抜栓後の酸化は、悩ましい問題だ。大人数でワインを飲む場合は気にしなくても大丈夫だが、家庭で一人飲みの場合や、レストランがグラスワインを出す時には、この問題が付きまとってくる。
酸化=劣化とは限らないのもまた悩ましさを増長するが、そこに劣化のリスクが含まれる以上は、出来る限りコントロールしたいと思うのは、当然だ。
抜栓後酸化のメカニズム
まずは、抜栓後の酸化のプロセスを追っていこう。
主犯格はもちろん酸素なのだが、酸素だけで酸化できるわけでは無い。協力者が必要なのだ。
最初の協力者は、ワインに含まれる金属イオン。
その中でも、鉄と銅のイオンが大きく影響する。
逆の方向から見ると、鉄と銅のイオンさえなければ酸化は起こらないはずなのだが、残念なことに、ワインからそれらの金属イオンを、酸化をストップする濃度まで取り除くのは不可能とされている。
酸素は、これらの金属イオンの助けを借りて、まず最初にフェノール類(単量体フェノール)を酸化させる。そしてその際に、過酸化水素(活性酸素種の一種)が生成される。
過酸化水素は、抜栓後の酸化においては、酸素と同格の主犯格となる。
非常に反応性が高い過酸化水素は、ワインに含まれる様々な成分と、次々に反応(酸化させる)を始めてしまう。
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