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ワイン × 映画 「未来は過去を変えている」

ワインを題材にした映画といえば、「モンドヴィーノ Mondovino」、「ボトルドリーム Bottle Shock」などのドキュメンタリータッチの作品や、アカデミー脚色賞を受賞した「サイドウェイ Sideways」を思い浮かべる方は多いと思います。


また、古き佳きモノクロ映画から現代まで、多くの俳優(女優)にシャンパーニュが彩りを添えてきました。


オードリー・ヘップバーンは、モエ・エ・シャンドン(昼下がりの情事)やドン・ペリニョン(おしゃれ泥棒)。ジュリア・ロバーツは、イチゴと共に(プリティ・ウーマン)。ジェームス・ボンドは、ボランジェ(007)。そして、ハンフリー・ボガードはマム(カサブランカ)。「君の瞳に乾杯Here’s looking at you kid.」という台詞はあまりにも有名ですね。


では、日本映画はどうでしょう。「ウスケボーイズ」のようなノンフィクション小説が原作の作品以外は、ワインは登場しても銘柄はほとんど公表されていません。


映画の同時視聴会(zoomトークイベント)で、作品と俳優(女優)に合わせるワインのセレクトを依頼されたのが、ちょうど1年前の4月でした。

映画のプロフェッショナルによる実況解説を聴きながら、ワインを片手に作品を共に鑑賞する贅沢なひと時。 このような時代だから生まれた、新たな「映画とワインの触れ方」です。

オンラインイベントの長所は、全国各地(海外を含む)の参加者と繋がれること。ご好評いただき、イベントでセレクトしたワインは1年間で10銘柄になりました。


今回ご紹介するのは、2021年11月に映画のオフィシャルライターの方と開催したイベントでセレクトした白ワインです。


映画は、2019年11月に公開された「マチネの終わりに」。(原作・平野啓一郎 主演・福山雅治 ヒロイン・石田ゆり子)

舞台は、パリ・セーヌ川沿いの瀟洒(しょうしゃ)なレストラン。主人公の「薪野」と「洋子」の、最初で最後の逢瀬(デジュネ)に寄り添っていた1本の白ワイン。ワインクーラーから、ネックの細長いボトルがのぞいています。



セレクトしたのは、「畑の芸術家」マルク・テンペ Marc Tempe 氏の限定キュヴェ「Alliance 2018」。 また、ペアリングのフードとしてアペタイザー3種 (by Cuveee) を合わせました。

ビオディナミで育てた多種の地ブドウをアッサンブラージュし、フードルで24ヶ月発酵・シュールリー熟成ワイン名の「Alliance アリアンス」は「協力」、「結婚指輪」という意味で、ブドウが仲睦まじくという思いが込められています。

色調は、グリーンを帯びたイエロー。白桃やカリンと紅茶の香り、柑橘系の果実味と柔らかなテクスチャー。 温厚で包み込むようなマルク・テンペさんの人柄を表す味わいは、昼下がりの語らいにふさわしいブラン。


実は、映画の撮影が行われた2018年11月。私はフランスに出張中で、パリでこのシーンの撮影現場に遭遇したのです。そして、滞在中に主人公の二人と同じように食事をしてワイングラスを傾けました。 それだけに、大変思い入れのある作品でした。

また、この年の4月にはワインの造り手マルク・テンペ氏とお逢いしています。この時が11回目の来日で、お嬢様のお名前が「Marie」さんと伺いご縁を感じました。

まさに、「未来は過去を変えている」。

主人公「薪野」の台詞であり、この映画のテーマです。


美術だけでなく映画も、ワインも、そして料理もアート(芸術作品)と言われますが、それは人の手間がかけられた「手造り」だから。共通して宿るものは「美」であり、それを観て味わう人の心を美しくします。 時代が移り変わっても、ワインと映画が密接な関係を保ち続けている理由かもしれません。

ステラリマリーとして、今後のイベントについてもリアル、オンライン共にオーダーメイド(手造り)に拘ってまいりたいと思います。 次回、皆様とお目にかかれる日を心待ちにしております。


生産者 : Marc Tempe /マルク・テンペ ワイン名 : Alliance /アリアンス 葡萄品種 : Pinot Blanc /ピノ・ブラン Silvaner/シルヴァネール Chasselas/シャスラ

ワインタイプ : 白ワイン 生産国 : France /フランス 生産地 : Alsace /アルザス

ヴィンテージ : 2018 インポーター : ディオニー 参考小売価格 : ¥3,100 【テロワール】 アルザス南部の中心、コルマールから7kmほど進んだ南西向きのツェレンヘベルグ村。 降雨量が少なく、乾燥した地域でブドウにしっかりと糖度がのる。 標高は225〜260m、粘土石灰土壌をべースに、ヴォージュ山脈の花崗 岩や黄色みを帯びた石灰の混じる多様な土壌は、様々なブドウ品種に適合し、ミネラルが豊富でふくよかな味わいを生み出す。 【アルザスのヴィオディナミスト】 総面積8haの畑で1993年からビオロジックによる栽培を始め、1996年ビオディナミに転向し、エコセール認証を受けている。 「おいしい畑はかたつむりも知ってるよ。」 化学肥料や農薬をいっさい使わず、芽かきによる収量制限や夏季剪定も行わない。 「テントウ虫が生きたまま出てこられるくらい優しいプレスなんだよ。」 9月に選果しつつ手摘み収穫。 房、茎をつけたまま優しく5〜6時間かけてプレス。(インポーター資料より抜粋) 【シャンパン・アペ Cuveee by eat-link】 スパークリングワインや白ワインにそっと寄り添うアペタイザー。 ホームパーティや大切な人との優雅なひと時に心ときめくプロローグを。シェフソムリエ監修


<ソムリエプロフィール>

秋山 まりえ / Marie Akiyama ステラマリー株式会社 / Stella Marie Co., Ltd. 代表取締役 CEO ステラマリー☆ワイン会主宰 ワインイベントのプロデュース(メーカーズイベント、ペアリングディナー、ウェビナーの開催) レストランコンサルティング、ワインギフトのセレクションなど。 東京都中央区出身。総合商社を退職後、2006年に出逢ったモルドバワインが転機となり資格を取得。J.S.A. ソムリエ、WSET® Advanced Certificate 2011年8月より4年間、ワインバーにてソムリエールとして経験を積む。 2015年7月 ステラマリー株式会社 設立。代表取締役CEOに就任。 2015年9月 第1回ステラマリー☆ワイン会を開催。(次回214回目)

2019年7月「ワイナートWinart」ウェブサイトにて、日本人女性として初のフランス版ミシュランガイド一つ星を獲得した神崎千帆シェフとのパリでの対談(全5回)が連載される。 2021年9月「ワイナートWinart」106号にて、「ワインと人。〜a Story〜」連載開始。現在、108号(2022年4月号)にて掲載中。 ☆ステラマリーは、ワインが繋ぐ一期一会を大切にしております。






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