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Wine Memo <4>
Cerminara, Ciro DOC Rosato 2020. モンテプルチャーノでワイナリー訪問をした際に、アメリカ・カリフォルニア州のナチュラルワイン系インポーターの人も同席していた。 そのワイナリーとの付き合いはずいぶん古いそうで、彼が扱っているナチュラルワインを色々と持ち込んで、ワインメーカーに飲ませていたのだ。 一通りワイナリーのワインをテイスティングした後で、私も漏れなくご好意に預かったのだが、強いインパクトが残ったワインが一つあった。 それがこの Ciro Rosato だ。

梁 世柱
2023年5月3日


再会 <36> ポツンと系ワイン
Filippi, Turbiana 2018. ¥4,500 テレビ朝日系の「 ポツンと一軒家 」という番組をご存知だろうか。 日本各地の人がほとんど住んでいないような場所に、なぜか「ポツンと」ある一軒家を紹介する番組だ。 なんとも地味でのほほんとした内容だが、私は妙にこの雰囲気が好きだ。 実は、ワインの探求でも、私はこのような 「ポツンと系」ワイン に不思議なほど執心していた時期がある。 その地の伝統とは、ちょっとずれた存在 のワイン。 もちろん、 ヨーロッパ中にあるフランス系国際品種という意味ではない 。 伝統の一部でありながら、ちょっと珍しい 。そんな塩梅のワインだ。 ただ、当時の私はワインの品質的側面からそのようなワインを探していたのではなかったし、そういうベクトルで評価をしていた訳でもなかった。

梁 世柱
2023年4月30日


出会い <35> ピンクな混ぜこぜワイン
Olivier Cohen, D é ferlante Blanc VdF 2022. ¥4,100 ワインは自由 だ。 我々はすでに、大手を振ってそう言えるようになったのだろうか。 最近、ワインエキスパートの人からこんな相談を受けた。 「個人的な好き嫌いの主観性が、全然認めて貰えないワイン会が結構あるんです。だいたい、有名な高級ワインが出てくるタイプの会なんですけど、保管状態が悪かったり、単純に美味しくなかったり、場合によってはブショネしてても、美味しいと言わないと怒られそうな、凄い圧力をかけられるんですよ。高いのに、有名なのに、入手困難なのに、あなたにはこの素晴らしさが分からないの?みたいな感じのプレッシャーですね。なんだか、残念な気持ちになります。」 正直、そのタイプのマウンターは絶滅危惧種かと思っていたが、どうやらまだまだ沢山いるようだ。

梁 世柱
2023年4月23日


Wine Memo <3>
Kondo Vineyard, Nakai Mü lleワ 2022. ¥2,500 北海道。 山梨県、長野県と並んで、ワイン産地として広く認識されている、数少ない場所の一つだろう。 最近では、特にピノ・ノワール(余市産など)が注目を浴びていて、その品質もかなりのものだが、それ以上に面白いと個人的に感じるのは、ドイツ系品種だ。 適地適品種 、という考え方に基づくのであれば、(北海道といっても、ご存じの通り非常に広いので、ものすごく単純化した考え方となるが)共に寒い北海道とドイツの間には、確かに共通点が見えやすい。 (それほどシンプルなものでは決してないが)ドイツで上手くいく品種なら北海道でも、と考えるのは、少なくとも決定的に間違っているということはなさそうだ。

梁 世柱
2023年4月20日


再会 <35> ワインは見た目によらず
Liszt, Traditionaliszt 2020. ¥4,000 ナチュラル・ワイン造りに挑む若者たちは、 ラベルを「飾る」 ことが多い。 デザイン性が高いラベルはインパクトも抜群で、それだけでも存在感は数倍増しになる。 それ自体は、実に素晴らしいことで、現代のカルチャーにも良くあっていると思う。 しかし、その 高いポップ性 は、 なんとも悩ましい問題 を引き起こしているように思えてならない。 いわゆる、「 ジャケ買い 」だ。 私自身、CD全盛期にはタワーレコードに入り浸ってジャケ買いを繰り返したものだ。 視覚だけで選んだCDの中には、ハズレもあれば、大当たりもあった。 これこそが、ジャケ買いの醍醐味である。

梁 世柱
2023年4月16日


Wine Memo <2>
Ladora Winery, Vang Dalat Classic White 2021. ¥1,400 (Importer : Ladofoods) 私は無類のエスニック料理好きだ。 一応、エスニック=民族という意味なので、本来はあまり好ましくない表現なのだが、日本では主に東南アジア料理を指す言葉として使われている。 中でもタイ料理は特に好きで、バンコクを訪れた際には、「ここなら暮らしていける。」と本気で思ってしまうほど、私の口にはあの辛く刺激的な味が馴染む。 そして、タイ料理とは似ても似つかないベトナム料理もまた、素晴らしい。 ものすごく簡単にタイ料理とベトナム料理の違いを説明すると、スパイスのタイ料理に対して、ハーブのベトナム料理となるだろうか。辛党の私は基本的にタイ派だが、胃に優しいベトナム料理もまた、私のグルメ脳を心地よく刺激する。 今回のWine Memoに登場するのは、そんな ベトナムのワイン 。

梁 世柱
2023年4月12日


出会い <34> 大銘醸のお隣
Mozzoni Ofelio, Rosso di Montalcino “Greppino,” 2019. ワイン産地を訪れ、地元のワインショップへと足を運ぶ楽しさの中に、「 宝探し 」がある。 そう、様々な事情(生産量が少な過ぎる、生産者にその気が無い、など)で、 産地の外へ出ることが滅多に無いワイン をハンティングするのだ。 訪れたのは、トスカーナ州モンタルチーノの街中、モンタルチーノの象徴的建造物でもあるフォルテッツァ(要塞)のすぐ近くにあった、小さなワインショップ。 宝探しが目的だったので、一通り品揃え(素晴らしい地元ワインのコレクション!!!)を眺めた後で、「日本から来たワインジャーナリストです。珍しいワインを探しているので、何か紹介してくれませんか?」と、少々頑固そうな店主に声をかけた。 次々と色んなブルネッロやロッソ・ディ・モンタルチーノを紹介してくれたが、私も(複雑で膨大なイタリアワインはやや苦手な分野とはいえ)ジャーナリストの端くれ。イタリアを代表する超銘醸地のワインなのだから、それなりには知っている。 店主からすると、ひたすら

梁 世柱
2023年4月9日


Wine Memo <1>
Julien Courtois, Libation. ¥4,800

梁 世柱
2023年4月6日


再会 <34> NZで花開く、日本の先進性
Folium Vineyard, Sauvignon Blanc 2020. ¥4,200 正確に数えたわけでは無いが、 日本人ワインメーカー が最も多く活躍している国の一つは、間違いなく ニュージーランド だろう。 私が飲んだことのあるワインだけでも、以下のようななかなか長いリストが出来上がる。 Kusuda Wines Sato Wines Folium Vineyard Kumura Cellars Koyama Wines Osawa Wines Kunoh Wines Green Songs 他にもまだまだあるそうなので、少しずつテイスティングしていきたいものだ。 NZで活躍するワインメーカーの中で、 Sato Winesの佐藤ご夫妻 と、 Folium Vineyardの岡田さん とは、何かとご一緒させていただく機会に恵まれてきた。 佐藤ご夫妻とはセミナーやワイン業界の若者達を集めた懇親会などでご一緒させていただいたし、岡田さんともセミナーをご一緒させていただいたり、岡田さんが参加されている「ワイン解体新書」でもゲストとして呼んでいた

梁 世柱
2023年4月2日


出会い <33> 新たな火山のワイン
La Stesa, Tasto Bianco, 2021. 教育者として仕事をしていると、「 ワインを理解するために、現地(葡萄畑)に行く必要はあるのか? 」という質問を受けることが良くある。 おそらく多くのワイン関係者がYesと答えるであろう質問だが、 私の答えはNo だ。 私自身、世界各地のワインを、それなりの規模で網羅する形で学んできたが、実際に訪れたことのある産地は、(大きな範囲で括れば)両手で足りるくらいしかない。 むしろ、シャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュなどに至っては、少々意識的に避けてきたのもあり、一度も訪れていない。 だが、それらの産地を訪れていないことが、(現実に必要なレベルでの)理解の深まりを本質的に妨げているとは、全く思わない。 理解をするために必要なのは、 知識と実体験のコネクトのみ であり、理解を深めるために必要なのは、その コネクトの精度と深度 となる。 つまり、正確かつアップデートされた「 活きた情報 」を収集し(この辺りは少々の英語力が無いと難しいかも知れないが、実際には高校一年生レベルの英語で十分。)、その

梁 世柱
2023年3月26日


再会 <33> 安心感
Marc Tempé, Riesling Burgreben 2014. ワインを開ける時は、大なり小なり 不安 を覚える。 そのワインが予想していた味わいなのか。 そのワインが期待していた状態なのか。 ちゃんと開いているのか。 どうしようもなく閉じてしまっているのか。 この不安を覚えるという感覚は、いわゆる クラシック・ワイン と呼ばれるものを飲みあさっていた時に染みついてしまったものだ。 ブルゴーニュ、ボルドー、バローロ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ。 なけなしの貯金を崩して購入したのに、 不安が的中した ことは数知れず。 喜び勇んで、そのタイミングで開けてしまったことを、何度となく後悔してきた。 しかし、望んだ結果では無かったとはいえ、 飲めなかったわけでも、楽しめなかったわけでもない 。 そのタイミングでしか知り得なかった味わい、と割り切れば、 ボトルを空にすることは何の苦でも無かった 。 では、 ナチュラル・ワイン の場合はどうだろうか。 不安を覚える、という意味では一緒だが、その 内容が少し異なる 。

梁 世柱
2023年3月19日


出会い <32> 広域キアンティに潜む宝
È Jamu, Zimbat ò Chianti, 2021. 玉石混交 のワイン産地、と聞いて私が真っ先に思い浮かべる産地は キアンティ だ。 正確に言うと、平均点がずば抜けて高い キアンティ・クラシコ 、エレガントなキアンティとして個性が確立しつつある キアンティ・ルフィーナ を除いた、 その他のキアンティ が対象となる。 それもそのはず、そもそもキアンティの名がつく原産地呼称が色々ある上に、範囲も異常に広いものから、極小エリアまでと、とにかくややこしい。 一応参考までに整理しておこう。 最も広域に渡っているのが、単純なChianti。 歴史的、品質的にも最も重要なのはChianti Classicoで、基本的には広域キアンティとは別物扱いになっている。 広域Chiantiの中には、さらに7つのサブゾーンがある。 中でも(唯一と言って良いレベルで)重要と言えるのは、Chianti Rufina。 そして、Chianti Montalbano、Chianti Colli Fiorentini、Chianti Colli Aretini、Ch

梁 世柱
2023年3月12日


再会 <32> 歴史的名作との再会
Ridge Vineyards, Geyserville 2019. ¥6,050 過去に散々堪能したワインと、しばらく疎遠になってしまうことは良くある。 元来の新しい物好きな性格と、最先端を追いかけるジャーナリストという仕事柄も相まって、特に私はその傾向が強い。 どれだけ素晴らしいワインであっても、 同じワインを1ケース飲むよりも、12本の異なるワインを飲みたい 。 それが今も変わらない、私の本音だ。 だから、「素晴らしい」と分かりきっているワインには、あまり手を伸ばさなくなってしまう。 そして、そのようなワインと感動的な再会を果たすたびに、そのことを少し 後悔 する。 今回の「再会」は、カリフォルニアのレジェンド・ワイナリーの一つ、 Ridge Vineyards のワインと。

梁 世柱
2023年3月4日


出会い <31> 若者たちのシンプリシティ
Etyssa, Trentodoc Spumante Extra Brut Cuvee No.6, 2017. それはトスカーナ州、モンタルチーノでの一夜。 先日の 新シリーズ でご紹介させていただいた、Banfiに務める Yoshiさん のご自宅にお招きいただき、胃に優しく染み渡るような奥様の手料理と共に、ワイン談義に花を咲かせていたのだが、私が現地調達したいくつかのワインを持ち込みつつ、Yoshiさんも様々なワインを提案してくださった。 流石に現地在住とあって、知らないワインが多く提示され、実に悩ましかったのだが、何かピンとくるものがあったのが今回紹介する「出会い」のワイン。 Trentodoc と聞いてピンとくるのは、よほどのイタリアンワイン通か、その筋の専門家くらいのものだろうか。一応、 Ferrari という大メーカーが手がける看板スパークリングワインのラベル下部にも小さく記載されているが、そこに目を向けたことのある人の方が遥かに少数派だろう。

梁 世柱
2023年2月26日


再会 <31> 後継者
Le Casot des Mailloles, Blanc de Casot 2020.

梁 世柱
2023年2月18日


出会い <30> 宝の山
Torrazzetta, Pavarolo Metodo Classico Bianco Brut 2014. 海外のワイン産地を訪れると、隙あらば 現地のワインバー に足を運ぶ。 日本でも馴染みのあるワインが、現地で安く、しかも古いヴィンテージが出ていたりしたら飛びついたりもするが、基本的には「 知らないワイン 」を飲むことの方が圧倒的に多い。 「日本では何でも手に入る」というのは、実際のところは少々大袈裟な表現で、ことワインに限っては、 未輸入ワインは山のようにある 。 もちろん、日本のインポーターは飛び抜けて優秀で、新しい情報にも敏感なのだから、注目を集めているようなワイナリーは、かなり高い可能性で輸入されている。しかし、それでも「 拾いきれない 」と言えるほど、この世界は広いのだ。 フランスと並ぶ世界的なワイン大国であるイタリアも、その例に漏れない。 バローロ、バルバレスコ、キャンティ・クラシコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ソアーヴェ、プロセッコ、フランチャコルタ、エトナ。 日本でも知名度が確実に上位に入るそれらのワインであっても、

梁 世柱
2023年2月12日


再会 <30> 先見の明
Moreau-Naudet, Chablis 1er Cru Montmains 2013. 地方 に行く機会があれば、できる限りスケジュールに組み込んでいることが一つある。 それは、 ワインバーに行く こと。 東京で散々飲んでいるのに、なぜわざわざ地方で?と思う方もいるかも知れないが、これにはれっきとした理由がある。 東京都内にある飲食店の総数は、一つの都市内に存在する数としては、実はぶっちぎりの世界一。 World Cities Culture Forumの2019年度の統計から主要都市を抜粋すると以下のようになる。 No.1 東京、日本(148,582店舗) No.2 ソウル、韓国(83,239店舗) No.4 パリ、フランス(44,896店舗) No.7 ニューヨーク、アメリカ(26,697店舗) No.9 ロンドン、イギリス(18,110店舗) となっている。 そう、東京の飲食店数は世界2位のソウルを約65,000店鋪上回り、4位パリの約3倍、7位ニューヨークの約5.5倍、9位ロンドンの約8倍となっているのだ。 この数字が何を意味してい

梁 世柱
2023年2月4日


出会い <29> 後悔先に立たず
Txomin Etxaniz, Getariako Txakolina 2021. ¥3,500 ワインと共に生きる中で、様々な後悔に駆られることは少なからずある。 テイスティング会場で疲れ果ててしまい、途中で脱落した時などは、決まって後で後悔するし、同伴者が喜んでくれるだろう、と心から思ってワインリストをまじまじと眺めてやっと決めた選んだワインが、全然好みから外れてしまった時などは、後悔を超えて、一応プロとしては穴にでも入りたい気分になる。 当然、飲み過ぎたことによる後悔は数知れず。 素晴らしいワインを飲んでいたはずなのに、飲み過ぎてディテールを曖昧にしか覚えてない、というときは、「楽しかったから良し!」と自己弁護はするものの、後悔がずりずりと後ろ髪を引っ張り続けてくるものだ。 そんなさまざまなワインにまつわる後悔の中で、多くの人にとって筆頭に挙がるのは、「 もっと飲んでおけば、もっと買っておけば良かった。 」だろう。 10年前に一念発起してドメーヌ・ルロワをたくさん買っていれば、今頃小金持ちになれていたかも知れないし、それ以上にもっと飲んでお

梁 世柱
2023年1月29日


再会 <29> ボルドーの不思議
Ch. Cos d’Estournel 1990. 駆け出しの頃は随分とボルドーを飲んだ。 左岸の五大シャトー、左岸のスーパー・セカンズ、右岸サン=テミリオンの二大シャトー、右岸ポムロールのカルトシャトー群などなども含め、ありとあらゆるボルドーを飲み漁っていた。 当時はインポーターの試飲会でこれらのワインが出ることも珍しくはなかったので、 それなりに無料で体験することもできた のだ。 ただ、私はボルドーが好きだった訳では決してない。 いや、 心から美味しいと思えるボルドーに巡り合った回数が、飲んだ本数を考えるとあまりにも少なかった 、と書いた方が良いかも知れない。 2000年代以降のボルドーは、徐々に「 早飲みもできる 」ワインへとアップデートされていったが、それまではとにかく「 抜栓タイミングが難しすぎる 」ワインが多かった。

梁 世柱
2023年1月22日
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