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特異点の完全性 <オーストリア・ヴァッハウ特集前編>
オーストリアで、総合的に最も優れた産地はどこか。 いくら捻くれた性格の私でも、その問いに対しては、一瞬のためらいもなくWachau(ヴァッハウ)と答える。 テロワールの質と好適品種として根付いた葡萄の極まった相性、品質の最高地点と最低地点の平均値、逸脱して優れた造り手の数、オーガニック比率の高さ。 どれをとっても超一級であり、白ワイン以外ほとんど造られていない、ということが弱点にすらならないほど、ヴァッハウの特異性は限界突破している。 それでも私は、日常的にヴァッハウを飲むことはほとんどない。 「不完全なものにこそ、人間性を感じる。」という、私の「人」としての在り方が、ヴァッハウの完全性とは本質的に相容れないからだ。 ヴァッハウを飲む、という行為は、私にとっては美術館で人類史に残るほど優れたアートを鑑賞するに等しく、実に非日常的な行動である。 同じような理由が、ブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュ、モーゼル、ラインガウなどにも当てはまるように思われるかも知れないが、そうではない。

梁 世柱
2024年8月30日


Advanced Académie <41> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Gevrey-Chambertin
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第13回はGevrey-Chambertinをテーマと致します。 Vosne-Romanée、Chambolle-Mu

梁 世柱
2024年8月28日


PIWI品種とナチュラルワイン <オーストリア・シュタイヤーマルク特集:Part.3>
気候変動とナチュラルワインは、すこぶる相性が悪い。 低介入醸造を可能とする葡萄の必須条件はいくつかあるが、その最たるものは、低いpH値(単純化すると、高い酸度)と、高いポリフェノール類の熟度だ。 気候変動の一部である温暖化は、糖度の上昇を大幅に加速させるため、低介入醸造を重要視する造り手たちは、アルコール濃度の抑制と低pH値のために、早摘みを余儀なくされる。 しかし、過度の早摘みは未熟なポリフェノールともダイレクトに繋がるため、結局問題が起こる。 この堂々巡りを回避するために、栽培品種が今の気候に適しているかどうかも含めた畑仕事の根本的な見直しや、糖度上昇の加速によって劇的に狭まった「適熟」のスイートスポットを、決して逃さないように収穫することが、かつてないほど重要になっているが、当然それも、簡単なことではない。 特に収穫タイミングに関しては、超速で飛ぶジェット機を、連写機能を一切使わずに写真に収めるようなものだ。 栽培に関しては他にも、オーガニックという大きなカテゴリーの生産者に対しても、問題がのしかかっている。 ..

梁 世柱
2024年8月16日


Advanced Académie <40> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Vosne-Romanée
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第12回はVosne-Romanéeをテーマと致します。 世界で最も高価なピノ・ノワールの産地であるVosne-Rom

梁 世柱
2024年8月14日


出会い <65> 新世代のスタイリッシュなナチュラルワイン
Peltier Ravineau, les Bois brûlés 2023. ¥3,800 世代が変わればワインの味も変わる、というのは、ワインの世界では延々と繰り返されてきたことだ。 基本的には、だいたい10年単位で一世代と括ることができるので、私がワインを学び始めてから20年ちょっとの間に、その前の世代とさらに前の世代を遡って体験したことを踏まえれば、少なくとも四世代分、様々な産地の変化を見届けてきたことになる。 もはや多少の変化では驚きすらしなくなってきたことには、少々の寂しさと物足りなさを覚えもするが、それは仕方のないことだろう。 近年の世代交代で見られてきた変化の全体感を捉えると、オーガニック化と、テロワール重視への大幅な醸造技術のシフトという二つの傾向が真っ先に挙がる。 そしてその変化は、クラシック、ナチュラル関係なく、あらゆるジャンルのワインに及んでいる。

梁 世柱
2024年8月11日


煮物とワイン
日本料理とワインの間に、およそ「伝統」と呼べるような関係性はまだ構築されていないし、日本料理と日本ワインの組み合わせが、他国のワインを使った時よりも優れているとも到底思えない。 クラシック・ペアリングとは、同じ地域の料理とワインが、非常に長い年月「同じ食卓」にあり続けた結果である。そして、その成り立ちも完全に恣意的なものではなく、潜在的集合意識が長期間にわたって働き続けたことによる偶発性が高いものだ。 つまり、極限まで噛み砕いて表現するのであれば、「なんとなく」が積み重なり続けた結果とも言える。 しかし、日本料理とワインのペアリング自体は基礎理論をしっかりと駆使すれば十分に対応可能だ。

梁 世柱
2024年8月11日


再会 <65> 大ピンチを救ってくれた、思い出のワイン
La Biancara (Angiolono Maule), Sassaia 2022. ¥3,700 約12年前の年末、私は大ピンチに陥っていた。 当時NYのワイン業界では無名に等しかった私を、なぜか新プロジェクトのワインディレクターとしてヘッドハントした、今は亡き大恩師でもあるシェフ、デイヴィッド・ブーレーは、紛れもない天才中の天才だったが、いわゆる「サイコ」としても知られていた。 無理難題を突如押し付けてくるのは日常茶飯事、その荒波をなんとか乗り切りながらの仕事は、今思えば刺激的で充実したものだった。 ところが、年末が近づいてきたある日、ブーレーは私に「Mission Impossible」と思えるような超難題を放り投げてきた。 当時働いてレストランは、フレンチの要素を取り入れた高級和食店。 そして、和食店の年末年始といえば、おせち料理にも関連した難食材や料理が多く出てくる。 普段なら、そういう料理に対するペアリングは日本酒でかわしてしたのだが、ブーレーは、「子持ち昆布のお浸し」というスーパーワインキラーに対して

梁 世柱
2024年8月4日


Advanced Académie <39> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Saint-Aubin
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第11回はSaint-Aubinをテーマと致します。 Puligny-MontrachetとChassagne-Mon

梁 世柱
2024年8月2日


エネルギーの螺旋 <ラドヴァン・シュマンが目指す真なる調和>
スティリア地方訪問では、オーストリア側にあるワイナリーを中心に巡ったが、一軒だけ、スロベニア側の造り手を訪ねた。(オーストリアの)シュタイヤーマルク地方は、南側の境界線が全てスロベニアとの国境に接している。 シェンゲン協定によって、すでに形だけの国境となっているため、一応関所はあるが、往来を阻まれることはない。 それでも、すでに世界的なスター産地となったシュタイヤーマルク地方と、スロベニア側のシュタイエルスカ地方の間には、あまりにも大きな格差が形成されている。 元々は一つのスティリアであった事実がまるで無かったかのように、ワインの評価や人気は大きくシュタイヤーマルクがリードしているし、国境を超えてスロベニア側に入ると急に、家屋の質も変わる。 資本主義国家と、旧社会主義国家の違いが、矢継ぎ早に目に飛び込んでくるのだ。 より包括的にスティリアを捉えるために、シュタイエルスカ地方でも取材を重ねたい思いはあったが、時間の制約上、残念ながらそれは叶わなかった。 そして、唯一訪問することができたSchumann(シュマン)も、この地方では特異中の特異な存在で

梁 世柱
2024年7月30日


感性の世界 <オーストリア・シュタイヤーマルク特集:Part.2>
私は常に、理性でワインを探究してきた。 気候、土壌、地勢、葡萄品種がもたらす影響をマトリックス化することによって、神秘のヴェールに覆われたテロワールを観測、分析可能なものとし、そこに栽培、醸造における人的要因も加え、ワインに宿った特有のアロマ、フレイヴァー、ストラクチャーの根源に理路整然とした態度で向き合ってきたのだ。 ワインに対してそのようなアプローチを取り続けた理由は、単純化すれば「理解したかったから」の一言に尽きるが、【結果には、すべて原因がある。】というガリレオ・ガリレイの言葉を、幼い頃にその出自もコンテクストも知らずにどこかで聞きかじったまま、長い間盲目的に信じ込んできたのも一因と言えるだろう。 しかし、一般的にクラシック、もしくはオーセンティックと呼ばれるカテゴリーから探究範囲を大きく広げた結果、様々な在り方のワインとの出会いを通じて、私はこの世界に理性だけでは理解することができないワインが存在していることを認めざるをえなくなった。 理性でワインを探究してきたからこそ、その限界を知ることができたとも言える。 ...

梁 世柱
2024年7月25日


Corn & Wine
夏の旬食材には、なぜか心が躍る。 個人的には、季節としては冬の方が好きなのだが(暑さと虫が苦手という理由で)、食材に関しては完全に夏派だ。 土用の丑の日に養殖うなぎ(天然物の旬は10~12月だが、個体によっては猛烈に泥臭いことも)を楽しむ人、6~7月にかけて鱧や若鮎を楽しむ人、夏の太陽をたっぷりと浴びたエネルギッシュな野菜を楽しむ人。 人それぞれ夏食材の楽しみ方があると思うが、私が最も夏を感じる食材は、とうもろこしだ。 蒸したりゆでたりして、とうもろこしの自然な甘味を味わっても良し、香ばしく焼き上げてかぶりついても良し、天ぷらにして食感の妙を堪能しても良し。 様々な調理法で楽しむことができる旬のとうもろこしだが、筆者が一番好きな食べ方は、すり流しだ。

梁 世柱
2024年7月12日


Advanced Académie <38> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Beaune
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第10回はBeauneをテーマと致します。 Louis Jadot、Bouchard、Joseph...

梁 世柱
2024年7月4日


美の真理 <オーストリア・シュタイヤーマルク特集:Part.1>
調和こそ美の真理であり、調和無き美は存在しない。 クラシックか、ナチュラルか。 探究を拒む人々によって二極化された世界観に興味を失ってから、随分と時が経つ。 固定された価値観の中で話をするのなら、私が探し求めているテロワール・ワインは、そのどちらでもなく、どちらでもあるからだ。 美の対は破壊であり、極端なクラシックもナチュラルも、極めて破壊的となり得るのだから、そこに美が宿らないのは必然である。 美とは理性的であると同時に、感性的でもある。 ワイン的表現をするのであれば、理性的な美とは、天地、葡萄、人の総体を意味し、感性的な美とは、極限まで純化されたエネルギーとなる。 理性的な美は、分析によって客観視することができるが、感性的な美は、極めて主観的なものだ。 だからこそ、美の真理へと到達するためには、私自身が理性的かつ感性的であらなければならない。 シュタイヤーマルク地方 オーストリアのシュタイヤーマルク地方を訪れた理由は、テロワールという美の真理を追い求めていたからに他ならない。 遠く離れた日本からの分

梁 世柱
2024年7月1日


出会い <63> 環境のアロマ
Marzagana Elementales, Vita 2022. ¥8,000 ふと疑問に思った。 きっかけは、焼肉店でたらふく食べた後の、自分の衣服だった。 美味しかった記憶がすぐに蘇ってくるような、焼肉の匂いが染み付いていた。 そんなことは当たり前、と誰もが思うだろう。 そう、香りは揮発し、染み付くのだ。 生育期の葡萄畑を歩き回り、その畑から造られたワインを飲む、という経験をしたことがある人であれば、畑とワインのアロマの間に明らかな共通性を感じたことがあるのではないだろうか?

梁 世柱
2024年6月30日


再会 <63> Johannes Zillinger Part.2
Johannes Zillinger, Numen Rosé SL 2020. 偉大なロゼの探求。 私が長年取り組んできた研究テーマの一つだ。 夏に、よく冷やしてカジュアルかつリーズナブルに楽しむ。 そのシチュエーション自体は私も楽しんでいるのだが、それだけ、となると流石に違和感を隠せない。 白ワイン、赤ワイン、スパークリングワインなら、カジュアルなものから、徹底してシリアスなものまで当然のように幅広く存在し、マーケットでもしっかりと棲み分けがなされている。 オレンジワインもおおむね同様の形となりつつある。 しかし、ロゼだけはシリアスなものが極端に少ない。

梁 世柱
2024年6月23日


Not a wine review <2>
伝統深い飲み物が他文化との交流によって変化する、という現象は現代のトレンドなのかも知れない。 中には、極めてワイン的な変化をした一部の日本酒のように、(ワインとその文化に対する)憧れやコンプレックスが根底にあるとしか思えないものもあるため、全てを手放しで称賛することはできないが、新しい価値観が創造されること自体は、実にポジティヴな動きだと思う。 しかし我々は、この「新しさ」が革命なのか、進化なのか、を冷静に判断すべきではなかろうか。

梁 世柱
2024年6月22日


Advanced Académie <37> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Pommard
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第9回はPommardをテーマと致します。 完全に赤ワインを専門としたアペラシオンでもあり、その豊かな色調、逞しく芳醇

梁 世柱
2024年6月19日


出会い <62> ティピシテを超えたブルゴーニュの偉大さ
Pierre-Henri Rougeot, Saint-Romain 2020. ¥9,300 気候変動、温暖化によって、伝統産地のワインが様変わりしつつあることは、SommeTimesでも度々取り上げてきた。いや、問題視してきた、と言って良いだろう。 単純な味わいの変化、という意味であれば、時代の嗜好によって、(特に1980年代以降は)これまでも10年単位で変化し続けてきたので、いまさら騒ぐようなことでもないのだが、今起こっている変化は人為的なものではなく、自然環境自体の変化がもたらしたもの、という点に大きな懸念がある。 つまり、テロワールとダイレクトに繋がったティピシテ(簡単に説明すると、「らしさ」となる。)が変わってしまっているということだ。 ワイン趣味が深まるほど、我々の多くはワインに「らしさ」を求めるものだ。 それが伝統産地の、比較的クラシックな表現のワインであれば尚更のこと。

梁 世柱
2024年6月17日


Karakterre 13
オーストリアの首都ウィーンにて、2年に一度開催される大展示会VieVinumに参加する前日、ウィーンから車で1時間ほどのアイゼンシュタットまで足を運び、Karakterreという別の展示会に参加した。 日本での知名度はほとんど無いが、Karakterreは中央〜東ヨーロッパの国々、そしてオーガニック、ビオディナミ、ナチュラルというカテゴリーに属するワイナリーにフォーカスした極めてユニークな展示会として知られている。 2011年にスタートしたKarakterreは、アイゼンシュタットで開催され続けてきたが、2022年にはNew Yorkへと初上陸し、伝統あるロックフェラーセンターにて開催された。 第13度目のKarkterreとなる今回は2日間のイベントとなり、初日と2日目で出展者が総入れ替えされるという仕組み。 非常に残念なことに、スケジュールの都合上、2日目しか参加できなかったが、オーストリア、ドイツ、スロベニア以外の国々に焦点を当てて、テイスティングを繰り返した。 1,000名近い参加者で溢れ返る会場の熱気に包まれながら、充実した取材を行うこ

梁 世柱
2024年6月12日


再会 <62> Johannes Zillinger Part.1
Johannes Zillinger, Parcellaire Blanc No.1 2021. オーストリアは、世界でも有数のナチュラルワイン銘醸地だ。 北海道とほぼ同じ国土面積、大阪府とほぼ同じ総人口。オーストリアはとても小さな国であるため、ここでいうナチュラルワイン銘醸地としての姿は、物量によるものではなく、圧倒的な質の高さによって獲得した評価である。 特に、Steiermark(シュタイヤーマルク)とBurgenland(ブルゲンラント)には、世界最上クラスと目されるナチュラルワイン生産者達が名を連ねる。 ルドルフ・シュタイナーがオーストリア(オーストリア=ハンガリー帝国)の生まれであることも、かの国でビオディナミ農法に真摯に取り組む造り手が相対的に多い理由の一つとなっているかも知れないが、それ以上に生真面目でやや内向的な(ここが重要なのです)国民性が、モノづくりの質を限りなく高めていると考えた方がしっくりとくる。

梁 世柱
2024年6月9日
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