Envinate, Palo Blanco 2020. ¥4,700
スペインにおいて、進化のタイミングはクラスター的に発生することが多い。
近代を振り返ってみても、「四人組」を中核としたプリオラート、ペスケラを中心としたリベラ・デル・デュエロ、ラウル・ペレスを中心としたガリシアなど、各地域がまるで順番待ちでもしているかのように異なるタイミングで、突然現れたスター生産者に引っ張られながら進化を果たしてきた。
しかし今スペインで起こっている進化は、これまでの例とは少し異なっている。
一つの生産者がムーヴメントを引っ張っている点では相変わらずだが、今回のスーパースターは、なんと三箇所の全く異なる地域で、同時多発的に進化を促しているのだ。
造り手の名は「エンヴィナーテ」。
2005年のデビューから瞬く間に、スペインワインのスタイルを大幅にアップデートした、新たな「四人組」だ。
大学の同窓であったロベルト・サンタナ、アルフォンソ・トレンテ、ラウラ・ラモス、ホセ・マルティネスは、ガリシア地方のリベイラ・サクラ、アルマンサ地方のフミーリャ、そしてカナリア諸島という3つの遠く離れた産地を飛び回りながら、(一応、担当地域はあるそうだが)四人の叡智を常に合わせながらワイン造りに挑んできた。