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SommeTimes’ Académie <52>(フランス・ボルドー地方:Haut-Médoc)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回も ボルドー地方 について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第五回のテーマは、 「Haut-Médoc」 と致します。 Haut-Médoc Haut-Médoc はSub-Regional、という中域アペラシオンに該当します。葡萄畑の総面積は約4320haで、メドック地区全体の約28%に相当。 平均的な総生産量は約2950万本となります。 メドック地区の中でも最も広大なアペラシオンであり、 226の独立したシャトー がありますが、その中でも1855年の公式格付けに名を連ねたのは、 僅か5シャトーのみ です。 土壌は基本的には、ガロンヌ河からもたらされた砂利や砂礫ですが、南北に約60kmという広さ故に、 Haut-Médoc というアペラシオン自

梁 世柱
2023年9月26日


ワインスタンドの直汲みワイン
「善く国を治める者は、必ずまず水を治める。」 古代中国の春秋時代、斉の宰相であり、良く知られた法家でもあった 管仲 が残した言葉だ。 私は今、 北アフリカのリビア に思いを馳せている。 9月10日、リビア東部を襲った地中海熱帯様低気圧(通称、 メディケーン )は、 沿岸都市デルナ にある、老朽化した2つのダムを決壊させ、 推定死者数1万人超 と考えられる、未曾有の大災害を引き起こした。 東西で政治的分断が起きているリビアでは、避難指示の伝達網も機能しておらず、何よりも政治の基本である治水を、後回しにしてきた。 その決定的怠慢が、多くの人々の命を奪うことにつながったのは確かだが、そもそもなぜ メディケーンがそこまで破壊的な威力をもつに至ったか 、そして、 国土の90%が砂漠であるリビアを襲ったのか は、 別の問題 だ。 そう、メディケーンが凶暴化した理由として可能性が高いものの一つ(ハリケーンの激化は、実際にはかなり複雑な要因によって起きていると考えられている。)とされているのは、地中海の海水温の上昇、つまり 地球温暖化 である。 さらに、 気候変

梁 世柱
2023年9月24日


カンパーニャ風ステーキと極上ローカルペアリング
ペアリングを学ぶ上で、 クラシックペアリングやローカルペアリング と呼ばれるものの真髄を知るには、 イタリアは避けては通れない国 だ。 イタリアという国に来ると、 郷土料理と郷土ワインが、驚異的な完成度のペアリングとなっている ケースが非常に多いことに、とにかく驚かされる。 その「結びつき」の強さは、筆者が経験した範囲では、フランス、スペイン、ドイツ、オーストリアやギリシャよりも強く、 おそらく世界一 とすら考えられる。 20の州があるイタリアは、 20の異なる小国家の集合体 とも言われるほど、各地域の文化的独立性が強く(イタリア人いわく、方言もかなり強烈とのこと)、 その影響は食文化の細部にまで及んでいる のだ。 そして、さらに驚くべきは、 その結びつきが、料理とワインという枠を超えて、食材とワインにまで及んでいる ことだ。

梁 世柱
2023年9月22日


ボンゴレ・ロッソと極上ローカルペアリング
カンパーニャ州の名物料理 と言えば、なんと言っても ナポリ風ピザ だが、 パスタ類 にも 名品 が多い。 パスタ通の最終到着地であり、極めてシンプルが故に最も難しいパスタとも言われる Spaghetti aglio e olio (イタリア南部全域で見られるニンニクとオリーヴオイルのパスタだが、唐辛子を使わないバージョンはカンパーニャ州が発祥)、ほっこりとするトマトソースベースの Gnocchi alla sorrentina 、カボチャとショートパスタのスープである Minestrone alla napoletana 、アンチョビ、ケッパー、オリーヴ、唐辛子を効かせた Spaghetti alla puttanesca など、日本でも馴染み深いものが数多くカンパーニャ州を発祥の地としている。 中でも、筆者が特に好きなのは、アサリなどの二枚貝をふんだんに使用した、 Spaghetti alle vongole だ。一般的には、 veraci (ボンゴレ・ビアンコ)の方が有名だが、地元の人におすすめを聞いたところ、満場一致で rossi...

梁 世柱
2023年9月22日


出会い <45> 未知の島ワイン
Masseria Frattasi, Capri Rosso 2021. 現地価格:約19,000円 過去10年間ほどを遡って、ワイン市場のトレンドを探ってみると、一つの興味深いジャンルが浮かび上がってくる。 島ワイン 、だ。 栽培面積、生産量を鑑みると、特定の島ワインがトレンドになっていると言えるほどの流通量は無いため、ヨーロッパ各地の様々な島ワインを統合した、一つのジャンルとして捉えた方が実態に即しているだろうか。 ただし、このトレンドのきっかけとなったのが、 イタリアのシチリア島 であることは間違いない。 エトナ火山 のネレッロ・マスカレーゼ(黒葡萄)とカッリカンテ(白葡萄)、 ヴィットーリア を中心としたエリアのネロ・ダヴォラとフラッパート(共に黒葡萄)、そしてその量品種をブレンドしたDOCGであるCerasuolo di Vittoriaは、島ワインというマニアックなジャンルを、メインストリームに押し上げるに十分なほど、 高次元で個性と品質が両立されたワインだ った。 シチリア島産ワインの躍動によって、ワイン市場の最先端にいる人々の関心

梁 世柱
2023年9月18日


Wine Memo <12>
Vigne Sannite, Barbera Sannio DOP 2021. 日本ではなかなかお目にかかれない、ある種の 珍品的ワイン との出会いは、海外行脚の醍醐味の一つだ。 イタリア・ カンパーニャ州のサンニオ (詳しくは、今月末の特集記事にて)で出会ったのは、Sannio DOPとしてリリースされている、こちらの Barbera 。 そう、 カンパーニャ州のBarbera だ。

梁 世柱
2023年9月17日


マルゲリータと極上ローカルペアリング
長い年月をかけて、そこで暮らす人々の「当たり前」として残ってきたペアリングには、 論理的、美食的完成度とは別次元の、特殊な素晴らしさ が宿ることがある。 例えば、鯵のなめろうに適当な純米酒を合わせても、驚くほど美味しいように、鶏の唐揚げとレモンサワーがこれ以上なく最高のペアだと感じるように、我々の多くが知らず知らずのうちに、最高のペアリングを体験しているケースは多い。 そして、海外に来てそういう体験をしたいのであれば、 地元の人に聞くのが一番 だ。 筆者は今、 南イタリア・カンパーニャ州の州都ナポリ に来ている。 古代ギリシアによって、 ネアポリス (ネア=新しい、ポリス=都市)と呼ばれたこの街の名物といえば、日本でも馴染み深い ピザ だ。 薄く柔らかい生地が特徴の ナポリピザ だが、大定番はシンプルな マルゲリータ で間違いないだろう。 トマトソース、バジル、オリーヴオイル というシンプル極まりない構成故に、 とてつもなく奥が深いピザ でもある。

梁 世柱
2023年9月16日


再会 <45> 新時代の価値観
Lamoreaux Landing, T23 Cabernet Franc “Unoaked” 2021. ¥4800 かつてはマイナスだったものが、時代の変化によって魅力的な要素へと昇華する というのは、ワインの世界においては良くあることだ。 そのような トレンドのサイクル は、 最短だと2~3年、最長でも10年 あれば回ってしまうため、つくづく、ワイン業界に身を置く人々が日常的に晒されている アップデートの重要性 を痛感する。 ワイン産業全体としての情報量も昔より遥かに多いため、全世界のワイン産地を対象にして研鑽してきた私も、いよいよアップデートを行い続ける対象を取捨選択するタイミングに来ているのではと、思い悩んでもいる。 気候変動が深刻化している近年は特に、私やその上の世代のプロフェッショナルたちが、膨大な時間をかけて理解してきた、 世界各地のワインとそのティピシテに関する情報 が、急速に 「期限切れ」 となってきているため、それこそ 「世界規模」の学び直し を迫られている。 なかなか厳しい状況だが、また学べるのは幸せなこと、とも言えるので

梁 世柱
2023年9月10日


料理の苦味とワイン
料理とワインの間で 五味を合わせる 、というのはペアリングの基本的な考え方の一つだが、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、旨味)の中には、一つ非常にトリッキーなものがある。 苦味 、だ。 その理由は、 ワインに「苦味」がたいして含まれていない ため、そもそも五味合わせが成立しないから。 一部のアロマティック系白葡萄に見られるフェノリックな苦味や、ミネラルの刺激によるものと考えられる余韻の苦味、などは一応あるが、どれもペアリングの要素としてカウントできるほど強くはない。 しかし、実際には料理の苦味に対してワインでしっかりとアプローチすることは、難しくない。 いや、むしろ 非常に簡単 だ。

梁 世柱
2023年9月9日


SommeTimes’ Académie <51>(フランス・ボルドー地方:Margaux)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回も ボルドー地方 について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第四回のテーマは、 「Margaux」 と致します。 Margaux 葡萄畑の総面積は約1500haで、メドック地区全体の約9%に相当。 平均的な総生産量は約900万本となります。 65の独立したシャトーのうち21シャトー が、第一級〜第五級に渡って、1855年の公式格付けに名を連ねています。 メドック6地区の中で最大面積となるマルゴーは、格付けシャトーの数も最大となります。 AOC Margauxを名乗れるのは5つの村々で、北から南に、Soussan、Margaux、Cantenac、Labarde、Arsacの順となっていますが、1855年の公式格付けを元に考えると、最重要コミューンは

梁 世柱
2023年9月6日


出会い <44> 超マイナー産地に芽吹く、若き才能
Henri Chauvet, Au Chant de la Huppe 2022. ¥7,900 「最近の若いもんは」という言葉が、私は昔も今も大嫌いだ。 若者たちのことを本気で考え、案じた上でそう言っているのなら良いのだが、実際は先達による「自己肯定」の手段以外の何ものでも無いことがほとんど。 わざわざ未来ある若者を卑下してまで美化する必要があるプライドに、何の価値があるのだろうか。 特に現代の若者(ワインの話なので、一応20~30代、としておこう)は、いわゆる 「ゆとり世代」 になるため、先述のような批判に極めて晒されやすいと感じている。 奇妙なことだ。 大谷翔平、羽生結弦、藤井聡太、高梨沙羅といった、各分野においてすでに歴史を書き換えるような活躍をしてきた偉大な才能たちは、皆20代で、皆ゆとり世代だ。 先人の誰もが成し遂げられなかった偉業を、あっさりと達成する若者を数多く輩出する世代こそがゆとり世代なのだから、それができなかった大人たちが、なぜ彼らを批判できるのだろうか。 先日行われた全日本最優勝ソムリエコンクールに出場していた、 中村僚我

梁 世柱
2023年9月3日


再会 <44> 地球の裏側で再会 Part.2
Olifantsberg, Grenache Blanc 2021. ¥4300 日本に輸入されているワインの種類(量ではない)は、世界でも間違いなくトップクラス。銘柄数に関する統計が見当たらないので正確なことはわからないが、もしかしたら世界一の可能性すらある。 しかし、そんな 日本にもまだ届いていない未輸入ワイン は、世界各地に星の数程存在している。 ジャーナリストとして海外産地を訪問した際に、素晴らしい品質の未輸入ワインに出会うことは良くあるのだが、私はインポーターでは無いので、情報を発信する以外にできることは、ほとんどない。 ツアーにインポーターの方々が同行している時などは、私の発見と出会いが彼らのお眼鏡に叶わないものかと、密かに期待したりしてもいるのだが、なかなかそうもならないものだ。

梁 世柱
2023年8月27日


オムライスのパートナー
日本では様々な独自の「洋食」が発展し、一大ジャンルとなっている。 今回の題材となる 「オムライス」 も、日本人なら誰もが食べている代表的な洋食の一つだ。 まずは米、細かく刻んだ鶏モモ肉、玉ねぎを炒め、たっぷりの ケチャップ (場合によってはウスターソースも)を加えて炒めた 「チキンライス」 を作り、ふわふわに焼いた溶き卵を被せ、さらに 「追いケチャップ」 をして完成。 シンプルだが美味い。 幼少期から食べている「思い出補正」もあってか、なかなか中毒性の高い味わいだ。 さて、ペアリングという視点からオムライスを見ると、実はちょっと残念な気持ちになる。

梁 世柱
2023年8月25日


SommeTimes’ Académie <50>(フランス・ボルドー地方:Saint-Estèphe)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回も ボルドー地方 について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第三回のテーマは、 「Saint - Estèphe」 と致します。 Saint-Est è phe 葡萄畑の総面積は1229haで、メドック地区全体の約8%に相当。 平均的な総生産量は約800万本となります。 第一級は無く、 57の独立したシャトーのうち僅か5シャトーのみ が、第二級〜第五級に渡って、1855年の公式格付けに名を連ねています。 格付けシャトーが少ない理由は、 各シャトーの立地に関係 していると推察されます。 Calon-Ségur (アペラシオンの中央東側に位置)は例外ですが、 他の格付け4シャトー は全て、 Pauillacとの境界に近い、アペラシオン南東部に集中 して

梁 世柱
2023年8月22日


出会い <43> 二人のマウレ
Il Cavallino (Sauro Maule), Oran-G 2020. ¥4,400 今から12年ほど前のこと。 NYの伝説的なトップシェフとして名高い David Bouley の新店で、ヘッド・ソムリエをしていた頃の話だ。 Davidは、当時まだ 完全に無名の若いアジア人ソムリエ だった私を見出して、責任ある職を任せてくれた大恩人だ。 そんなDavidは 正真正銘の天才 (異次元の天才、という表現は彼にこそ相応しい)だったが、とてつもない 「無茶振り」や「奇行」 が多いことでも知られていた。 まだまだレストランのキャッシュフローが危うい段階だったのに、突然 「在庫を3倍に増やせ。」 と言ってきたり、セレブ層のために用意しておいた高級ワインを 「このレストランの料理には合わない。」 と言い出して片っ端から飲み尽くしたりと、今となっては良い思い出だが、当時はなかなか神経をすり減らす日々だった。 猛烈に忙しかったクリスマスシーズンを抜け、少し余裕が出始めた年末のある日、Davidの唐突な無茶振りが飛んできた。 「年明けに子持ち昆布を使った

梁 世柱
2023年8月20日


再会 <43> ブルゴーニュである理由
Dom. Georges Mugneret-Gibourg, Vosne-Roman é e 2014. (市場価格:6~7万円) 少し気が重いが、今日は ブルゴーニュ の話をしようと思う。 修行時代、どっぷりとクラシックワインに浸かっていた私は、王道のブルゴーニュにも真正面から挑んできた。 「ブルゴーニュは好きか?」(師) 「もちろん。」(私) 「そうか。君がもし、好きじゃない、なんて言ったら、もう君をリスペクトできないところだったよ。」(師) などという、恩師とのなんとも危なっかしい会話は、今となっては一生の記憶に残る思い出だが、このエピソードは、 いかにブルゴーニュがワインの世界にとって重要であるか を、物語っているとも言える。 世界各地のワインをテイスティングするようになり、プライヴェートでは、ほぼナチュラルワインしか飲まなくなった今でも変わらず、私はブルゴーニュが好きだ。 ブルゴーニュという神秘的な液体を、一人のワイン人として、最大限にリスペクトしている。 その前提の上で、あえてこう書こう。 単純な品質面で見るのであれば、ピノ・ノワール

梁 世柱
2023年8月13日


SommeTimes’ Académie <49>(フランス・ボルドー地方:Saint-Julien)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回も ボルドー地方 について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第二回のテーマは、 「Saint-Julien」 と致します。 Saint-Jullien 葡萄畑の総面積は910haで、メドック地区全体の約6%に相当。 平均的な総生産量は620万本となります。 第一級はありませんが、第二級~第四級まで秀逸なシャトーが多く、その 平均的な品質の高さは、ボルドー左岸でも屈指 と言えます。 19の独立したシャトーのうち、11が1855年の公式格付けに名を連ねています。 総体的な特徴としては、 粘土石灰質の表土層 には 大きな岩石 が含まれ、 硬い地盤層 もあることから、 力強く豊満な果実味、緻密なミネラル、ボルドー左岸でも最も滑らかなタンニン が際立ちます。

梁 世柱
2023年8月8日


再会 <42> The Greatest Riesling on the planet
Weingut Keller, Riesling G.G. “Oberer Hubacker Monopol” 2021. 講演でも、SommeTimesでも、プライヴェートでも、私は底なしの 「リースリング愛」 を包み隠さず話してきた。 もちろん、シャルドネも、ソーヴィニヨン・ブランも好きだし、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーも好きだ。 ヨーロッパ各地の土着品種にも、ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、テンプラニーリョといった代表的なものに限らず、好きな葡萄品種はたくさんある。 葡萄品種という括りからは外れるが、シャンパーニュだって大好きだ。 それでも、私に至上の感動を与えてくれる、魂を奥底から揺り動かしてくれる唯一無二の葡萄が、リースリングであることには変わりない。

梁 世柱
2023年7月29日


出会い <41> 知ってる人の、知らないワイン
Herv é Villemade, Cour-Cheverny Blanc “Les Acasias” 2020. ¥6,000 ワインとの出会い、といっても、様々。 筆者のように、それなりに長い期間、世界各国のワインに幅広く触れていると、さすがに、 「知らない国の、知らない産地の、知らない造り手の、知らない葡萄品種のワイン」 、なんてものにはなかなか出会えなくなってしまうが(そろそろ、東欧、北欧、東南アジア、中米辺りにカヴァー範囲を広げるべきか。)、私が学び始めた頃は、知らないことだらけで、記憶に残る出会いがそこら中に転がっていたものだ。 その時に出会った数々のワインとのエピソードは、今も私にとって、 モチベーションの源泉 であり続けている。 では、そんな私が今、どんな出会いを楽しんでいるのか。 それは、大きく分けると4つのパターンになる。 良く知った国の、知らない産地。 良く知った産地の、知らない地域。 良く知った地域の、知らない造り手。 良く知った造り手の、知らないワイン。 そう、 知っているものと知らないものの組み合わせ に、私は出会い

梁 世柱
2023年7月23日


SommeTimes’ Académie <48>(フランス・ボルドー地方:Pauillac)
一歩進んだ基礎の学び、をテーマとするのが SommeTimes’ Académie シリーズ。 初心者から中級者までを対象 としています。 今回から ボルドー地方 について学んでいきます。 ボルドー地方に関する基礎的な情報は、無料のものが十分に存在していますので、本シリーズでは基本的に割愛しますが、その代わりにより深いところを探っていきます。 ボルドー地方シリーズ第一回のテーマは、 「Pauillac」 と致します。 Pauillac 葡萄畑の総面積は1,213haで、メドック地区全体の約7.5%に相当。 平均的な総生産量は720万本となります。 5つの第一級シャトーのうち3つを有し、第二級シャトー以下にも優れたワイナリーが多いPauillacは、 総合力 で見れば、 名実共にボルドー左岸最上のアペラシオン と考えて差し支えないでしょう。 33の独立したシャトーのうち、18が1855年の公式格付けに名を連ねています。 総体的な特徴としては、 水捌けの良い砂礫質土壌が優勢 であることに起因する、 カベルネ・ソーヴィニヨン比率の高さ、西洋杉とも呼ばれ

梁 世柱
2023年7月20日
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