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Not a wine review <8> 内モンゴルのミルク酒
またまた、私の探究心をこれでもかと刺激してくる 珍酒 に出会った。 乳酒 だ。 中国の内陸部やモンゴルには、家畜の乳から造った伝統的な酒があることは知っていたが、当然日本でそう簡単に見かけるものでは無いので、これまで味わうことはできずにいた。 実は、乳酒は日本とも不思議な関係性がある。 あの国民的ドリンクである、 「カルピス」の原型 だとされているのだ。

梁 世柱
5 日前


ペアリングのパーソナライズ <2>
では、具体的にどのような形で、ペアリングの パーソナライズ を行なっていくかを考えていこう。 まず 真っ先にすべきこと は、 自分にとっての「完璧」なペアリングを一旦横に置く ことである。 ここで重要なのは、完璧なイメージを完全に捨てるのではなく、 最終的にまた戻ってくる可能性がある選択肢として残しておく ことだ。 そして、 相手の「好み」の範疇から決してはみ出さないアイデアを先に考え てから、必要そうであれば、 自らの「完璧」とすり合わせ をしていく。

梁 世柱
3月23日


ペアリングのパーソナライズ <1>
SommeTimesでは、週に一本のペースで、長い間ペアリングに関連した記事を投稿してきた。 そして、その内容の全ては、確固たるペアリング理論に基づいた、論理的思考によって構成されてきた。 しかし、ここに一つ、あらゆる論理的攻略の先に、巨大な壁として立ちはだかる、純然たる事実がある。 「ペアリングは、最終的には必ず個人の主観に落ちる。」 である。 単純な言葉に置き換えると、 「好き嫌い」 だ。

梁 世柱
3月16日


オルタナティヴ・サンジョヴェーゼの行方
トスカーナ州の誇りであるサンジョヴェーゼ。そしてそのサンジョヴェーゼを代表する産地として、常に名が挙がるのは、Chianti Classico、Brunello di Montalcino、Vino Nobile di Montepulcianoの「三大産地」だ。 正直なところ、現時点では、その三大産地全てで、まだまだリーズナブルな価格帯と高品質が両立したワインが手に入る余地が残されているため、わざわざもっとニッチなワインを求める必要性が薄いとは感じている。 しかし、少しずつ状況に変化が出てきている、という認識はもっておいた方が良いだろう。 Chianti Classicoは、最上位格付けであるGran Selezioneの登場からしばらく経ち、高級路線への切り替え作戦が、いよいよ効いてきた感じがある。 Brunello di Montalcinoは元々高価だったが、Rosso di Montalcinoもカジュアルワインの価格帯を飛び出し始めた。

SommeTimes
3月15日


思い込みは誤解の始まり
特定の情報が切り抜かれて、「無条件高品質にする魔法」のように扱われることが、ワインの世界ではしばしば起こる。 例えば、新しい小樽の使用。 正しい育成が可能な範囲内で酸素供給を最大化させたついでに、強めの樽味が引っ付いてくる手法だが、新樽比率を100%までもっていくことが、高品質とイコールのような文脈で語られるようになったのは、フランス・ブルゴーニュ地方において、特級畑ワインに新樽が100%用いられるケースが多かったからだろう。 実際には、それだけの「重い樽使用」に耐えられる力が葡萄そのものに無い場合や、酸化に弱い傾向のある品種だったりすると、新しい小樽100%などと言うのは、むしろ調和を破壊するマイナス効果になってしまう。 葡萄畑においても、このような誤解がなかなかに多い。

梁 世柱
3月9日


アルコール濃度という目安の意味
葡萄に含まれる糖分が、サッカロミセス・セレヴィシエという微生物によって、エタノール(アルコール)へと姿を変える。 自然のいたずらか、神の設計か。 人類が形作ってきた文明の歴史は、常に「アルコール発酵」と共にあった。 そんな 「アルコール」という存在は、ワインを分析的に見る際には、「重さ」の指標となり続けてきた 。 過去形 、だ。 しかし、その背景を正しく理解しておくことは、現在の変化を知る上で、極めて重要だ。

梁 世柱
3月1日


クラシックとナチュラルの境界線
かつてワイン市場では、 クラシックvsナチュラルという内戦 が勃発していた。 あえて、 過去形 にしているのだが、今回のテーマはまさにその点にある。 そもそも 嗜好品 であるワインは、 飲む本人が好きならそれで良い 、というのがど真ん中の正論なはずだが、自称知識人の中には、どうしても他者の趣味嗜好を攻撃したい人が多いようだ。 不毛なマウントポジションの奪いあい。そんなくだらないことを、どうかこの美しい趣味の世界に持ち込まないでいただきたいものだ。 さて、ひと昔前の対立構造を、少し丁寧に紐解いてみよう。

梁 世柱
1月23日


白子の極上リゾットとのペアリング
今回は、いつもよりも複雑な料理とのペアリングを考えてみよう。 お題は、 「白子、トリュフ、生海苔のリゾット」 。 主役級の食材が3種入っているが、非常にバランスが良く美味な料理であった。 しかし、このような料理へアプローチする際には、 慎重な調整 を行う必要がある。

梁 世柱
1月19日


イベリコ豚生ハムとの極上過ぎるペアリング
2026年最初の寄稿は、年末年始に食したものとのペアリングを紹介しよう。 おせちは中華で頼み、それはそれで楽しんだのだが、新年最初の外食で味わったペアリングがあまりにも素晴らしかった。 生ハムと、とある特殊なワインとのペアリングだ。 さて、生ハムと聞いて頭を抱える人は、食の事情をかなり追いかけている人だろう。 実は日本は、家畜の伝染病に関して、(少々行き過ぎとも思えるほど)過敏に反応する国だ。 鳥インフルエンザに感染した鶏が発見され、大規模な「処分」が行われた、というニュースを時折目にしている人も多いのではと思う。 生ハムに話を戻そう。 2022年のイタリア本土で発生したアフリカ豚熱(感染したら致死率100%と言われている。)によって、イタリア産生ハムの輸入が全面的に禁止され、その措置は今でも続いている。 そして、2025年11月末、スペインでアフリカ豚熱に感染した野生の猪が発見され、イタリア産に加えてスペイン産の生ハムも禁輸措置となった。

梁 世柱
1月5日


上海蟹ペアリングの決定打!?
秋から冬への移ろいを知らせてくれる食材は様々あるが、 上海蟹 はその中でも最も高貴なものの一つだろう。 種としての名はチュウゴクモクズガニ。 中国本土、香港、台湾などでは、その最も優れた産地として名高い陽澄湖からとった、 陽澄湖 大 閘 蟹 の名で知られる。 淡水性の小型蟹であり、海で生きる大型の蟹に比べると食べられる部分は随分と少ない(しかも、食べにくい)のだが、その芳醇極まる味わいは至極とされる。 内子(カニの卵)と蟹味噌が凄まじく美味い雌蟹の旬は9月から始まり11月の終わり頃まで、身と蟹味噌、そして白子が絡み合った極上の味わいが特徴の雄蟹は10月から12月までが旬となる。 そして、雌と雄の旬が重なるタイミングは、11月だ。

梁 世柱
2025年11月30日


激レアジビエとの豪快ペアリング
ジビエ の季節がやってきた、と秋の深まりが告げてきた。 普段はあまり口にしない肉類に、舌鼓を打つ。 そんな時期がたまらなく好きなのだが、そもそもジビエの定義とはなんだろうか? ジビエとは、 狩猟によって捕獲された、野生の鳥獣肉 のことを指す。 そう、初めから食用として育てられた牛、豚、鶏などの 畜産肉 と決定的に異なる点は、 狩猟肉 であるという部分だ。 一般的な肉類以外をジビエ、と呼ぶことも多いように見受けられるが、本来の定義とは異なるため、一応頭には入れておいた方が良いだろう。 さて、そんなジビエ類の中で、日本で最も広く親しまれているのは鹿肉で間違いない。次いで、猪肉だ。 他にも、熊、うさぎ、鴨、キジバトなどの名が挙がるが、鴨は畜産肉であることも非常に多いので、ここも注意が必要だ。 そして、今回の主役であるジビエは、かなりのレア物。 食べる肉、としては、一般的にほぼ馴染みがない。 アナグマ肉 だ。

梁 世柱
2025年11月23日


再会 <94> 見つからない伝説
Valentini, Montepulciano d’Abruzzo 2012. この世界に 「伝説」 とされるようなワインは、意外とたくさんある。 そして、その多くは、伝説と呼ばれる割には、簡単に探し出すことができる。 ただし、プレミア価格がついて二次市場で高額取引されるケースが残念ながら非常に多いため、実際の問題は、見つかるかどうかではなく、その対価を払えるかどうか、になるのだ。 もし誰かが私に、ロマネ・コンティを探して欲しいと頼んできた場合、ヴィンテージと価格にさえ縛りがなければ、数分もあれば探し出すことができるし、そもそも空港の免税店でも売っていたりする。 では、本当に見つからない伝説のワインとはどういうものなのだろうか。 真っ先に思い浮かぶのは、 ヴァレンティーニ だ。

梁 世柱
2025年11月18日


再会 <93> デキャンタージュは万能薬ではない
Mathilde et Yves Gangloff, Côte Rôtie La Serène Noire 2010. 私は普段、無闇に デキャンタージュ することを、 非推奨 としている。 長い間瓶の中で 強い還元的状態 に置かれていたワインを、ウルトラデキャンターのような大きなデキャンタに移してしまうと、 急激な酸化によって、ある種の過呼吸的なパニック状態に陥る ことがある。 そのワインが秘めていたあらゆる繊細さが失われ、豊かな香りは消えさり、果実味は二次元的になる。 そのような最悪の結果を避けるために、デキャンタージュするかの判断は、極めて慎重に行うべきだと考えている。

梁 世柱
2025年11月3日


Wine Memo <35>
Arnoux-Lachaux, Vosne-Romanée 1er Cru Les Chaumes 2013. 先代のワイン、と聞くと、不思議とロマンの香りが漂ってくる。 ただしそのロマンは、往々にしてノスタルジアに似たものであり、ワインそのものの素晴らしさとは、少し評価の軸がずれたところにポイントが置かれていることも多くある。(その逆もまた然りだが。) 今回のWine Memoで取り上げたいのは、ブルゴーニュの「先代」ワイン。 ヴォーヌ=ロマネ村の古参ドメーヌとして知られた ロベール=アルヌー が、2008年に改称して誕生したのが、 アルヌー=ラショー だ。

梁 世柱
2025年10月31日


牛スユクと海の赤ワインでペアリング
韓国料理の中には、日本ではあまりお目にかかることがない絶品料理が少なからずある。 中でも、私が大好物の筆頭に挙げたくなるほど好きなのが、 スユク だ。 スユクは漢字では 水肉 と書き、文字通り「 ゆでた肉 」のことである。 豚の三枚肉、肩肉、もも肉などをゆでた 豚スユク は、実際にはサンチュ、エゴマで包んで「 ポッサム 」として楽しむ食べ方が、日本でもそれなりに浸透しているだろう。(そういう意味では、ポッサムはスユクの一種。) 日本ではあまり浸透していない、そしてより高級で高品位な料理とみなされているのは、 牛スユク の方だ。 スネ肉、肩肉も用いられるが、最上のものはコラーゲンを多く含む希少部位である ブリスケ (肩バラ肉の一部)で間違いないだろう。

梁 世柱
2025年10月27日


再会 <92> 折衷派バローロの真髄
Aldo Conterno, Barolo Bussia Cicala 2017. ブルゴーニュの爆発的な高騰が終息しないなか、いわゆる「グラン・ヴァン(偉大なワイン)」を飲みたいと思った時、私の食指が バローロ・バルバレスコ へと動くことは格段に増えた。 かねてから、最上クラスのバローロ・バルバレスコは、ブルゴーニュに対しても全く見劣りしないと考えてきたが、これほど価格差が開いてしまうと、もはや私には偉大なブルゴーニュを自ら買って楽しむ「言い訳」を探すことが不可能となっている。 ブルゴーニュのグラン・クリュ一本に10万円を支払うなら、最高のバローロを4本飲みたい、というのが私の本音である。 さて、そんなランゲ地方の雄たちだが、現在は モダン派、古典派、折衷派の 3大スタイルが共存している。

梁 世柱
2025年10月21日


ケジャンと至高のペアリング
韓国訪問を決めた時、必ず食べると意気込んでいたものの一つが、 ケジャン だ。 ケジャンには大きく2種類があり、生のワタリガニを醤油ベースのタレに漬け込んだ、カニの濃厚な味わいを楽しめる カンジャンケジャン と、コチュジャンベースのタレに漬け込んだ旨辛い味わいの ヤンニョムケジャン となる。 一切の「ごまかし」が効かないカンジャンケジャンは特に、料理店の腕がダイレクトに問われる。 今回訪問したのは、韓国の伝統的な家屋である「ハノク」が立ち並ぶ趣深い北村エリアにあり、ミシュランガイドで一つ星も獲得したことがある、カンジャンケジャンの専門店「クンキワチプ」。 精妙にブレンドされた醤油ダレは、奥深くも軽やか。 ワタリガニの身は濃密な甘味を、ミソは分厚い旨味とコクを表現しており、前日深夜まで及んだマッコリテイスティングの余韻が吹き飛ぶほど、強烈なインパクトを放っていた。

梁 世柱
2025年10月19日


再会 <91> 最強シャンパーニュの大当たりボトル
Alain Robert, Le Mesnil Réserve 1988. (Magnum) 私はシャンパーニュが大好きだ。シャンパーニュの無い人生など、もはや考えられない程に。 確かに、世界的な気候変動や技術向上によって、一般的なレベルのシャンパーニュと比べた場合、遜色ないと言える品質のスパークリングワインは、世界各地で劇的に増えた。 しかし、頂点と呼べる品質領域においては、 シャンパーニュが王者のまま 、というのが私の見解である。 今回は、そんな頂点シャンパーニュの中でも、特に私が執着しているワインとの再会。 アラン・ロベール 。

梁 世柱
2025年9月30日
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