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Advanced Académie <14> ビオロジック
SommeTimes Academie <16> 農法2 でも簡潔に触れたが、本稿では一般的にオーガニックという言葉が用いられる際の基本となる、ビオロジックに関して、詳細を追っていく。 まずは改めて、ビオロジックの基本に再度ふれておく。 ビオロジックとオーガニック農法は、同一のものであると考えて問題ない。その基本は、 化学肥料、化学合成農薬を禁じ、天然成分由来の有機農薬のみを限定的に認可する農法 である。その点においては、 ビオロジック=無農薬では決してない ため、正しく理解する必要がある。 認可農薬 代表的なものとしては、 うどんこ病対策の為の硫黄粉剤、ベト病対策のためのボルドー液 が挙げられる。そして、これら二つの農薬は、ビオロジック農法が抱える 本質的な危うさ を象徴している。硫黄粉剤の一部はGHS(*1)の区分によると1A、つまり、 人に対する発癌性が認められている農薬 である。これは残留農薬という点よりも、散布者への危険度の方が深刻な問題となりうる。また、ボルドー液に含まれる銅は、土壌に蓄積し過ぎて地棲生物(主にミミズ等)に害を及ぼした

梁 世柱
2021年9月14日


ペアリングの番外編 <旨味>
ペアリングにおいて、旨味をある程度考慮するという流れは、実は最近生じたものです。ワインに含まれる旨味( アミノ酸 )が、料理のどのような要素と関係性をもつのかも、まだまだ研究が必要な段階ではありますが、現状判明している効果について、お話して行こうと思います。 ワインの旨味はどこからくるのか ワインに旨味をもたらす筆頭の存在が、 酵母 です。ワインに含まれる旨味の大部分が、酵母由来のもので、酵母が自己分解した際に、アミノ酸が放出されます。この反応からもたらされる旨味を多く含むワインとしては、瓶内二次発酵後に長い間、澱と共に熟成させる シャンパーニュ製法 のスパークリングワイン、澱と共に熟成させる シュール・リー製法やオレンジワインの製法、産膜酵母 と接触させる シェリー等の製法 、澱を攪拌させる バトナージュ 、澱が対流しやすい コンクリート・エッグやアンフォラでの醸造 等の手法が用いられたワインが挙げられます。

梁 世柱
2021年9月5日


葡萄品種から探るペアリング術 <1> シャルドネ
これまでペアリング研究室では、ペアリング理論の基礎をカヴァーし、その応用や実践、肉や魚といった特定の食材グループへの対応方法、そしてノンアルコールペアリングについて学んで来ましたが、ペアリングの新たなシリーズとして「 葡萄品種から探るペアリング術」 というシリーズを開始致します。第一回は シャルドネ をテーマと致します。また新シリーズの第一回目の本記事は、無料公開と致します。 このシリーズに共通する重要事項として、 葡萄品種から探った場合、理論的なバックアップが不完全となることが多くあります 。カジュアルなペアリングの場合は、十分な効果を発揮しますが、よりプロフェッショナルな状況でこの手法を用いる場合は、ペアリング基礎理論も同時に参照しながら、正確なペアリングを組み上げてください。 シャルドネの特徴 「 没個性こそがシャルドネの個性 」とも言われるほど、実はシャルドネという葡萄そのものは、個性に乏しい品種です。しかし、テロワールや醸造方法に極めて敏感に反応する性質があるため、幅広い理解と経験を必要としてくる品種でもあります。 シャルドネは、二つの

梁 世柱
2021年8月31日


SommeTimes Académie <16>(ワイン概論12: 農法2)
本稿では、ワイン醸造を目的とした葡萄栽培において、目にする機会の多い農法に関して、学んでいく。なお、いくつかの農法に関しては、Advanced Académieにて、より詳細な内容に触れていく。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。 ビオロジック オーガニック農法とも呼ばれる。 化学合成農薬、化学肥料を使用せずに、土壌の力を引き出す有機農法 。しばしば誤解されるが、 ビオロジック=完全無農薬ではなく 、葡萄栽培

梁 世柱
2021年8月28日


Advanced Académie <13> リュット・レゾネ
SommeTimes Academie <15> 農法1 でも簡潔に触れたが、本稿では近年ますます重要性を増している減農薬農法であるリュット・レゾネに関して、詳細を追っていく。 理想論 で言えば、世界中の全ての葡萄畑がオーガニックに準じた農法に完全に転換した方が良いのは当然なのだが、ワイン産地の気候条件と生産体制によっては、 オーガニック化があまり現実的とは言えないケースも多々ある 。そこで、「 科学的に農薬を減らす 」ために発展してきたのが、 リュット・レゾネ だ。 オーガニック化が難しい気候条件 基本的には、 温暖湿潤地はオーガニック栽培が難しくなる 。湿気と高温によって カビ系病害 が蔓延しやすいためだ。なお、湿気が問題になるのは、 生育期の雨 であるため、年間降水量が多くても、冬季に集中して降水する地域であれば、問題となることは少ない。 オーガニック化が難しい生産体制 簡単にいうと、 低価格ワインを大量生産 するタイプの生産体制では、オーガニック化が難しくなる。 生産量が大きく減少するリスク と、 栽培にかかるコスト (主に人件費)が重く

梁 世柱
2021年8月24日


SommeTimes Académie <15>(ワイン概論11: 農法1)
本稿では、ワイン醸造を目的とした葡萄栽培において、目にする機会の多い農法に関して、学んでいく。なお、いくつかの農法に関しては、Advanced Académieにて、より詳細な内容に触れていく。 試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。 慣行農法 「慣行」とは広く一般的に実施されている、習慣的に行われている、といった意味合いをもつ言葉であるが、農法に関して用いられた場合、「各地域において一般的な量の化学肥料と農薬を

梁 世柱
2021年8月17日


Advanced Académie <12> フィロキセラ
SommeTimes’ Académie <14> ブドウの虫害と生理障害 でも簡潔に触れたが、本稿ではワイン産業の歴史上、最も猛威をふるった害虫である フィロキセラ の詳細を追っていく。 そもそもなぜ、フィロキセラが世界中のワイン産業を壊滅寸前にまで追い込むほどの被害を及ぼしたのか。理由は至って単純なものだ。世界中で造られているほぼ全てのワインは、 ヴィティス・ヴィニフェラ (以降、ヴィニフェラと表記)という ただ一つの種に属するブドウ から造られていて、フィロキセラはヴィニフェラにとって 最悪の天敵 だった、ということだ。クローン増殖によって、 遺伝的多様性が失われていた こともまた、 天敵に対する脆弱性 を高める要因となった。 フィロキセラ禍の経緯 19世紀の初めごろ から アメリカ産葡萄がフランスに輸入され始めた が、その時は恐るべき付属物が未知の葡萄と共に渡来するなど、誰も想像していなかった。植物の輸出入に関して厳しい検疫をするという考えは、当時ありもしなかったのだ。 最初にヴィニフェラを攻撃したのはフィロキセラではなく、 うどんこ病

梁 世柱
2021年8月11日


Advanced Académie <11> ミネラルの香り
「ミネラルの味」 で述べた通り、ミネラルの味わい、もしくは味わいのようなもの、は消去法的なテイスティングによって、探し当てることができる。 では、香りの場合はどうだろうか? 基本的に 無味無臭 であるはずの ミネラルの香り の正体とは? 火打ち石、チョーク、貝殻、鉛筆の芯、インク、濡れた土、岩塩、血(鉄分) 。一般的に香りとしての「ミネラル感」を表現するこれらの正体は、ほぼ全てが 揮発性硫黄化合物とチオール化合物 で説明がつくと考えられている。 ワインに最終的にそれらの香りをもたらす要因は、いくつか判明している。 うどんこ病 の予防に使用される 硫黄粉剤 と、醸造時に酸化防止剤や抗菌、殺菌剤として使用される 亜硫酸 は、ワインに含まれる 揮発性硫黄化合物 との関連が指摘されている。 また、 バトナージュ、シュール・リー、スキンコンタクト といった醸造手段は、 チオール化合物 の生成に関わっている。 一部のワインに含まれる 炭酸ガス は、酸味と塩味を強調する性質から、これも「ミネラル感」と認識する人が一定数以上いる。

梁 世柱
2021年8月10日


SommeTimes Académie <14>(ワイン概論10: ブドウの虫害と生理障害)
試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。

梁 世柱
2021年8月3日


SommeTimes Académie <13>(ワイン概論9: ブドウの病害)
試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。

梁 世柱
2021年7月30日


Advanced Académie <10> ミネラルの味
ミネラル感 、という表現は、実は 1980年代頃までは存在していなかった 。しかし、当時確実な成長曲線を描いていた ニューワールドワイン に、 果実味が明確に主体となった味わいが多かった こと、 醸造技術の進歩とビッグワインの隆盛 により、人為的な「力強さ」がもてはやされたことを背景に、それらのワインと伝統的なワインを区別するための言葉として、「ミネラル感」は誕生したと考えられる。

梁 世柱
2021年7月27日


SommeTimes Académie <12>(ワイン概論8: ブドウ後編)
試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。

梁 世柱
2021年7月4日


SommeTimes Académie <11>(ワイン概論7: ブドウ中編)
試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。

梁 世柱
2021年6月30日


Advanced Académie <9> ワイン栓後編:コルク代替品
それがデイリーワインであれ、超高級ワインであれ、ブショネは関係なく発生する。近年は TCA (詳しくは 前編 を参照)汚染リスクを可能な限り排除した高級天然コルクも登場しているが、それでもブショネは決して低くない割合で発生する。

梁 世柱
2021年6月20日


SommeTimes Académie <10>(ワイン概論6: ブドウ前編)
試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。

梁 世柱
2021年6月16日


SommeTimes Académie <9>(ワイン概論5: EUワイン法)
試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。

梁 世柱
2021年6月2日


Advanced Académie <8> ワイン栓前編:ブショネ
ワインを取り囲む人々を、長年に渡って悩ませてきた問題が ブショネ だ。英語では Cork Taint と呼ばれ、ブショネが発生した状態を「 Corked 」とも表現する。

梁 世柱
2021年5月28日


Advanced Académie <7> アルコール濃度の表示
ワインのアルコール濃度は、平均的に最も低いイタリアの Moscato d’Asti(5%~) から平均的に最も高い 酒精強化ワイン(17~23%) と、 醸造酒の中では非常に広いバリエーションが特徴 と言える。

梁 世柱
2021年5月23日


Advanced Académie <6> ワインの品質
品質が高い。ワインを表現(鑑定)する際に、頻繁に用いられるフレーズだ。しかし、何をもって「品質が高い」とするのかは、決してシンプルな話ではない。

SommeTimes
2021年5月19日


SommeTimes Académie <8>(ワイン概論4:フォーティファイド・ワイン)
試験後に忘れてしまった知識に意味はありません 。ワインの勉強は、難しい外国語由来の単語との戦いでもあります。そういった単語をただの「 記号 」として覚えることにも、意味はありません。その単語が「 何を意味するのか 」を知ってこそ、本来のあるべき学びとなります。SommeTimes Académieでは、ワインプロフェッショナル、ワイン愛好家として「 リアル 」に必要な情報をしっかりと補足しながら進めていきます。試験に受かることだけが目的ではない方、試験合格後の自己研鑽を望む方に向けた内容となります。 SommeTimes’ Viewをしっかりと読み込みながら進めてください 。

梁 世柱
2021年5月16日
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