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出会い <82> テロワールが薫る至高のナパ・カベルネ
Hewitt Vineyard, Cabernet Sauvignon Double Plus 2017. 現地価格$500 アメリカ合衆国・カリフォルニア州の ナパ・ヴァレー は、まだまだ 誤解 されているように思えてならない。 特に 高級品 になればなるほど、その傾向が強い。 それもそうだろう。ナパ・ヴァレーのトップエンドは、 葡萄畑のテロワールが如何に優れているか、と言うワインに取っての普遍の真理ではなく、高給取りのコンサルタントを栽培でも醸造でも雇って、如何に「高品質なイメージ」を実現させるかに躍起になってきた 。

梁 世柱
5月20日


ナパ・ヴァレーのエレガンス <Screaming Eagle>(特別無料公開)
世界に名だたる銘醸地 ナパ・ヴァレー でも、最も カルト的 と言えるステータス。 ボルドー左岸メドック地区公式格付け第一級シャトーを遥かに上回り、 シャトー=ペトリュスにすら迫る販売価格 。 有力評論家による、複数回の 満点評価 。...

梁 世柱
2月8日


Wine Memo <31>
Inglenook, Edizione Pennino Zinfandel 2019. ¥9,900 ジンファンデル はなかなか興味深い葡萄だ。 長らく 南イタリア・プーリア州のプリミティーヴォ種 と同品種という紹介が主流だったが、DNA解析によって、その源流が クロアチアのマイナー品種 である ツーリエンナーク・カーステラーンスキー (もしくは トリビドラーグ )にあると判明してからは、説明文に少々変化が起きた。 少々煩わしい。 ツーリエンナーク・カーステラーンスキーと言われても、名前も覚えにくく、味わいの想像もつかない。

梁 世柱
2024年12月21日


ナパ・ヴァレーの宝石、Inglenook
Inglenook の名を見た時、カリフォルニアワインファンは、随分と複雑な気持ちになるのだろうか。 かつて、 ジョン・ダニエルJr. という天才の元に栄華を誇ったInglenookは、長らくの間、高品質ワインとはかけ離れた大衆ブランドへと成り下がっていたからだ。 私も一度だけ、 1954年ヴィンテージのInglenook Cask Cabernet Sauvignon を口にしたことがある。 そのワインは、まるで時が止まったままかのように若々しく、優美で奥深い味わいだった。 一生の記憶に残るワイン。 そう言い換えても良いだろう。 1879年 に、 フィンランド人の大富豪グスタフ・ニーバム によって設立されたInglenookは、1908年にグスタフが急逝した後、禁酒法時代には一度閉鎖されたが、1933年にグスタフの未亡人となったスザンヌ・ニーバムの手によって再建され、グスタフの又甥にあたるジョン・ダニエルJr.がワイナリーを引き継いでから、 ニューワールドワインの歴史に残る偉大な黄金期 へと入った。

梁 世柱
2024年12月9日


Sonoma Coast の可憐なリースリング
日本人女性オーナー兼醸造家としては、カリフォルニアで唯一無二の存在。 アメリカ合衆国の大統領や副大統領が主催する、国賓をもてなす晩餐会での採用。 輝かしい実績と人気を誇る Freeman Winery が、新たにポートフォリオに加わった リースリング...

梁 世柱
2024年11月18日


「Hot&Cool」なカリフォルニアのニューウェーヴ <San Luis Obispo>
San Luis Obispo と聞いて、すぐに アメリカ・カリフォルニア州のワイン産地 が思い浮かぶ人は、よほど深く彼の地のワインに触れてきた人だろう。 そもそも、 カリフォルニア州は日本が丸々収まってしまうほど広大 な州であり、 AVAの数も現時点で152 。 追いきれないのも無理はない。 日本市場においては、Napa County、Sonoma Countyを筆頭に、近年ではMendocino County、Lodi(San Joaquin County)、Santa Cruz Mountains(Santa Cruz County)、そしてSanta Barbara Countyあたりが比較的良く知られているが、San Luis Obispoが話題に上がることは、ほとんど無いのではと思う。 Napa、Sonoma、Mendocino、Lodi、Santa Cruz Mountainsは サン・フランシスコ にほど近く、Santa Barbaraは LA に近いが、San Luis Obispoは 両都市のほぼ中間地点 に位置している。 一

梁 世柱
2024年9月28日


マサイアソン <カリフォルニアをリードする現代的自然農家>
まるで自然そのものの葡萄畑 、という話は良く聞くが、そんな ユートピア は本当にあるのだろうか。 私自身、数多くの「自然な」畑を訪ね歩いてきたが、エデンの園も、シャングリ=ラも、桃源郷も 実在していないという現実 だけを知った私が、今ここにいる。 ...

梁 世柱
2024年3月7日


アメリカ西海岸の最前線 -Sashi Moorman-
『レトロなワインであり、昔のスタイルのワイン。』 アメリカ西海岸の最前線に立つ サシ・ムーアマン は、自身のワインをそう表現した。 カリフォルニアでは、 Domaine de la Côte、Sandhi、Piedrasassi 、そしてオレゴンでは Evening Land のワインメーカーとして活躍するサシは、筆者とも懇意にしている造り手だが、私はあえて彼のワインをこう表現しようと思う。 『現代の知見で精巧に再現された、アンティーク調のワイン。』 そう、確かにレトロで昔風だが、サシのワインは、 「今」の先頭を駆け抜けている のだ。 ワインにおけるスタイル上の世界的なトレンドは、常に 「揺り戻し」 を繰り返しながら前進してきた。 1990〜2010年代初頭 にかけての 約20年間 は、広義でいうと 「技術の時代」 と考えて差し支えないと思うが、今の最先端は、 1960~1980年代と第二次世界大戦以前のアプローチを混ぜ合わせた 上で、 最新の知見を随所に取り入れたスタイル が主流となりつつある。 そして、その最先端スタイルの根幹を成しているもの

梁 世柱
2023年6月5日


再会 <32> 歴史的名作との再会
Ridge Vineyards, Geyserville 2019. ¥6,050 過去に散々堪能したワインと、しばらく疎遠になってしまうことは良くある。 元来の新しい物好きな性格と、最先端を追いかけるジャーナリストという仕事柄も相まって、特に私はその傾向が強い。 どれだけ素晴らしいワインであっても、 同じワインを1ケース飲むよりも、12本の異なるワインを飲みたい 。 それが今も変わらない、私の本音だ。 だから、「素晴らしい」と分かりきっているワインには、あまり手を伸ばさなくなってしまう。 そして、そのようなワインと感動的な再会を果たすたびに、そのことを少し 後悔 する。 今回の「再会」は、カリフォルニアのレジェンド・ワイナリーの一つ、 Ridge Vineyards のワインと。

梁 世柱
2023年3月4日


真のテロワールワイン -West Sonoma Coast AVA- 【特別無料公開】
オールドワールドはテロワールのワイン、ニューワールドはワインメーカーのワイン。 そう思っている、いや思い込まされているワインプロフェッショナルとワイン愛好家が、少なくとも日本では圧倒的大多数となるのは間違いない。 確かに多くのニューワールド産地では、ヨーロッパの銘醸地(特に...

梁 世柱
2023年3月3日


出会い <27> 70’s Remake
Le P’tit Paysan, Old Vine Cabernet Sauvignon San Benito. ¥3,900 温故知新 。 筆者が最も好きな熟語だ。 故きを温め、新しきを知る。 それは 単純な過去回帰ではなく、過去のイデオロギーや成果を反芻し、深くリスペクトした上で、その先へと進みながら新たな道理を探求していくこと だ。 つまり過去回帰はただの「 レプリカ 」だが、温故知新は「 リメイク 」であるということ。 人が現代人として自らの生きた証をたてるなら、当然リメイクの方が手っ取り早い。レプリカにどれだけ精魂込めても、膨大な過去作の大海に、いとも簡単に深く沈みこんでしまうからだ。 もちろん、レプリカそのものを批判している訳ではない。 ただ、レプリカがオリジナルよりも高く評価されることなど、ほとんど無いというだけのことだ。 この真理は、ワインの世界にも当てはまる。 そして、ワインの歴史を振り返ってみると、その時々の「最先端」は、ほぼ例外なく、何かしらの「リメイク」である、という事実が浮かび上がってくる。

梁 世柱
2022年12月25日


再会 <26> Terroir in California
The Ojai Vineyard, Riesling “Kick on Ranch” 2017. ¥4,200 カリフォルニア・ワインと聞くと、どうも派手で煌びやかな印象をもっている人が多いだろう。 多くのワインが「ブランド化」され、ヨーロッパの銘醸ワインを凌ぐ超価格で取引されるワインも少なくない。筆者個人としては、そのような「技術の粋」にはすっかり興味を失って久しいが、より大きなカリフォルニアとして括れば、長大なFavorite Listが出来上がる程度には、強く心惹かれ続けている産地だ。 ちなみに、 カリフォルニア州 の面積は 約424,000 ㎢。 フランス(約643,800 ㎢)よりは小さいが、 ドイツ(約357,600 ㎢)や 日本(約377,900 ㎢)よりも大きい。 こんなに広ければ、 多種多様なテロワールがあって至極当然 。そして、 テロワールが違えば好適品種もまた異なるというのは、ワイン界の不文律 だ。

梁 世柱
2022年12月4日


出会い <17> ブルゴーニュ味のワイン
Racines Wine, Chardonnay “Sanford & Benedict Vyd.” 2018. ¥16,000 ブルゴーニュが高い。いくらなんでも高過ぎる。 ワインファンを大いに悩ませるこの問題は、実に深刻だ。 特に、新しくワインの魅力に目覚めた人たちにとって、世界最高峰のクラシックワインを体験するためのハードルがとてつもなく高くなってしまったという現実は、非常に厳しいものだ。 それなのに、 先輩たちは口を揃えて「クラシックを学べ」と言う 。 よほどの経済力か、稼ぎのほとんどをワインに捧げるほどの覚悟、もしくは、ごく僅かな幸運に恵まれた人しか入れない特殊な環境やグループにでも属していない限り実現不可能な「指導」など、もはや ただの理不尽 でしかない。 それに、ブルゴーニュにしても、ボルドーにしても、 気候変動の影響で「クラシック」な味わいは、すっかり迷子 になっている。 例えば2018年ヴィンテージのブルゴーニュに大枚を叩いてその味わいを体験したとしても、それはクラシックワインの体験などとは到底言えないだろう。(例外的に素晴らし

梁 世柱
2022年7月31日


出会い <3> 最高過ぎた「師匠の教え」
Shared Notes, Les leçons des maîtres 2019. ¥11,000 ソーヴィニヨン・ブラン の代表的な産地はどこでしょうか? 真っ先に思い浮かぶのは、 フランス・ロワール渓谷のサンセールとプイィ・フュメ 。 緻密なミネラルと、エッジの効いた酸がスタリッシュな産地です。 次は、 フランス・ボルドー か、 ニュージーランド・マルボロ でしょうか。 ボルドーはセミヨンやミュスカデルとのブレンドが基本で、より甘やかな果実味と、まろやかな酸、そして新樽もしっかり効かせる傾向があります。 マルボロも非常に個性的。パッションフルーツやハーブのアロマが全開で、万人受けしやすい味わいと言えます。 他にはどうでしょうか? イタリアの アルト・アディジェ 、オーストリアの ズートシュタイヤーマルク 、オーストラリアの マーガレット・リヴァー などなど、他にも素晴らしい産地が色々ありますね。この品種に関しては、日本の 長野 もかなり良い線行ってると思います。 あれ?何か重要な産地を忘れているような。 ソーヴィニヨン・ブランの話題になった

梁 世柱
2021年11月27日


非常時のレアワイン
世界の消費傾向が一気に変わった昨今のワイン市場。レストランでの営業が世界中で制限され、自宅での消費が多くなり、流動性の高いワインの価格帯にも変化が起こりました。ちなみにアメリカはワイン消費量が世界1位ですが、2019年と2020年と横ばいの状況です。(どこの国も実はあまり変...

SommeTimes特別寄稿
2021年8月19日


カリフォルニアの宝石「ピゾーニ」
このコラムでは、私が粋(Iki=生=活)と感じるワインを色々と紹介させていただきたいと思っております。 カリフォルニアでピノ・ノワールの生産者であれば、皆一度はそれに挑戦してみたいと思うであろう畑がある。 「Pisoniピゾーニ」の名前を聞いたことがあるだろうか?...

SommeTimes特別寄稿
2021年3月23日


百花繚乱の多様性 <コンテンポラリー・アメリカ 第三章>
コンテンポラリー・アメリカという新たな潮流の勢力が増すほどに、直近の主流であるビッグワインは、無慈悲な批判の対象となることも多い。しかし、カリフォルニアを中心に洗練を重ねたビッグワインは、 一つのスタイルを達成するための栽培上、醸造上の方法論の確立という意味において、究極的に完成度の高いものだ 。事実、ビッグワインが隆盛を極めるにつれて、数多くの批評家たちから満点を勝ち取るワインが激増した。満点を取ったワインの総数という客観的な事実だけを見れば、その中心となってきたカリフォルニアは、世界で最も優れたワイン産地(筆者自身は点数制の意義には懐疑的だが)とすら表現しても違和感はないだろう。正確に数えたわけではないが、おそらく世界一と思われる満点獲得総数を達成できた要因が、 スタイルと方法論の圧倒的な練度 にあることは間違いない。

梁 世柱
2021年3月5日


葡萄を知る <8> カベルネ・ソーヴィニヨン:New World前編
New Worldでも、最も人気の高い国際品種の一つとして、様々な国や地域で栽培されているカベルネ・ソーヴィニヨン(以下、CS)。晩熟な品種であるCSは、Old WorldよりもむしろNew Worldの国々の方が、明確な違いが生じて、非常に興味深い。また、国によっては、驚くほどのコストパフォーマンスを誇るCSもある。これらのCSが、葡萄そのものの名声に関わらずハイコスパワインとなるのは、それらの国に、他の象徴的な品種が存在している場合に、相対的に価格が上がりきらないことが主な要因となっている。New World前編では北アメリカに限定して紹介していく。

梁 世柱
2021年3月3日


熟成ジンファンデルの妙
カリフォルニアでは、商業的な理由(新規ワイナリーも多く、キャッシュフローの関係上、リリースして売り切ることが基本、というか理想)もあり、あまりワイナリーの蔵出しで20以上前のヴィンテージがでることは少ないです。 また、もともと熟成して飲むということもヨーロッパにくらべて少な...

SommeTimes特別寄稿
2021年3月2日


アメリカワイン産業の誤算と改革 <コンテンポラリー・アメリカ 第二章>
ワイン造りの全ては 葡萄畑に始まり、葡萄畑に終わる 。ワインという文化が賛美する 普遍の真理 は、近代的醸造技術の粋と考えられがちなビッグワインに於いても、同様に当てはまる。なぜ、葡萄畑とビッグワインの間に切っても切れない関係性が生まれるのか、詳細に紐解いていこう。

梁 世柱
2021年2月22日
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