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出会い <75> ハイコスパピノを求めて
Mound Edward, Ted Pinot Noir 2022. ¥4,350 世界的なワイン価格の高騰が止まらない中、我々の日常生活から最も遠いところへ行ってしまった品種は、おそらく ピノ・ノワール だろうか。 その原因は、兎にも角にも ブルゴーニュ にある、と考える人がほとんどだと思うが、それは 半分正解 と言ったところ。 確かに、ブルゴーニュが(特にコート・ド・ニュイ赤)なかなか天井が見えない高騰を続けているため、その価格に世界各地のピノ・ノワールが引っ張られている側面はある。 しかし、そもそも ピノ・ノワールという葡萄の性質 を理解してみると、 別の理由 も見えてくるのだ。

梁 世柱
1月27日


再会 <75> バックヴィンテージ定点観察の楽しさ
Sato Wines, Pinot Noir “Northburn” 2017. 同じワインを、新しいヴィンテージが出るたびにテイスティングすることは、ワインを深く理解していく上で、非常に大切だ。 ヴィンテージごとに全く異なる気象条件と、それらが最終的なワインに及ぼす影響を理解するという目的は当然だが、造り手の変化や進化に加え、「本質的に変わらない」テロワールを知る上でも、定点観測は大切になる。 しかし、 同じボトルを年月を跨いでテイスティング をする、という別の定点観測は、なかなか環境は整わないと難しい。 そもそも、「それをやり出したらキリがない」というのもあるが、コンディションを保つためのセラーリングも、それに必要なスペースも、用意するのは簡単ではない。

梁 世柱
1月20日


Advanced Académie <47> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Fixin
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第19回、そしてブルゴーニュ・クリマ・ランキングの最後として、 Fixin をテーマと致します。 Marsannayが

梁 世柱
2024年11月21日


Advanced Académie <46> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Vougeot
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第18回は Vougeot をテーマと致します。 コミューンがほぼ丸ごと特級畑という、非常に特殊なアペラシオンであるた

梁 世柱
2024年11月6日


Advanced Académie <45> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Marsannay
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第17回は Marsannay をテーマと致します。 Marsannayは、近年のブルゴーニュ高騰トレンドの中では、比

梁 世柱
2024年10月22日


Advanced Académie <44> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Nuits-Saint-Georges
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第16回は Nuits-Saint-Georges をテーマと致します。 特級畑が無い ため、Côte de...

梁 世柱
2024年10月8日


Advanced Académie <43> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Morey-Saint-Denis
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第15回は Morey-Saint-Denis をテーマと致します。 5つの特級畑(Bonne Maresは実質的にC

梁 世柱
2024年9月24日


Advanced Académie <42> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Chambolle-Musigny
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第14回は Chambolle-Musigny をテーマと致します。 Vosne-Romanée、Gevrey-Cha

梁 世柱
2024年9月10日


Advanced Académie <41> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Gevrey-Chambertin
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第13回は Gevrey-Chambertin をテーマと致します。 Vosne-Romanée、Chambolle-

梁 世柱
2024年8月28日


Advanced Académie <40> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Vosne-Romanée
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第12回は Vosne-Romanée をテーマと致します。 世界で最も高価なピノ・ノワールの産地であるVosne-R

梁 世柱
2024年8月14日


Advanced Académie <39> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Saint-Aubin
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第11回は Saint-Aubin をテーマと致します。 Puligny-MontrachetとChassagne-M

梁 世柱
2024年8月2日


Advanced Académie <36> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング Volnay
ブルゴーニュにおける葡萄畑のランキング企画となる、Advanced Académieの本シリーズ。 ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第8回は Volnay をテーマと致します。 全体的に豊満なワインが多い C ô te de

梁 世柱
2024年5月11日


再会 <59> どこまでも心地よい北海道ピノ
10R winery, 上幌ワイン “風” 2022. 好適品種 がどうかの判断はとても難しい。 数値的に何か明確な指標があるわけでもないので、 「葡萄がちゃんと熟す」 という基準そのものが、実に 曖昧 なのだ。 私自身がその判断を行う際は、以下の4要素を基本的な考慮対象としている。 ・ フェノールの熟度 (不必要に未熟な味わいが生じていないかどうか) ・ ミッドパレットの充実度 (スカスカの味わいになっていないかどうか) ・ 果実味と酸とアルコール濃度のバランス (この判断が一番主観的となるだろうか) ・ 余韻の長さ (短く弱い余韻はあまり良くない) また、 収量とその安定性、農薬への依存度 といった味わい以外の要素も、現代では考慮対象とするのがスタンダードとなりつつある。

梁 世柱
2024年4月21日


出会い <58> ニュイ的ジャーマン・ピノの真打
Steintal, Spätburgunder Schlossberg G.G. 2021. 冷涼気候の中でも、特別に日当たりの良い区画だけが生み出せる、エレガンスの極地。 そして、 ピノ・ノワール という品種において、 その魔力が最大化されるのは、ブルゴーニュのグラン・クリュをおいて他に無かった 。 過去形 、なのは正しい。 もちろん、今でもブルゴーニュのグラン・クリュが特別な存在であることは変わらないのだが、 酷暑 と旱魃のヴィンテージが気候変動によって劇的に増えた現代では、エレガンスの最大化という一点において、疑問を抱かざるを得ないワインとなることも多い。 常軌を逸した高価格だけが、今のブルゴーニュの問題では無い のだ。 私自身、かつては遥かに手頃な価格と高い確率で出会うことができた「ブルゴーニュの魔法」を諦めきれず、ブルゴーニュ・オルタナティヴの探求に心血を注いできた。

梁 世柱
2024年4月15日


Advanced Académie <33> ブルゴーニュ・クリマ・ランキング コルトンの丘周辺
ご存知の通り、ブルゴーニュには超広域Bourgogneから始まりGrand Cruに至るまで、多階層の格付けが存在していますが、同階層内でも優劣が生じます。 本シリーズでは、以下のような形で、すべての特級畑、一部の一級畑(単一としてリリースされることが多いクリマ)、一部の村名格畑(特筆すべき品質のものを抜粋)をランキングしていきます。 SS:最上位の特級畑クラス S:平均的な特級畑クラス(一部の一級畑も該当) A:特級畑に肉薄する最上位の一級畑クラス(一部の特級畑も該当) B:際立って秀逸な一級畑クラス(一部の特級畑も該当) C : 秀逸な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) D:平凡な一級畑クラス(一部の村名格畑も該当) 一部のクリマに関しては、生産者による品質の落差が大きいため、(A~S)のようにランクを跨いだ評価となります。 第五回は コルトンの丘周辺 をテーマと致します。 特級畑コルトン及びコルトン=シャルルマーニュを取り囲む三つのAOC (Aloxe-Corton、Pernand-Vergelesses、Ladoix

梁 世柱
2024年3月13日


出会い <54> 最強のブルゴーニュ・キラー
J ür g, Spätburgunder G.G. “Sonnenberg KT” 2019. ¥7,800 2024年に入ってから、ブルゴーニュ関連のマスタークラスを立て続けに開講していることもあり、例年以上に深く彼の地と向き合う日々が続いている。 ソムリエ駆け出し時代から、 マット・クレイマー著の「ブルゴーニュが分かる」 や、 クライヴ・コーツMW著の「The Wines of Burgundy」 といったブルゴーニュ関連の名著は、擦り切れるほど読み込んだし、ブルゴーニュが飲める試飲会には積極的に足を運び、プライヴェートでもヘソクリを絞り出して、グランクリュに手を伸ばしてきた。 私の頭の中には、自分でも不思議に思うほど膨大なクリマ名や、そのワインの特徴に関するメモリーがアーカイヴされている。 私はそもそも、物忘れが極端に激しく、カレンダーに詳細に書き込んだスケジュールやSNSでの「名前と顔の照合」を頼りに、日々をなんとか重大なトラブルなく生きているようなタイプの人間なのだが、きっとそうなってしまったのは、限られたメモリー容量

梁 世柱
2024年2月18日


再会 <50> 世界が求める日本人のワイン
Kusuda Wines, Pinot Noir “Martinborough” 2017. 大阪のお好み焼きと、広島のお好み焼き。 どちらが優れた料理か。どちらが本物か。 私の答えは、迷うことなく「大阪」となる。 その理由は、ただ一つ、私が大阪で生まれ育ったからだ。 「同郷バイアス」 とは、我々が意識している以上に強力で、冷静な品質判断などは、いとも簡単に「不必要なもの」となってしまう。 そう、そこに必要なのは、感情からくる全面的な肯定だけなのだ。 私自身はその同郷バイアスを強く認識しているため、日本が関連したあらゆるワインに対して、徹底して感情移入を排してきた。 しかし、それは同時に 「逆張りバイアス」 がかかってしまう可能性を生んでいるのも事実だ。 つまり、感情移入を拒絶するが故に、重々気をつけていなければ、無意識に批判的な視点から見てしまいかねない、ということ。 だからこそ、私は同郷バイアスがかからない、 海外プロフェッショナルの意見 を求めることが多い。

梁 世柱
2023年11月25日


再会 <41> Remember Ahr
Meyer-Näkel, Spätburgunder G.G. “Silberberg” 2017. ヒトは忘れてしまう生き物だ。 たとえ相当ショッキングな出来事だとその瞬間には感じていても、情報がハイパースピード化した現代では、忘れるスピードもまた、加速度的に上がっている。 それこそ、9.11や3.11級の、かつ自身に馴染みのある地域で起こった出来事でも無い限り、多くの人々の記憶に焼きついて離れない、ということにはならない。 この悲しい現実は、大震災というカテゴリーについて考えると良く分かる。 6400人強の人々が犠牲になった1995年の阪神・淡路大震災のことを、まだ覚えている人はそれなりにいると思うが、28万人以上が亡くなった2004年のスマトラ島沖地震、31万人以上が亡くなった2010年のハイチ地震のことを覚えている人は、一体どれだけ日本にいるのだろうか。 それだけ多くの人が命を落とした出来事ですら、現代社会においては、芸能人のくだらないお騒がせ程度のことに、簡単に上塗りされてしまう。 世界では、もっともっと深刻な出来事が日々起こっているの

梁 世柱
2023年7月16日


真のテロワールワイン -West Sonoma Coast AVA- 【特別無料公開】
オールドワールドはテロワールのワイン、ニューワールドはワインメーカーのワイン。 そう思っている、いや思い込まされているワインプロフェッショナルとワイン愛好家が、少なくとも日本では圧倒的大多数となるのは間違いない。 確かに多くのニューワールド産地では、ヨーロッパの銘醸地(特に...

梁 世柱
2023年3月3日


再会 <28> ビオディナミとワインの因果関係
Hochkirch, Pinot Noir “Maximus” 2019. ¥6,800 Cause and Effect 。小難しい日本語に訳すと、「 因果関係 」とでもなるだろうか。 ワインという「 結果 」と、そこに至るまでのプロセスである「 要因 」の間には、確かに因果関係が認められるケースが多い。ブルゴーニュに、バローロに、リオハに、ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンに宿る「あの味」の後ろ側には、Cause and Effectが、まるで黄金の方程式が如く存在しているのだ。 しかし、この因果関係は、往々にして 巨大な誤解の温床 となっている。 その理由はただ一つ。 本来、要因と結果の関係性は極めて複雑であるにも関わらず、我々の多くが、自らに都合の良い(理解しやすい)情報だけを切り取って、パズルのピースが全然足りていなくても、必死にその限定された因果関係を正当化しようとしてしまうから だ。 有名産地のワインだから美味しい。 有名生産者のワインだから美味しい。 高価なワインだから美味しい。 などというのは、その最たる例で、要因がそもそ

梁 世柱
2023年1月8日
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