臥龍鳳雛 <ポルトガル特集:知られざるDouro編>
- 梁 世柱
- 2024年2月13日
- 読了時間: 14分
Vinho Verdeでのツアーを終えた後、個人で取材を行うために、Douroの中心地であるCima Corgoへと向かった。
ポート・ワインのリサーチを更に進めることは早々から決めていたが、スティル・ワインとしてのDouroに関しては、どこに焦点を当てるか随分悩んだ。
二日半しかない期間の内、半分はPort用の葡萄畑を訪れるスケジュール。
選択肢は無数にあったが、時間は限られていた。
その中で、メインターゲットとして私が選んだのは、おそらくワイン識者のほとんどが知らず、ワイン愛好家の大部分が興味など示さないであろうエリアだった。
なぜその場所へ行くことにしたのか。
「そこに呼ばれている気がした。」
もっともらしい理由は、それだけだった。
ローカルのタクシー運転手には、「なぜジャーナリストがあんな場所へ行くんだ。何もないぞ。」と牽制されたが、気にも止めなかった。

Cima Corgo北部
ピニャオンの町を取り囲む壮大なテラス状の葡萄畑は、世界遺産としても良く知られている。
ピニャオンから町から北へと車を走らせてからおおよそ20分ほど、Cima-Corgo屈指の銘醸エリアとされるValle de Mendizの少し先までは、その景観を楽しみ続けることができるが、それ以降は急激に様子が変わる。
三次元的にダイナミックに広がる段々畑の景色から、緩やかな傾斜の葡萄畑が延々と続く高原エリアへと変わるのだ。
標高は600mを超え、ピニャオンとは全く異なる強烈な寒気が肌を突き刺す。