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再会 <37> 不人気な超銘醸ワイン
Ch. la Nerthe, Ch â teauneuf-du-Pape Blanc “Clos de Beauvenir” 2001. 日本のワイン市場は 世界屈指の多様性 を誇っているが、 意外と偏っていたりする 部分もある。 そしてその偏りが、「 世界的には極めて高く評価されているのに、日本ではなぜか不人気 」というカテゴリーを生み出してしまうことがあるのだ。 大きな括りでは、 ロゼワインやリースリング などがその筆頭候補に挙がるだろうか。 そして、ワイン王国 フランス にも、日本では不人気な世界的超銘醸ワインが存在している。 ローヌ地方 のワインだ。 北ローヌ の赤ワインでは、 C ô te-Rotie、Ermitage、Cornas が、白ワインでは Condrieu が名高いが、日本では少数のトップ生産者を除いて、語られることがあまりにも少ない。 南ローヌ といえば、なんといっても Châteauneuf-du-Pape(以降、CDPと表記) の赤ワインだが、それなりの頻度でこのワインを飲む人が、日本に一体どれほどいるだろうか。...

梁 世柱
2023年5月13日


出会い <35> ピンクな混ぜこぜワイン
Olivier Cohen, D é ferlante Blanc VdF 2022. ¥4,100 ワインは自由 だ。 我々はすでに、大手を振ってそう言えるようになったのだろうか。 最近、ワインエキスパートの人からこんな相談を受けた。 「個人的な好き嫌いの主観性が、全然認めて貰えないワイン会が結構あるんです。だいたい、有名な高級ワインが出てくるタイプの会なんですけど、保管状態が悪かったり、単純に美味しくなかったり、場合によってはブショネしてても、美味しいと言わないと怒られそうな、凄い圧力をかけられるんですよ。高いのに、有名なのに、入手困難なのに、あなたにはこの素晴らしさが分からないの?みたいな感じのプレッシャーですね。なんだか、残念な気持ちになります。」 正直、そのタイプのマウンターは絶滅危惧種かと思っていたが、どうやらまだまだ沢山いるようだ。

梁 世柱
2023年4月23日


再会 <33> 安心感
Marc Tempé, Riesling Burgreben 2014. ワインを開ける時は、大なり小なり 不安 を覚える。 そのワインが予想していた味わいなのか。 そのワインが期待していた状態なのか。 ちゃんと開いているのか。 どうしようもなく閉じてしまっているのか。 この不安を覚えるという感覚は、いわゆる クラシック・ワイン と呼ばれるものを飲みあさっていた時に染みついてしまったものだ。 ブルゴーニュ、ボルドー、バローロ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。 なけなしの貯金を崩して購入したのに、 不安が的中した ことは数知れず。 喜び勇んで、そのタイミングで開けてしまったことを、何度となく後悔してきた。 しかし、望んだ結果では無かったとはいえ、 飲めなかったわけでも、楽しめなかったわけでもない 。 そのタイミングでしか知り得なかった味わい、と割り切れば、 ボトルを空にすることは何の苦でも無かった 。 では、 ナチュラル・ワイン の場合はどうだろうか。 不安を覚える、という意味では一緒だが、その 内容が少し異なる 。

梁 世柱
2023年3月19日


再会 <31> 後継者
Le Casot des Mailloles, Blanc de Casot 2020.

梁 世柱
2023年2月18日


フリーランスの観点から考察する、地方とワイン
ソムリエ朝倉達也です。 フリーランスとして独立をし、自らの会社を設立してちょうど1年が経った。 いざ自身で始めると今まで知らなかった事が本当に多いことに気が付いて、まだまだ至らぬ点は多いながらも独立して良かったと感じている。...

SommeTimes特別寄稿
2023年2月17日


再会 <30> 先見の明
Moreau-Naudet, Chablis 1er Cru Montmains 2013. 地方 に行く機会があれば、できる限りスケジュールに組み込んでいることが一つある。 それは、 ワインバーに行く こと。 東京で散々飲んでいるのに、なぜわざわざ地方で?と思う方もいるかも知れないが、これにはれっきとした理由がある。 東京都内にある飲食店の総数は、一つの都市内に存在する数としては、実はぶっちぎりの世界一。 World Cities Culture Forumの2019年度の統計から主要都市を抜粋すると以下のようになる。 No.1 東京、日本(148,582店舗) No.2 ソウル、韓国(83,239店舗) No.4 パリ、フランス(44,896店舗) No.7 ニューヨーク、アメリカ(26,697店舗) No.9 ロンドン、イギリス(18,110店舗) となっている。 そう、東京の飲食店数は世界2位のソウルを約65,000店鋪上回り、4位パリの約3倍、7位ニューヨークの約5.5倍、9位ロンドンの約8倍となっているのだ。 この数字が何を意味してい

梁 世柱
2023年2月4日


Think Simple
Sommetimes読者の皆様、こんにちは。 ライターの森本 浩基です。 暑さが少し和らぎ、これからより一層ワインが美味しく感じる季節ですね。 さて今回は、ワインを飲むシチェーションのお話です。 シェフ自慢のスペシャリテと共に、ピカピカに拭き上げられた上質なグラスでソムリエ...

SommeTimes特別寄稿
2022年10月6日


セミヨンという選択肢
福岡市は今年(2022年)、ボルドー市と姉妹都市を締結して40周年を迎える。 福岡市とボルドー市の交流の歴史は長く、1977年に当時の九州日仏学館館長から両市縁組の話がもち込まれ、その後、九州大学とボルドー大学の姉妹校提携など市民レベルでも交流を重ね、類似箇所が100箇所以...

SommeTimes特別寄稿
2022年8月26日


再会 <18> 塗り替えられる「ティピシテ」
Christophe Pacalet, Côte de Brouilly. 2020 ¥4,800 プライヴェートではほぼナチュラルワインオンリーの筆者は、同類の例に漏れず、ガメイが大好きだ。 華やかなベリー香に、ほのかなワイルド感が加わる蠱 惑的 なアロマ。 ピュアな果実味と踊るような酸。 軽やかで、伸びやかで、自由なワイン。 そんな ナチュラルガメイの聖地 といえば、当然 ボジョレー である。 マルセル・ラピエール をはじめとして、ナチュラルワインを代表するような偉大な造り手たちがひしめくこの地のワインを飲んで人生が変わった、と言う人にも数えきれないほど出会ってきた。 そんな聖地にも今、 温暖化と言う荒波 が押し寄せている。 1970年代頃 までのボジョレーは、 アルコール濃度11%を超えることは滅多にない ワインだった。 やがて、徐々にインターナショナル化していったボジョレーは、 補糖によって12.5%程度までかさ増し することが一般的となった。 12.5%は、それでも 十分気軽にグビグビ飲める 、というアルコール濃度であり、ガメイ特有の「

梁 世柱
2022年8月7日


シャブリ近郊で造られるクレマン・ド・ブルゴーニュが美味しい理由。
現在、私が働いている恵比寿のワインマーケット・パーティーは改装の為休業中。 10月上旬のリニューアルオープンに向けて動いております。 ワイン好きでも、そうでなくても楽しいショップにしていきますので、オープンしたら遊びに来てください。 色々な試飲もできるようにしておきます。...

SommeTimes特別寄稿
2022年7月28日


未来のワインリストを考える(前編)
2022年2月、Wine spectator誌のRestaurant Awards(ワインリスト賞)にエントリーするため、ワインリストのスペルチェックやメンテナンスを行っておりました。 Wine spectator’s Restaurant...

SommeTimes特別寄稿
2022年7月15日


再会 <15> 最後の再会
La Ferme de la Sansonnièr, Anjou “Vignes Françaises en Foule” 2002 敬愛する造り手は誰か、と問われたら、私は真っ先に彼の名を思い浮かべる。 マルク・アンジェリ 。 フランスのロワール渓谷で、孤高のワインを生み出す 賢人 だ。 マルクは『 ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール (以下、 サンソニエール )』という名の農場を経営しており、ワイン造りだけに留まらず、驚異的なジュ・ド・ポム(リンゴジュース)や、ミエル(蜂蜜)なども生産している。 農園は1990年から既に ビオディナミ で管理され、マルク自身も自然の力を最大限に引き出すために苦心しながら、様々な挑戦を続けてきた。 特定のワインに対してあまり思い入れをもたない筆者にとっても、そんなマルクのワイン(サンソニエール)は特別な存在だ。 なにせ、私とサンソニエールの間には、いくつものエピソードがある。 もう15年以上前になるだろうか。 当時は、いわゆるクラシックワインというものを集中的に学んでいた私が、徐々にナチュラル回帰の世界へと引

梁 世柱
2022年6月26日


孤高のアルザス <Rolly-Gassmann>
北東フランスの銘醸地、アルザス。 歴史的に数多くの侵略を受けてきた「東の玄関」は、今もまだ、いびつな多様性という形でその影響を強く残している。 ワイン産地として見れば、フランスとドイツの文化が融合した場所であり、同じくドイツ領となっていた時代があったロワール地方のモゼールと...

梁 世柱
2022年6月11日


片岩偏愛 ロワール・アンジュの官能
片岩、その名前を聞いて、ワインの味わいをイメージできる人がどれほどいるでしょうか。 そもそも土壌とワインを結びつけて飲むことに、どれほどの意味があるでしょうか。 ワインの世界ではその文化が始まって以来、土壌と味わいの関係性についてずっと考えられてきましたし、現在も研究は続い...

SommeTimes特別寄稿
2022年6月3日


再会 <13> アリゴテの覚醒
Benjamin Leroux, Bourgogne Aligoté 2018, ¥4,340 長年のブルゴーニュファンであれば、 アリゴテ という葡萄のことをご存じの方も多いだろう。 ブルゴーニュで栽培されるシャルドネ以外の葡萄品種としては、最も良く知られているアリゴテだが、 その評価は極めて低かった と言える。 もちろん、 ドメーヌ・ドーヴネ (不世出の大天才、マダム・ビーズ・ルロワが率いるドメーヌ)のアリゴテのように、突然変異的に異常な品質に到達したワインはあったものの、アリゴテと言えば「安いけど、薄くて酸っぱくて微妙」というのが定評だった。 DRC (世界で最も高価なワイン群の一つを手がける、ブルゴーニュのトップ・ドメーヌ)の所有者も、(プライベートワイナリーの ドメーヌ・ド・ヴィレーヌ として)ブルゴーニュのマイナーエリア(ブーズロン)でアリゴテに注力してきたりもしたが、それも影響力としてはあまりにもピンポイントだった。 ドーヴネにしても、ドメーヌ・ド・ヴィレーヌにしても、造り手がとにかく有名過ぎたため、アリゴテ自体の評価を上げたとい

梁 世柱
2022年5月29日


ワイン × 映画 「未来は過去を変えている」
ワインを題材にした映画といえば、「モンドヴィーノ Mondovino」、「ボトルドリーム Bottle Shock」などのドキュメンタリータッチの作品や、アカデミー脚色賞を受賞した「サイドウェイ Sideways」を思い浮かべる方は多いと思います。...

SommeTimes特別寄稿
2022年5月19日


歴史を楽しむ
長い新型コロナ禍で外食の機会が減る中で、読書をする時間が増えている方もとても多いと思います。 ワインはやはり気のおけない仲間たちと飲むのが一番美味しいですが、自分も一人飲みがだいぶ増えました。元々読書をしながらお酒を飲むことが多かったので、あまり苦にはなってませんが、早く日...

SommeTimes特別寄稿
2022年5月12日


もう一つの究極
今回取り上げさせていただくのは、デザートワインの中でも「とてつもなく贅沢な」と言った意味をもつ、「レクストラヴァガン」・ド・ドワジ・デーヌ。 生産者: Château Doisy Daëne / シャトー ドワジ・デーヌ ワイン名: L'Extravagant de...

SommeTimes特別寄稿
2022年5月6日


抑えられない欲求
京都から東京に戻り、はや一年。 思えば東京に戻って早速足を運んだのが、ラヴニールというインポーターのG.パクネスの試飲会でした。 ウイエ(*1)してるシャルドネに、していないサヴァニャン、プールサールもいい!そしてヴァンジョーヌ(*2)!!...

SommeTimes特別寄稿
2022年4月28日


曇り空の向こうへ <シャブリ特集:後編>
変わらないための努力をしていくのか。変わっていくための努力をしていくのか。たった2つしかない選択肢が示されたとき、そしてその両方が茨の道であると知ったとき、人はどちらを選ぶのだろうか。 混迷の中にある銘醸地 シャブリ は、まさに今、 岐路 に立たされている。 選択をするのは、 この問題の当事者である造り手 であり、あくまでも 傍観者 である我々飲み手では決してない。 しかしその選択は、否応なしに、 飲み手の審判を受ける ことにもなる。 造り手と飲み手は、本質的に 並列の関係 にあるのだ。 造り手がいるからこそ、飲み手はワインを味わうことができる一方で、そのワインに対価を支払う飲み手がいてこそ、造り手はワイン造りを続けることができる。 だからこそ、飲み手に見限られるという最悪の結末を、世界に名だたる銘醸地シャブリが迎えるようなことは、決してあってはならない。

梁 世柱
2022年3月27日
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