Gió Hills, thoải mái Blanc 2021. ¥2,700
長野県・千曲川ワインヴァレー特集の第2章でも触れたが、2022年現在、ワインを品種名で売らないといけない時代が終焉へと向かっている。
ヨーロッパ伝統国の複雑な原産地呼称制度を覚えなければ、何もワインのことがわからない。そんな極端に高いハードルを、「品種名で売る」というアイデアが豪快に破壊し、ワインの裾野を広げるために、多大なる貢献をしてきたのは間違いない。
筆者がソムリエ修行をしていたニューヨークでも「品種名の便利さ」は顕著で、ごく一部の熱心なワインマニア以外は、ほぼ必ず品種名でワインを選んでいた。それがどの国のワインであっても、だ。
原産地呼称よりもはるかに使い勝手の良い「共通言語」となった品種名は、ワインをサーヴィスする人と、ワインを飲む人たちの間のコミュニケーションを劇的に簡素化し、様々なミス・コミュニケーションや、ロスト・イン・トランスレーションのリスクを低下させてきた。
実は、品種名でワインを売るというアイデアが、これほどまでに強力な効果を発揮できたのには、理由がある。
そう、ひと昔前のワインは、そのようなコミュニケーションが容易なもの、つまり世界規模で見ても、画一的と言えるスタイルのワインが圧倒的に多かったのだ。