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Advanced Académie <31> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Meursault
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、 Advanced Académie の新シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第三回は Meursault をテーマと致します。 特級畑こそありませんが、全体的に一級畑

梁 世柱
2024年2月6日


Alvarinho大垂直テイスティング
昨年末の Vinho Verde ツアー最終日、大トリとなったワイナリー訪問は、 Mon çã o e Melga ç o を代表する名ワイナリー、 Soalheiro だった。 Soalheiroは 1974年 に、ジョアン・アントニオ・セルデイラと彼の両親が、サラザール政権下で領地の端へと追いやられていた葡萄樹を、ひとつなぎの畑全体に植え直したことをきっかけとしてスタートした。 以降、徐々にその名声を高め、Alvarinhoの王者となったSoalheiroは、現在 3世代目 へと突入している。 中核を担うのは 二人の姉弟 。 姉のマリア・ジョアンは栽培を担当し、オーガニック農法を自社畑で導入した。 また、美しい自社畑に自生するハーブや花から、ハーブティー(筆者も購入して帰国後に飲んだが、驚くほど美味しかった!)を開発したりと、多方面でのサスティナビリティーにも余念が無い。 弟のアントニオ・ルイシュは醸造を担い、伝統の継承とさらなる洗練に邁進している。Soalheiroが極小規模で手掛ける数々の「実験的ワイン」は、彼の先進的

梁 世柱
2024年2月3日


9つの個性 <ポルトガル特集:Vinho Verde後編>
処理しきれない多様性は、混乱を生む。 放置されたままの混乱は、拒絶を生む。 そして拒絶は、理解を遥か彼方へと遠ざける。 それでも構わない、という人々を責めるつもりなど、私には毛頭無い。 それもまた、多様性の一部なのだから。 興味とは常に私的なものであり、探究は往々にして孤独な旅だ。 そして、もしあなたが、その道を辿りたいと願うなら、この声無きことばを、せめてもの道標としていただきたい。 Sub-Regionの全体像 Vinho Verdeには9つのサブ・リージョンが制定されている。 しかし、実態としての各サブ・リージョンの特性を探っていくには、情報を整理し、取捨選択しつつ、工夫も重ねていく必要がある。 Vinho Verdeが内包する多様性は、あまりにも膨大で複雑なものである。 原産地呼称制度でもって、その全てに理路整然とした枠組みを作るのは、不可能とすら言えるだろう。 もちろん、最終的には「上澄み」を含めた方が当然面白いのだが、まずは数多くの「例外」を丁寧に取り除きながら、テロワールの本質へと迫っていくの

梁 世柱
2024年1月31日


Advanced Académie <30> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Chassagne-Montrachet
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、 Advanced Académie の新シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 なお、クリマ内に含まれる小区画( lieux-dix )も一つのクリマとしてカウントしますが、

梁 世柱
2024年1月27日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.4 <旨味>
Part.1 で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の優先順位がワインとは大きく異なります。 3番目に優先順位が高い要素となるのは、 「旨味」 。 ワインペアリングにおいては限定された手法に留まる「旨味」の活用が、日本酒では非常に重要な要素となります。 ではまず、ペアリングにおける「旨味の基礎理論」が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。 ブリッジ(接続) 料理か飲料のどちらかに強い旨味が存在している場合、双方の繋がりを強める 「ブリッジ(接続)」 の効果が働きます。

梁 世柱
2024年1月26日


Advanced Académie <29> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Puligny-Montrachet
Advanced Académie の新シリーズは、ブルゴーニュにおける葡萄畑(クリマ)の ランキング企画 となります。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、 同階層内でも優劣が生じます 。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 なお、クリマ内に含まれる小区画( lieux-dix...

梁 世柱
2024年1月20日


古くて新しい銘醸地 <ポルトガル特集:Vinho Verde前編>
2ヶ月連続で同じ国を訪れる、というのは初めての経験だった。 D ã o の日差しと、 Bairrada の海風がまだ肌の記憶に残ったまま、再びポルトに降り立った。 今回の目的地は Vinho Verde だ。 Vinho Verdeは、日本では最も知られているポルトガルの産地であると同時に、最も理解されていない地でもある。 長年に渡って安価なワインを超大量生産し続けた産地は、どこもかしこも同じような問題を抱えているが、 Vinho Verdeが急ピッチで繰り返してきたアップデートに、世間が全く追いついていない 。 まるで、現地では最新のWindows 11を搭載しているのに、日本ではWindows 98のままで止まっているかのようにすら思える。 リアルタイムのVinho Verdeは、 ポルトガル最高峰の白ワインが生まれる、紛れもない銘醸地 なのだが、今でも過小評価のどん底から抜け出す気配すらない。 だからこそ、責任をもってお伝えしようと思う。 この特集記事が、Vinho Verdeが見直されるきっかけになることを

梁 世柱
2024年1月16日


チゲとオレンジワイン
長年レストランの現場にいた私にとって、ペアリングと 「料理へのリスペクト」 は切っても切り離せないものだ。 寄り添う、引き立てる、混ざり合い高め合うなど、様々な方法論があるが、どの場合も「料理あってこそ」のペアリングであり、ペアリングによって 「ワインだけが美味しく(良く)なってしまう」という結果は、少なくともガストロノミーという局面においては、NG である。 しかし、プライヴェートにおいてはその限りではない。 むしろ、その結果がこれ以上なく楽しいことは多々ある。 今回ご紹介する特殊なペアリング例は、レストランではなかなかできないタイプのものだ。

梁 世柱
2024年1月14日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.3 <風味>
Part.1 で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の優先順位がワインとは大きく異なります。 「甘味」に次いで優先順位が高い要素となるのは、 「風味」 。 ワインペアリングにおいては、上から5番目の要素が、日本酒ペアリングでは2番目となるため、注意が必要です。 ただし、 「風味」に対する考え方は、ワインと日本酒では少々異なります 。 ワイン の場合、「レモンのような酸味」といったように、 具体性を伴った味わい として捉えた方が有効ですが、 日本酒 の場合は、 具体性よりも「総合的な強さ」が重要 となります。 では、ペアリングにおける「風味の基礎理論」が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。

梁 世柱
2024年1月11日


未完の銘醸地 <ポルトガル特集:バイラーダ編>
少しマイナーな産地で、驚くべきワインの数々と出会った時、私は一人のワイン人として、この上ない喜びを覚える。 日本では話題に上がることすらないような未開の地に足を踏み入れると、私はジャーナリストとして、強い使命感を感じる。 真摯にワインと向き合い、楽しみ、喜ぶ人たちと出会う度に、私はワインを好きになって本当に良かったと心から感じる。 Bairrada への一人旅は、そんな「出会い」に満ち溢れていた。 歴史 Bairrada が、ワイン産地として公式にその境界線を定められたのは 1979年 。 その事実だけを見るとまるで新興産地のようだが、真実は異なる。 10世紀 にはすでに、キリスト教徒によってワイン造りが行われていた Bairrada は、 古都コインブラ (1139年から1255年までの間、ポルトガルの首都でもあった)、そして北西部の 大都市ポルト にとって、極めて重要なワインの供給源だった。

梁 世柱
2023年12月30日


ヴィニュロンの一年 <2023年12月>
2023年も残り僅か。 今年の1月から毎月執筆してきた「ヴィニュロンの一年」も今月で最後となり、私のブドウ畑での作業は一区切りとなる。 1月の剪定から10月の収穫まであっという間に時間が過ぎ、収穫されたブドウ達はワインへと変化、ブドウ樹達は来春までの長い休眠期へと入った。...

ソン ユガン
2023年12月28日


Chinonが魅せるテロワールの妙
テロワール とは、 ワイン趣味の真髄 であり、 醍醐味そのもの だ。 その場所でその葡萄が育てられたからこそ現出するユニークな味わい は、ワインという飲み物に 無限の変数 をもたらす。 生産者の個性や産地全体としての特性ももちろんあるが、結局どの生産者もどの産地も、...

梁 世柱
2023年12月27日


Quinta do Noval ~谷間のグラン・クリュ・ポート~ <ポート特集:Part3>
ポートの銘醸地Cima-Corgoの中心部、ドウロ川沿いを南北に挟み込む段々畑は、世界遺産として良く知られた風景だが、最高位の「A」にレーティングされる グラン・クリュは、川沿いにだけあるわけではない 。 少し内陸に入ったエリアにも、見過ごすべきではない、いや、 より重要とすら言えるグラン・クリュゾーン が存在しているのだ。 Cima-Corgoの中心にある ピニャオン から北部の アリージョ (スティルワインの産地として要注目の場所であるため、別の機会でレポートする。)に至る中間地点に広がるのが、ポート用(スティル用としても)の葡萄畑としては 最上位の筆頭候補 とすら言える、 Vale de Mendiz 。 ポート用 としては Taylor’s の看板ヴィンテージ・ルビーの一角を成す Quinta de Terra Feita が、 スティル・ワイン用 としては Niepoort の野心とウィットに富んだ Charme の葡萄畑があることでも知られているが、Vale de Mendizの象徴といえば、なんといっても Quinta

梁 世柱
2023年12月26日


Ferreira ~南向き斜面のグラン・クリュ・ポート~ <ポート特集:Part2>
ポルトガル第二の都市 ポルト で、ポート・ワインハウスの ロッジ(貯蔵庫) を訪れて感心したのは、その ワインツーリズムとしての圧倒的な完成度と豊かさ だ。 ポート自体が造られているのは、基本的にDouroだが、硬く分厚いシスト土壌の母岩を掘って広大な地下セラーを造ることは現実的ではなかったことから、歴史的にポートは船で(今はもちろんトラック)ポルトへと運ばれ、巨大な貯蔵庫での熟成を経て出荷されてきた。 ポルトを横断するドウロ川の南側に位置する ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア には、高名なポート・ハウスのロッジやショップが軒を連ね、ギュスターヴ・エッフェル(パリのエッフェル塔で知られる)が設計した美しい マリア・ピア橋 と並んで、ポルトの街を象徴する景色となっている。 今回の旅でロッジを訪問( Kopke も訪れたが、ロッジ見学をしたのは系列ブランドの C á lem )したのは、ポートの名門 Ferraira 。 1751年 にフェレイラ家によって創立されたFerreiraは、19世紀に入るとドナ・アントニア・アデレイデ・フェレイラの辣

梁 世柱
2023年12月22日


Kopke ~北向き斜面のグラン・クリュ・ポート~ <ポート特集:Part1>
歴史深いポート最上のエリアとして名高い、ドウロ川中流域の Cima-Corgo 。 ドウロ川沿いの超急斜面に切り開かれた、壮大な テラス状の段々畑 は圧巻そのもので、この風景が ユネスコ世界遺産 に登録されているということに、誰も異論など抱かないだろう。 このような場所を訪れるたびに、(少なくとも筆者が携帯しているカメラでは)写角に全く収まりきらない雄大な景色を、目と記憶にしっかり焼き付けるようにしている。 さて、本レポートの主役となる、最古参(1638年創業)のポート・ハウスである Kopke(コプケ) について語る前に、Douroにおける葡萄畑の格付けを解説しておこうと思う。 詳細は下の表にまとめてあるが、興味深い点をピックアップしておこう。 1948年 、アルヴァロ・モレイラ・ダ・フォンセカによって確立された Douroの葡萄畑格付け は、ワイナリー単位ではなく、 葡萄畑そのものが対象 となっているため、基本的にはブルゴーニュ方式だが、その範囲と評価方法はシャンパーニュ地方にかつて存在したエシェル・デ・クリュのそれに近い

梁 世柱
2023年12月21日


時代遅れのNew and Old
オールドワールド、ニューワールド。 ボーダーレス社会の現代では、ともすれば問題視されかねないこの言葉を日常的に使っているのは、おそらく ワイン関係者だけ である。 そして本来は、 「大航海時代以前からワイン造りを(産業レベルで)行っていたか否か」 に基づいて定義付けられていたはずの言葉は、ワイン市場がグローバル化し続ける中で、その 意味を拡張 させてきた。 原初の定義 であれば、 純粋な歴史的事実に基づいた、単純な地理的区分け であるため、現代でも当然通用して然るべきだ。 しかし、 拡張された定義 が今、 大きな誤解の温床 となっている。

梁 世柱
2023年12月16日


日本酒ペアリング基礎理論 Part.2 <甘味>
Part.1 で解説した通り、日本酒ペアリングにおいては、ペアリング構築の 優先順位 がワインとは大きく異なります。 基本的に、優先順位がより高い要素は、 「明確に強い効力を発揮する」 ため、日本酒ペアリングにおいては、表の通り 「甘味」を最優先 に考えていきます。 日本酒そのものが「甘い」飲み物、というわけでは決してありませんが、ワインとの比較で考えた場合、酸味と甘味(果実味)のバランスが味わいの中核を成しているワインに比べ、 日本酒はそのバランス感が甘味側に強く偏っています 。 では、ペアリングにおける「甘味の基礎理論」が、日本酒にどのように適用されるかを見ていきましょう。

梁 世柱
2023年12月13日


100年前からの贈り物 <ポルトガル特集:ダオン後編>
SommeTimes上で 別府岳則 氏が2021年に ポルトガル特集記事 を寄稿した際、氏はポルトガルのことを、 「一周遅れでトップを走っているように見えるランナー」 と表現した。 「一周遅れ」 とは、 パーカリゼーションを含む近代化に乗り遅れた ことを意味し、 「トップを走っているように見える」 とは、 結果的に古い伝統や混植畑を守ってきたことが、世界でも稀な価値となった ことを意味する。 私にとって、今回の旅の大きな目的の一つは、現在のポルトガルワインが、氏が半ば疑問形で投げかけた「トップを走っているように見える」という状況通りなのか、それとも 「本当にトップを走っている」 のかを、自らの目と鼻と舌で確かめることだった。 先に結論を言おう。 私が体感したポルトガルワインの今は、もはや周回遅れでも、トップを走っているように見えるだけでもなく、 真のトップランナーそのもの であった。 全体像 ダオンもまた北部ポルトガルの通例に漏れず、葡萄畑は 伝統的に多品種混植 で仕立てられていたが、19世紀後半以降はフィロキセラ禍、モノポリー、クローン技術の進

梁 世柱
2023年12月4日


復活した銘醸地 <ポルトガル特集:ダオン前編>
初めての国を訪れる時は、いつも不思議な高揚感に包まれる。 雲のように掴みどころがないのに、カーテンの隙間から差し込む光のように、いつの間にか一点へと集約していく、どうにもチグハグな感情。 約1日かけた長旅を終え、私はついに降り立った。 ヨーロッパ最後の、ヴェールに覆われたワイン王国、 ポルトガル に。 深夜にポルト空港へと到着し、慌ただしく迎えの車に乗り込む。 想像していたより、遥かに綺麗に舗装された、滑らかな道が続く。 長旅による眠気と疲れ、体の節々を襲う鈍痛、周囲を覆う暗闇、車内を流れるポルトガル・ミュージック。 初めて目にするはずの風景を楽しむこともなく、車は淡々と走り続けた。 単調で抑揚のない時間が、私の緊張をなだめていく。 1時間半後、ようやく最初の目的地に到着した。 かつてローマ街道の要所として栄えた古都 Viseu(ヴィゼウ) 、そして、ポルトガル屈指の銘醸地として名高い、 D ã o(ダオン) だ。 注:日本では D ã o =ダンと表記されるケースが多いが、現地の発音を重視し、SommeTimesでは一貫してダオンと表記する。

梁 世柱
2023年11月29日


ヴィニュロンの一年 <2023年11月>
収穫の終わったブドウ畑は静まり返っている。 あの収穫前の熱気や、興奮が渦巻いていた空気感は一切なく、紅葉したブドウ達が何事もなかったかの様に、ただ風に揺られ佇み、落葉が地面を覆っている。 収穫を終えた数日後、久し振りに畑を訪れて後片付けをし、それから暫く畑には行かなかった。 昨年もそうであったが、なぜか少し距離を取りたくなってしまう。 しかし、 2024年シーズンは既に始まっている 。 葉の紅葉や落葉の状態、枝の登熟具合を確認しながら、今シーズンの栽培を振り返り、来年へ向けて見直しを考えていかなければならない。 【紅葉】 周りの山々草木が美しく色鮮やかに紅葉している。ブドウ畑も同様に葉の色が変わり、黄色や赤など一面を彩っている。 「紅葉」とは、気温の低下に伴って光合成効率の下がった葉の、葉内クロロフィル分解による老化反応であり、且つ落葉および再利用物質の回収準備でもある。

ソン ユガン
2023年11月28日
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