再会 <38> 最先端の古きもの
La Salceta, Valdarno di Sopra Sangiovese “Ruschieto” 2019. 特集記事で、トスカーナ州のサンジョヴェーゼを深堀りし続けてきたが、Chianti Classico、Vino Nobile di Montelpulciano、Brunello di Montalcino以外にも、優れたサンジョヴェーゼはある。 候補としては、Chianti Ruffino、Carmignano、Morellino di Scansano、Montecucco辺りが挙がってくると思うが、個人的に最も三大銘醸地の地位に近いと考えているのは、Valdarno di Sopra D.O.Cだ。 その名は歴史の中に埋もれてしまってきたが、1716年にコジモ三世が出した現代の原産地呼称制度の原型とも言える「布告」に含まれていたのは、Chianti、Pomino、Carmignano、そしてValdarno di Sopraであった。

梁 世柱
2023年5月28日
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