Henri Chauvet, Au Chant de la Huppe 2022. ¥7,900
「最近の若いもんは」という言葉が、私は昔も今も大嫌いだ。
若者たちのことを本気で考え、案じた上でそう言っているのなら良いのだが、実際は先達による「自己肯定」の手段以外の何ものでも無いことがほとんど。
わざわざ未来ある若者を卑下してまで美化する必要があるプライドに、何の価値があるのだろうか。
特に現代の若者(ワインの話なので、一応20~30代、としておこう)は、いわゆる「ゆとり世代」になるため、先述のような批判に極めて晒されやすいと感じている。
奇妙なことだ。
大谷翔平、羽生結弦、藤井聡太、高梨沙羅といった、各分野においてすでに歴史を書き換えるような活躍をしてきた偉大な才能たちは、皆20代で、皆ゆとり世代だ。
先人の誰もが成し遂げられなかった偉業を、あっさりと達成する若者を数多く輩出する世代こそがゆとり世代なのだから、それができなかった大人たちが、なぜ彼らを批判できるのだろうか。
先日行われた全日本最優勝ソムリエコンクールに出場していた、中村僚我、山本麻衣花の二名は20代半ばながら、同年代だった時の私など、足元にも及ばないほどの知識、技術、経験をすでに身につけている。
懐古主義を否定するつもりはないが、時代はいつだって、力強く前進しているのだ。
ワイン造りの世界においても、新たな、そして偉大な才能が数多く誕生していることに、目を向けない人は多い。