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出会い <94> 日本ワインの新たな方程式
The Rias Wine, Albarino 凪 2024. ¥3,200 日本における現在進行形のワイナリー設立ブームには、不安を覚える側面も多くあるが、希望の光も同時に多く見えている。 その最たる光とは、フランス系国際品種偏重からの脱却だ。 そもそも、ヨーロッパの中には、日本のワイン産地と気候条件がある程度近しい産地が、フランス以外にそれなりにある(むしろ、フランスの中にはあまり無い。)のだが、1980年代以降の日本ワインの発展は、実質的にフランス系品種に支配されてきた。 醸造用ブドウは、ちゃんと熟してこそ、真に意味性をもつ。 適していないテロワールで無理やり育てられ、結果としてしっかりと熟していない葡萄から造られた、密度が極端に低く薄いワインに、「日本らしさ」という言い訳を覆い被せるのは、実にナンセンスだと私は常々主張してきた。

梁 世柱
2025年11月25日


激レアジビエとの豪快ペアリング
ジビエの季節がやってきた、と秋の深まりが告げてきた。 普段はあまり口にしない肉類に、舌鼓を打つ。 そんな時期がたまらなく好きなのだが、そもそもジビエの定義とはなんだろうか? ジビエとは、狩猟によって捕獲された、野生の鳥獣肉のことを指す。 そう、初めから食用として育てられた牛、豚、鶏などの畜産肉と決定的に異なる点は、狩猟肉であるという部分だ。 一般的な肉類以外をジビエ、と呼ぶことも多いように見受けられるが、本来の定義とは異なるため、一応頭には入れておいた方が良いだろう。 さて、そんなジビエ類の中で、日本で最も広く親しまれているのは鹿肉で間違いない。次いで、猪肉だ。 他にも、熊、うさぎ、鴨、キジバトなどの名が挙がるが、鴨は畜産肉であることも非常に多いので、ここも注意が必要だ。 そして、今回の主役であるジビエは、かなりのレア物。 食べる肉、としては、一般的にほぼ馴染みがない。 アナグマ肉だ。

梁 世柱
2025年11月23日


SommeTimes’ Académie <116>(イタリア・シチリア州: Part.2)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はイタリア・シチリア州について学んでいきます。 近年の大躍進によって、イタリアを代表する銘醸地の一つとして数え上げられるようになったシチリア州は、黒葡萄、白葡萄共に、極めて優れた地品種が多数揃った産地です。 シチリア州はそのままシチリア島でもありますが、約25,700平方kmという広大さもあり、非常に多様なテロワールを有しています。 シチリア州編第2回では、シチリアをイタリアで最も優れた産地の一つへと押し上げた、Etnaに関して学んで行きます。

梁 世柱
2025年11月22日


SommeTimes’ Académie <115>(イタリア・シチリア州: Part.1)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はイタリア・シチリア州について学んでいきます。 近年の大躍進によって、イタリアを代表する銘醸地の一つとして数え上げられるようになったシチリア州は、黒葡萄、白葡萄共に、極めて優れた地品種が多数揃った産地です。 シチリア州はそのままシチリア島でもありますが、約25,700平方kmという広大さもあり、非常に多様なテロワールを有しています。 シチリア州編第1回では、唯一のD.O.C.G.であるCerasuolo di Vittoriaに関して学んでいきます。

梁 世柱
2025年11月20日


再会 <94> 見つからない伝説
Valentini, Montepulciano d’Abruzzo 2012. この世界に「伝説」とされるようなワインは、意外とたくさんある。 そして、その多くは、伝説と呼ばれる割には、簡単に探し出すことができる。 ただし、プレミア価格がついて二次市場で高額取引されるケースが残念ながら非常に多いため、実際の問題は、見つかるかどうかではなく、その対価を払えるかどうか、になるのだ。 もし誰かが私に、ロマネ・コンティを探して欲しいと頼んできた場合、ヴィンテージと価格にさえ縛りがなければ、数分もあれば探し出すことができるし、そもそも空港の免税店でも売っていたりする。 では、本当に見つからない伝説のワインとはどういうものなのだろうか。 真っ先に思い浮かぶのは、ヴァレンティーニだ。

梁 世柱
2025年11月18日


韓国で芽吹く、驚きのクラフトビールシーン
韓国を久々に訪れた目的は、伝統酒(スル)のリサーチにあったのだが、ライフワークの一環として、気分転換に韓国産のクラフトビールを口にしたとき、強烈な衝撃を受けた。 ご存知の通り、日本でもクラフトビールの熱狂は長く続いており、「クラフトな」ビールを醸造するブリュワリーもまた、雨後の筍が如く急増し続けている。 私自身、非常に深い興味をもっているエリアであるため、日本産のクラフトビールは相当な数をテイスティングしてきているが、実は心から美味いと感じるクラフトビールは決して多くない。 ただし、ここはあくまでも私の主観によるもの、と前置きしておいた方が良いだろう。

梁 世柱
2025年11月17日


酢豚とのピーキーなペアリング
日本で親しまれている中華メニューの中でも代表格の一つである、酢豚。 その起源はかなり古い。 中国料理には、古くから酸を用いた調理法が広く存在していたと考えられており、唐の時代(7~10世紀)頃には、すでに酸っぱい味付けの肉料理が文献に記録されている。 インドから伝えられた砂糖製造技術が広く普及し始めた明の時代(14世紀〜)には、砂糖と酢を混ぜた「甘酢」を用いた料理も一般化した。 そして、現代風酢豚の原型とも言える料理は、清の時代末期(19世紀末頃)に広州で誕生した、グーロウロウだとされている。

梁 世柱
2025年11月15日


出会い <93> またまた出会った、最高のイタリアマイナー品種
Vignamato, Lacrima di Morro d’Alba 2022. 完全な専門分野として特化でもしない限り、イタリアのマイナーの地品種ワインは、とてもとても追いきれるものではない。 ブレンドまで含めると、そのヴァリエーションはまさに無数であり、そしてその事実は、我々を永遠に楽しませてくれるものでもある。 ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、アリアニコ、ネレッロ・マスカレーゼといった高名な葡萄への敬愛はなかなか捨てきれないので、ついついそういったワインに手を伸ばしがちだが、そこに「安心」はあっても、「驚き」はよっぽどのワインでも無い限り、そうそう訪れてはくれない。

梁 世柱
2025年11月10日


Wine Memo <36>
Astobiza, Arabako Txakolina “Pil Pil” 2024. ¥3,200

梁 世柱
2025年11月9日


SommeTimes’ Académie <114>(イタリア・ピエモンテ州: Part.7)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はイタリア・ピエモンテ州について学んでいきます。 イタリアを代表する銘醸地の一つであるピエモンテ州は、黒葡萄、白葡萄共に、イタリア国内でも最高レベルと目される地品種が多数揃った、偉大な産地です。 トスカーナ州に比べるとやや小規模なワイナリーが多い点、葡萄畑が分割相続される点などから、フランス・ブルゴーニュ地方との類似点も見受けられます。 ピエモンテ州編第7回では、ピエモンテ州で最も古くから名を馳せた白ワインの産地、Gaviについて学んでいきます。

梁 世柱
2025年11月6日


再会 <93> デキャンタージュは万能薬ではない
Mathilde et Yves Gangloff, Côte Rôtie La Serène Noire 2010. 私は普段、無闇にデキャンタージュすることを、非推奨としている。 長い間瓶の中で強い還元的状態に置かれていたワインを、ウルトラデキャンターのような大きなデキャンタに移してしまうと、急激な酸化によって、ある種の過呼吸的なパニック状態に陥ることがある。 そのワインが秘めていたあらゆる繊細さが失われ、豊かな香りは消えさり、果実味は二次元的になる。 そのような最悪の結果を避けるために、デキャンタージュするかの判断は、極めて慎重に行うべきだと考えている。

梁 世柱
2025年11月3日


椎茸と定番品種のベストペアリング
秋が深まり、冬の足音も目の前まで迫っている中、季節感たっぷりの食材として、きのこ類を食すことも増えてきた。 現代では、菌床栽培が普及したことによって、大体のきのこは通年味わうことができるのだが、やはり「旬は旬」だと思う。 今回は、旬を迎えている椎茸を題材にしていこう。 椎茸に旬?と思う人も多いとは思うが、椎茸にもちゃんと旬が存在している。

梁 世柱
2025年11月2日


Wine Memo <35>
Arnoux-Lachaux, Vosne-Romanée 1er Cru Les Chaumes 2013. 先代のワイン、と聞くと、不思議とロマンの香りが漂ってくる。 ただしそのロマンは、往々にしてノスタルジアに似たものであり、ワインそのものの素晴らしさとは、少し評価の軸がずれたところにポイントが置かれていることも多くある。(その逆もまた然りだが。) 今回のWine Memoで取り上げたいのは、ブルゴーニュの「先代」ワイン。 ヴォーヌ=ロマネ村の古参ドメーヌとして知られたロベール=アルヌーが、2008年に改称して誕生したのが、アルヌー=ラショーだ。

梁 世柱
2025年10月31日


SommeTimes’ Académie <113>(イタリア・ピエモンテ州: Part.6)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はイタリア・ピエモンテ州について学んでいきます。 イタリアを代表する銘醸地の一つであるピエモンテ州は、黒葡萄、白葡萄共に、イタリア国内でも最高レベルと目される地品種が多数揃った、偉大な産地です。 トスカーナ州に比べるとやや小規模なワイナリーが多い点、葡萄畑が分割相続される点などから、フランス・ブルゴーニュ地方との類似点も見受けられます。 ピエモンテ州編第6回では、赤ワイン白ワイン共に優れたワインを産出するRoeroに関して学んで行きます。

梁 世柱
2025年10月31日


出会い <92> 中国ワインの巨星
Dan Sheng Di, Célèbre Red 2018. もう、6~7年前だろうか。私が初めて最高峰の中国ワインをテイスティングしたとき、少なからずショックを受けた。 今ではすっかり日本国内でも知名度が上がったAo Yunは、日本で造られる同形品種のワインが(品質的に)到達することが極めて難しい領域にすでにいると、認めざるを得なかった。 もちろん、品質だけがワインの全てではない。 その国、その産地だからこそ成し得た個性には、素晴らしい価値が宿る。 ただし、ワインをそのような価値観でもって受け止めることができる人は、国産バイアスが強烈にかかる初心者か、あらゆる国々のワインを飲み重ねてきた、歴戦の玄人くらいなものだ。

梁 世柱
2025年10月28日


牛スユクと海の赤ワインでペアリング
韓国料理の中には、日本ではあまりお目にかかることがない絶品料理が少なからずある。 中でも、私が大好物の筆頭に挙げたくなるほど好きなのが、スユクだ。 スユクは漢字では水肉と書き、文字通り「ゆでた肉」のことである。 豚の三枚肉、肩肉、もも肉などをゆでた豚スユクは、実際にはサンチュ、エゴマで包んで「ポッサム」として楽しむ食べ方が、日本でもそれなりに浸透しているだろう。(そういう意味では、ポッサムはスユクの一種。) 日本ではあまり浸透していない、そしてより高級で高品位な料理とみなされているのは、牛スユクの方だ。 スネ肉、肩肉も用いられるが、最上のものはコラーゲンを多く含む希少部位であるブリスケ(肩バラ肉の一部)で間違いないだろう。

梁 世柱
2025年10月27日


韓国伝統酒の奥深き世界 Part.2
Part.2では、韓国伝統酒(スル)の中で、マッコリ以外の主要なものを解説していこう。 チョンジュ 漢字(韓国ではすでに漢字の公的使用が実質的に廃止されている)では「清酒」と書くチョンジュは、マッコリを濾した後の上澄みだけを抜き出したスルである。 つまり、マッコリはどぶろくと、チョンジュは日本の清酒とシンクロするような関係性にある。 マッコリに比べると遥かにマイナーな存在ではあるが、古代三国時代(4~7世紀)の文献にはすでに、宮廷で濁酒と清酒を使い分けていたと記述されているため、歴史は非常に古い。 李氏朝鮮王朝時代(14末〜19世紀末)には、ポプジュ(法酒)と呼ばれた宮廷専用のチョンジュが重用され、特にキョンジュ(慶州)で造られたものは、キョンジュポプジュと呼ばれて名を馳せた。

梁 世柱
2025年10月26日


SommeTimes’ Académie <112>(イタリア・ピエモンテ州: Part.5)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのがSommeTimes’ Académieシリーズ。初心者から中級者までを対象としています。今回はイタリア・ピエモンテ州について学んでいきます。 イタリアを代表する銘醸地の一つであるピエモンテ州は、黒葡萄、白葡萄共に、イタリア国内でも最高レベルと目される地品種が多数揃った、偉大な産地です。 トスカーナ州に比べるとやや小規模なワイナリーが多い点、葡萄畑が分割相続される点などから、フランス・ブルゴーニュ地方との類似点も見受けられます。 ピエモンテ州編第5回では、北ピエモンテ地方における、2つのネッビオーロ銘醸地に関して学んで行きます。

梁 世柱
2025年10月22日


再会 <92> 折衷派バローロの真髄
Aldo Conterno, Barolo Bussia Cicala 2017. ブルゴーニュの爆発的な高騰が終息しないなか、いわゆる「グラン・ヴァン(偉大なワイン)」を飲みたいと思った時、私の食指がバローロ・バルバレスコへと動くことは格段に増えた。 かねてから、最上クラスのバローロ・バルバレスコは、ブルゴーニュに対しても全く見劣りしないと考えてきたが、これほど価格差が開いてしまうと、もはや私には偉大なブルゴーニュを自ら買って楽しむ「言い訳」を探すことが不可能となっている。 ブルゴーニュのグラン・クリュ一本に10万円を支払うなら、最高のバローロを4本飲みたい、というのが私の本音である。 さて、そんなランゲ地方の雄たちだが、現在はモダン派、古典派、折衷派の3大スタイルが共存している。

梁 世柱
2025年10月21日
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